技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー

プラスチックの破損・破壊メカニズムと耐衝撃性向上技術

プラスチックの破損・破壊メカニズムと耐衝撃性向上技術

ご案内

 近年の目覚ましい樹脂材料の力学特性向上により、樹脂材料の適用がすすみ、多くの製品や構造物の更なる軽量化・コスト削減等を叶えています。その恩恵を受け、私たちの身の回りには今や多くのプラスチック製品がありますが、ふと
したことで割れてしまう、壊れてしまう、そんな現象も目にするようになりました。
 「安かろう悪かろう」の一言で済む場合と、そうでない場合があります。機械や製品の一部の破損に伴い、その性能を著しく失ってしまうもの、更には事故につながり人体へも被害を及ぼしてしまうものもあります。メーカ各社においては、安全性を考慮した製品開発が益々必要不可欠であることと存じます。
 本書は、落下・衝突時に起こる衝撃現象の理解と衝撃に耐え得るプラスチック製品開発に向け、各専門家の方々から
その原理、そして実務に活かすために衝撃強さの向上を達成させる材料開発技術をご解説いただきました。
 プラスチックの衝撃破壊機構を正しく理解し、今後の材料開発・製品設計に役立てるためには、多岐にわたる分野からの知見が必要です。読者の方がそのすべてに明るくなくても実務に応用できるように、といった本書趣旨をご理解いただきご執筆賜りました皆様へ心より感謝申し上げる次第です。

目次

第1章 衝撃工学の基礎理論

  • 1節 はじめに
  • 2節 応力波
  • 3節 棒内に発生する衝撃応力
  • 4節 応力波の反射と透過
  • 5節 応力波の伝播と振動
  • 6節 構造物の衝撃応答
  • 7節 衝突と衝撃荷重
  • 8節 衝突時における応力波の伝播の影響
  • 9節 衝突による接触部の局部変形の影響
  • 10節 衝突により生じる衝撃荷重と構造物内の応力
    • 10.1 棒と棒の衝突
    • 10.2 はりの棒の衝突
  • 11節 まとめとして
  • 12節 力学的特性に及ぼす動的効果の概要

