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撹拌装置の設計とスケールアップ

撹拌装置の設計とスケールアップ

~Excelテンプレートによる計算実習付~

ご案内

 撹拌操作は数多くのプロセスで使われている。その利用は化学工業、食品工業など非常に多様である。撹拌の対象は液体や固体の一相系だけではなく気体や液体を含む多相系も含む (本書では固体一相の混合は除いてある) 。撹拌槽内では混合と同時に物質移動、熱移動そして反応が起こっている場合も多く、現象は複雑である。そのため撹拌装置の目的にあった設計・スケールアップは難しくなる。経験主義が力を持っている分野であり合理的な設計法が確立していない。合理的な設計法を構築するためには、現象の数学モデルによる定量化が重要となる。本書では、撹拌装置内の現象を定量化し設計に結び付けるアプローチを分かり易く解説した。従来の撹拌に関連する書籍と異なり、Excelによる計算問題を数多く用意して、実際の設計・ホールドアップ計算が具体的に理解できるよう構成されている。
 第1章では、撹拌の基礎として撹拌の目的、撹拌方法、撹拌装置の基本構成について解説した。第2章では、撹拌翼の選定に関連して、撹拌翼の種類と選定基準について解説した。第3章では、撹拌槽の設計・スケールアップにおいて重要となるパラメーター (撹拌所要動力、混合時間、吐出流量など) について計算に使う相関式を含めて解説した。第4章では、異相系の撹拌として、気液系、液液系、固液系、気液固系の撹拌について解説した。第5章では、撹拌と反応の関係を解説した。第6章では、撹拌装置の設計法と実際の設計計算について解説した。第7章では、撹拌装置のスケールアップ手法とスケールアップ計算をCFD (数値流体力学) を含めて解説した。第8章では、撹拌装置のトラブルと解決法として非ニュートン流体と泡沫層形成を取り上げて解説した。第9章では撹拌装置の設計とスケールアップの今後の課題として、CFDの使い方とAIの利用について解説した。 付録では、Excelを使った問題の解答で使用するゴールシークとソルバーの使い方について簡単な例題を使って解説した。
 Excelによる設計・スケールアップ計算の例題を付けて分かり易く解説したので、添付してあるExcelテンプレートファイルを使って実習し理解を深めて頂きたい。テンプレートには実習シートの他に解答シートが付いているので、それを参照にしながら実習し本書の内容を具体的に理解できるようになっている。テンプレートは是非実務にも使って頂きたい。

目次

第1章 撹拌の基礎

  • 1 撹拌の目的
  • 2 撹拌方法
  • 3 撹拌装置の基本構成

第2章 撹拌翼の選定

  • 1 撹拌翼の種類
  • 2 撹拌翼の選定基準
  • 3 目的に合った撹拌翼

第3章 撹拌装置の重要なパラメーター

  • 1 撹拌所要動力
    • 1.1 測定法
    • 1.2 相関式と線図
  • 2 混合時間
    • 2.1 測定法
    • 2.2 相関式と線図
  • 3 吐出流量
    • 3.1 測定法
    • 3.2 相関式と線図
  • 4 剪断速度
    • 4.1 測定
    • 4.2 実験データ
    • 4.3 相関式

第4章 異相系の撹拌

  • 1 気体の分散
    • 1.1 撹拌所要動力の低下
    • 1.2 フラッディングと完全分散
    • 1.3 混合時間、ガスホールドアップ、物質移動容量係数、熱移動係数の相関式 57
      • 1.3.1 混合時間
      • 1.3.2 ガスホールドアップ
      • 1.3.3 物質移動容量係数
  • 2 液体の分散
    • 2.1 液滴の挙動
    • 2.2 乳化
    • 2.3 液滴径
    • 2.4 転相
  • 3 固体の分散
    • 3.1 最小粒子浮遊速度
    • 3.2 粒子の均一分散
    • 3.3 気‐液‐固3相の撹拌
    • 3.4 撹拌槽内における固体粒子‐液体間物質移動
    • 3.5 浮遊粒子の分散

第5章 撹拌と反応

  • 1 反応速度式
  • 2 反応操作形式
    • 2.1 回分操作
    • 2.2 半回分操作
    • 2.3 連続操作
      • 2.3.1 完全混合 (CSTR)
      • 2.3.2 ピストン流
      • 2.3.3 実際の混合

