第1部. スケールアップを効率的に行うためのラボ実験の進め方
(2015年9月30日 12:30〜14:30)
原薬の製造プロセスのスケールアップにおけるポイントは、通常の化学品のスケールアップにおける規格適合・物質収支・熱収支・熱安定性・装置選定等の他にGMP観点からの規格適合と不純物プロファイルの確認、適切な原料 (供給者) の選択、工程管理 (in-process control) の設定、予測的バリデーションの実施、リスクアセスメントの実施、記録の保管等が加わります。膨大なデータの取得を効率的に行うヒントを提示できればと考えます。
- 化学反応における単位操作のスケールアップ
- スケールアップの倍率
- 反応 (撹拌効率、反応機形状・材質、熱収支、熱安定性等)
- 濾過 (濾過機形式と濾過速度)
- 乾燥 (乾燥機形式)
- 蒸留 (必要段数, 熱安定性)
- 不純物プロファイルの確認
- 温度と時間と不純物プロファイル
- In-process control (IPC) の設定
- 適切な原料 (供給者)
- 想定される供給者の原料の評価 (ラボ実験と評価)
- In-process control (IPC) の設定
- 品質リスクアセスメントとIPC 設定
- 反応完結 (未反応原料、目的物含量) :HPLC,GC
- 不純物含量 (副生物、未反応原料、溶媒残、水分等) :HPLC,GC,LOD,KF
- その他:PH,粘度
- 予測的バリデーション
- パラメター (温度・時間・撹拌数・圧力等) の最適化・設定
- 記録の保管
- 必要データの作成
- 作成データ、生データの整理と保管
- ケース・スタディー など
第2部. 実生産でのコスト・時間短縮へ向けたスケールアップ
(2015年9月30日 14:45〜16:45)
スケールアップ検討の最終目的は実生産 (商用生産) にある。商用生産がスタートすればその後の製法変更は困難となるケースが多い。特に医薬品原薬の場合、登録情報の変更が伴うため製法変更はできる限り避けたい部分である。このような問題を避けるためには、スケールアップの前の小実験で商用生産を想定して、種々の確認を十分に行う必要がある。本セミナーでは実例をもとにスケールアップ実験のポイント、実験方法、個々のプロセスの考え方 (例えば、抽出、濃縮工程、その他) をコスト削減、時間短縮の観点から説明する。
- 医薬品 (原薬) の開発とスケールアップ (基本的な考え方)
- 小スケールとスケールアップの相違点
- 小スケールとスケールアップのパラメータの比較と考え方、設定法
- スケールアップ実験するためのチェックポイント、考え方
- 原料、中間体の評価項目 (安全性、安定性、結晶多形、溶媒和他) とその対応策
- スケールアップを想定した実験法 (スケールダウン実験) いくつかの具体例をもとに
- スケールアップでの失敗例 (実際の経験から) と対応策
- 事例1. 乾燥機の選択 (水和物→無水和物変換)
- 事例2. 原料入手 (スケールアップしようとしたが、目標規格の原料が手に入らない。)
- 事例3. 乾燥時間の管理 (順調に商用生産がスタートしたが、突然製品の乾燥時間が2倍 (10時間→20時間) になった。)
- コスト・時間短縮の実例
- 事例1.プロセスの短縮 (7日近くかかるプロセス (反応→抽出→濃縮→晶析→乾燥) を2日に短縮。)
- 一つの例 (事例1) から考えられる操作簡略化、時間短縮の応用例。
- その他、質疑応答