技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー

スケールアップ・ダウン検討、失敗例/解決 (対処) 法と実験計画法による効率的なデータ収集

スケールアップ・ダウン検討、失敗例/解決 (対処) 法と実験計画法による効率的なデータ収集

~効率的な実験計画の立て方、必要なデータの集め方 / スケールアップ前提の実験計画の考え方、データの取得法、活用法~
オンライン 開催

視聴期間は2023年5月8日〜19日を予定しております。
お申し込みは2023年5月8日まで承ります。

概要

本セミナーでは実際に経験した事例 (失敗例) を参考に各開発段階で行う実験の注意点、実際のスケールアップ製造で遭遇した問題点をどのように対処、解決したかを説明し、更にそこから得られた知見をもとに効率的な実験計画の立て方、必要なデータの集め方を説明いたします。

開催日

  • 2023年5月8日(月) 10時30分 2023年5月19日(金) 16時30分

修得知識

  • 医薬品、化学品のスケールアップ製造の進め方
  • スケールアップに向けた実験の進め方、チェックポイント
  • スケールダウン実験の考え方、データの取得法
  • スケールアップ製造での失敗事例
  • 精製 (晶析) 工程の考え方、注意点、チェックポイント

プログラム

 実験計画法は「実験の計画」と実験により得られたデータの「解析方法」の二つから構成される。実験の計画とは「目的に応じてどのような実験を行えばよいか?」あるいは「どうすればデータを効率的に集めることができるか?」と言える。原薬、中間体、化学品のスケールアップ製造は開発過程で絶対に避けられない部分であり、開発初期では合成プロセス、出発原料の変更のような大幅な変更も可能であるが、開発が進むにつれ変更は困難となり、逆に設定したパラメータの不足、不都合部分が明らかになってくる。特に製品の品質を決定する精製 (晶析) 工程は最も注意が必要な部分である。
 本セミナーでは実際に経験した事例 (失敗例) を参考に各開発段階で行う実験の注意点、実際のスケールアップ製造で遭遇した問題点をどのように対処、解決したかを説明し、更にそこから得られた知見をもとに効率的な実験計画の立て方、必要なデータの集め方を説明する。

