技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー

全固体電池に関する試験評価、構造解析の進め方

全固体電池に関する試験評価、構造解析の進め方

~内部抵抗の発生箇所、電極-電解質界面の解析 / 試験法の国際標準化の動き / 低露点環境での実験、硫化水素への対策、釘差し・圧壊などの安全性試験~
オンライン 開催

概要

本セミナーでは、高いイオン伝導特性を示す界面構造と全固体リチウム電池の開発設計指針について解説いたします。

開催日

  • 2025年5月15日(木) 9時50分 17時10分

受講対象者

  • リチウムイオン電池、全固体電池の研究者、技術者

修得知識

  • 真空技術、薄膜合成技術、 表面界面評価技術を活用した界面科学の基礎知識、方法論
  • 薄膜型全 固体電池の作製とその電気化学評価、構造解析例
  • 全固体電池で金属リチウム負極を用いる利点と欠点
  • 金属リチウム負極を用いたセルの構築と評価方法
  • 金属リチウム負極を用いたときの課題
  • X線光電子分光法
  • 測定手法
  • 材料形態とサンプリング
  • スペクトルの解釈
  • 電池材料を測定する上での注意点
  • 第一原理計算による全固体電池界面の解析技術

プログラム

第1部 低露点環境下での硫化物系全固体電池の試作評価及び特性解析技術

(2025年5月15日 9:50〜10:40)

 環境規制の強化やカーボンニュートラル達成のために開発が盛んに行われている硫化物系全固体電池について、 内部抵抗解析やIn-situ観察の実例を紹介すると共に、コベルコ科研の全固体電池の評価・解析技術について解説する。

  1. 全固体電池開発の課題
    1. 全固体電池とは
    2. 全固体電池の開発の課題
  2. 低露点環境下での硫化物系全固体池の試作や分析・評価
    1. 全固体電池の試作・評価における環境制御の重要性
    2. 低露点環境下での全固体電池の試作事例
    3. 低露点環境下での全固体電池材料の評価事例
      • 解析事例1: 電極合材中のリチウムイオン伝導、電子伝導の解析
      • 解析事例2: リチウム析出挙動の可視化
  3. コベルコ科研における全固体電池評価技術
    1. 電極構造・プロセスの最適化へのソリューション
    2. 電池特性制御・管理の最適化へのソリューション
    3. 全固体電池の安全性向上へのソリューション
    • 質疑応答

第2部 X線光電子分光法を用いた全固体電池の固/固界面・表面解析の可能性について

(2025年5月15日 10:50〜11:40)

 X線光電子分光法 (X-ray Photoelectrons Spectroscopy:XPS) は、材料表面分析手法の一つである。材料表面数nmの定性、定量分析だけでなく、化学結合状状態分析が可能で、材料表面の特性を評価するのに有用な手法である。
 本講演では、まず、XPSの原理およびスペクトルから得られる基本的な情報、得られたスペクトルの解析法を紹介する。次に、より正確な解析を行うための測定条件やサンプルプレパレーションの工夫に触れ、最後に全固体電池の固/固界面解析事例および可能性について解説する。

  1. X線光電子分光法 (XPS)
    1. XPSの原理
    2. 定性・定量分析、化学状態分析
    3. ピークフィッテイング
  2. XPSを用いた材料評価
    1. 粉末、薄膜など試料の形態と試料調整法、測定法
    2. 材料によって異なるXPS測定の測定手法
      • 金属
      • 無機
      • 高分子など
    3. 絶縁性および導電性混合試料の測定手法
    4. より正確な情報を得るために
      • 試料の取り扱い方
      • サンプリング法
  3. 電池材料への応用
    1. 全固体電池における固/固界面の解析におけるXPSを用いた測定事例
    2. X線吸収分析法 (XANES) を用いた分析を併用した解析
    3. 全固体電池の固/固界面解析の可能性
    • 質疑応答

第3部 電気化学インピーダンス法による全固体電池の分極要因解析

(2025年5月15日 11:50〜12:40)