第6章 撹拌装置の設計

  • 1 設計手順
  • 2 実際の設計計算
    • 2.1 完全混合撹拌反応装置の設計:酵素反応の反応装置体積と撹拌速度
    • 2.2 撹拌槽型好気培養槽の設計:酸素消費速度
    • 2.3 気液撹拌槽型反応装置の設計:反応ガス吸収における気液間物質移動
  • 3 温度制御のための伝熱
    • 3.1 伝熱装置
    • 3.2 相関式

第7章 撹拌装置のスケールアップ

  • 1 スケールアップの基準
  • 2 相似則
  • 3 流動解析
  • 4 実際のスケールアップ計算

第8章 撹拌装置のトラブルと解決方法

  • 1 高粘性非ニュートン流動によるトラブル
    • 1.1 高粘度流体
    • 1.2 非ニュートン流動特性
    • 1.3 塑性流動
    • 1.4 粘弾性流体
  • 2 発泡などのトラブル
    • 2.1 泡沫層の形成
    • 2.2 破泡
      • 2.2.1 物理的・機械的破泡法
      • 2.2.2 化学的破泡法
    • 2.3 微細気泡の脱泡
  • 3 原料供給と抜出
  • 4 スケールアップのトラブルの対策
    • 4.1 スケールアップの見直し
    • 4.2 スケールダウン

第9章 撹拌装置の設計とスケールアップの課題

  • 1 プロセス強化
  • 2 AIの活用

付録 Excelゴールシークとソルバーの使い方

  • 1 収束計算の設定
  • 2 ゴールシークの使い方
  • 3 ソルバーの使い方
    • 3.1 ソルバーのアドイン
    • 3.2 ソルバーのオプションの設定

執筆者

川瀬 義矩

東洋大学

名誉教授

出版社

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お問い合わせ

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(出版社への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

体裁・ページ数

B5判 並製本 178ページ

ISBNコード

978-4-905507-56-7

発行年月

2022年2月

販売元

tech-seminar.jp

価格

50,000円 (税別) / 55,000円 (税込)

特典: CD-R (収録内容)

  • Wordファイル
    • Excel Templateの使い方について (著者連絡先掲載)
  • Excelファイル
    • 3.1 撹拌所要動力の計算
    • 3.2 混合時間の計算
    • 4.1 気体分散 攪拌所要動力の減少
    • 4.2 気体吹込みによるフラッディングと完全分散
    • 4.3 ガスホールドアップの計算
    • 4.4 物質移動容量係数の計算
    • 4.5 撹拌槽とスタティックミキサーにおける液液分散の液滴径
    • 4.6 液滴径分布から平均液滴径の計算
    • 4.7 粒子浮遊限界撹拌速度の計算
    • 5.1 反応速度定数の決定
    • 5.2 ミカエリス メンテン式
    • 5.3 回分操作による排水中の農薬の分解
    • 5.4 半回分操作
    • 5.5 CSTR反応装置の体積と撹拌速度の決定
    • 5.6 混合状態と反応装置体積
    • 5.7a 撹拌槽デッドゾーンとバイパス
    • 5.7b 撹拌槽デッドゾーンとバイパスと反応
    • 6.1 完全混合撹拌反応装置の設計
    • 6.2 撹拌槽型好気培養槽の設計
    • 6.3 シクロヘキサンの部分酸化プロセス
    • 6.4 撹拌槽型バイオリアクターの伝熱面積
      • 6) 追加問題1 撹拌槽における固体粒子の溶解
      • 6) 追加問題2 晶析装置の撹拌
    • 7.1 撹拌槽のスケールアップ計算1
    • 7.2 撹拌槽のスケールアップ計算2
    • 7.3 晶析装置のスケールアップ
    • 7.4 撹拌槽の操作範囲スケールアップ
    • 7.5 単位液体積あたりの撹拌所要動力Pv一定のスケールアップ
    • 7.6 混合時間orPV一定のスケールアップ
    • 7.7 撹拌槽スケールアップ計算 1バイオリアクターYK
      • 7) 追加問題1 スケールダウン 熱移動基準PV基準
      • 7) 追加問題2 ヘリカルリボン翼 層流域 混合時間orPV一定のスケールアップ
    • 8.1 非ニュートン流体の混合
    • 付録1 ゴールシークの使い方
    • 付録2 ソルバーの使い方

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