  1. 医薬品 (原薬) の開発とスケールアップ (基本的な考え方)
  2. スケールとスケールアップの相違点
    • 小スケールとスケールアップのパラメータの比較と考え方、設定法
  3. 合成法、合成ルートの設定、考え方、注意点
    • ICH M7
    • 化審法
    • その他
  4. スケールアップ実験するためのチェックポイント、考え方と原料、中間体の評価項目とその対応策
    • 安全性
    • 安定性
    • 結晶多形
    • 溶媒和 他
  5. スケールアップでの問題点 (実際の経験から) と対応策
    1. 開発初期 (実験室〜20Lスケール) の事例
      • 転位反応:
        1gから10gにスケールアップしたら転位反応が原因で目的物が得られなくなった。
        (反応機構の理解)
      • アスコルビン酸硫酸エステル誘導体の製造:
  6. gスケールでは目的物が合成できたが、10gスケールでは合成不可の結果となった。
    (中間体の安定性)
    • カラム分離工程の回避: 前臨床試験に進むことが決まり、カラム分離工程回避の必要性が出てきた。
      (結晶性誘導体)
    • ピリジン・無水硫酸錯体 (硫酸エステル化剤) の合成: 吸湿性が原因で目的物が得られないと判断したが、逆に吸湿性を利用することで大量生産可能な方法を見出した。
      (目的物の物性の理解)
    • ペントキシフィリン中間体の製法検討: 文献を参考に実験を進めたが目的物は得られず、実験結果に基づいて検討を進めたところ、簡単な製法にたどり着いた。
      (反応の理解)
    • 抗生物質の側鎖の製造: 新合成法を考案し、特許出願までしたが、中間体に安全性の問題あることがわかり、検討中止。
      (安定性は変えられない)
    • 五塩化リンによるクロル化プロセス: 溶媒を変更したら反応が進まなくなった。
      (結晶多形の影響?)
    • アルキルホルムイミデート類の合成: 青酸ガスを使用しなければならない。
      (反応の理解)
    • エステルの選択 (アミノチアゾール誘導体) : メチルエステル、エチルエステルの比較実験をして相違点 (物性) を確認、合理的な合成法に至った。
    • その他
    1. パイロット試作 (100〜500Lスケール) での事例
      • ジクロルアセトニトリルの製造: 設備の性能を安易に考えて刺激性のミストが噴出した。
        (反応の理解)
      • アミノチアジアゾール誘導体の製造: 設備の性能を安易に考えてオーバー反応してしまった。
        (反応後の安定性確認)
      • 塩酸ペンタゾシンの中間体の製造: スケールアップして中間体を大量合成したら分解してしまった。
        (中間体の物性は変えられない)
      • アミノチアゾール酢酸誘導体の製造: 再結晶プロセスをスケールアップしたら目的物が得られなくなった。
        (必ず原因がある)
      • 臭素化プロセスのスケールアップ: パイロットにスケールアップしたところ、反応開始を確認できず、大きなトラブルに陥りそうになった。 対処法を検討した結果、合理的かつ安全なプロセス開発に至った。
      • 撹拌速度の影響: アセトン/炭酸カリウム系でのアルキル化反応。
        (不均一反応の考え方)
      • 結晶多形の同等性:外部委託したら結晶形で同等性の問題が発生。
        (規格設定の重要性)
      • その他
    2. パイロットから商用生産 (2000Lスケール以上) での事例
      • 微量の添加剤の影響:
  7. 工程先の抽出・分液工程で問題 (エマルジョン) 発生。
    (微量の添加剤の影響、原料のロット管理)
    • Phase III試験後の製法変更: 爆発性の中間体を経由するためスケールアップ製造できずPhaseIII試験が終わってしまった。
      (反応の仕組みの理解)
    • 目標規格の原料が手に入らない: 商用生産に入ろうとしたら原料が入手できなくなった。
      (原料調査の重要性)
    • 設備変更して反応の本来の姿がわかった: パイロットまでGL、商用生産でSUSに切り替えたところ錆が発生。
      (原料中の強熱残分の影響)
    • アミノチアゾール酢酸製造のスケールアップ: パイロットまでは問題なかったが、商用生産で乾燥機の選択を誤った。
      (安定型と準安定型)
    • キャンペーン生産: スポット生産では問題なかったエステル交換反応を、キャンペーン生産に切り替えたところエステル交換反応が進まなくなった。
      (種晶の影響)
    • 溶媒回収できる条件でプロセスを設計: 溶媒回収しないと採算が合わなくなった。
      (発想の転換)
    • 残留溶媒の規格: 商用生産に移行しようとしたら残留溶媒の問題発生。
      (溶媒和物)
    • 出発原料の製法に伴う問題
      (製法に伴う異性体混入の可能性)
    1. 商用生産開始後の事例 (数千Lスケール)
      • 収量低下の逸脱: 原料の溶解時間の影響
        (原料と溶媒の相互作用)
      • 技術移転: 季節の影響まで考えていなかった。
        (湿度の影響)
      • 原料の純度をアップ: 高純度の原料に切り替えた途端に逸脱
        (不純物除去の仕組み)
      • 乾燥時間の管理: 順調に商用生産がスタートしたが、突然製品の乾燥時間が2倍 (10時間→20時間) になった。
        (水和物の考え方)
    2. 最終精製工程のスケールアップと注意点
      • 精製溶媒の選択の重要性
        • 溶解、晶析プロセスで異性化
        • 歩留まりへの影響 (マレイン酸塩化のプロセス)
        • 乾燥工程への影響 (水和物副生の影響)
        • 難溶性原薬、中間体の精製
        • 貧溶媒を加えて晶析
        • 精製工程で水を使用する場合
        • 原薬の乾燥プロセスで新たな残留溶媒が副生!
      • 空気 (酸素、水分) の影響
        • 溶解、脱色濾過、晶析中に過酸化物が副生
        • 固液分離〜乾燥過程で結晶形が変化
        • 微量に副生した溶媒和物の影響)
      • 環境の影響
        • 遠心分離機の脱水袋、
        • 異物混入の瞬間
        • フィルターの材質
      • 包材 (一次包材、二次包材) の影響
        • 包材中の微量の添加物の影響 (オキソン酸カリウム)
        • 包材の品質 (結束帯の例)
      • 粉砕機器の管理
        • 洗浄手順 (SOP) の書き方
      • その他
  8. まとめ
    • 実験計画法による効率的なデータ収集
      1. スケールアップを前提とした実験計画の考え方
      2. スケールアップ前提の実験計画の考え方、データの取得法、活用法 (事例を参考に)
        • 事例1:プロセスの短縮/ 7日近くかかるプロセス (反応→抽出→濃縮→晶析→乾燥) を2日に短縮
        • 事例2:過酸化水素水による酸化反応 (危険性回避)
        • 事例3:結晶多形のスクリーニング
  9. その他、質疑応答

