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無水マレイン酸変性による樹脂/繊維、フィラーの複合化と定量評価、構造解析

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無水マレイン酸変性による樹脂/繊維、フィラーの複合化と定量評価、構造解析

オンライン 開催

概要

本セミナーでは、無水マレイン酸変性のメカニズムから変性条件、その効果を詳解いたします。
また、分子量/グラフト量バランス、ベース樹脂の違いによる、複合材料の物性への影響について解説いたします。

開催日

  • 2020年12月9日(水) 10時00分 16時20分

修得知識

  • 高分子複合材料やポリマーブレンドの力学特性に関する基礎知識と理論
  • 無水マレイン酸変性品添加による力学特性改善メカニズム

プログラム

第1部 無水マレイン酸変性を用いた相容化と力学特性の関係

(2020年12月9日 10:00〜11:20)

 無水マレイン酸による反応は高分子複合材料やポリマーブレンドでよく利用されている。本講座では無水マレイン酸が重合されたポリマー添加剤が短繊維強化プラスチックやポリマーブレンドの力学特性に及ぼす影響について,理論と実験結果を併せながら解説する。

  1. 短繊維強化プラスチックの力学特性に関する理論
    1. 短繊維強化プラスチックの降伏条件
    2. 界面剥離
    3. 繊維の引抜け
    4. 繊維の破断
  2. 短繊維強化プラスチックにおける無水マレイン酸系添加剤の役割
    1. ウエルド強さの繊維含有率依存性
    2. 短繊維強化ポリプロピレンのウエルド強さに及ぼす無水マレイン酸変性ポリプロピレン添加効果
    3. 引張強さと繊維配向の関係
    4. 短繊維強化PPの引張強さに及ぼす無水マレイン酸変性PP添加効果
    5. 短繊維強化PPの引張強さに及ぼす無水マレイン酸変性PS添加効果
  3. ポリマーブレンドの力学特性に関する理論
    1. ポリマーブレンドの降伏条件
    2. 成形加工時に生じる残留ひずみとせん断降伏応力
    3. 界面剥離による降伏
    4. 相容化による降伏応力の変化と降伏条件の関係
  4. 無水マレイン酸でポリマーブレンドの相容化を有効に進める手法
    1. PCの加水分解を利用したPC/ABSポリマーブレンドの相容化
    • 質疑応答

第2部 ポリプロピレン系複合材料における無水マレイン酸変性PPの機能と役割

(2020年12月9日 11:30〜12:50)

 ポリプロピレン (PP) 系複合材料設計において「相溶化剤」は必須添加剤であり、一般に無水マレイン酸変性PP (MAPP) が使用されている。MAPPは“たかが“添加剤ではあるが、分子量/グラフト量バランス、ベース樹脂等の違いにより、複合材料の機械的物性に大きな影響を与える。昨今、活発に研究開発が進められているセルロースナノファイバー (CNF) /樹脂複合化においてもCNFの分散性向上や界面結合形成等の重要な役割を担っている。
 本講演では、無水マレイン酸変性PPの相溶化剤としての機能について、また、当研究室で行っているCNF/樹脂複合化に関する研究内容について紹介する。

  1. 無水マレイン酸変性ポリプロピレン (MAPP) について
    1. グラフト反応メカニズムとその構造
    2. 分子量/グラフト量バランス
  2. MAPPの添加効果について
    1. ガラス繊維強化ポリプロピレン (GFRPP)
    2. ウッドプラスチック (WPC)
    3. 各種フィラーとの複合材料
  3. セルロースナノファイバー (CNF) /樹脂複合材料の開発
    1. 研究の背景
      • バイオエコノミー
      • 海洋プラスチック問題
    2. CNF/樹脂複合化の課題と解決へのアプローチ
    • 質疑応答

第3部 フィラー充填プラスチックにおけるマレイン酸変性樹脂の役割解明のためのアプローチ

(2020年12月9日 13:30〜14:50)

 フィラー充填プラスチックの相容化剤として用いられる酸変性樹脂は、効いて当たり前と捉える向きも多い。しかし、確かな実験事実を得るには困難が伴う。最近演者らは、酸変性樹脂とセルロース系フィラーの結合を分光学的に解明し、フィラーへの酸変性樹脂の濡れ性の評価とその物性への影響を明らかにしており、ごく最近は複合材中でのフィラーの分散性の簡便な定量評価法を提案している。
 本セミナーでは、これらの分子レベル~nmレベル~μmレベルに至るスケールで、相容化剤の働きをなるべく定量的に解明しようとしている最近の演者らの研究例をご紹介する。

