技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー

深刻化するプラスチックによる海洋汚染問題と今後期待される生分解性プラの現状と将来展望

深刻化するプラスチックによる海洋汚染問題と今後期待される生分解性プラの現状と将来展望

~世界的に押し寄せる法規制の荒波の中で~
東京都 開催 会場 開催

概要

本セミナーでは、欧州・インド・台湾・日本等のプラスチックや有機廃棄物に関する規制・法制化状況等の情勢を踏まえて、生分解性プラスチックの技術・市場の動向と展望を解説いたします。

開催日

  • 2018年9月12日(水) 10時30分 16時30分

受講対象者

  • バイオプラスチック・ポリ乳酸に関連する技術者
    • 自動車分野
    • 電気・電子分野
    • スポーツ分野 など
  • バイオプラスチック・ポリ乳酸に関連する分野のマーケティング担当者、事業企画担当者、経営者

修得知識

  • 地球環境保全と資源循環型社会に向けての法規制動向と基準認証制度
  • 生分解性プラスチックの最新技術 (材料設計と成形加工) と用途開発動向
  • 中心素材となる第二世代ポリ乳酸の特徴と期待される改善効果
  • 食品容器・包装材や農林・土木分野その他の用途・製品・市場開発動向

プログラム

 地球上のゴミの終着駅は海洋である。世界中の海洋には自然環境中に捨てられた又は流出した廃棄プラスチックが紫外線や熱、波浪などにより5mm以下に微粉砕化され、多数のマイクロチップとして漂っている。それらは魚や貝、鳥類などの体内からも多数検出され、今や健全な自然生態系の存続自体を危うくする世界的な大問題として浮上してきた。
 このように深刻な事態を受けて、使い捨てプラ容器・包装材の新たな法規制動向が環境先進地域である欧州のみならずインドや台湾などでも、そしてわが国でも来年度を目標に「プラスチック資源循環戦略」が制定されようとしている。
 このような背景下で、使用後は生ごみと共に再資源化 (堆肥化又はバイオガス化) 可能な生分解性プラスチックが地球環境保全と真の資源循環型社会構築のために注目されている。本講では、今後需要急拡大が予想される生分解性プラスチックに関して、上級者のみならず初級・中級者をも対象として、主として植物由来の生分解性プラスチックの現状と将来展望に関して基礎から応用まで幅広く分かり易く解説する。これまで産学両分野で約30年間、ポリ乳酸を中心とする生分解性プラの基礎・応用研究から技術・事業開発までを世界に先駆け成し遂げた講師による渾身のセミナーである。