  1. 電気化学インピーダンス
    1. 複素インピーダンス
    2. 電気化学インピーダンス応答
  2. 全固体電池固有の電気化学インピーダンス
    1. 固体電解質の電気化学インピーダンス
    2. 電極|電解質界面の電気化学インピーダンス
  3. 複素インピーダンスによる全固体電池の解析
    1. 経験的手法
    2. 緩和時間分布解析法 (DRT法)
  4. 電気化学インピーダンス測定上の注意
    1. 固体電解質の電気化学インピーダンス測定
    2. 全固体電池の電気化学インピーダンス測定
    • 質疑応答

第4部 放射光高度計測を用いた全固体電池における反応のオペランド解析

(2025年5月15日 13:20〜14:10)

 透過力の強いX線を用いる分析は、蓄電池に代表される電気化学デバイスのオペランド計測に適しており、様々な材料や反応の評価を行う上で強力なツールとなっている。特に近年では、放射光施設の利用拡大も相まって、単なるバルク材料の計測に留まらず、高空間分解、高時間分解、多次元、マルチスケールなど、高度な計測も可能となってきている。
 本講演では、そのような放射光高度計測とそれらを電池反応解析に適用した例について紹介する。

  1. はじめに
    1. 電池反応のオペランド計測の重要性
    2. 放射光多次元オペランド計測
  2. 全固体電池における放射光オペランドの適用例
    1. 合剤電極における反応分布評価
    2. 合剤電極の劣化評価
    3. 不均一反応の支配因子評価
  3. まとめ
    • 質疑応答

第5部 全固体電池における正極活物質への表面コーティング及びセル試作・評価技術

(2025年5月15日 14:20〜15:10)

 全固体電池における正極活物質への表面コーティングや電池セル試作技術について、正極コートの膜厚変化が全固体電池に与える影響をセル評価実施例から解説する。併せて全固体電池の解析技術についても紹介する。

  1. 正極コート試作技術
    1. 正極活物質への表面コーティング
    2. ドライ環境における転動流動層コーティング
  2. 全固体電池の試作技術
    1. 圧粉型セル試作
    2. ラミネート型セル試作
  3. 正極コートの膜厚変化による電池性能への影響評価
    1. 正極コート試作・膜厚推定
    2. 圧粉型セル試作評価
  4. 全固体電池の解析法と応用例
    1. 断面SEM分析
    2. 薄膜TEM分析やその他分析例
    • 質疑応答

第6部 オペランド電子顕微鏡技術による全固体電池反応の可視化

(2025年5月15日 15:20〜16:10)

 全固体電池は、高い安全性や高エネルギー密度が期待できる蓄電デバイスである。高性能な電池を開発するためには、電池内部のイオンの動きを把握し、プロセスへフィードバックさせることが重要である。
 本講座では、電子顕微鏡を用いて、充放電中にイオンがどのように動くかを直接観察した技術を中心に、最新の応用例についても紹介する。

  1. オペランド電子顕微鏡計測技術
    1. オペランド電子顕微鏡計測の最近の動向
    2. 透過電子顕微鏡内で全固体電池を動作させる技術
    3. 電子エネルギー損失分光法の基礎およびその他の計測技術
  2. オペランド電子エネルギー損失分光法による全固体電池反応の可視化
    1. 薄膜型全固体Liイオン電池のオペランド観察例
    2. バルク型全固体Liイオン電池のオペランド観察例
    3. 機械学習を用いた高速オペランド電子顕微鏡観察の応用例
  3. その他の電子顕微鏡計測技術
    1. オペランド電子線ホログラフィーによる全固体電池の内部の電位計測
    2. オペランド走査電子顕微鏡による全固体電池のイオン濃度分布観察
  4. まとめ
    • 質疑応答

第7部 全固体電池における固体電解質界面構築 の考え方と評価解析事例の紹介

(2025年5月15日 16:20〜17:10)

  1. 硫化物系固体電解質の考え方と合成法
  2. 固体界面構築の考え方と評価解析事例の紹介
    1. 固体電解質の機械的特性
      1. 固体電解質の成形
        • 常温加圧焼結
        • 断面SEM
      2. 固体電解質の成形
        • 軟化融着
      3. 弾性率測定
        • 超音波パルス法
        • 圧縮試験
    2. 理想的な電極構造についての基本的な考え方
    3. 電極複合体のイオン及び電子伝導度測定
      • 直流分極法
      • 交流インピーダンス法
    4. 常温加圧焼結による室温プロセスによる全固体電池の作製