  1. 酸変性樹脂の役割と研究法
    1. 酸変性樹脂の役割はわかりきったことなのか?
    2. 酸変性樹脂のはたらき;どう効いているか?
    3. セルロース系フィラーと酸変性樹脂は共有結合しているのか?
    4. そもそも酸変性樹脂の挙動は簡単に分析できるのか?
    5. 一般的な研究例と最近の意欲的な取り組み
  2. フィラーと酸変性樹脂の結合の検出 (分子レベル)
    1. 相互作用サイトの濃縮
      • 酵素分解
      • 溶媒抽出
    2. 分光測定に必要な前処理
    3. 分光測定のデータ紹介
      • FT-IR
      • NMR (特に膨潤体NMR法)
  3. フィラー表面への酸変性樹脂の濡れ性評価 (nmレベル)
    1. 示差走査熱量計による簡便法:昇降温測定
    2. モルホロジー観察
      • 走査型電子顕微鏡
      • 蛍光顕微鏡
    3. フィラー共存下での酸変性樹脂の結晶化挙動の解析
    4. フィラー表面への酸変性樹脂の濡れ性と力学物性・破壊挙動の対応
  4. 複合材中でのフィラーの分散性の簡便な定量評価 (μmレベル)
    1. 試料の前処理
    2. フィラー分散性のパターン分類 (ポワソン型/集中型/規則型)
    3. 実際の観察とデータ整理
    4. フィラー分散性と力学物性の対応
  5. 酸変性樹脂研究の新たな展開:リサイクルに向けた取り組み
    • 質疑応答

第4部 マレイン酸変性樹脂の変性構造解析

(2020年12月9日 15:00〜16:20)

 無水マレイン酸変性 (グラフト) 樹脂である相溶化剤およびその相溶化剤を用いて作られたポリオレフィン複合材料について、グラフトした無水マレイン酸をNMRによって、いかに解析するかを紹介する。
 本講により、樹脂を溶液NMR分析する際の勘どころ、NMRパルステクニック、NMR高感度分析のためのグラフト無水マレイン酸誘導体化法等、様々な実用的樹脂評価技術を習得できる。

  1. 相溶化剤:無水マレイン酸変性 (グラフト) ポリオレフィン (MA-g-PO)
    1. MA-g-POとは
    2. グラフトMA構造解析の従来法と新規解析法
  2. 高感度二次元相関NMR法による末端グラフトMAの直接解析
    1. 各種二次元相関NMR法によるグラフトMAの構造解析
    2. グラフトMAの定量的解析
  3. NMRパルステクニックを駆使したオリゴマーグラフトMAの構造解析
    1. NMRパルステクニック
    2. オリゴマーグラフトMAのNMRスペクトル
    3. MA-g-PO 4種のMAグラフト構造
  4. 化学反応とNMR法を組合わせた超微量グラフトMAの高感度分析
    1. グラフトMAの超臨界メタノールによるメチル化反応
    2. メチル化グラフトMAの1H NMR分析
    3. グラフトMAの定量限界
  5. ポリオレフィン複合材料におけるMAの分析
    1. ポリオレフィン複合材料:表面修飾無機フィラー
    2. 超臨界メタノール処理-1H NMR分析
    • 質疑応答

講師

  • 高山 哲生
    山形大学 大学院 有機材料システム研究科
    准教授
  • 青木 憲治
    静岡大学 グローバル共創科学部
    准教授
  • 寺本 好邦
    京都大学 農学研究科 森林科学専攻
    准教授 博士
  • 宮内 康次
    株式会社 UBE科学分析センター 有機材料分析研究室
    室長

主催

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お問い合わせ

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(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 60,000円 (税別) / 66,000円 (税込)
複数名
: 55,000円 (税別) / 60,500円 (税込)

複数名同時受講割引について

  • 2名様以上でお申込みの場合、1名あたり 55,000円(税別) / 60,500円(税込) で受講いただけます。
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 60,000円(税別) / 66,000円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 110,000円(税別) / 121,000円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 165,000円(税別) / 181,500円(税込)
  • 同一法人内による複数名同時申込みのみ適用いたします。
  • 受講券、請求書は、代表者にご郵送いたします。
  • 他の割引は併用できません。

アカデミック割引

  • 1名様あたり 30,000円(税別) / 33,000円(税込)

日本国内に所在しており、以下に該当する方は、アカデミック割引が適用いただけます。

  • 学校教育法にて規定された国、地方公共団体、および学校法人格を有する大学、大学院、短期大学、附属病院、高等専門学校および各種学校の教員、生徒
  • 病院などの医療機関・医療関連機関に勤務する医療従事者
  • 文部科学省、経済産業省が設置した独立行政法人に勤務する研究者。理化学研究所、産業技術総合研究所など
  • 公設試験研究機関。地方公共団体に置かれる試験所、研究センター、技術センターなどの機関で、試験研究および企業支援に関する業務に従事する方

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本セミナーは終了いたしました。

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