「タンパク質溶液の凝集と液-液相分離」「凝集体最小化・微粒子発生抑制」コース
東京都 開催
会場 開催
開催日
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2019年3月26日(火) 10時30分
~
16時30分
-
2019年3月27日(水) 10時30分
~
17時15分
プログラム
タンパク質は水溶液中で凝集しやすい性質があり、バイオ医薬品の応用などで課題になることが多いです。また、タンパク質は本質的に集まりやすい性質があり、最近では細胞内にある液 – 液相分離の現象の発見と新しい生命現象との関連が取りざたされています。
本講演では、タンパク質の溶液状態のメカニズムと制御について紹介したい。まず、タンパク質の不溶性凝集のメカニズムから、凝集をふせぐさまざまな低分子の仕組みまでの基本的な事項を紹介いたします。続いて、高分子を利用するタンパク質の機能制御や濃縮などの応用をお話しします。最後に、細胞内にある液 – 液相分離の現象について、プリオンやFUSなどの液 – 液相分離の仕組みや、細胞内オーガナイザーとしての液 – 液相分離の仕組みと最近のトピックを紹介します。
タンパク質の溶液状態に関して研究している講演者が、タンパク質の凝集の仕組みや、凝集を制御する溶液のデザイン、生命科学でトピックになっている液 – 液相分離に関して、基本的な事項からお話しいたいます。
- タンパク質の凝集
- タンパク質の凝集とは
- タンパク質構造の安定化
- タンパク質凝集抑制剤の探索と利用
- 溶解性を制御するホフマイスター系列
- タンパク質構造を安定化するオスモライト
- アルギニンテクノロジー
- アルギニンによるタンパク質の凝集抑制
- カチオンπ相互作用による芳香族化合物の溶解性の改善
- アルギニンの凝集抑制のメカニズム
- タンパク質溶液の粘度と低分子添加剤による制御法
- アルギニンの溶液添加剤としてのメカニズム
- タンパク質高分子電解質複合体
- 水溶液中での酵素機能のオンオフ制御
- 高分子電解質を用いた酵素の超活性化
- 沈殿再溶解法によるタンパク質の濃縮
- タンパク質高分子電解質複合体によるタンパク質の安定化
- 非共有結合によるPEGylation
- 液 – 液相分離と膜のないオルガネラ
- 細胞内にある液 – 液相分離の「再発見」
- 液 – 液相分離のメカニズム
- 転写・翻訳と液 – 液相分離
- mTORC1・自然免疫応答と液 – 液相分離
- 酵素の区画化と連続反応の制御
- アミロイドと液 – 液相分離
- FUSタンパク質とアミロイド
- アミロイド形成の低分子コントロールの可能性
- 酵母プリオンの凝集と液 – 液相分離
- なぜプリオンが種を超えて保存されてきたのか
- 細胞が利用するゲル化とタンパク質安定化
第1部 バイオ医薬品における凝集体発生の予測/相関する因子と測定方法
(2019年3月27日 10:30~12:30)
近年、バイオ医薬品に含まれる蛋白質凝集体の免疫原性が懸念されており、凝集体の発生機構の理解と発生の抑制は重要な課題である。本講演では、バイオ医薬品の凝集体発生の予測や抑制のために有用な因子について、各因子の物理的意味と安定性との関係、各因子の評価方法について概説する。
- タンパク質の凝集メカニズム
- タンパク質の凝集メカニズム
- タンパク質の凝集に関わる因子
- タンパク質の凝集に関わる因子の評価方法
- コロイド安定性の評価方法
- 第2ビリアル係数
- 拡散係数の濃度依存性
- 電荷の意味、電荷の測定方法
- 電荷とコロイド安定性の関係
- 構造安定性の評価方法
- 熱安定性、Tonset, Tm, Tagg
- 変性剤安定性、Cm, ΔGH2O
- 評価に用いる各測定方法の原理と実際
- 示差走査型熱量測定 (DSC)
- 動的光散乱 (DLS) 、静的光散乱 (SLS)
- 分光学的手法
第2部 抗体医薬品の凝集体の最小化:凝集体除去と凝集化抑制
(2019年3月27日 13:15~15:30)
抗体医薬品の急速な需要拡大に伴い、有効性と安全性が担保された高品質・高効率な製造技術が求められている。タンパク質である抗体医薬品は、不安定な巨大高分子であるため、製造工程中に劣化しやすく、さまざまな目的物質由来不純物が生じる。その中でも抗体医薬品の凝集体は、薬理作用の低下だけではなく、免疫原性の原因とも考えられており、2014年に発表されたFDAガイドラインでは、リスク管理の観点から、凝集体量を可能な限り減らすことを製造者に推奨している。
本講座では、抗体医薬品の凝集体に焦点を当てて、基本的な事項を解説したのち、凝集体の除去技術および抑制技術に関する演者らの研究開発の一端をを紹介する。
- 品質分析のフロンティア
- 免疫原性に関わるFDAガイダンス
- 凝集体の分類
- 凝集化のメカニズム
- コンフォメーション安定性とコロイド安定性
- 化学劣化、物理劣化、生物学的劣化
- 溶解度と分子間ポテンシャル
- 凝集体を分析する
- 凝集体を除去する
- 凝集化を抑制する
- 添加剤によるタンパク質の安定化
- 抗体医薬品の添加剤トレンド
- 最新技術紹介
- 立体構造に異常が生じた抗体のみを選択的に捕捉する吸着剤
- 製造工程で取り残されている粒径の小さい抗体凝集体の除去
- 凝集前駆体を除去すると、保管中の抗体溶液の凝集体発生が低減
第3部 バイオ医薬品/プレフィラブルシリンジにおける微粒子発生抑制
(2019年3月27日 15:45~17:15)
近年、バイオ医薬品の開発が盛んに行われる中、安全性に対する要求が非常に高まっている。ここで、バイオ医薬品中の有効成分はタンパク質であるため、物理的・化学的刺激により、変性・凝集し、微粒子を形成することにより免疫原性が発現し、患者さんに副作用を引き起こす課題である。
本講演では、バイオ医薬品中の微粒子発生要因を整理するとともに、シリンジシステムの微粒子抑制の実現に至る考え方と技術的アプローチについて紹介する。
- バイオ医薬品の課題と対策
- 最大の課題は免疫原性
- 免疫原性の発生要因について
- バイオ医薬品中の微粒子問題
- プレフィラブルシリンジにおける凝集体・微粒子発生抑制方法
- 医薬品容器からの溶出物抑制
- Extractable/Leachable (E/L) による影響
- プラシリンジとガラスシリンジとの比較
- シリコンオイルによる影響
- タンパクの凝集リスク
- タンパクの凝集発生メカニズム
- 薬剤処方 (界面活性剤) による影響
- 滅菌方法による影響
- 滅菌法による特性比較
- 放射線滅菌 (電子線、γ線) による影響
- シリンジ内のラジカル残存
- バイオ医薬品の酸化リスク
- バイオ医薬品の凝集リスク
- バイオ医薬品の凝集発生メカニズム
- エチレンオキシド (EOG) 滅菌による影響
- シリンジ内のEOG残存
- バイオ医薬品の変性リスク
- バイオ医薬品の変性メカニズム
- まとめ
講師
-
内山 進 氏
大阪大学
工学研究科
生命先端工学専攻
教授
本田 真也 氏
産業技術総合研究所
生命工学領域
バイオメディカル研究部門
副研究部門長
木南 英明 氏
テルモ株式会社
コーポレートR&Dセンター
コアテクノロジーグループ
リサーチリーダー
主催
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