技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー

ADC (抗体薬物複合体) のリンカー・結合技術と特性解析・プロセス設計

部位特異的修飾、高選択分離技術、クローズドプロセスなど、開発の最前線を俯瞰

ADC (抗体薬物複合体) のリンカー・結合技術と特性解析・プロセス設計

~リンカー設計から特性解析、最新精製プロセスまで、開発と製造の要点を体系的に解説~
オンライン 開催

概要

本セミナーでは、抗体薬物複合体 (ADC) に関する技術動向と特許戦略について説明し、今後の課題と対応策について解説いたします。

配信期間

  • 2026年2月25日(水) 10時30分2026年3月7日(土) 16時15分

お申し込みの締切日

  • 2026年2月25日(水) 10時30分

受講対象者

  • 抗体医薬品・核酸医薬品に関連する研究開発担当者、事業開発担当者、知的財産担当者

プログラム

第1部 抗体とリンカー・薬物の結合技術とその最新動向

(2026年2月25日 10:30〜12:00)

 抗体薬物複合体 (ADC) の構成要素と、特にそこに含まれるリンカーの特性について触れた後、これまでに承認された医薬品ADCについて、歴史的な流れで効果的なADC構造について考える。また、ADC設計のための代表的な抗体修飾法の概要について説明し、天然抗体の特定の残基を狙った部位特異的修飾法について、特にFc親和性リガンドを用いた修飾法について詳しく説明する。そのような修飾法においては、連結用の反応性官能基を組み込んだFc親和性リガンドがIgGのFc領域に接触した際に生じる「近接効果」によって、標的とするFc領域のアミノ酸残基と修飾試薬の連結用反応性官能基との間の特異的かつ効率的な共有結合修飾が可能となる。
 さらに、このアプローチは大きく2つに分類される。すなわち、Fc親和性リガンドが生成物の抗体コンジュゲート上に残存する残存型コンジュゲート反応と、コンジュゲーション反応の過程でリガンドが遊離し残存しない非残存型 (トレースレス) コンジュゲート反応である。これらの修飾手法について、具体的な反応例とともに紹介する。

  1. 抗体薬物複合体 (ADC) の概要
  2. 承認されたADCに関して
  3. リンカー技術に関して
    • 切断可能リンカー
    • 非切断可能リンカー
  4. ADC結合のための技術
    • ランダムカップリングによる修飾
    • 酵素を用いた糖鎖修飾法
    • Fc親和性リガンドを用いたリガンド残存型修飾法
    • Fc親和性リガンドを用いたリガンド非残存型修飾法
    • 質疑応答

第2部 ADCの特性解析最前線:LC/MS法と光散乱法によるアプローチ

(2026年2月25日 13:00〜14:30)

 ADC (抗体薬物複合体) は、抗体の標的特異性と低分子薬物の強力な細胞毒性を組み合わせた次世代の抗体医薬として注目されている。世界では、がん領域を中心に急速な成長を遂げており、複数のADCが上市・開発中である。一方で、ADCは抗体・リンカー・薬物の3要素からなる複雑な分子構造を有するため、その特性解析は極めて高度かつ多面的なアプローチを必要とする。
 本講演では、ADC開発の市場動向と製剤設計上の課題を概観したうえで、分析科学の観点から品質評価に求められる要件を整理する。続いて、液体クロマトグラフィー質量分析法 (LC/MS) による薬物抗体比 (DAR) の評価、薬物結合位置の特定、部位占有率の解析手法を紹介する。さらに、多角度光散乱検出 (MALS) を利用した分子量分布・凝集体評価の事例を取り上げ、これらの手法を組み合わせた総合的な特性評価について解説する。
 ADCの品質特性を精密に把握することは、品質評価においても重要である。本講演を通じて、最新の分析技術がいかにADCの特性解析に重要な情報をもたらすのか、分析事例とともに共有する。

  1. ADCの歴史
  2. ADCの市場
  3. LC/MSによるADCの特性解析
    1. 薬物抗体比の評価
    2. 凝集体の評価
    3. サブユニット分析
    4. フリードラッグの定量
    5. 薬物結合位置特定のための前処理
    6. 薬物結合位置の解析
    7. 部位占有率の解析
    8. チャージバリアント分析
    9. 衝突誘起アンフォールディングによる構造安定性の評価
  4. MALS (多角度光散乱検出器) によるADCコンジュゲート解析
    • 質疑応答

第3部 ADCの精製工程設計と高度分離技術

〜安全性に配慮したクローズドプロセスデザインと最新不純物分離法〜

(2026年2月25日 14:45〜16:15)

