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水・熱・光による高分子の劣化・変色メカニズムとその評価

水・熱・光による高分子の劣化・変色メカニズムとその評価

東京都 開催 会場 開催

概要

本セミナーでは、高分子劣化・変色のメカニズムについて基礎から解説し、樹脂の加水分解・変色・熱酸化劣化など複雑に絡み合う劣化要因と要因ごとの対策・未然防止策を解説いたします。

開催日

  • 2019年10月28日(月) 10時00分 17時00分

修得知識

  • 高分子材料の分析技術
  • 高分子材料の劣化・変色解析技術
  • 高分子材料の劣化・変色要因区別方法
  • 生分解性ポリマー評価技術

プログラム

第1部 高分子材料の劣化メカニズムと解析技術

(2019年10月28日 10:00〜12:30)

 高分子材料は軽量・成形性の良さといった特長を持つことから、日常生活や産業活動などの様々な場面で利用されています。特に、最近では自動車や航空機などの輸送機器分野においてEV化や軽量化に向けた材料開発が活発化しており、今後も更に用途が広がることが予想されます。一方で、高分子材料は金属材料や無機材料と比較して耐久性が課題になることが多く、輸送機器のように高度な信頼性を求められる分野では、更なる耐久性向上や寿命予測が求められています。 高分子材料の耐久性評価は、加速劣化試験と物性評価を組み合わせて行われるのが一般的です。用途特性に直結する物性の評価は、耐久性評価には欠かせませんが、加速劣化試験の妥当性や劣化要因を理解するためには化学分析により分子構造変化や劣化反応メカニズムを解析する必要があります。
 本講演では、熱や光などによる分子構造変化を伴う劣化現象にフォーカスして、劣化を分子レベルの反応メカニズムにより理解するための考え方やそのために必要な分析・評価技術及び活用事例について紹介します。

  1. 高分子材料の劣化解析と耐久性評価の考え方
    1. 材料の信頼性に関する最近の動向と課題
    2. サイレントチェンジ問題
    3. 劣化解析と耐久性評価の考え方
  2. 劣化反応メカニズムの基礎
    1. 劣化の定義
    2. 劣化要因と劣化挙動
    3. 自動酸化反応
    4. 劣化開始反応
    5. 連鎖反応
    6. β-切断反応
    7. 酸化防止剤の種類と働き
  3. 高分子材料の構造
    1. 分子構造
    2. 高次構造
    3. 添加剤配合
  4. 化学分析法
    1. 赤外分光法 (FT-IR)
    2. 核磁気共鳴分光法 (NMR)
    3. 質量分析法
      • LC-MS
      • MALDI-TOFMS
      • 熱分解GCMS
    4. 電子スピン共鳴法 (ESR)
    5. 二次元相関分光法
    6. ケミルミネッセンス法
  5. 劣化解析事例紹介
    1. ポリプロピレンの熱酸化劣化
    2. ポリエステルの熱酸化劣化/加水分解劣化
    3. フッ素ゴムの熱酸化劣化
    4. 有機半導体材料の光酸化劣化
  6. まとめと今後の課題
    • 質疑応答

第2部 高分子材料の環境試験による変質・劣化機構と分析評価事例

(2019年10月28日 13:15〜14:15)

 製品を構成する材料、素材には様々な種類が存在するが、使用環境によっては、劣化を回避できない素材も多い。劣化の機構を把握することで、物づくり、開発が加速することも確かであり、その劣化の機構把握に信頼性試験 (加速試験) やその分析評価は欠かせません。
 本セミナーでは、信頼性試験、分析解析、劣化反応機構について前処理や装置の種類をご紹介しながら、特に高分子材料に関して分子原子レベルの視点で解説いたします。

  1. 専門知識の必要性
    • 分析化学
    • 無機化学
    • 有機化学
    • 物理化学
    • 量子化学
  2. 劣化の要因
    • 薬品
    • 応力
  3. プラスチックの種類とその特徴
    • Tg
    • SP値
    • 耐薬品性
    • 耐熱性
  4. 信頼性試験
    • 装置の種類
    • 試験、評価
    • 変質劣化反応機構
  5. 評価装置
    • TMA
    • SEM
    • 硬度測定
    • XPS
  6. 分析の流れ
    • 前処理
    • 装置への導入
    • データ解析
  7. 前処理技術
    • 研磨
    • ミクロトーム
    • FIB
    • CP
    • マニピュレータ
  8. 劣化変質分析事例
    • IR
    • ラマン
    • GC-MS
    • NMR
    • GPC
    • DSC
    • 質疑応答

第3部 高分子材料の劣化・変色・加水分解特性解析

(2019年10月28日 15:30〜17:00)

高分子材料の劣化・変色要因は多岐に渡り、複合劣化も存在する。熱、光、水が関与する各種劣化・変色要因解析のための分析手法を解説する。また、生分解性ポリマーの酵素分解性評価とポリマー構造の解析例についても紹介する。

  1. 高分子材料と劣化要因
  2. 高分子材料の変色要因
  3. 高分子材料の加水分解
  4. 高分子材料劣化変色物の分析手法
    1. 高分子材料分析手法と劣化変色解析
    2. 赤外分析法の特徴と劣化変色解析
    3. ラマン分析法の特徴と劣化変色解析
    4. 熱分析法による解析
    5. 熱抽出GC-MS分析法による解析
    6. ソフトイオン化精密質量分析法による解析
    7. LC導入精密質量分析法 (LC-ESI-TOFMS) による解析
    8. 熱抽出精密質量分析法 (ASAP-TOFMS) による解析
    9. GPCおよびDOSY (NMR) 法による劣化物の分子量依存化学構造解析
    10. XPS/TOF-SIMS表面分析法による表面劣化解析
  5. 生分解性ポリマーの酵素分解特性と化学構造
    1. ポリカプロラクトン (PCL) の熱処理条件と酵素分解特性
    2. DSC熱分析法によるポリマー構造解析
    3. 赤外・ラマン分析法によるポリマー構造解析
    4. X線回折分析法によるポリマー結晶構造解析
    5. パルスNMR法による解析
    • 質疑応答

講師

  • 水門 潤治
    産業技術総合研究所 機能化学研究部門 化学材料評価グループ
    研究グループ長
  • 清野 智志
    株式会社アイテス 品質技術部
    取締役, 統括部長
  • 宮下 喜好
    NPO法人 ぐんまテクノサポーターズ
    理事

会場

株式会社 技術情報協会
東京都 品川区 西五反田2-29-5 日幸五反田ビル8F
株式会社 技術情報協会の地図

主催

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受講料

1名様
: 55,000円 (税別) / 60,500円 (税込)
複数名
: 50,000円 (税別) / 55,000円 (税込)

複数名同時受講割引について

  • 2名様以上でお申込みの場合、
    1名あたり 50,000円(税別) / 55,000円(税込) で受講いただけます。
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    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 150,000円(税別) / 165,000円(税込)
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  • 受講券、請求書は、代表者にご郵送いたします。
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