製造現場では日々膨大な量のデータが生み出されており、これらデータの利活用が企業の成長や競争力を左右する時代になっています。従来、日本の製造現場では熟練者の経験や勘、知識に基づいて高度な品質管理や設備保全が行われてきましたが、これからの「データ社会」では、いかに膨大なビッグデータを活用して、更なる品質向上や製造の効率化、技術継承を図れるかが大きな課題となっています。
　本セミナーでは、主に製造現場における品質管理にフォーカスし、Excel/Pythonを用いたデータ分析により、いかに品質不良の影響因子を絞り込んで品質向上に結びつけるか、事例演習も交えながら実践的に学びます。分析手法の基本的な知識から、Excel/Pythonの基本的な操作方法、分析の考え方、製造現場特有のポイントなどについて、なるべく数式を用いずに初学者向けにわかりやすく説明します。

1. イントロダクション
   1. 製造業における統計解析:統計的工程管理 と QCストーリー
   2. 従来の統計的手法とビッグデータ分析による品質管理の違い
   3. 製造業におけるビッグデータ分析の適用範囲
   4. 製造業におけるビッグデータ分析事例
   5. 組み立て製造とプロセス製造の違い
2. 統計学の基礎
   1. 記述統計学と推測統計学
   2. データの特徴の捉え方
   3. 記述統計量/変数の尺度
   4. 正規分布/工程能力指数 (Cp)
   5. 相関係数/相関と因果の違い
3. 可視化による工程・品質の傾向把握 (Excel/Python演習)
   1. ヒストグラムによる品質指標のばらつき確認
   2. 散布図/散布図行列による連動因子の確認
   3. 箱ひげ図による各因子の傾向確認
   4. 時系列での不良傾向確認
   5. パレート図
   6. 工程管理図
4. 数値化による工程・品質の傾向把握 (Excel/Python演習)
   1. 要約統計量 (代表値/ばらつき指標/順序統計量)
   2. 相関 (相関係数/相関行列/偏相関係数)
   3. 工程能力指数 (Cp)
5. 分析モデルの構築による製造品質不良の要因分析
   1. 代表的な分析手法の概要と手法の選び方
   2. 線形回帰による不良予測と影響因子の絞込み (Excel演習)
   3. ロジスティック回帰による良品/不良品の判別 (Python演習)
   4. 決定木分析による良品/不良品の判別
   5. モデルの評価指標:Precision (適合率) とRecall (再現率)
   6. 精度向上に向けたモデルチューニングの考え方