技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー

医薬品製造で起こるヒューマンエラーの発生メカニズムとリスクマネジメント

医薬品製造で起こるヒューマンエラーの発生メカニズムとリスクマネジメント

~コミュニケーション活性化・モチベーション向上を基礎とした対策~
東京都 開催 会場 開催

開催日

  • 2019年1月29日(火) 10時00分 17時00分

修得知識

  • 過去の品質問題
  • 医薬品の品質問題
  • 医薬品の品質の不祥事
  • 製造販売承認書との齟齬
  • GMP適合性不適合による製品回収と新製品承認の遅れ

プログラム

第1部. 医薬品製造におけるヒューマンエラーとそのリスク抽出・マネジメント

(2019年1月29日 10:00〜12:00)

 ヒューマンエラーの背景を考え、そのようなリスクがあるか。他の産業の大事故から学ぶこと、そして医薬品の品質問題の多くの事例から学ぶことにより、どこに注意を向ければよいかを知ることができる。過去のエラーを知り、その対策を講じていれば、エラーの7割は防ぐことができると言われている。エラーとして最近大きな課題になっているのが製造販売承認書との齟齬である。齟齬のために製品回収が頻発している。またGMP不備により、製品回収やGMP適合性が得られず、新製品の承認が遅れるという品質問題も新たに生じている。これらの実態やその対策についても紹介する。

  1. エラーはどうして起きるか
    1. m-SHELLモデル
    2. 「ヒューマンエラー学の視点」村田厚生著
    3. 「ヒューマンエラーの科学」村田厚生著
    4. 「失敗に学ぶものづくり」 畑村洋太郎著
    5. 「失敗学のすすめ」畑村洋太郎著
    6. 「ヒューマンエラー対策 事例から見たミス防止の実際」 中田亨著 より
  2. 他の産業の品質に絡む事故
    1. 背景にある真の原因追及を (人のミスで片づけない)
      • エタノールと滅菌精製水取り間違えによる患者死亡
    2. 知識不足が招いた品質問題
      • 雪印乳業 食中毒事件
    3. 問題の対処の方法で問題を大きくしたケース
      • 不二家 使用期限原料の使用
    4. 人間性を尊重しないために起きた事故
      • JR西日本脱線事故
    5. ルール違反が事故を招いた
      • ダイヤモンドプリンセス号の火災
    6. 無知とルール違反の複合
      • 東海村JOC臨界事故
    7. 想定外とする企業/想定外に対応する企業
      • 福島第一原発事故/女川原発の対策
  3. 製品回収事例から学ぶ
    1. 溶出試験の安定性モニタリングで規格外
    2. 異物での回収
    3. 含量の安定性モニタリングで規格外
    4. テストサンプル苦情による製品回収と改善命令/製造停止 など
  4. PMDAなど当局の査察に伴う製品回収/改善命令
    1. 自主基準の微生物試験で基準を超えて回収
    2. GMP運用の不備で回収
    3. 原薬製造所のPMDA不適合で製品回収
    4. GMPの原薬使用期限管理不備で回収
    5. 処方以外の成分使用で回収
    6. 製造販売承認書との齟齬で回収 など
  5. 医薬品製造所の品質トラブル (ヒューマンエラー国内編)
    1. バラ包装のキャップを開けたら虫があった (製品苦情)
    2. ドリンク剤の使用期限と製造番号の捺印が逆になっている (製品苦情)
    3. 原薬の中に,ガラス異物が何個か見つかった (逸脱)
    4. 注射剤のバイアル瓶の個装箱への包装時に他社製品のフリップキャップが見つかった (逸脱)
    5. 注射剤の溶解液の経年品でフレークスが見つかった (安定性試験)
    6. 品質再評価の試験方法が,1/12個アウトにでている (新規試験方法設定)
    7. 他社製品の自社への販売移管時の品質評価 (導入時の品質評価)
    8. ドリンク剤 (食品) の栄養成分表示ミスが見つかった (問い合わせ)
    9. 中国査察時に製造販売承認書に記載されていない原薬製造所で異物除去
      (製造販売承認書からの逸脱)
    10. 仕入れ品の製造業の更新時に品目漏れがあり, 製造所のある県の監視指導が製品回収を示唆している (仕入れ品先の品質保証)
    11. ある製品のOOSが何度も発生している (当局査察時のリスクと収去時のリスク)
    12. 注射剤の粉末充填品をろ過したらフィルターに多くの異物
      (大学病院薬剤部からの苦情)
  6. 医薬品製造所の品質トラブル (犯罪?)
    1. 試験をせずに出荷
    2. 意図的なサンプリング差し替え
    3. バーコードラベルの剥がし
    4. 製造指図記録の偽造
  7. 意図的な犯罪行為の防止
    1. ヘパリン原薬に類似たんぱく混入
    2. エチレングリコールにグリセリン表示
    3. マルハニチロの農薬混入
    4. GMPの仕組みは性悪説で構築、運用は性善説で実施
  8. 人の感性を高める
    1. 一人の若い女性の感性が工場を救う
    2. 感性が表示ミス製品回収を防ぐ
    3. 映画「大爆破」から 一人ひとりが品質保証担う
    4. 感性を高めるために
    • 質疑応答

