技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー

生分解性プラスチックの本格的実用化時代の到来と技術・市場開発動向

生分解性プラスチックの本格的実用化時代の到来と技術・市場開発動向

~フランスで「使い捨てプラスチック容器の使用禁止」新法の制定~
京都府 開催 会場 開催

概要

本セミナーでは、欧州のプラスチックや有機廃棄物に関する規制・法制化状況等の情勢を踏まえて、生分解性プラスチックの技術・市場の動向と展望を解説いたします。

開催日

  • 2017年10月12日(木) 10時30分 16時30分

受講対象者

  • バイオプラスチック・ポリ乳酸に関連する技術者
    • 自動車分野
    • 電気・電子分野
    • スポーツ分野 など
  • バイオプラスチック・ポリ乳酸に関連する分野のマーケティング担当者、事業企画担当者、経営者

修得知識

  • 地球環境保全と資源循環型社会に向けての法規制と基準認証取得状況
  • 生分解性プラスチックの最新技術 (材料設計と成形加工) と用途開発動向
  • 第二世代ポリ乳酸の特徴と期待される改善効果
  • 食品容器・包装材や農林・土木分野その他における技術・市場開発動向

プログラム

 フランス政府は世界に先駆け2020年より使い捨てプラ容器の禁止に係る新法を制定し、生ごみと共に堆肥化可能な生分解性プラスチック容器への転換 (50%<) を政策目標として掲げた。折しも、オランダのCorbion-Purac社はNatureWorks社 (米) に続く世界で二番目のポリ乳酸の大型商業プラントの建設に着手した。従来の既成概念・価値観を根底から覆す真に革新的な全ての新技術が辿る社会的認知度曲線 (ハイプ・サイクル/ガートナー) からすれば、生分解性プラスチックは1980年代の「黎明期」から新規性が喧伝される過度な期待ピークの「流行期」を経て、その後技術改良やコスト低減に時間を要する「幻滅期」に入ったが、今や技術も進歩し市場環境も整う中で再度登場する「回復期」に入りつつあり、今後は着実な市場拡大と成長が見込まれる「安定期」に至ると想定される。
 本講では、今後需要拡大が予想される生分解性プラスチックに関して、特に使い捨て容器・簡易食器具・包装材や農林・土木・園芸分野を中心に、最新の材料設計や成形加工技術の進展、さらには近年の市場開発動向について詳述する。これまで産学両分野で約30年間、ポリ乳酸を中心とする生分解性プラスチックの基礎・応用研究から技術・事業開発までを世界に先駆け成し遂げた講師による渾身のセミナーである。