第2章 樹脂材料のぜい性破壊 (衝撃破壊) の機構とタフニング化

1節 固体樹脂の弾性と変形
2節 塑性変形と延性破壊の機構
  • 1. 結晶性高分子の塑性変形
  • 2. 非晶性ガラス状高分子の塑性変形
  • 3. ネッキングとソフトニング
    • 3.1 ネッキング
    • 3.2 ソフトニング
  • 4. 配向硬化
  • 5. 延性破断
    • 5.1 熱可塑性高分子
    • 5.2 熱硬化性高分子
  • 6. 変形速度が延性破壊に及ぼす影響
  • 7. 一軸伸張クリープ負荷による塑性変形と破壊
3節 樹脂材料のぜい性破壊 (衝撃破壊) の機構
  • 1. ひずみの拘束による応力集中の機構
    • 1.1 ぜい性破壊と破壊力学
    • 1.2 ひずみの拘束
      • 1.2.1 弾性変形による応力集中
      • 1.2.2 塑性変形による応力集中
  • 2. ボイドの形成によるぜい性的な破壊
    • 2.1 ボイドの塑性変形による拡張の安定性
    • 2.2 ボイドからのぜい性的な破壊開始のシミュレーション
  • 3. ガラス状非晶性高分子のぜい性的破壊
  • 4. 結晶性高分子のぜい性的破壊
4節 樹脂のぜい性破壊 (衝撃破壊) に影響する要因
  • 1. 製品の形状がぜい性破壊に及ぼす影響
    • 1.1 形状にともなう破壊様式の変化の予測
    • 1.2 コーナーの先端半径の影響
    • 1.3 製品の幅の影響
  • 2. 温度,変形速度がぜい性破壊に及ぼす影響
    • 2.1 降伏応力とクレイズ強度の温度・ひずみ速度依存性
    • 2.2 非晶性ガラス状高分子のぜい性破壊に及ぼす温度,変形速度の影響
    • 2.3 結晶性高分子のぜい性破壊に及ぼす温度,変形速度の影響
  • 3. 静水圧力がぜい性破壊に及ぼす影響
  • 4. 熱履歴がぜい性破壊に及ぼす影響
    • 4.1 非晶性ガラス状高分子材料
    • 4.2 結晶性高分子
  • 5. 劣化がぜい性破壊に及ぼす影響
  • 6. 分子量分布の幅がタフネスに及ぼす効果
    • 6.1 非晶性高分子材料の分子量分布の幅がタフネスに及ぼす効果
    • 6.2 結晶性高分子材料の分子量分布の幅がタフネスに及ぼす影響
      • 6.2.1 ブレンドによって調整した分子量分布の幅がi-PPタフネスに及ぼす効果
      • 6.2.2 過酸化物による分子鎖の切断による分子量分布の幅の調整がタフネスに及ぼす効果
    • 6.3 クレイズ強度と粘度に及ぼす分子量分布の効果
  • 7. 結晶構造のタフネスに及ぼす効果
  • 8. 分岐がタフネスに及ぼす影響
  • 9. 相溶性のブレンドがタフネスに及ぼす影響
5節 プラスチックのタフニング
  • 1. 樹脂の分子構造の制御によるタフニング
    • 1.1 高い分子量
      • 1.1.1 非晶性ガラス状高分子
      • 1.1.2 結晶性高分子
    • 1.2 分子鎖の高い立体規則性
    • 1.3 降伏応力に対するクレイズ強度の比の高い共重合
      • 1.3.1 非晶性ガラス状高分子の共重合によるタフネスの改善
  • 2. 複合化によるひずみの拘束の緩和
    • 2.1 ひずみの拘束の解放による応力集中の緩和機構
    • 2.2 エラストマーのブレンドによるタフニング
      • 2.2.1 分散相の強度
      • 2.2.2 エラストマーの構造
      • 2.2.3 分散相の径
      • 2.2.4 分散相の分布
      • 2.2.4.1 シミュレーションによる分散状態の塑性不安定の検討
      • 2.2.4.2 分散状態の調整とタフネス
      • 2.2.5 マトリックス樹脂の配向硬化
      • 2.2.5.1 部分架橋による配向硬化の改善
      • 2.2.5.2 結晶化条件の調整による配向硬化の改善
      • 2.2.6 エラストマーと樹脂の相溶性
      • 2.2.6.1 エラストマーの部分相溶がタフネスに及ぼす効果
      • 2.2.6.2 共重合比によるエラストマーの相溶性の調整とタフネス
      • 2.2.7 エラストマー分散相の配向構造
      • 2.2.8 高分子材料の劣化によるぜい性化とその抑制
    • 2.3 高い剛性とタフネスが両立した複合構造の設計
      • 2.3.1 無機粒子の充填による高剛性とタフニング
      • 2.3.2 繊維の充填によるタフニング
      • 2.3.2.1 繊維と樹脂の界面が滑りによりエネルギーを消費する場合
      • 2.3.2.1.1 はく離強度がタフネスに及ぼす効果
      • 2.3.2.1.2 繊維長のアスペクト比がタフネスに及ぼす効果
      • 2.3.2.1.3 繊維への締め付け力がタフネスに及ぼす効果
      • 2.3.2.2 剛性とタフネスが両立した繊維強化複合材料の例
      • 2.3.2.2.1 酸変性低分子量PE 改質材によるガラス繊維充填PC のタフニング
      • 2.3.2.2.2 アラミド繊維によるPLA の剛性とタフネスの改善

第3章 材料開発による耐衝撃性向上への取り組み

1節 フィラーによるプラスチックの耐衝撃性改善
  • 1. はじめに
  • 2. フィラー充塡によるPPの衝撃強度向上
  • 3. フィラー充塡による弾性率と衝撃強度のバランス設計
  • 4. エラストマーとフィラー併用による衝撃強度改善の相乗効果
  • 5. フィラーによるPP衝撃強度改善のメカニズム
2節 ポリマーアロイによる耐衝撃性向上のための理論とその実際
  • 1. 耐衝撃性アロイ材料の構造
  • 2. クレーズとせん断降伏
  • 3. ゴム分散系アロイの耐衝撃性
    • 3.1 応力集中と耐衝撃性発現
    • 3.2 ゴム分散系のクレーズ変形
    • 3.3 ゴム分散系のせん断降伏
3節 自動車内装部品に使える天然ゴム複合化による高強度ポリ乳酸樹脂の開発
  • 1. 軟質素材と相溶化剤添加によるPLLA物性改善
  • 2. NR/ENR/加水分解抑制剤PCDI系による物性改善
4節 リサイクルポリプロピレン樹脂の耐衝撃性改善技術
  • はじめに
  • 1 リサイクルPPの耐衝撃性改善
  • 2 流動性調整剤による流動性改善
  • おわりに
5節 ナノ構造制御による透明性を維持したPMMA耐衝撃性向上技術
  • はじめに
  • 1.透明樹脂としてのアクリル
  • 2.アクリルの高機能化技術
    • 2.1 既存の高機能化技術
    • 2.2 アルケマのアクリル高機能化技術
      • 2.2.1 リビング重合
      • 2.2.2 アルケマのアクリル系ブロックコポリマー
  • 3. ガラス代替に向けたアルケマの新規ナノ構造PMMAシートShieldUp ®
    • 3.1 開発の背景
    • 3.2 ShieldUp® の製造方法
    • 3.3 ShieldUp® の特徴
  • 4. ShieldUp® の自動車用グレージングへの用途展開
    • 4.1 自動車用樹脂グレージングの現状
    • 4.2 ShieldUp® による自動車用樹脂グレージングへのアプローチ
    • 4.3 自動車用樹脂グレージングとしての ShieldUp® の特性
      • 4.3.1 耐摩耗性
      • 4.3.2 耐薬品性
      • 4.3.3 耐衝撃性
  • 5. 今後の ShieldUp® の用途展開
    • 5.1 日本メーカーとの協業
    • 5.2 次世代のShieldUp®
  • おわりに

