技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー

急性腎障害における求められる薬剤と新規治療法の開発

急性腎障害における求められる薬剤と新規治療法の開発

~動物モデルと臨床で効果が違う / モデル毎の問題、改善点がわかる~
東京都 開催 会場 開催

開催日

  • 2016年3月30日(水) 11時00分 16時30分

プログラム

第1部. 急性腎障害 (AKI) の原因別治療の現状と限界

(2016年3月30日 11:00〜12:30)

 急性腎不全 (Acute Renal Failure: ARF) は以前からよく知られている病態であるが、腎機能低下、尿毒素排泄障害、水分調節障害、電解質調節異常など病態が完成してから治療を行うという“守り”の医療であった。 急性腎障害 (Acute Kidney Injury: AKI) は2005年に作られた疾患概念で、腎機能低下がその症例の予後を極めて悪くするので、従来のARFで必須条件であった高窒素血症、水・電解質・酸塩基平衡などの異常を待つことなく、尿量減少を目安にするという“攻め”の医療に変わった。 このAKIについて、その原因とそれに対する治療方針について述べたい。

  1. 急性腎不全 (ARF) から急性腎障害 (AKI) へ
    1. ARFの歴史、治療
    2. AKI (Acute Kidney Injury) とは
    3. 定義、分類
    4. 血清クレアチニンの問題点
    5. 新しいbiomaker
    6. 肺腎症候群
  2. AKIを起こす特殊な疾患・病態
    1. 薬剤性AKI
    2. Atypical HUS (aHUS)
    3. 肝腎症候群 (Hepato-Renal Syndrome: HRS)
    4. 腫瘍崩壊症候群 (Tumor Lysis Syndrome;TLS)
    5. 造影剤による腎障害 (Contrast-medium Induced Nephropathy: CIN)
    6. 敗血症とAKI
    7. 骨髄腫とAKI
  3. AKIに対する透析療法
    1. 透析導入と離脱
    2. 特殊な透析方法
    • 質疑応答

第2部. 生体内異物除去機構に基づく急性腎障害 (AKI) の新規治療法開発

(2016年3月30日 13:15〜14:45)

 これまで確実な治療法が確立していなかった急性腎不全における、全く新しい治癒機構の発見とその治療応用の可能性について講演する 。
 生体内では、細胞の癌化や細胞の死、タンパク質の変性など、生体にとり好ましくない、さまざまな異常が常に発生している。このようにして生まれた異物・不要物は通常マクロファージを始めとした貪食細胞によって速やかに除去され、組織の修復が誘導されることにより、生体の恒常性は維持されている。この異物除去機構に障害があると、異物の蓄積により正常な組織構築が崩れるともに、二次的な炎症や線維化が惹起され、“異常”は様々な“疾患”となる。私たちは、血液中に存在するAIM分子が貪食細胞による異物認識の要として働き、それが急性腎障害 (AKI) の回復において重要な役割をはたしていることを見出した。
 AKIでは、壊死した近位尿細管上皮細胞 (デブリ) が尿細菅腔を閉塞し、糸球体濾過機能低下や炎症を惹起し腎機能を悪化させることが特徴である。私たちは、AIMがデブリの迅速な除去とそれに続くAKIからの回復を促す鍵となる分子であることを明らかにした。AIMは、通常血液中でIgM五量体と巨大な複合体を形成しており尿中に排泄されることはない。しかしAKI発症と共に、AIMが尿中に排泄され近位尿細管を閉塞しているデブリ表面に蓄積する。それがシグナルとなり、尿細管上皮や貪食細胞によって急速にデブリ除去が進行することが明らかとなった。実際に、虚血再灌流法によりマウスにAKIを誘導すると、野生型 (WT) マウスに比べてマウスとAIM欠損 (KO) マウスではデブリの除去が障害され、その結果著しく悪化する腎障害によって高い致死率を呈する。一方、精製したAIMを投与することによって、KOマウスのみならず、重症例のWTマウスにおいてもAKIからの顕著な回復を促すことに成功した。
 今回の講演では、こうしたAIMによる異物認識・除去機構によるAKI回復のメカニズムについて新しい知見を紹介し、AKI対する新規治療法開発の可能性を提示する。

第3部. 非臨床試験におけるモデルの作成と安全性・有効性評価指標

(2016年3月30日 15:00〜16:30)

 急性腎障害 (AKI) モデル動物に対する治療効果を示す薬物は、毎年数多く報告されているが、いまだに実臨床においてAKIに対する治療薬はない。その一因として、動物モデルと臨床におけるAKIの実際との乖離が挙げられている。今回、基礎研究にて用いられている動物モデルの種類と、個々の改善すべき点について概説する。また、AKIに対する治療効果を判定する指標についても、紹介する。

  1. 急性腎障害に対する治療薬開発
  2. 実験的急性腎障害モデルの作成方法と特徴
    1. 敗血症モデル
    2. 虚血性モデル
    3. 薬剤性モデル
    4. その他のモデル
  3. 実験的急性腎障害に対する治療効果判定
    1. 血清パラメーター
    2. 尿中マーカー
    3. 病理組織学的所見
    4. その他の指標
    • 質疑応答

講師

  • 吉田 篤博
    名古屋市立大学 地域医療連携センター
    センター長
  • 宮崎 徹
    東京大学 大学院 医学系研究科 分子病態医科学部門
    教授
  • 中野 大介
    香川大学 医学部 形態機能医学講座 薬理学
    助教