  1. はじめに…地球環境・資源・廃棄物問題と生分解性プラスチック
    1. 地球環境・資源・廃棄物問題の抜本的解決のために
      1. 海洋汚染の実態
        • 地中海、南アジア、北極海、琵琶湖、その他海洋に棲む魚、貝や鳥たちの体内から無数のマイクロチップ
      2. 地球上に生命が生まれて38億年、地球はなぜ廃棄物で埋もれなかったのか?
      3. 自然界が有する真のリサイクルシステムである炭素循環へのリンク
    2. 生分解性プラスチックの識別表示と環境負荷低減効果
      1. “グリーンプラ”マーク…日本バイオプラスチック協会 (JBPA) 識別表示制度
      2. カーボン・フットプリント…LCAによる環境負荷の客観的・定量的評価
    3. 持続的な資源循環型社会の建設のために
      1. 欧米グリーンガイド指針…biodegradableではなくcompostable
      2. バイオリサイクルによる再資源化…堆肥化 (好気性下) とバイオガス化 (嫌気性下)
      3. Compostable (堆肥化可能) 認証基準
      4. EN13432 by Din Certco ② ASTM D6400 by BPI ③ OK Compost by Vincotte
    4. 欧州その他のプラスチックや有機廃棄物に関する規制と法制化動向
      1. イタリア
        • 生分解性以外のレジ袋使用禁止、生分解性生ゴミ袋義務化 (2014年)
      2. ドイツ
        • リサイクル法改正、有機廃棄物分別収集の義務化 (2015年)
      3. フランス
        • 使い捨てプラスチック容器禁止の新法制定 (2020年より)
      4. インド
        • 使い捨てプラ製品の全廃 (2022年)
      5. 台湾
        • ストローやカップ、レジ袋を全廃 (2030年)
      6. 日本
        • 「プラスチック資源循環戦略」策定 (2019年)
  2. 生分解性プラスチックの分類と基本特性
    1. 生分解性プラスチックの分類
      1. 硬質タイプ
        • ポリ乳酸 (PLA) :Ingeo®/NatureWorks, Luminy®/Total – Corbion
      2. 軟質タイプ
        1. ポリブチレンアジペート・テレフタレート (PBAT) :Ecoflex®, Ecovio®/BASF
        2. ポリブチレンサクシネート (PBS) :BioPBS®/PTT MCC
    2. 生分解性特性
      1. 生分解挙動様式
        1. 自然環境下 (土中、水中など) での生分解
        2. バイオリサイクル条件下…堆肥化 (好気性下) 又はバイオガス化 (嫌気性化)
      2. 生分解機構
        1. 酵素分解型 (PBS, PBAT) …surface erosion (表面から溶かされていく)
        2. 非酵素分解型 (PLA) …bulk degradation (特異的2段階2様式分解機構)
    3. 安全性/食品衛生性の認証基準
      • 食品衛生法370号
      • ポリ衛恊
      • FCN
      • EU
  3. ポリ乳酸 (PLA)
    1. 第二世代PLA…高L組成ポリ乳酸 (high L PLA) (%D<0.5, Tm=175℃)
      1. D体共重合比 (%D) が結晶化速度や熱的・機械的特性に及ぼす影響
      2. 高L組成ポリ乳酸の改良効果
        • 耐熱性
        • 寸法安定性
        • 強度
        • 成形加工性
    2. PLAの高性能・高機能化材料設計技術の進展
      1. 耐衝撃性
        • 可塑剤
        • 耐衝撃性改良剤
        • マルチ機能改質剤
      2. 耐熱性
        • 造核剤
        • 結晶化促進剤
      3. 透明耐熱性
        • 溶解型核剤・結晶化促進剤
      4. 耐久性 (耐湿熱性)
        • 加水分解抑制剤
    3. PLAの成形加工と用途・市場開発動向
      1. 成形加工分野
        • 繊維・不織布・モノフィラメント
        • フィルム・シート
        • 真空・圧空成形
        • 射出成形
        • 発泡成形
        • ブロー成形
      2. 用途・製品・市場開発動向
        1. 食品容器・包装材
          • 青果物容器
          • 使い捨て食器具
          • リターナブル食器
          • ティバッグ
          • 生ごみ水切りネット
        2. 農林・土木・園芸分野
          • 防草シート
          • バーチカルドレインシート
          • 土嚢
          • 植樹ポット
          • 植栽ネット
          • シェールガス採掘用目止材
        3. 生活雑貨分野
          • エコバッグ
          • タオル
          • ワイパー
          • シュリンク包装・ラベル
          • 封筒窓貼り
          • ブリスターパック
        4. 耐久性構造材料
          • 電子機器筐体・部品
          • 自動車内装材
          • ヘルメットライナー
          • 3Dプリンター用モノフィラメント
  4. ポリブチレンアジペート・テレフタレート (PBAT) 系
    1. 種類と基本特性
      1. ecoflex® (PBAT)
        • 柔軟性 (Tg= – 35℃)
        • 強靭性
        • 低融点 (Tm=110 – 120℃)
      2. ecovio®…PBAT/PLAのコンパウンド樹脂
    2. 成形加工分野
      • ブローンフィルム
      • 射出成形
      • 真空・圧空成形
      • 発泡成形
    3. 用途
      • 農業用マルチフィルム
      • 林業用シート
      • 生ごみ袋
      • 紙ラミ・コーティング
      • レジ袋
      • 簡易食器具
      • コーヒーカプセル
      • PLAやデンプン系生分解性樹脂の改質剤
  5. ポリブチレンサクシネート (PBS) 系
    1. 基本特性
      • 柔軟性 (Tg= – 47~ – 35℃)
      • 低融点 (Tm=84~115℃)
    2. 成形加工分野
      • ブローンフィルム
      • シート
      • モノフィラメント
      • 真空・圧空成形
      • 射出成形
    3. 用途
      • 紙ラミ・コーティング
      • 軟包装
      • マルチフィルム
      • 林業用シート
      • モノフィラメント
      • 簡易食器具
      • コーヒーカプセル
      • ポリ乳酸改質剤
  6. その他生分解性プラスチック
    1. ポリグリコール酸 (PGA)
      • クレダックス (Kuredux) ®/クレハ
    2. ポリハイドロキシアルカノエート (PHA) 系
      • アオニレックス (AONILEX) ®/カネカ
    3. デンプン系
      • マタビィ (Mater-Bi) ®/Novamont
    • 質疑応答

講師

会場

AP浜松町

B1F Oルーム

東京都 港区 芝公園2-4-1 芝パークビルB館地下1F
AP浜松町の地図

主催

お支払い方法、キャンセルの可否は、必ずお申し込み前にご確認をお願いいたします。

お問い合わせ

本セミナーに関するお問い合わせは tech-seminar.jpのお問い合わせからお願いいたします。
(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 42,750円 (税別) / 46,170円 (税込)
複数名
: 22,500円 (税別) / 24,300円 (税込)