出版社

お支払い方法、返品の可否は、必ず注文前にご確認をお願いいたします。

お問い合わせ

本出版物に関するお問い合わせは tech-seminar.jpのお問い合わせからお願いいたします。
(出版社への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

体裁・ページ数

B5判 並製本 279ページ

ISBNコード

ISBN978-4-86428-152-2

発行年月

2017年2月

販売元

tech-seminar.jp

価格

52,250円 (税別) / 57,475円 (税込)

これから開催される関連セミナー

開始日時 会場 開催方法
2024/11/26 光学用透明樹脂の基礎、屈折率制御および光吸収・散乱メカニズムと高透明化 オンライン
2024/11/26 ポリマー・高分子材料のモノマー化・解重合技術の基礎とケミカルリサイクルの技術動向 オンライン
2024/11/27 光硬化型材料の基礎と応用のポイント オンライン
2024/11/27 ゴム・プラスチック材料の破損、破壊原因とその解析法 東京都 会場
2024/11/27 プラスチック成形品における残留ひずみの発生メカニズムおよび対策とアニール処理技術 オンライン
2024/11/27 プラスチックのマテリアルリサイクル技術入門 オンライン
2024/11/27 加速する国内外のプラスチック規制の動向とリサイクルの最新事情 オンライン
2024/11/27 粘着・剥離のメカニズムとその制御 オンライン
2024/11/28 金属破断面解析技術の基礎と解析事例 オンライン
2024/11/28 プラスチック成形品の残留応力発生メカニズム&長期信頼性の予測法 オンライン
2024/11/28 固体高分子材料の動的粘弾性測定 オンライン
2024/11/28 熱分析の基礎、測定と正しいデータ解釈 オンライン
2024/11/29 UV硬化接着剤の材料設計と深部硬化 オンライン
2024/11/29 トライボロジー 入門講座 オンライン
2024/11/29 架橋ポリオレフィンのマテリアルリサイクル技術の現状と動向 オンライン
2024/12/3 加速する国内外のプラスチック規制の動向とリサイクルの最新事情 オンライン
2024/12/4 ポリマーアロイにおける相溶性の基礎と物性制御ノウハウ オンライン
2024/12/4 レオロジーの基礎と測定法 オンライン
2024/12/4 高分子結晶化の基礎と解析技術および結晶成長 オンライン
2024/12/5 高分子の結晶化と結晶高次構造の特徴・各種分析法 オンライン

関連する出版物

発行年月
2024/7/29 サステナブルなプラスチックの技術と展望
2024/7/22 世界のレトルトフィルム・レトルトパウチの実態と将来展望 2024-2026 (書籍版 + CD版)
2024/7/22 世界のレトルトフィルム・レトルトパウチの実態と将来展望 2024-2026
2024/7/17 世界のリサイクルPET 最新業界レポート
2024/6/28 ハイドロゲルの特性と作製および医療材料への応用
2024/5/30 PETボトルの最新リサイクル技術動向
2024/2/29 プラスチックのリサイクルと再生材の改質技術
2023/10/31 エポキシ樹脂の配合設計と高機能化
2023/9/1 プラ容器 vs 紙包装 vs パウチ包装市場の現状と展望 [書籍 + PDF版]
2023/9/1 プラ容器 vs 紙包装 vs パウチ包装市場の現状と展望
2023/7/31 熱可塑性エラストマーの特性と選定技術
2023/7/14 リサイクル材・バイオマス複合プラスチックの技術と仕組
2023/3/31 バイオマス材料の開発と応用
2023/1/31 液晶ポリマー (LCP) の物性と成形技術および高性能化
2023/1/6 バイオプラスチックの高機能化
2022/12/31 容器包装材料の環境対応とリサイクル技術
2022/10/5 世界のプラスチックリサイクル 最新業界レポート
2022/8/31 ポリイミドの高機能設計と応用技術
2022/5/31 自動車マルチマテリアルに向けた樹脂複合材料の開発
2022/5/31 樹脂/フィラー複合材料の界面制御と評価