講師

  • 丸橋 和夫
    株式会社 三和ケミファ 医薬品事業部
    統括本部長

主催

お支払い方法、キャンセルの可否は、必ずお申し込み前にご確認をお願いいたします。

お問い合わせ

本セミナーに関するお問い合わせは tech-seminar.jpのお問い合わせからお願いいたします。
(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 34,200円 (税別) / 37,620円 (税込)
複数名
: 25,000円 (税別) / 27,500円 (税込)

複数名受講割引

  • 2名様以上でお申込みの場合、1名あたり 22,500円(税別) / 24,750円(税込) で受講いただけます。
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 34,200円(税別) / 37,620円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 45,000円(税別) / 49,500円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 67,500円(税別) / 74,250円(税込)
  • 同一法人内 (グループ会社でも可) による複数名同時申込みのみ適用いたします。
  • 受講券、請求書は、代表者にご郵送いたします。
  • 請求書および領収書は1名様ごとに発行可能です。
    申込みフォームの通信欄に「請求書1名ごと発行」とご記入ください。
  • 他の割引は併用できません。
  • サイエンス&テクノロジー社の「2名同時申込みで1名分無料」価格を適用しています。

アカデミー割引

教員、学生および医療従事者はアカデミー割引価格にて受講いただけます。

  • 1名様あたり 10,000円(税別) / 11,000円(税込)
  • 企業に属している方(出向または派遣の方も含む)は、対象外です。
  • お申込み者が大学所属名でも企業名義でお支払いの場合、対象外です。

ライブ配信対応セミナー / アーカイブ配信対応セミナー

ライブ配信またはアーカイブ配信セミナーのいずれかをご選択いただけます。

ライブ配信をご希望の方には、無料で特典として「アーカイブ配信」の閲覧権が付与されます。
オンライン講習特有の回線トラブルや聞き逃し、振り返り学習にぜひ活用ください。

ライブ配信セミナーをご希望の場合

  • 「Zoom」を使ったライブ配信セミナーとなります。
  • お申し込み前に、 視聴環境テストミーティングへの参加手順 をご確認いただき、 テストミーティング にて動作確認をお願いいたします。
  • 開催日前に、接続先URL、ミーティングID​、パスワードを別途ご連絡いたします。
  • セミナー開催日時に、視聴サイトにログインしていただき、ご視聴ください。
  • セミナー資料は、PDFファイルをダウンロードいただきます。
  • タブレットやスマートフォンでも受講可能ですが、機能が制限される場合があります。
  • ご視聴は、お申込み者様ご自身での視聴のみに限らせていただきます。不特定多数でご覧いただくことはご遠慮下さい。
  • 講義の録音、録画などの行為や、権利者の許可なくテキスト資料、講演データの複製、転用、販売などの二次利用することを固く禁じます。
  • Zoomのグループにパスワードを設定しています。お申込者以外の参加を防ぐため、パスワードを外部に漏洩しないでください。
    万が一、部外者が侵入した場合は管理者側で部外者の退出あるいはセミナーを終了いたします。

アーカイブ配信セミナーをご希望の場合

  • 「ビデオグ」を使ったアーカイブ配信セミナーとなります。
  • 当日のセミナーを、後日にお手元のPCなどからご視聴ができます。
  • お申し込み前に、 視聴環境 をご確認いただき、 視聴テスト にて動作確認をお願いいたします。
  • 後日(開催終了後から10日以内を目途)に、ID,パスワードをメールにてご連絡申し上げます。
  • 視聴期間は2023年5月8日〜19日を予定しております。
    ご視聴いただけなかった場合でも期間延長いたしませんのでご注意ください。
  • セミナー資料は、PDFファイルをダウンロードいただきます。
  • ご自宅への書類送付を希望の方は、通信欄にご住所・宛先などをご記入ください。
  • ご視聴は、お申込み者様ご自身での視聴のみに限らせていただきます。不特定多数でご覧いただくことはご遠慮下さい。
  • 講義の録音、録画などの行為や、権利者の許可なくテキスト資料、講演データの複製、転用、販売などの二次利用することを固く禁じます。
本セミナーは終了いたしました。

