技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー

プラスチックの衝撃破壊メカニズムと耐衝撃性向上

プラスチックの衝撃破壊メカニズムと耐衝撃性向上

~高分子材料にどのような改質を施せば、衝撃的な負荷での脆性破壊を抑制できるのか~
東京都 開催 会場 開催

概要

本セミナーでは、プラスチック成型品の塑性変形と破壊機構の解説を通じて、実用的な方法やヒントを詳解いたします。

開催日

  • 2018年6月27日(水) 10時30分 16時30分

受講対象者

  • プラスチック製品の設計、成形、品質、評価に関連する技術者
    • 自動車・自動車内装
    • 家電
    • 携帯電話・スマートフォン
    • PC
    • 食品容器
    • 部品トレー
    • 建材
    • 看板 など
  • プラスチックの不良対策で課題を抱えている担当者

修得知識

  • 高分子材料の破壊の機構
  • 破壊を抑制し、信頼出来る強度設計の概念
  • 高分子材料のタフネス改善の為の種々の具体的手段

プログラム

 プラスチックの成型品の弾性率、強度等の特性は負荷の速度に大きく影響される。ゆっくりとした負荷では塑性変形を起こして大きく延性的に変形するプラスチックでも、早い速度での衝撃的な変形では小さなひずみで脆性的に破壊する。脆性的な破壊はそれが開始してから私達が力を製品から除いても破壊を止めることはできない。一方延性な製品は破壊が開始したときそれから力を除くと変形はその時点で停止する。プラスチックの成型品は、脆性的な破壊を起こすより延性的に変形する、言い換えるとタフであることが製品を安心して使用するには優れている。
 プラスチック成型品の形状そしてその製品に用いる高分子材料にどのような改質を施せば、衝撃的な負荷での脆性破壊を抑制し、信頼性に優れたとタフである製品が設計出来るであろうか。それを知るにはプラスチック成型品の塑性変形と破壊の機構を学ぶことが必要である。本セミナーではプラスチックの破壊機構とそれに基づくタフニングを紹介する。

  1. はじめに
  2. 固体高分子材料の変形
    1. 固体の変形の基礎
      1. せん断変形が支配的な変形
      2. 体積変形が支配的な変形
      3. ひずみの拘束による応力集中の機構
  3. 高分子材料の延性的破壊 (せん断変形支配)
    1. 結晶性高分子材料の塑性変形
    2. 非晶性ガラス状高分子材料の塑性変形
    3. 高分子材料のソフトニングとネッキング
    4. 配向硬化
    5. 延性破壊
      1. 熱可塑性高分子の延性破壊
      2. 熱硬化性高分子の破壊
    6. 変形速度が一軸伸張の塑性変形に及ぼす影響
    7. クリープ負荷での塑性変形
  4. 高分子材料のぜい性的破壊 (体積変型支配)
    1. ボイドの形成とその不安定拡張
    2. 切り欠きの拘束によるボイドの不安定拡張
    3. ひずみの拘束による高分子材料のぜい性破壊
      1. 非晶性ガラス状高分子のぜい性的破壊
      2. 結晶性高分子のぜい性的な破壊
    4. 変形速度が破壊挙動に及ぼす影響
    5. 切り欠きを持つ結晶性高分子のクリープによるぜい性破壊
    6. アルミニュウム合金の破壊との比較
    7. 高分子材料の破壊条件と破壊力学
  5. デサインの調整によるタフニング
    1. 構造体のひずみの拘束と変形の安定性
    2. 非晶性ガラス状高分子 (ポリカーボネィト (PC) ) の強度設計
      1. PC構造体の破壊条件の推定
      2. 種々の境界条件でのPC構造体のタフネスの予測
        1. 切り欠き先端半径の効果
        2. リガメントの厚さの効果
        3. 試験片の幅の効果
    3. 結晶性高分子 (ポリオキシメチレン (POM) ) の強度設計
      1. POMの真応力 – ひずみ曲線とボイドの形成と拡張状態の推定
      2. POMの破壊条件の推定
      3. 種々の境界条件でのPOM構造体のタフネスの予測
        1. 切り欠きの先端半径の効果
        2. リガメントの厚さの効果
        3. 試験片の幅の効果
  6. 微細構造の調整によるタフニング
    1. 数平均分子量がクレイズ強度と降伏応力に及ぼす影響
    2. 分子量分布の幅がクレイズ強度と粘度に及ぼす影響
    3. i-PPの立体規則性がクレイズ強度に及ぼす影響
    4. 共重合がクレイズ強度と降伏応力に及ぼす影響
  7. ひずみの拘束の解放によるタフニング
    1. ボイドによる体積弾性率の緩和とひずみの拘束の解放
      1. ボイドの分散状態が塑性不安定に及ぼす影響
      2. Gursonモデルを用いた非線形解析 (関連流動則) によるポリマーアロイのタフネスの予測
      3. 修正Gurson (非関連流動則) モデルよるポリマーアロイのタフネスの予測
    2. エラストマーのブレンドによるタフニングの効率に影響する因子
      1. 分散相の強度がタフネスに及ぼす影響6.2.2複合構造のエラストマーとタフネス
      2. マトリックス樹脂の配向硬化とタフネス
        1. 部分架橋による配向硬化の調整
        2. 結晶化条件による配向硬化の調整
      3. エラストマーの配向がタフネスに及ぼす影響
      4. 表面劣化によるぜい性化のエラストマーブレンドによる抑制
    3. 他の体積弾性率の緩和につての試み
  8. 高い剛性とタフネスが両立したプラスチック複合材料の強度設計
    1. 無機微粒子のブレンドによるタフニング
    2. 繊維の充填によるタフニング
      1. 繊維と樹脂が強い界面強度を持つ場合
      2. 繊維と樹脂の界面が適切な強度ではく離
        1. はく離強度がタフネスに及ぼす効果
        2. 繊維長のアスペクト比がタフネスに及ぼす効果
        3. 繊維長への締め付け力がタフネスに及ぼす効果
      3. 界面強度の調整によるタフネスの改善の例
        1. 酸変性低分子量PE改質材によるガラス繊維充填PCのタフニング
        2. アラミド繊維によるPLAの弾性とタフネスの改善
  9. 終わり
    • 質疑応答

