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リチウムイオン電池における金属・合金・酸化物系負極の開発動向

リチウムイオン電池における金属・合金・酸化物系負極の開発動向

~ポスト炭素材料! シリコン・スズ・チタン系負極の開発~
東京都 開催 会場 開催

概要

本セミナーでは、リチウムイオン電池のさらなる高容量・高出力・長寿命・低コスト化のために、シリコン・スズ・チタン系など負極材料開発について詳解いたします。

開催日

  • 2012年2月15日(水) 10時30分 16時30分

受講対象者

  • 電池開発・電池材料開発に携わる技術者

修得知識

  • 負極材料の開発動向
    • 金属・合金・化合物系
    • シリコン系
    • スズ系
    • チタン酸化物系
    • チタン酸リチウム

プログラム

第1部 リチウムイオン電池の利用分野と要求特性および構成材料の課題と展望

~炭素代替負極と他構成材料との関わり~
(2012年2月15日 10:30~11:30)

 リチウムイオン電池は、携帯機器用途で世界販売金額が約1兆円と、大きな電池市場に成長したが、更に、自動車用から産業機器用、電力貯蔵用へと大型電池分野でも大きな成長が期待されている。ただ、これまでのLiイオン電池は、常温で、数時間かけて充電して、数時間かけて放電する携帯機器用途に向けて最適化された電池構成となっており、-5℃以下の低温では作動しにくく、また、45℃以上の高温では劣化が大きいなどの問題がある。自動車用途では、高容量化とともに、使用できる温度範囲 (-30℃~60℃) の拡大、安全性の確保が重要となっている。また、大型産業機器や電力貯蔵用途では、80℃以上での耐熱性と安全性の確保、低コスト化などが不可欠となっている。
 従来電池の問題点の多くは黒鉛系負極に由来することが分かっており、それに代替できる酸化物系や合金系負極の研究開発が活発に行われている。
 本稿では、電池利用分野と機器に要求される特性を紹介しつつ、正極、負極、セパレータ、バインダ、電解液など、各種の電池構成材料の課題と今後の開発の可能性について紹介する。

  1. 電池の利用分野の拡大と要求される電池性能
    1. 携帯機器用途
    2. 自動車用途
    3. 鉄道車両や産業機器
    4. 電力貯蔵用
  2. Liイオン電池における課題とそれを解決する材料技術
    1. 正極
    2. 負極
    3. セパレータ
    4. 電解質
    5. 高性能化と安全性の両立に向けて
  3. 今後の展開
    • 質疑応答

第2部 合金系負極の概要とスズ系・シリコン系材料の特性および性能向上技術

(2012年2月15日 11:40~12:40)

 合金系負極材料では、スズ系やシリコン系などが検討されているが、従来の黒鉛系材料に比べて

  • 数倍の高容量化が可能
  • 低温から高温まで作動可能 (-30℃~80℃)
  • Liデンドライトが析出しにくいので耐熱性不織布セパレータが使用できる
  • 多様な電解液や電解質が使用できる
  • 安全性に優れる
    などの多くの利点がある。
     しかし、Li合金化の際の体積変化が大きいため高強度バインダや高強度集電体が必要となり、また、不可逆容量をキャンセルするためのLiドーピングが必要であること、などの課題がある。
     本稿では、最近の開発動向について紹介する。
  1. 合金系材料の概要
    1. 合金系材料
    2. 容量と電圧
    3. 体積変化
    4. 電極の電極設計
  2. 合金系材料の電極特性
    1. スズ系材料
    2. シリコン系材料
      • シリコン系負極用接着剤
    3. 電池評価
  3. 今後の展望
    • 質疑応答

第3部 高容量チタン酸化物系負極材料の研究開発動向

~チタン酸化物負極の特性と性能向上技術~
(2012年2月15日 13:40~15:00)

