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mRNA医薬品の安定性制御/翻訳品質管理と研究開発/レギュラトリーサイエンス

mRNA医薬品の安定性制御/翻訳品質管理と研究開発/レギュラトリーサイエンス

~細胞内でのmRNAの安定性やmRNAから活性を持ったタンパク質を発現させる技術 / mRNA創薬の理解と、その製造、非臨床試験、臨床試験などの開発プロセスをレビュー~
オンライン 開催

開催日

  • 2021年6月25日(金) 13時00分 16時30分

プログラム

第1部 mRNA安定性制御と翻訳品質管理の分子機構と生理機能

(2021年6月25日 13:00〜14:30)

 正確な遺伝子発現は生命現象の根幹であり、その破綻や異常は様々な疾患の原因となる。正確なタンパク質合成を保証するため、細胞は異常な翻訳伸長阻害を認識し排除する品質管理機構としてRQC (Ribosome – associated Quality Control) を保持している。
 本セミナーでは、翻訳の正確性を維持する分子機構RQCの概要について紹介する (文献1 – 4) 。マウスではRQC の機能欠損による神経細胞死の詳細を解析し、神経におけるRQC機能を理解する分子基盤が明らかにした (文献5) 。また最近mRNA安定性がコドン最適度で決定される機構 (文献6) も明らかにしており、mRNA安定性制御と翻訳品質管理の分子機構と生理機能に関する最新の知見も紹介する。
 mRNAワクチンの成功は、mRNA創薬の可能性を大きく広げた。細胞内でのmRNAの安定性やmRNAから活性を持ったタンパク質を発現させる技術の重要性はますます高くなることは間違いない。本セミナーでは、mRNAの安定性決定機構、正しい翻訳を保証する分子基盤である翻訳品質管理機構に関する最新の知見を紹介したい。

  1. mRNAの安定性
    • ポリA 短鎖化複合体Ccr4-NOTによる翻訳速度の感知とmRNA安定性決定機構
  2. 正しい翻訳を保証する分子基盤である翻訳品質管理機構
    • リボソーム修飾の機能
  3. 異常翻訳の実体としての衝突リボソーム
    • クライオ電子顕微鏡による構造決定
  4. 翻訳品質管理と疾患の関係
    • 生理機能解析に関する最近の知見
    • 質疑応答

第2部 mRNA医薬品の研究開発動向とレギュラトリーサイエンス

- 何故SARS-COV-2 mRNAワクチンは一年未満で実用化されたのか –

(2021年6月25日 14:45〜16:15)

 SARS-COV-2が引き起こす肺炎は21世紀最大の疫病であり、世界のすべての人々の生活に大きな影響を与えそのライフスタイルを完全に変貌させた。我々が以前の生活を取り戻す為にはSARS-COV-2ワクチンが必須であるが、従来型のワクチン開発では短期間でのワクチン開発は難しいことが常識であった。しかしながら、mRNA創薬/ワクチン開発で世界をリードするBioNTechおよびModernaは、SARS-COV-2の遺伝子配列が公開されると同時にmRNA開発に着手し、僅か11カ月でその実用化に成功した。世界はそのスピードの速さと完成したワクチンの高い有効性の驚愕し、mRNAは創薬モダリテイとしての市民権を得た。
 本講座では、何故SARS-COV-2 mRNAワクチンが短期間で実用化されたのか、その背景と理由について考察し、mRNAワクチンおよびmRNA創薬の現状について分析すると共に、その将来のポテンシャルについても考察したい。
 mRNA創薬の概念についての理解を深めると共に、その製造、非臨床試験、臨床試験などの開発プロセスをレビューし、世界の主要なmRNA創薬のプレイヤーを紹介する。mRNAワクチンのこれまでの開発の歴史を振り返り、がんおよび感染症ワクチンへの応用についての成果を紹介すると共に、SARS-COV-2 mRNAワクチンの開発についてBioNTech/PfizerおよびModernaの開発を詳細にレビューし分析する。その結果を踏まえて、今後のmRNAワクチンおよびmRNA創薬の将来性と課題について言及する。

  1. mRNA医薬とは?
    1. mRNAの原理
    2. 創薬モダリテイとしてのmRNAの特長
    3. mRNA医薬の定義とその構造
    4. mRNA医薬の利点と課題
  2. mRNA医薬のレギュラトリーサイエンス
    1. mRNA医薬の分類
    2. mRNA医薬品の品質および安全性の考え方
    3. mRNA原薬のGMP製造法
    4. mRNA医薬の薬物送達システム
    5. 脂質ナノ粒子
  3. mRNA医薬研究開発の最前線
    1. mRNA医薬をリードするバイオテック企業
    2. 臨床試験に進んだワクチン以外のmRNA医薬
    3. 実例研究1:VEGF mRNA
    4. 実例研究2:CFTR mRNA
    5. 実例研究3:組織再生医療としてのmRNA (変形性関節症)
  4. SARS-COV-2 mRNAワクチン開発
    1. SARS-COV-2ウイルスの起源とその構造
    2. mRNAワクチンのデザインとメカニズム
    3. Emergency Use可能なSARS-COV-2
    4. SARS-COV-2 mRNAワクチン:既承認2剤と後続の4剤
    5. BioNTech/PfizerのmRNAワクチン:コミナテイ (BNT162b)
    6. ModernaのmRNAワクチン:mRNA-1273
    7. 変異型SARS-COV-2
    8. 変異型ウイルスに対するワクチンの有効性
    9. 変異型ウイルスに対するmRNAワクチン
    10. SARS-COV-2 mRNAワクチンの免疫学的な作用メカニズム解析
  5. 今後の展望
    • 質疑応答

講師

  • 稲田 利文
    東京大学 医科学研究所
    教授
  • 秋永 士朗
    ナノキャリア株式会社 研究開発本部
    研究開発本部長 / CSO

主催

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  • Zoomのグループにパスワードを設定しています。お申込者以外の参加を防ぐため、パスワードを外部に漏洩しないでください。
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本セミナーは終了いたしました。

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