複数名同時受講の割引特典について

  • 2名様以上でお申込みの場合、
    1名あたり 22,500円(税別) / 24,300円(税込) で受講いただけます。
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 42,750円(税別) / 46,170円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 45,000円(税別) / 48,600円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 67,500円(税別) / 72,900円(税込)
  • 受講者全員が会員登録をしていただいた場合に限ります。
  • 同一法人内(グループ会社でも可)による複数名同時申込みのみ適用いたします。
  • 受講券、請求書は、代表者にご郵送いたします。
  • 請求書および領収書は1名様ごとに発行可能です。
    申込みフォームの通信欄に「請求書1名ごと発行」と記入ください。
  • 他の割引は併用できません。
本セミナーは終了いたしました。

これから開催される関連セミナー

開始日時 会場 開催方法
2024/12/5 乳化重合・ソープフリー乳化重合によるポリマー微粒子の合成と粒子径・形状制御 オンライン
2024/12/6 プラスチック用添加剤の作用機構と使い方 東京都 会場
2024/12/6 架橋ポリオレフィンのマテリアルリサイクル技術の現状と動向 オンライン
2024/12/9 二軸スクリュ押出機を用いたリアクティブプロセシング技術の基礎から応用へ オンライン
2024/12/9 架橋技術によるポリマーの性能向上と物性・特性改良方法 オンライン
2024/12/9 高分子材料の末端基・構造解析テクニック オンライン
2024/12/10 樹脂部品の特性と材料費/加工費/型費の概算法から検図法まで学ぶ超実務設計 オンライン
2024/12/10 フィラー最密充填構造設計とポリマー系複合材料の高熱伝導化 オンライン
2024/12/10 高分子材料の劣化・変色技術の基礎と防止処方技術 オンライン
2024/12/11 低誘電特性樹脂の技術開発動向と設計手法 オンライン
2024/12/11 チクソ性の基礎、制御、測定・評価と実用系への活用方法 オンライン
2024/12/11 ポリマー・高分子材料のモノマー化・解重合技術の基礎とケミカルリサイクルの技術動向 オンライン
2024/12/12 自動車リサイクルの日本および世界の現状と今後のリサイクル戦略 オンライン
2024/12/13 高分子絶縁材料の劣化・絶縁破壊メカニズムと計測・データ解釈法 オンライン
2024/12/13 プラスチック加飾技術の最新動向と今後の展望 オンライン
2024/12/13 エポキシ樹脂の基礎、硬化剤との反応および副資材による機能化 オンライン
2024/12/16 架橋剤を使うための総合知識 オンライン
2024/12/16 フィラー最密充填構造設計とポリマー系複合材料の高熱伝導化 オンライン
2024/12/16 熱可塑性エポキシ樹脂の基礎と応用 オンライン
2024/12/17 高感度化フォトレジスト材料の合成・設計・開発技術 オンライン

関連する出版物

発行年月
2018/7/31 高耐熱樹脂の開発事例集
2018/4/12 自動車用プラスチック部品の開発・採用の最新動向 2018
2018/3/19 射出成形機〔2018年版〕 技術開発実態分析調査報告書
2018/3/18 射出成形機〔2018年版〕 技術開発実態分析調査報告書 (CD-ROM版)
2017/7/31 プラスチック成形品における残留ひずみの発生メカニズムおよび対策とアニール処理技術
2017/7/31 機能性モノマーの選び方・使い方 事例集
2017/6/19 ゴム・エラストマー分析の基礎と応用
2017/2/27 プラスチックの破損・破壊メカニズムと耐衝撃性向上技術
2017/1/31 放熱・高耐熱材料の特性向上と熱対策技術
2016/8/31 ポリマーアロイにおける相溶性の基礎と物性制御ノウハウ
2014/11/30 繊維強化プラスチック(FRP)〔2015年版〕 技術開発実態分析調査報告書 (CD-ROM版)
2014/8/28 高分子の劣化・変色メカニズムとその対策および評価方法
2014/6/15 射出成形機〔2014年版〕 技術開発実態分析調査報告書 (CD-ROM版)
2014/6/15 射出成形機〔2014年版〕 技術開発実態分析調査報告書
2013/9/2 機能性エラストマー市場の徹底分析
2013/5/20 ドラッグデリバリーシステム 技術開発実態分析調査報告書 (CD-ROM版)
2013/5/20 ドラッグデリバリーシステム 技術開発実態分析調査報告書
2013/4/25 新しいプロピレン製造プロセス
2013/4/5 高分子の延伸による構造と配向の発現およびそれらの制御法を利用した材料開発
2013/3/27 医薬品・食品包装の設計と規制・規格動向 - 品質・安全・使用性向上のために -