 本講座では、ADC (抗体薬物複合体) 製造における精製ステップに焦点を当て、ADCプロセスに必要な要素を主要なステップごとに解説します。最適な設計例を紹介し、特にADC製造工程で発生する不純物 (未反応のリンカーやペイロード、不要なDARバリアント及び凝集体など) を除去するための新しい技術についても触れます。これには、イオン交換ベースのミックスモードクロマトグラフィー樹脂の利用が含まれます。また、高い薬理活性を持つ物質を扱うために、作業者の安全を考慮したクローズドシステムの設計についても説明します。これらの技術は、ADCプロセスで使用されるDMSOやDMAcなどの溶剤に対する耐薬品性を持つ材料が必要であり、ADCのプロセス要件の一部となります。
 さらに、インラインでADCに用いる溶剤の残留濃度やタンパク濃度を測定可能とする分析技術もご紹介し包括的なADCプロセスデザインについてお話します。

  • メルク株式会社プロセスソリューションズ事業本部のご紹介
  • ADC (抗体薬物複合体) 精製プロセス全体像
  • ADC精製プロセスに求められる事項
  • 最新のミックスモードクロマトグラフィーレジンのご紹介
  • DARの分離の必要性
  • ミックスモードレジンを用いたDAR分離ケーススタディー
  • 革新的デザインのメンブレンクロマトグラフィー
  • メンブレンクロマトグラフィーによる凝集体除去への応用
  • 活性炭フィルターの概要
  • 活性炭フィルターを活用した未反応リンカー・ペイロード除去
  • ADCプロセスに最適な最新のシングルユースTFFデバイスのご紹介
  • シングルユースTFFシステムのご紹介
  • シングルユースTFFデバイスと有機溶剤耐性を持つシングルユースシステムとの統合
  • 自動サンプル送達システムのご紹介
  • ADCプロセスにおけるオンラインモニタリングシステムの活用
  • まとめ
  • 質疑応答

講師

  • 吉矢 拓
    株式会社ペプチド研究所 企画開発室
    室長
  • 矢田 絵都子
    日本ウォーターズ株式会社 マーケティング本部
  • 小川 義昭
    メルク株式会社 ライフサイエンス プロセスソリューションズ事業本部 カスタマーアプリケーション
    テクノロジーアプリケーションエキスパート

主催

お支払い方法、キャンセルの可否は、必ずお申し込み前にご確認をお願いいたします。

お問い合わせ

本セミナーに関するお問い合わせは tech-seminar.jpのお問い合わせからお願いいたします。
(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 50,000円 (税別) / 55,000円 (税込)
複数名
: 45,000円 (税別) / 49,500円 (税込)

複数名同時受講割引について

  • 2名様以上でお申込みの場合、1名あたり 45,000円(税別) / 49,500円(税込) で受講いただけます。
  • 5名様以降は、1名あたり 30,000円(税別) / 33,000円(税込) で受講いただけます。
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 50,000円(税別) / 55,000円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 90,000円(税別) / 99,000円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 135,000円(税別) / 148,500円(税込)
    • 4名様でお申し込みの場合 : 4名で 180,000円(税別) / 198,000円(税込)
    • 5名様でお申し込みの場合 : 5名で 210,000円(税別) / 231,000円(税込)
  • 同一法人内による複数名同時申込みのみ適用いたします。
  • 請求書は、代表者にご送付いたします。
  • 他の割引は併用できません。

アカデミック割引

  • 1名様あたり 30,000円(税別) / 33,000円(税込)

日本国内に所在しており、以下に該当する方は、アカデミック割引が適用いただけます。

  • 学校教育法にて規定された国、地方公共団体、および学校法人格を有する大学、大学院、短期大学、附属病院、高等専門学校および各種学校の教員、生徒
  • 病院などの医療機関・医療関連機関に勤務する医療従事者
  • 文部科学省、経済産業省が設置した独立行政法人に勤務する研究者。理化学研究所、産業技術総合研究所など
  • 公設試験研究機関。地方公共団体に置かれる試験所、研究センター、技術センターなどの機関で、試験研究および企業支援に関する業務に従事する方
  • 支払名義が企業の場合は対象外とさせていただきます。
  • 企業に属し、大学、公的機関に派遣または出向されている方は対象外とさせていただきます。