これから開催される関連セミナー

開始日時 会場 開催方法
2025/3/13 日本特有の要求対応をふまえた海外導入品のCMC開発対応とCMC申請資料 (日本申請用) 作成 オンライン
2025/3/14 実験の実務: 実験結果の解析と解釈 オンライン
2025/3/14 薬物の消化管吸収について - 評価・予測 オンライン
2025/3/14 信頼性基準適用試験における運用への落とし込み・記録の残し方と (国内外) 委託時の信頼性保証 オンライン
2025/3/14 量産に耐えうる最適設計仕様を導く非線形ロバスト最適化 / 非線形ロバストデザイン オンライン
2025/3/14 アクティブターゲティング型DDSの現状と展望 オンライン
2025/3/14 各種製剤におけるヒト経口吸収予測法と品質規格の設定 オンライン
2025/3/17 FDA/EMAの早期審査・早期承認制度の課題と対応 オンライン
2025/3/17 実験計画法のためのデータ解析・ベイズ最適化の基礎と材料・プロセス・装置設計への適用・最新事例 オンライン
2025/3/18 GLP省令:施設/試験で押さえるべき信頼性確保と最終報告書・生データの信頼性 オンライン
2025/3/19 バリデーション入門講座 オンライン
2025/3/21 リスク分析をした洗浄バリデーションの実施方法と残留許容限度値の設定 オンライン
2025/3/21 CAPAの具体的な実施方法セミナー オンライン
2025/3/24 バリデーション入門講座 オンライン
2025/3/24 非経口剤の血漿中濃度推移の解析 オンライン
2025/3/27 CAPAの具体的な実施方法セミナー オンライン
2025/3/28 海外当局によるGMP査察への準備と対応 オンライン
2025/3/28 試験室QCと信頼性確保を踏まえた分析法バリデーションの統計・基準値設定と分析法変更・技術移転時の同等性評価 (3コース) オンライン
2025/3/28 3極 (日欧米) GCP査察・社内監査の事例と指摘解決・予防にむけたQMS実装と品質管理手法 オンライン
2025/3/28 品質管理試験室にむけたQC点検と信頼性確保の対応 オンライン

関連する出版物

発行年月
2013/2/27 リスクマネジメント・CAPA(是正措置・予防措置)導入手引書
2013/2/5 放射線医療(癌診断・治療) 技術開発実態分析調査報告書
2013/2/5 放射線医療(癌診断・治療) 技術開発実態分析調査報告書 (CD-ROM版)
2013/1/28 造粒・打錠プロセスにおけるトラブル対策とスケールアップの進め方
2012/3/29 治験中 / 市販後における3極安全性情報の収集・報告・評価実務と相違
2012/3/13 超入門 GMP基礎セミナー
2012/3/5 育毛剤・発毛剤 技術開発実態分析調査報告書
2012/2/16 システムの適格性確認および回顧的バリデーションの具体的実施方法
2012/2/14 LIMS導入に関する導入の留意点セミナー
2012/2/9 厚生労働省「コンピュータ化システム適正管理GL」対応のための「回顧的バリデーション」および「リスクアセスメント」実施方法
2012/1/20 24年度診療報酬改定におけるDPC評価の全貌
2011/12/22 光学活性医薬品開発とキラルプロセス化学技術
2011/12/14 QCラボにおける厚生労働省「コンピュータ化システム適正管理GL」対応セミナー
2011/12/10 製薬大手5社 技術開発実態分析調査報告書
2011/11/7 eCTD申請 「-ここまで身近になったeCTD申請-」
2011/9/1 厚労省ER/ES指針対応実施の手引き
2011/8/29 グローバルスタンダード対応のためのCSV実施方法
2011/8/24 厚生労働省「コンピュータ化システム適正管理GL」対応 "SOP作成"実践講座
2011/8/3 「回顧的バリデーション」および「リスクアセスメント」実施方法
2011/7/10 抗癌剤 技術開発実態分析調査報告書