LEDや電気自動車、小型電子機器などの急速な技術革新により、熱を効率的に伝搬できる高分子系の組成物への期待が高まっています。しかし、熱技術に関しては歴史が浅いために、どの企業においても技術蓄積が少なく、このことが間違った理論や考え方までも取り入れてしまう要因となっています。
　本講座では、熱伝導組成物開発に不可欠である材料選択から配合設計、混練加工、熱物性測定に至るまでの全ての技術側面を実践的に解説いたします。また、開発者として避けて通れない「量子論」や「組成物界面の問題」についても正面から取り上げ、高いレベルの講義を予定しています。

1. 組成物技術者に不可欠な知識
   1. 熱伝導組成物設計の基本的な考え方
   2. 熱分野の基本用語 および物理学
   3. ポリマーと呼ばれる物質は、なぜ熱伝導を妨げるのか
   4. 多様な熱伝導率測定法の特徴と精度
2. 勘と経験に頼らない材料選択と製造技術
   1. キャリアの分類と熱伝導への寄与効果
   2. 材料別 熱を伝えるメカニズム さらに量子論
   3. 混ぜて良いキャリア ・ 混ぜたらダメなキャリア
   4. セラミクスの焼結と表面構造の変化
   5. キャリア高充填のための混練技術
3. ウロコを落とす配合設計論
   1. 「パーコレーション説」と「Bruggeman式」のデタラメ
   2. 目的によって異なる「最適ポリマー」と選択眼
   3. フォノン界面反射と界面歪がもたらす負の影響
   4. 低硬度組成物を可能とする設計指針
4. マーケテイングの視点で語る 製品の挫折と高付加価値化
   1. 熱伝導組成物の歴史と気まぐれな市場
   2. 熱伝導性と耐熱性との相関
   3. 開発加速因子と社外ネットワークの重要性
• 質疑応答・名刺交換