アーカイブ配信セミナー

  • 当日のセミナーを、後日にお手元のPCやスマホ・タブレッドなどからご視聴・学習することができます。
  • 配信開始となりましたら、改めてメールでご案内いたします。
  • 視聴サイトにログインしていただき、ご視聴いただきます。
  • 視聴期間は2026年2月25日〜3月7日を予定しております。
    ご視聴いただけなかった場合でも期間延長いたしませんのでご注意ください。
  • セミナー資料は別途、送付いたします。

これから開催される関連セミナー

開始日時 会場 開催方法
2026/1/8 GMPにおけるキャリブレーション (校正) の重要ポイント オンライン
2026/1/8 患者数・市場規模ベースで検討する医薬品の売上予測と事業性評価 オンライン
2026/1/9 戦略的なターゲットプロダクトプロファイル (TPP) 策定プロセスと競争環境および規制要件を見据えた差別化戦略の構築方法 オンライン
2026/1/9 GMPに対応した洗浄バリデーションは具体的に何を計画し、何を行い、何を証明すればよいのか オンライン
2026/1/13 欧米主要国の薬価制度の最新動向とその薬価交渉プロセス オンライン
2026/1/13 ASEAN各国の医薬品申請のための薬事制度と申請資料作成方法 オンライン
2026/1/14 注射剤の異物検査の方法と基準設定及び異物低減方法 オンライン
2026/1/14 環境モニタリングにおけるポイント設定根拠・手順とアラート・アクションレベル設定の妥当性および汚染管理戦略に従ったSOP記載事項/作成上の留意点 オンライン
2026/1/14 体外診断用医薬品のアメリカ進出のための最新規制対応と事業戦略策定 オンライン
2026/1/14 GCP領域のクラウドシステムを含むCSV実施/必要範囲とデータインテグリティ確保 オンライン
2026/1/14 QA部門における製造記録・試験検査記録の照査の内容・視点・範囲と報告書作成の留意点 オンライン
2026/1/15 炎症性腸疾患における治療・薬剤選択の実際と今後の展望 オンライン
2026/1/15 体外診断用医薬品のアメリカ進出のための最新規制対応と事業戦略策定 オンライン
2026/1/15 医薬品ライセンス契約の重要ポイントとその対応策 オンライン
2026/1/15 仮想医薬品例示で基本レギュレーションを理解し、効率的にCMC申請資料を作成するポイント オンライン
2026/1/15 実験室における高薬理活性物質の取り扱い/封じ込め対応と区分による要求レベル オンライン
2026/1/16 データインテグリティ (DI) における各手順書への落とし込み・作成と記載レベル オンライン
2026/1/16 ICH (Q1) をふまえた開発段階の安定性試験実施と試験結果からの有効期間の設定 オンライン
2026/1/16 原薬製造プロセスにおける開発段階・承認後に応じた変更管理と同等性確保 オンライン
2026/1/16 炎症性腸疾患における治療・薬剤選択の実際と今後の展望 オンライン

関連する出版物

発行年月
2019/5/31 医薬品モダリティの特許戦略と技術開発動向
2019/4/24 洗浄バリデーション実施ノウハウと実務Q&A集
2018/11/30 希少疾患用医薬品の適応拡大と事業性評価
2018/10/30 高薬理活性医薬品封じ込めQ&A集 Part2
2018/9/28 腸内細菌叢を標的にした医薬品と保健機能食品の開発
2018/8/31 がん治療で起こる副作用・合併症の治療法と薬剤開発
2018/7/31 医薬品・医療機器・再生医療開発におけるオープンイノベーションの取り組み 事例集
2018/6/29 医薬品グローバル開発に必要な英語実務集
2018/5/30 GVP Module改訂をふまえたEU Pharmacovigilance規制の実装
2018/5/18 創薬のための細胞利用技術の最新動向と市場
2018/4/25 統計学的アプローチを活用した分析法バリデーションの評価及び妥当性
2018/1/30 バイオ医薬品のCTD-Q作成 - 妥当性の根拠とまとめ方 -
2017/9/29 疾患・病態検査・診断法の開発
2017/8/31 きのこの生理機能と応用開発の展望
2017/6/21 体外診断用医薬品開発ノウハウ
2017/4/25 非GLP試験での効率的な信頼性基準適用と品質過剰の見直し
2014/11/27 3極対応リスクマネジメントプラン策定とEU-GVPが求める記載事項/国内との相違点
2014/11/15 医薬品メーカ20社〔米国特許版〕 技術開発実態分析調査報告書(CD-ROM版)
2014/11/15 医薬品メーカ20社〔米国特許版〕 技術開発実態分析調査報告書
2014/7/30 高薬理活性医薬品・封じ込めQ&A集