  1. はじめに
    …地球環境・資源・廃棄物問題と生分解性プラスチック
    1. 地球環境・資源・廃棄物問題の抜本的解決のために
      1. 地球上のゴミの終着駅、海洋に浮遊、沈積する無数のマイクロチップが鳥や魚たちの命を奪い自然生態系を破壊している!
      2. 地球上に生命が生まれて38億年、地球はなぜ廃棄物で埋もれなかったのか?
      3. 自然界が有する真のリサイクルシステムである炭素循環へのリンク
    2. 生分解性プラスチックと環境負荷低減効果
      1. “グリーンプラ”マーク…日本バイオプラスチック協会 (JBPA) 識別表示制度
      2. カーボン・フットプリント…LCAによる環境負荷の客観的・定量的評価
    3. 生分解性プラスチックの分類
      1. 熱的・機械的特性…硬質タイプと軟質タイプ
      2. 生分解機構…酵素分解型と非酵素分解型
    4. 持続的な資源循環型社会の建設のために
      1. 欧米グリーンガイド指針…biodegradableではなくcompostable
      2. バイオリサイクル…堆肥化 (好気性下) とバイオガス化 (嫌気性下)
      3. Compostable (堆肥化可能) 認証基準
        1. EN13432 by Din Certco
        2. ASTM D6400 by BPI
        3. OK Compost by Vincotte
    5. 欧州のプラスチックや有機廃棄物に関する規制と法制化状況
      1. 有機廃棄物分別収集の義務化…ドイツのリサイクル法改正 (2015年)
      2. 使い捨てプラスチック容器禁止法…世界初、フランスが新法制定 (2020年より)
  2. ポリ乳酸 (PLA)
    • インジオ (Ingeo) ®/NatureWorks, Total-Corbionほか
      1. PLAポリマーの基本特性と各種基準認証取得状況
        1. 基本特性…硬質生分解性プラスチック (Tm=130-175℃, Tg=57℃)
        2. 各種基準認証取得状況
        3. 生分解性、堆肥化可能性
        4. 安全性、食品衛生性 (食品衛生法370号、ポリ衛恊、FCN、EU)
        5. 生分解性
        6. 生分解機構…2段階・2様式の特異的非酵素的生分解機構
        7. 生分解挙動…土中分解、堆肥化 (好気性下) 、バイオガス化 (嫌気性下)
      2. PLA成形加工技術の進展
        1. 成形加工性とその支配的因子…溶融粘度、結晶化速度
        2. 成形加工工程における結晶化
        3. Melt Crystallization…メルトからの冷却固化過程における結晶化/押出成形、射出成形、ダイレクトブロー成形
        4. Cold Crystallization…室温から加熱昇温過程における結晶化/真空・圧空成形、発泡成形、インジェクションブロー成形
        5. 成形加工分野
          • 真空・圧空成形
          • 射出成形
          • 発泡成形
          • ブロー成形
          • フィルム
          • 紙ラミ
          • 繊維・不織布
      3. 第二世代PLA…高L組成ポリ乳酸 (high L PLA) (%D<0.5, Tm=175℃)
        1. D体共重合比 (%D) が結晶化速度や熱的・機械的特性に及ぼす影響
        2. 高L組成ポリ乳酸の改良効果…耐熱性、寸法安定性、強度
      4. PLAの高性能・高機能化材料設計技術
        1. 耐衝撃性…可塑剤、耐衝撃性改良剤、マルチ機能改質剤
        2. 耐熱性…結晶化促進剤
        3. 透明耐熱性…溶解型結晶化促進剤
        4. 耐久性 (耐湿熱性) …加水分解抑制剤
      5. 用途/市場開発動向
        1. 食品容器・包装材、食器具、食品フィルター、生ゴミ袋・ネット
          • 青果物容器
          • 使い捨て簡易食器具
          • リターナブル食器
          • 生ゴミ袋
          • ティバッグ
          • 水切りネット
        2. 農林・土木・園芸分野
          • グランドカバーシート
          • バーチカルドレインシート
          • 土嚢
          • 植樹ポット
          • シェールガス採掘用目止材
        3. 生活雑貨分野
          • エコバッグ
          • タオル
          • ワイパー
          • 封筒窓貼り
        4. その他
          • シュリンク包装・ラベル
          • ブリスターパック
          • 電子機器筐体・部品
          • 自動車内装材
          • ヘルメットライナー
          • 3Dプリンター用モノフィラメント
  3. ポリブチレンアジペート・テレフタレート (PBAT) 系
    • エコフレックス (ecoflex) ®, エコバイオ (ecovio) ®/BASF
      1. 基本特性
        1. ecoflex® (PBAT) …柔軟性 (Tg=-35℃) 、強靭性、低融点 (Tm=110-120℃)
        2. ecovio®…PBAT/PLAのコンパウンド樹脂
        3. 生分解性
          • 堆肥化可能
          • 土中分解
        4. 各種基準・認証取得状況
      2. 成形加工分野
        • ブローンフィルム
        • 射出成形
        • 真空・圧空成形
        • 発泡成形
      3. 用途
        • 農業用マルチフィルム
        • 林業用シート
        • 生ごみ袋
        • 紙ラミ・コーティング
        • レジ袋
        • 簡易食器具
        • コーヒーカプセル
        • PLAやデンプン系生分解性樹脂の改質剤
  4. ポリブチレンサクシネート (PBS) 系
    …バイオPBS (BioPBS) ®/PTT MCC BIOCHEM
    1. 基本特性
      1. PBS…柔軟性 (Tg=-47~-35℃) 、低融点 (Tm=84~115℃)
      2. 生分解性
        • 土中分解、堆肥化可能 (産業用、家庭用)
      3. 各種基準・認証取得状況
    2. 成形加工分野
      • ブローンフィルム
      • シート
      • モノフィラメント
      • 真空・圧空成形
      • 射出成形
    3. 用途
      • 紙ラミ・コーティング
      • 軟包装
      • マルチフィルム
      • 林業用シート
      • モノフィラメント
      • 簡易食器具
      • コーヒーカプセル
      • ポリ乳酸改質剤
  5. その他生分解性プラスチック
    1. ポリグリコール酸 (PGA) …クレダックス (Kuredux) ®/クレハ
    2. ポリハイドロキシアルカノエート (PHA) …アオニレックス (AONILEX) ®/カネカ
    3. デンプン系…マタビィ (Mater-Bi) ®/Novamont
    • 質疑応答・名刺交換

講師

会場

京都リサーチパーク

1号館 4F 中会議室B

京都府 京都市 下京区中堂寺南町134
京都リサーチパークの地図

主催

お支払い方法、キャンセルの可否は、必ずお申し込み前にご確認をお願いいたします。

お問い合わせ

本セミナーに関するお問い合わせは tech-seminar.jpのお問い合わせからお願いいたします。
(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 42,750円 (税別) / 46,170円 (税込)
複数名
: 22,500円 (税別) / 24,300円 (税込)