 リチウム二次電池は、携帯電話やノートパソコンをはじめとする携帯型の電子情報機器や産業用機器のバッテリーとして広く利用されている。今後は、自動車用電源、電力貯蔵・負荷平準化用途などの大型蓄電池としての本格的な使用が期待されており、更なる電池の低コスト化・長寿命化が求められている。
 本講演では、自動車用途などに必要とされる急速な充放電と10年以上の長寿命のために、期待されている高電位酸化物系負極材料についての研究開発動向と、我々産総研のグループで精力的に取り組んでいる新規酸化物系材料とその性能向上技術について、最新の研究成果を交えながら概説する。

  1. リチウム二次電池の現状と今後への期待
    1. リチウム二次電池の構成・原理
    2. リチウム二次電池の現状と課題
    3. リチウム二次電池の大型化・高性能化の期待
  2. リチウム二次電池用酸化物負極材料の現状
    1. リチウムチタン酸化物負極材料の特徴
    2. リチウムチタン酸化物の結晶構造と物性
    3. リチウムチタン酸化物の特性改善の取り組み
  3. 高容量チタン酸化物系新規材料の取り組み紹介
    1. 二酸化チタン系材料
    2. 複合チタン酸化物系材料
    3. 水素チタン酸化物系材料
    4. その他の酸化物系材料 (1)
    5. その他の酸化物系材料 (2)
  4. 今後の技術開発の展望
    1. 高容量化のための結晶構造制御技術
    2. 高出力化のための物性制御技術
  5. まとめ
    • 質疑応答

第4部 チタン酸リチウム負極材料の開発動向

~チタン酸リチウムの特性と高性能化技術~
(2012年2月15日 15:10~16:30)

 環境対策の必要性から、ますます加速してきた車載用LIB市場を背景に、カーボン系とは異なる長寿命・高速充放電特性・低温特性が期待されている、古くて新しい活物質LTOの歴史・特徴・合成方法・原料・資源・高機能化技術開発動向等を材料メーカーの立場から紹介する。

  1. はじめに
  2. リチウムイオン電池 (LIB) 負極材料&EV・HEV業界動向
    1. 負極材メーカー動向
    2. 炭素系負極材の分類
    3. 大型電池でLTOに着目
    4. LIB新電極材料の検討
  3. LIB用チタン系負極材活物質
    1. リチウムイオン電池負極材活物質
    2. TiO2活物質
    3. LTO研究の歴史
    4. LTOへのLiイオンのインターカレーションメカニズム
    5. LTOの特徴
  4. 東邦チタニウムにおけるチタン酸リチウム (LTO) 開発経緯
    1. LIB用LTO負極開発
    2. 当社のLIB電極材料開発
    3. 車載用LIBの位置づけ
  5. 東邦チタニウム製LTOの紹介
    1. LTOの合成方法
    2. LTOのコインセル (2032型) による単極評価
    3. LTOの充放電特性・サイクル特性・レート特性
  6. LTOの高機能化技術
    1. 小粒径化によるレート特性の改善
    2. 炭素系材料との複合化
    3. ドーピングによる表面改質
  7. Li&Ti資源
    1. チタンの鉱石について
    2. 世界のLi資源量の内訳
    3. 塩湖の作られ方
  8. まとめ
    • 質疑応答

講師

  • 第1,2部 講師
    • 境 哲男 氏
  • 第3部 講師
    • 秋本 順二 氏
  • 第4部 講師
    • 堺 英樹 氏
  • 境 哲男
    独立行政法人 産業技術総合研究所 ユビキタスエネルギー研究部門
    上席研究員 兼 電池システム研究グループ長
  • 秋本 順二
    国立研究開発法人 産業技術総合研究所 省エネルギー研究部門
    首席研究員
  • 堺 英樹
    東邦チタニウム 株式会社 技術開発本部 分析センター
    主管

会場

東京流通センター

2F 第2会議室 A

東京都 大田区 平和島6-1-1
東京流通センターの地図

主催

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お問い合わせ

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(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 45,000円 (税別) / 47,250円 (税込)
複数名
: 38,000円 (税別) / 39,900円 (税込)

複数名同時受講の割引特典について

  • 2名で参加の場合、1名につき 7,350円割引
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