第2部. コミュニケーション活性化・モチベーション向上を基礎としたヒューマンエラー対策の考え方

(2019年1月29日 13:00〜17:00)

 ヒューマンエラーによる品質トラブルが多大な経済損失と製品品質への不信を招き、場合によっては企業経営に影響することは周知ですが、ヒューマンエラーは現場の実務担当者だけで防止できるものではありません。管理者・責任者といった立場にある者の適切なマネッジメントも不可欠であり、マネジメントに問題があって、重大なヒューマンエラーを招いたケースも少なくないことは周知のとおりです。 管理者の役割として特に重要となるのは、組織のコミュニケーションの活性化や職員のモチベーションの向上といったことです。それらが確保されて初めて、ヒューマンエラー対策の様々なハウツーが機能し、現場でのヒューマンエラー防止が可能となります。
 本セミナーではこの考えに立ち、管理者、現場職員の双方がそれぞれの役割を十分に発揮してヒューマンエラーを的確に防止し、安定して医薬品の品質保証が達成できるよう、様々な観点から対策の考え方を考察します。

  1. ヒューマンエラー最近事例とその原因の考察
  2. 基本事項の確認
    • 製造販売業 (本社機能) と製造業 (工場) の薬事品質保証体制?
    • 医薬品の品質保証と開発/生産の流れ
    • 医薬品受託製造 (OEM) 業者の留意すべき点
    • 医薬品企業のリスクと危機管理を踏まえた経営視点
    • 品質トラブル事例:異物混入問題により企業が受ける影響
    • 製造現場における品質確保と4M+1M
  3. ヒューマンエラー対策に関する基礎知識
    • 人間の能力の限界と錯視
    • 認知行動プロセスとヒューマンエラー対策
    • 責任者の判断ミスが事態を大きくする!
    • ヒューマンエラーで済まさず必ず根本原因を究明するクセをつける!
    • 3現主義で根本原因を究明し3原主義で対策を講じよう!
    • 当事者エラーと組織エラー
    • ミスを起こした当事者を責めない!
  4. ミスにつながる人間の特性・弱点
    • どんなときに間違えるか?
    • ヒューマンエラーを防ぐ6つの留意点
    • 知識不足/教育訓練の重要性
    • 集中力/注意力の欠如
    • コミュニケーション不足
    • 潜在リスクを注意喚起表示でごまかさない!
    • 集団的浅慮とリスキーシフト
  5. 製薬工場におけるヒューマンエラー対策の基本的な考え方
    • ミスが起きることを前提に対策する/重大なミスは回避する
    • 日常の5S及び4M管理の徹底による継続的改善
    • モノ造りのフロー/4Mと上流管理の重要性
    • 製造設備 (Machine) の維持管理の重要性
    • QC業務の重要性を理解しよう!
    • ラインクリアランス/員数管理
    • 変更/逸脱は継続的工程改善のチャンス
    • CAPAの概念/CAPAシステムの基本フロー
    • 教育訓練の実効性評価とヒューマンエラー対策
    • 想定力の強化とコミュニケーションの重要性
    • 開発段階の検討不足は生産でのミスに直結する!
  6. ヒューマンファクターとトラブル対策
    • 作業前後の整理整頓は周到に!
    • 職場のコミュニケーションの重要性
    • モチベーションと集中力/モチベーション向上のヒント
    • 作業興奮とモチベーション
    • 作業環境・システムの整備と教育訓練
    • 職員の質と製品の品質/GMPの基礎になる部分が大事
    • 表示へのポップアウト効果の応用
    • 無理があるとトラブルが起きる
    • ミスは繰り返される (根本原因を究明し対策を打つ)
  7. 工程トラブル事例とそこからの学び
    • 事例1.外用剤調製工程
    • 事例2.固形剤造粒工程
  8. おわりに
    • ミスを繰り返さないために
    • 組織を全機させるための考え方と基本要件
    • 質疑応答

講師

  • 脇坂 盛雄
    株式会社 ミノファーゲン製薬
    顧問
  • 浅井 俊一
    QAビジネスコンサルティング
    代表

会場

株式会社 技術情報協会
東京都 品川区 西五反田2-29-5 日幸五反田ビル8F
株式会社 技術情報協会の地図

主催

お支払い方法、キャンセルの可否は、必ずお申し込み前にご確認をお願いいたします。

お問い合わせ

本セミナーに関するお問い合わせは tech-seminar.jpのお問い合わせからお願いいたします。
(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 60,000円 (税別) / 64,800円 (税込)
複数名
: 55,000円 (税別) / 59,400円 (税込)