会場

株式会社 技術情報協会
東京都 品川区 西五反田2-29-5 日幸五反田ビル8F
株式会社 技術情報協会の地図

主催

お支払い方法、キャンセルの可否は、必ずお申し込み前にご確認をお願いいたします。

お問い合わせ

本セミナーに関するお問い合わせは tech-seminar.jpのお問い合わせからお願いいたします。
(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 55,000円 (税別) / 59,400円 (税込)
複数名
: 50,000円 (税別) / 54,000円 (税込)

複数名同時受講割引について

  • 2名様以上でお申込みの場合、
    1名あたり 50,000円(税別) / 54,000円(税込) で受講いただけます。
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 55,000円(税別) / 59,400円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 100,000円(税別) / 108,000円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 150,000円(税別) / 162,000円(税込)
  • 同一法人内による複数名同時申込みのみ適用いたします。
  • 受講券、請求書は、代表者にご郵送いたします。
  • 他の割引は併用できません。
本セミナーは終了いたしました。

これから開催される関連セミナー

開始日時 会場 開催方法
2024/12/20 ソーシャルリスニングからの患者さんの声の事例紹介と活用のためのワークショップ体験 東京都 会場
2024/12/20 QA業務 (GMP監査・自己点検) 入門講座 オンライン
2024/12/20 医薬品開発段階での処方・製法変更におけるBE試験の考え方と生物学的同等性確保のための開発戦略 オンライン
2024/12/20 ペプチド医薬品の疾患別事例からみる市場性およびペプチドの合成・分析のポイント オンライン
2024/12/23 GMP教育とQuality Culture醸成のポイント オンライン
2024/12/23 日米欧当局のプロセスバリデーションにおける要求事項と承認申請にむけた準備について オンライン
2024/12/23 PIC/Sを踏まえた治験薬GMPガイドラインと運用上の注意点および三極 (日米欧) 規制の解説 オンライン
2024/12/23 承認申請パッケージにおける海外データ利用と開発戦略 オンライン
2024/12/23 承認申請にむけた個別症例安全性報告 (ICSR) の取り扱いと評価 オンライン
2024/12/23 GMP省令対応:医薬製造所における製品品質照査と品質システムの構築 (PQS) オンライン
2024/12/24 NPV (Net Present Value) 計算による医薬品事業性評価の基礎知識 オンライン
2024/12/24 インド・中国における医薬品薬事戦略と現地対応ノウハウ オンライン
2024/12/24 核酸医薬品の品質管理および分析・評価のポイント オンライン
2024/12/24 体外診断用医薬品における承認申請書作成ノウハウおよびPMDA相談のポイント オンライン
2024/12/25 グローバル開発における承認申請のための医薬英語/英文ライティング入門 オンライン
2024/12/26 簡便化、抜け防止の観点をふまえたGMP SOP/製造指図記録書の形式・作成 (改訂) ・記入方法 オンライン
2024/12/26 再生医療等製品/細胞治療製品における規制要件の理解と申請書作成のポイント (入門講座) オンライン
2024/12/26 原薬GMP/ICH Q7・Q11の要件理解と原薬プロセスバリデーション実施時の注意点 オンライン
2024/12/27 PIC/Sを踏まえた治験薬GMPガイドラインと運用上の注意点および三極 (日米欧) 規制の解説 オンライン
2024/12/27 英文メディカルライティング基礎講座 オンライン

関連する出版物

発行年月
2020/3/30 当局要求をふまえたデータインテグリティ手順書作成の要点
2020/3/24 リアルワールドデータの使用目的に応じた解析手法 - 各データベースの選択と組み合わせ -
2020/2/27 海外データ (試験施設) /海外導入品の信頼性基準適用と効率的なデータ利用・CTD申請
2020/1/30 凍結乾燥の最適な条件設定による品質の安定化 - ラボ機と生産機の性能の違いを反映させたスケールアップ -
2019/8/1 データインテグリティ規程・手順書
2019/6/27 EU GVP Module I /ISO9001要求をふまえたQuality Management System の実装と運用
2019/6/27 FDAが要求するCAPA導入の留意点
2019/5/31 医薬品モダリティの特許戦略と技術開発動向
2019/4/24 洗浄バリデーション実施ノウハウと実務Q&A集
2018/11/30 希少疾患用医薬品の適応拡大と事業性評価
2018/10/30 高薬理活性医薬品封じ込めQ&A集 Part2
2018/9/28 腸内細菌叢を標的にした医薬品と保健機能食品の開発
2018/8/31 がん治療で起こる副作用・合併症の治療法と薬剤開発
2018/7/31 医薬品・医療機器・再生医療開発におけるオープンイノベーションの取り組み 事例集
2018/6/29 医薬品グローバル開発に必要な英語実務集
2018/5/30 GVP Module改訂をふまえたEU Pharmacovigilance規制の実装
2018/5/18 創薬のための細胞利用技術の最新動向と市場
2018/4/25 統計学的アプローチを活用した分析法バリデーションの評価及び妥当性
2018/1/30 バイオ医薬品のCTD-Q作成 - 妥当性の根拠とまとめ方 -
2017/10/27 国際共同試験におけるICH-E6改訂のインパクト・QMS構築