錠剤製造において、打錠工程における主なトラブルはキャッピング、スティッキングである。また、錠剤の重量変動も問題となる。
そこで、本講演では、はじめに打錠障害を防ぐ打錠用顆粒の製造方法に関して、攪拌造粒および流動層造粒の事例について説明する。そして、粉体の圧縮機構および打錠障害に関して、粉体の圧縮メカニズム、キャッピングおよびスティッキング機構、それぞれの評価法とその改善法。
また、造粒および打錠プロセスのスケールアップとその問題点とその対策、さらに、効率的なスケールアップの進め方についても触れたい。
- 第1章 打錠障害を防ぐ打錠用顆粒の製造方法
- 造粒の定義
- 代表的な造粒法
- 日米における打錠用顆粒の製造法
- PL値 (可塑限界) とPL値の簡易測定法
- 打錠用顆粒としての適切な造粒粒度
- 攪拌造粒のメカニズム
- 攪拌造粒の事例 (攪拌羽根および解砕羽根の回転数等の影響)
- 流動層造粒のメカニズム
- 流動層造粒の事例 (噴霧液速度、噴霧空気圧、噴霧液量、熱風温度等の影響)
- 攪拌転動流動造粒
- パルス流動層造粒乾燥装置
- 造粒法と結合剤添加方法による錠剤硬度
- 打錠用顆粒製造におけるスケールアップでの問題点
- スケールアップにおける攪拌造粒での最適添加水分量
- スケールアップにおける流動層造粒での最適噴霧液速度
- 流動層造粒における局所での濡れ
- 流動層造粒における含量均一性の確保
- 小型機での操作条件を大型機に適応する場合
- 攪拌造粒のスケールアップ
- 流動層造粒のスケールアップ
- 第2章 粉体の圧縮機構と打錠障害に関する対応
- 原薬 (粉体) の圧縮メカニズム
- 原薬 (粉体) の圧縮性評価
- 打錠で要求される要素と要因
- キャッピングの機構および評価法とその改善方法
- スティッキングの機構および評価法とその改善方法
- 錠剤の重量変動に対する変動要因
- 湿式造粒における錠剤の重量変動の抑制方法
- 直打法における錠剤の重量変動の抑制方法
- 打錠特性の予測 (粉体の成形性および打錠障害の発生の可能性を予測)
- 攪拌造粒の打錠障害に関係する留意点と対応策
- 流動層造粒の打錠障害に関係する留意点と対応策
- 直接打錠法および湿式打錠法での賦形剤の選択
- 結合剤、崩壊剤および滑沢剤選択のポイント
- 結晶セルロースについて
- 低成形薬物の直打
- 低流動性・低成形性薬物の直打
- 打圧低減の応用例
- 外部滑沢打錠法の概要
- 滑沢剤混合におけるスケールアップでの問題点
- 滑沢剤混合時間の決め方
- 打錠工程におけるスケールアップ
- 打錠におけるスケールアップでの問題点
- 長時間運転によるキャッピングの発生
- スケールアップによる滑沢剤量の影響
- 小型機での操作条件を大型機に適応する場合
- 打錠機の回転数の設定
- 打錠工程におけるトラブルの改善事例紹介
- 単発打錠機に比べて、ロータリー型打錠機の方が錠剤硬度も高く、錠剤物性も良好であった。
- 凝集性の高い疎水性の原薬を用いて打錠工程において、圧縮成型時にフィルム形成とスティッキングが発生した。
- 杵の素材、または杵の表面処 (メッキ、コーティングなど) によるスティッキングの防止。