講師

会場

品川区立総合区民会館 きゅりあん

5階 第3講習室

東京都 品川区 東大井5丁目18-1
品川区立総合区民会館 きゅりあんの地図

主催

お支払い方法、キャンセルの可否は、必ずお申し込み前にご確認をお願いいたします。

お問い合わせ

本セミナーに関するお問い合わせは tech-seminar.jpのお問い合わせからお願いいたします。
(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 42,750円 (税別) / 46,170円 (税込)
複数名
: 22,500円 (税別) / 24,300円 (税込)

複数名同時受講の割引特典について

  • 2名様以上でお申込みの場合、
    1名あたり 22,500円(税別) / 24,300円(税込) で受講いただけます。
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 42,750円(税別) / 46,170円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 45,000円(税別) / 48,600円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 67,500円(税別) / 72,900円(税込)
  • 同一法人内(グループ会社でも可)による複数名同時申込みのみ適用いたします。
  • 受講券、請求書は、代表者にご郵送いたします。
  • 請求書および領収書は1名様ごとに発行可能です。
    申込みフォームの通信欄に「請求書1名ごと発行」と記入ください。
  • 他の割引は併用できません。
本セミナーは終了いたしました。

これから開催される関連セミナー

開始日時 会場 開催方法
2025/1/6 チクソ性の基礎、制御、測定・評価と実用系への活用方法 オンライン
2025/1/7 高感度化フォトレジスト材料の合成・設計・開発技術 オンライン
2025/1/8 アレニウス式加速試験におけるプロット作成と予測値の取扱い オンライン
2025/1/8 高分子・ポリマー材料の合成、重合反応の基礎、プロセスと工業化・実用化の総合知識 オンライン
2025/1/9 実践疲労強度設計 オンライン
2025/1/10 欧州連合 (EU) の食品包装規制と安全問題の最新動向 オンライン
2025/1/10 品質管理の基礎 (4日間) オンライン
2025/1/10 品質管理の基礎 (1) オンライン
2025/1/15 応力集中部、溶接継手、ボルト締結部における破損・ゆるみメカニズムとCAE寿命設計法、強度増大法および強度設計基準 オンライン
2025/1/15 高分子の劣化・変色メカニズムと対策技術、評価方法 オンライン
2025/1/15 高分子重合反応の基礎とモノマー・開始剤の選定、プロセス最適化 オンライン
2025/1/15 分子シミュレーションによる高分子材料の内部構造と破壊メカニズムの解析 オンライン
2025/1/15 4M管理の基本と運用手順 オンライン
2025/1/16 プラスチック・樹脂における耐衝撃性向上技術と衝撃特性解析 オンライン
2025/1/17 未然防止のための過去トラ集の作り方と使い方のポイント 東京都 会場・オンライン
2025/1/17 化学工場・プラントの事故に学ぶ本質的原因の探究と管理・指導側が講じるべき安全対策 オンライン
2025/1/17 高分子の結晶化メカニズムと解析ノウハウ オンライン
2025/1/17 品質管理の基礎 (2) オンライン
2025/1/20 「ポリプロピレン」の材料としての基本的な構造、特性、その応用 オンライン
2025/1/20 化学反応型樹脂の硬化率・硬化挙動の測定・評価法 オンライン

関連する出版物

発行年月
2019/12/20 高分子の表面処理・改質と接着性向上
2019/10/31 UV硬化技術の基礎と硬化不良対策
2019/8/30 ヒューマンエラーの発生要因と削減・再発防止策
2019/1/31 マテリアルズ・インフォマティクスによる材料開発と活用集
2018/11/30 エポキシ樹脂の高機能化と上手な使い方
2018/7/31 高耐熱樹脂の開発事例集
2018/4/12 自動車用プラスチック部品の開発・採用の最新動向 2018
2018/3/19 射出成形機〔2018年版〕 技術開発実態分析調査報告書
2018/3/18 射出成形機〔2018年版〕 技術開発実態分析調査報告書 (CD-ROM版)
2017/7/31 機能性モノマーの選び方・使い方 事例集
2017/7/31 プラスチック成形品における残留ひずみの発生メカニズムおよび対策とアニール処理技術
2017/6/19 ゴム・エラストマー分析の基礎と応用
2017/2/27 プラスチックの破損・破壊メカニズムと耐衝撃性向上技術
2017/1/31 放熱・高耐熱材料の特性向上と熱対策技術
2016/8/31 ポリマーアロイにおける相溶性の基礎と物性制御ノウハウ
2016/2/20 自動車用プラスチック部品・材料の新展開 2016
2015/10/22 FMEA・DRBFMの基礎と効果的実践手法
2015/8/25 金属材料の破断面解析技術の基礎と解析事例
2014/11/30 繊維強化プラスチック(FRP)〔2015年版〕 技術開発実態分析調査報告書 (CD-ROM版)
2014/11/5 金属・ガラス・セラミックス・プラスチックの破面観察・破損解析手法とその事例