第1部. 医薬品開発を革新するオミックスデータの最新の活用法
(2016年2月23日 10:00〜12:00)
ゲノム・オミックス医療の急速な発展、ゲノムコホートの世界的な普及に伴い、蓄積した分子情報・臨床情報を創薬・育薬に活用する戦略への関心が高まっている。本講演では、「ビッグデータ創薬」、「人工知能 (AI) 創薬」の現況を述べるとともに、計算Drug Repositioningの最新の方法を述べる。
- 疾患ゲノム・オミックスの「ビッグデータ」と創薬・育薬
- 医療ビッグデータの時代の到来と米国の最新の状況
- ゲノム・オミックス・ビッグデータの基軸的な特徴
- 「医療ビッグデータ」分析のための「データ原理」
- Sparse Data-MiningとDeep Learningに共通するもの
- ビッグデータ創薬・AI創薬の先進事例
- Real-World-Dataを用いた創薬・育薬戦略の将来性
- 計算DR (Drug Repositioning) の有効性と将来展開
- シグネチュア逆位法によるDRの現況と我々の研究成果
- 「疾患ネットワーク」と「薬剤 (化合物) ネットワーク」の概念
- 両ネットワークを用いた双対写像関係による計算DR戦略
- ゲノム・オミックス情報を用いたビッグデータ創薬の展望
第2部. バイオインフォマティクスによる創薬研究の効率化と次世代化
(2016年2月23日 12:15〜13:45)
インフォマティクスによる創薬研究の効率化 (コスト・リソース削減、スピード向上) と、創薬研究の次世代化を促進する役割について、欧米で進む製薬企業主導の国際産学連携を踏まえながら、現状、問題点および将来展望を整理する。
- 製薬企業におけるバイオインフォマティクス外観
- 何が求められ、どう解決してきたか
- 現状の到達点と次なる科学的課題
- 創薬の難化とニーズの変化
- 東京大・大阪大・アステラス製薬3者共同研究による次世代創薬基盤
- 欧州における製薬企業主導の国際産学連携
- 製薬企業主導の国際コンペ
- 創薬ビッグデータの2潮流
- ビッグデータの流行後に残るもの
- 対欧米中優位性についての一考察
- 日本で長年培われてきた技術や研究の進め方にこそ強みが見出される
- 質疑応答
第3部. 創薬現場でのビッグデータの活用
(2016年2月23日 14:00〜15:30)
過去10年で、ゲノム科学やバイオインフォマティクスは一般的な技術となり、近年、ビッグデータやデータサイエンスなど情報技術の進歩を取り入れる事が期待されています。しかしながら、まだパラダイムシフトと呼べる程の大きな変化にはなっていません。本講演では、将来の創薬研究において必須プロセスになる可能性のある、探索研究やトランスレーション研究でのビッグデータに関連する取り組みを紹介します。
- 創薬プロセスとビッグデータの活用
- 公共ビッグデータの活用
- 社内データの作成
- 社内データーベースの構築と利用
- ビッグデータで病気を知る
- ビッグデータで薬を知る
- 新しい創薬技術とビッグデータ
- 創薬とビッグデータと人工知能
- 質疑応答
第4部. 予測するスーパーコンピューター創薬のための課題と対策
(2016年2月23日 15:45〜17:15)
スーパーコンピューターを活用して新薬を効率的に開発するために必要な技術について具体的な例を交えて課題と対策を解説する。
- 疾患標的タンパク質の立体構造
- ドッキングシミュレーションによるスクリーニング
- 薬の活性強度と結合定数
- 非平衡統計力学を活用した自由エネルギー計算
- 分子動力学プログラムの並列度
- 熱力学的サンプリングによる並列化
- 予測するために必要な力場の条件
- 高速計算に必要なプログラミングとコンピュータ
- 化合物空間を網羅するDe novo設計技術
- 創薬標的キナーゼの難しさ
- 質疑応答