複数名同時受講割引について

  • 2名様以上でお申込みの場合、
    1名あたり 55,000円(税別) / 59,400円(税込) で受講いただけます。
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 60,000円(税別) / 64,800円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 110,000円(税別) / 118,800円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 165,000円(税別) / 178,200円(税込)
  • 同一法人内による複数名同時申込みのみ適用いたします。
  • 受講券、請求書は、代表者にご郵送いたします。
  • 他の割引は併用できません。
本セミナーは終了いたしました。

これから開催される関連セミナー

開始日時 会場 開催方法
2024/6/21 ICH Q3D/日局をふまえた元素不純物管理 (新薬・既存薬) のための分析・試験法設定のポイント オンライン
2024/6/21 免疫性血栓性血小板減少性紫斑病の歴史、病態、治療の新たな展開と残された課題 オンライン
2024/6/21 WBGパワーデバイス・モジュールに求められる高温実装材料・接合技術と構造信頼性評価技術 オンライン
2024/6/24 製造現場におけるヒューマンエラーの発生メカニズムと実践的な対策 東京都 会場
2024/6/24 リスクマネジメント/ワーストケースアプローチに基づく洗浄バリデーション実施 (残留限度値・DHT/CHT設定など) と残留物の評価法 オンライン
2024/6/24 変更管理・逸脱管理コース (2日間) オンライン
2024/6/24 適正なCAPA実現につながる逸脱・OOS処理フロー及び原因・試験室調査の進め方と処置事例 オンライン
2024/6/24 バイオ医薬品製造におけるGMP対応をふまえたプロセス開発からの設備設計・スケールアップ オンライン
2024/6/24 日米欧の規制対応を可能とするためのグローバルPV体制構築とベンダーコントロール オンライン
2024/6/24 オンコロジー領域における医薬品売上予測手法とデータ収集及び注意点 オンライン
2024/6/25 実際に起こったトラブル事例から学ぶ解決策の考え方、スケールアップ・ダウン検討および実験計画の具体的な進め方 オンライン
2024/6/25 医薬品製造現場における少人数体制のQC/QA業務効率化/コスト削減 オンライン
2024/6/25 品質管理の基礎 (4) オンライン
2024/6/25 経皮吸収の基礎と評価方法 オンライン
2024/6/25 治験総括報告書及びCTD 2.5の基本的な作成法と照会事項への対策 オンライン
2024/6/26 生産移行後のトラブルを未然に防ぐための製造設備および支援設備のバリデーション 東京都 会場・オンライン
2024/6/26 開発から製造販売後までの一貫した安全性評価の取りまとめ方と効率的な資料作成方法 (基礎編 + 実践編) オンライン
2024/6/26 GMP超入門講座 オンライン
2024/6/26 改正GMPに対応する技術移転/移管での同等性評価とバリデーション/作業者教育 オンライン
2024/6/26 開発から製造販売後までの一貫した安全性評価の取りまとめ方と効率的な資料作成方法 (基礎編) オンライン

関連する出版物

発行年月
2021/5/27 [Global] 治験/市販後での安全性情報の収集・評価・報告要否とPVベンダーコントロール (書籍 + ebook版)
2021/3/30 経験/査察指摘/根拠文献・規制から導く洗浄・洗浄バリデーション:判断基準と実務ノウハウ
2020/11/6 QC工程表・作業手順書の作り方
2020/10/30 クリーンルームの微小異物・汚染物対策と作業員教育
2020/6/30 米国での体外診断用医薬品の開発/審査対応 実務集
2020/4/27 各国要求及び治験環境と現地の実情
2020/3/30 当局要求をふまえたデータインテグリティ手順書作成の要点
2020/3/24 リアルワールドデータの使用目的に応じた解析手法 - 各データベースの選択と組み合わせ -
2020/2/27 海外データ (試験施設) /海外導入品の信頼性基準適用と効率的なデータ利用・CTD申請
2020/1/30 凍結乾燥の最適な条件設定による品質の安定化 - ラボ機と生産機の性能の違いを反映させたスケールアップ -
2019/11/21 医療機器企業におけるリスクマネジメントセミナー (オンデマンド)
2019/11/21 医療機器企業におけるリスクマネジメントセミナー (DVD)
2019/8/30 ヒューマンエラーの発生要因と削減・再発防止策
2019/8/1 データインテグリティ規程・手順書
2019/6/27 FDAが要求するCAPA導入の留意点
2019/6/27 EU GVP Module I /ISO9001要求をふまえたQuality Management System の実装と運用
2019/5/31 医薬品モダリティの特許戦略と技術開発動向
2019/4/24 洗浄バリデーション実施ノウハウと実務Q&A集
2018/11/30 希少疾患用医薬品の適応拡大と事業性評価
2018/10/30 高薬理活性医薬品封じ込めQ&A集 Part2