講師

  • 阿知波 敬
    株式会社コベルコ科研 技術本部 EV・電池ソリューションセンター EV・電池解析技術室 マーケティング・ソリューショングループ
    グループ長
  • 中尾 愛子
    早稲田大学 教育・総合科学学術院
    非常勤講師
  • 山田 博俊
    長崎大学 大学院 総合生産科学域
    准教授
  • 雨澤 浩史
    東北大学 多元物質科学研究所 附属サステナブル理工学研究センター 固体イオニクス・デバイス研究分野
    教授
  • 金山 尭叡
    JFEテクノリサーチ株式会社 機能材料ソリューション本部 電池試作・解析センター
  • 山本 和生
    一般財団法人 ファインセラミックスセンター ナノ構造研究所 電子顕微鏡計測インフォマティクスグループ
    グループ長 / 主任研究員
  • 作田 敦
    大阪公立大学 大学院 工学研究科
    准教授

主催

お支払い方法、キャンセルの可否は、必ずお申し込み前にご確認をお願いいたします。

お問い合わせ

本セミナーに関するお問い合わせは tech-seminar.jpのお問い合わせからお願いいたします。
(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 60,000円 (税別) / 66,000円 (税込)
複数名
: 55,000円 (税別) / 60,500円 (税込)

複数名同時受講割引について

  • 2名様以上でお申込みの場合、1名あたり 55,000円(税別) / 60,500円(税込) で受講いただけます。
  • 5名様以降は、1名あたり 30,000円(税別) / 33,000円(税込) で受講いただけます。
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 60,000円(税別) / 66,000円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 110,000円(税別) / 121,000円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 165,000円(税別) / 181,500円(税込)
    • 4名様でお申し込みの場合 : 4名で 220,000円(税別) / 242,000円(税込)
    • 5名様でお申し込みの場合 : 5名で 250,000円(税別) / 275,000円(税込)
  • 同一法人内による複数名同時申込みのみ適用いたします。
  • 請求書は、代表者にご送付いたします。
  • 他の割引は併用できません。

アカデミック割引

  • 1名様あたり 30,000円(税別) / 33,000円(税込)

日本国内に所在しており、以下に該当する方は、アカデミック割引が適用いただけます。

  • 学校教育法にて規定された国、地方公共団体、および学校法人格を有する大学、大学院、短期大学、附属病院、高等専門学校および各種学校の教員、生徒
  • 病院などの医療機関・医療関連機関に勤務する医療従事者
  • 文部科学省、経済産業省が設置した独立行政法人に勤務する研究者。理化学研究所、産業技術総合研究所など
  • 公設試験研究機関。地方公共団体に置かれる試験所、研究センター、技術センターなどの機関で、試験研究および企業支援に関する業務に従事する方
  • 支払名義が企業の場合は対象外とさせていただきます。
  • 企業に属し、大学、公的機関に派遣または出向されている方は対象外とさせていただきます。

ライブ配信セミナーについて

  • 本セミナーは「Zoom」を使ったライブ配信セミナーとなります。
  • お申し込み前に、 Zoomのシステム要件テストミーティングへの参加手順 をご確認いただき、 テストミーティング にて動作確認をお願いいたします。
  • 開催日前に、接続先URL、ミーティングID​、パスワードを別途ご連絡いたします。
  • セミナー開催日時に、視聴サイトにログインしていただき、ご視聴ください。
  • セミナー資料は郵送にて前日までにお送りいたします。
  • 開催まで4営業日を過ぎたお申込みの場合、セミナー資料の到着が、開講日に間に合わない可能性がありますこと、ご了承下さい。
    ライブ配信の画面上でスライド資料は表示されますので、セミナー視聴には差し支えございません。
    印刷物は後日お手元に届くことになります。
  • ご自宅への書類送付を希望の方は、通信欄にご住所・宛先などをご記入ください。
  • タブレットやスマートフォンでも受講可能ですが、機能が制限される場合があります。
  • ご視聴は、お申込み者様ご自身での視聴のみに限らせていただきます。不特定多数でご覧いただくことはご遠慮下さい。
  • 講義の録音、録画などの行為や、権利者の許可なくテキスト資料、講演データの複製、転用、販売などの二次利用することを固く禁じます。
  • Zoomのグループにパスワードを設定しています。お申込者以外の参加を防ぐため、パスワードを外部に漏洩しないでください。
    万が一、部外者が侵入した場合は管理者側で部外者の退出あるいはセミナーを終了いたします。