複数名同時受講の割引特典について

  • 2名様以上でお申込みの場合、
    1名あたり 22,500円(税別) / 24,300円(税込) で受講いただけます。
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 42,750円(税別) / 46,170円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 45,000円(税別) / 48,600円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 67,500円(税別) / 72,900円(税込)
  • 受講者全員が会員登録をしていただいた場合に限ります。
  • 同一法人内(グループ会社でも可)による複数名同時申込みのみ適用いたします。
  • 受講券、請求書は、代表者にご郵送いたします。
  • 請求書および領収書は1名様ごとに発行可能です。
    申込みフォームの通信欄に「請求書1名ごと発行」と記入ください。
  • 他の割引は併用できません。
本セミナーは終了いたしました。

これから開催される関連セミナー

開始日時 会場 開催方法
2025/1/6 チクソ性の基礎、制御、測定・評価と実用系への活用方法 オンライン
2025/1/7 高感度化フォトレジスト材料の合成・設計・開発技術 オンライン
2025/1/8 高分子・ポリマー材料の合成、重合反応の基礎、プロセスと工業化・実用化の総合知識 オンライン
2025/1/10 ゴム材料のトライボロジー入門 オンライン
2025/1/10 欧州連合 (EU) の食品包装規制と安全問題の最新動向 オンライン
2025/1/15 高分子重合反応の基礎とモノマー・開始剤の選定、プロセス最適化 オンライン
2025/1/16 プラスチック・樹脂における耐衝撃性向上技術と衝撃特性解析 オンライン
2025/1/20 「ポリプロピレン」の材料としての基本的な構造、特性、その応用 オンライン
2025/1/20 プラスチックのリサイクル促進に向けた材料設計・成形加工の技術と知識 オンライン
2025/1/21 ポリフェニレンサルファイド (PPS) 樹脂の基本特性と製造・加工技術および高機能化 オンライン
2025/1/22 欧州連合 (EU) の食品包装規制と安全問題の最新動向 オンライン
2025/1/27 増加する廃棄CFRP/CFRTPにおけるリサイクルの課題と炭素繊維回収の最先端およびRCF活用法と産業確立への指針 オンライン
2025/1/27 ポリフェニレンサルファイド (PPS) 樹脂の基本特性と製造・加工技術および高機能化 オンライン
2025/1/28 車載用プラスチック材料や成形法の基礎から最新活用法まで オンライン
2025/1/30 ポリウレタンの材料設計と構造・物性の制御と劣化対策 オンライン
2025/1/30 熱可塑性エラストマーの総合知識 オンライン
2025/1/30 天然由来の強化材を用いたコンポジットの基礎と成形方法・応用展開 オンライン
2025/1/30 重合反応の基礎・応用 オンライン
2025/1/30 ポリイミドの基礎とポリイミド系材料の低誘電率化・低誘電正接化 オンライン
2025/1/31 高分子へのフィラーのコンパウンド技術の基礎と応用 オンライン

関連する出版物

発行年月
2018/7/31 高耐熱樹脂の開発事例集
2018/4/12 自動車用プラスチック部品の開発・採用の最新動向 2018
2018/3/19 射出成形機〔2018年版〕 技術開発実態分析調査報告書
2018/3/18 射出成形機〔2018年版〕 技術開発実態分析調査報告書 (CD-ROM版)
2017/7/31 プラスチック成形品における残留ひずみの発生メカニズムおよび対策とアニール処理技術
2017/7/31 機能性モノマーの選び方・使い方 事例集
2017/6/19 ゴム・エラストマー分析の基礎と応用
2017/2/27 プラスチックの破損・破壊メカニズムと耐衝撃性向上技術
2017/1/31 放熱・高耐熱材料の特性向上と熱対策技術
2016/8/31 ポリマーアロイにおける相溶性の基礎と物性制御ノウハウ
2014/11/30 繊維強化プラスチック(FRP)〔2015年版〕 技術開発実態分析調査報告書 (CD-ROM版)
2014/8/28 高分子の劣化・変色メカニズムとその対策および評価方法
2014/6/15 射出成形機〔2014年版〕 技術開発実態分析調査報告書 (CD-ROM版)
2014/6/15 射出成形機〔2014年版〕 技術開発実態分析調査報告書
2013/9/2 機能性エラストマー市場の徹底分析
2013/5/20 ドラッグデリバリーシステム 技術開発実態分析調査報告書 (CD-ROM版)
2013/5/20 ドラッグデリバリーシステム 技術開発実態分析調査報告書
2013/4/25 新しいプロピレン製造プロセス
2013/4/5 高分子の延伸による構造と配向の発現およびそれらの制御法を利用した材料開発
2013/3/27 医薬品・食品包装の設計と規制・規格動向 - 品質・安全・使用性向上のために -