これから開催される関連セミナー

開始日時 会場 開催方法
2025/3/25 リチウムイオン電池の劣化評価、寿命推定技術 オンライン
2025/4/7 リチウムイオン電池のリユース・リサイクルの現状と課題、今後の展望 オンライン
2025/4/9 バイポーラ型リチウムイオン電池の構造・材料の基礎と技術動向 オンライン
2025/4/11 リチウムイオン電池のリユース・リサイクルの現状と課題、今後の展望 オンライン
2025/4/14 xEV用バッテリパックの設計と安全性試験・品質管理方法 オンライン
2025/4/15 固体酸化物形電解セル (SOEC) の原理・開発現状・将来展望 オンライン
2025/4/16 全固体電池の開発動向と製造プロセスに関する考察および電池試作と評価・解析技術 オンライン
2025/4/18 車載用電池事業の政策と事業競争力および次世代電池に関する展望 オンライン
2025/4/21 電池バインダーの設計、技術動向と電極製造技術 オンライン
2025/4/21 固体酸化物形電解セル (SOEC) の原理・開発現状・将来展望 オンライン
2025/4/22 有機分子を活物質とするリチウムイオン電池とレドックスフロー電池 オンライン
2025/4/24 電気自動車をはじめとした次世代自動車の動向とビジネス・チャンス オンライン
2025/4/25 リチウムイオン電池用導電助剤の開発動向と分散、活用技術 オンライン
2025/4/25 全固体リチウム電池材料と電池構築の基礎と実用化に向けた最新技術動向 オンライン
2025/4/28 固体高分子電解質 (SPE) の基礎と応用 オンライン
2025/4/30 有機分子を活物質とするリチウムイオン電池とレドックスフロー電池 オンライン
2025/5/7 全固体リチウム電池材料と電池構築の基礎と実用化に向けた最新技術動向 オンライン
2025/5/13 LIB製造における塗工・乾燥のコツ、ドライ方式の最新動向 オンライン
2025/5/16 汎用リチウムイオン電池の特性・健全度 (劣化度) ・寿命の評価手法の詳細 オンライン
2025/5/22 LIB製造における塗工・乾燥のコツ、ドライ方式の最新動向 オンライン

関連する出版物

発行年月
2024/6/24 EV用リチウムイオン電池のリユース&リサイクル
2023/11/30 EV用電池の安全性向上、高容量化と劣化抑制技術
2023/11/29 リチウムイオン電池の拡大、材料とプロセスの変遷 2023 [書籍 + PDF版]
2023/11/29 リチウムイオン電池の拡大、材料とプロセスの変遷 2023
2023/6/14 車載用リチウムイオン電池リサイクル : 技術・ビジネス・法制度
2023/6/9 2023年版 リチウムイオン電池市場の実態と将来展望
2023/4/6 電池の回収・リユース・リサイクルの動向およびそのための評価・診断・認証
2023/3/10 2023年版 二次電池市場・技術の実態と将来展望
2023/2/28 リチウムイオン電池の長期安定利用に向けたマネジメント技術
2022/10/17 リチウムイオン電池の拡大と正極材のコスト & サプライ (書籍 + PDF版)
2022/10/17 リチウムイオン電池の拡大と正極材のコスト & サプライ
2022/9/16 2022年版 蓄電池・蓄電部品市場の実態と将来展望
2022/9/14 リチウムイオン電池の製造プロセス & コスト総合技術2022 (進歩編)
2022/9/8 リチウムイオン電池の製造プロセス & コスト総合技術2022 (基礎編 + 進歩編)
2022/9/8 リチウムイオン電池の製造プロセス & コスト総合技術2022 (基礎編)
2022/8/19 2022年版 リチウムイオン電池市場の実態と将来展望
2022/6/30 二次電池の材料に関する最新技術開発
2022/6/13 LiBメーカー主要7社 (CD-ROM版)
2022/6/13 LiBメーカー主要7社
2022/4/11 世界の車載用LIBのリユース・リサイクル 最新業界レポート