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糖鎖付加技術によるバイオ医薬品の高活性化

糖鎖付加技術によるバイオ医薬品の高活性化

~糖鎖構造の均一化技術と複雑な構造の解析手法~
東京都 開催 会場 開催

開催日

  • 2017年8月4日(金) 10時00分 17時15分

プログラム

第1部. バイオ医薬品における糖鎖の役割と糖鎖付加技術

(2017年8月4日 10:00〜11:30)

 バイオ医薬品において、糖鎖は血中安定性の増強や標的指向性の付与など、様々な役割を果たすが、従来、その制御は困難とされていた。その制御を可能にし、高機能バイオ医薬品開発を目指した、最近の糖鎖付加技術やその応用例について紹介する。

  1. バイオ医薬品における糖鎖の役割
    1. 分子としての糖鎖
    2. 糖鎖の役割
    3. 糖鎖を利用したバイオ医薬品開発事例
  2. バイオ医薬品に対する糖鎖付加技術① – 生物学的手法 –
    1. 細胞を利用した糖鎖付加技術
    2. 糖転移酵素を利用した糖鎖付加技術
  3. バイオ医薬品に対する糖鎖付加技術② – 化学的手法 –
    1. 化学修飾糖鎖を利用した糖鎖付加技術
    2. 糖ペプチド、糖タンパク質の化学合成技術
  4. 糖鎖付加技術を利用したバイオ医薬品開発
    1. 糖ペプチド薬の開発
    2. 糖タンパク質製剤の開発
    • 質疑応答

第2部. バイオ医薬品としての糖鎖の均一化技術

(2017年8月4日 11:45〜13:15)

 現在多くのバイオ医薬品は、目的タンパク質をコードする遺伝子を大腸菌、酵母、動物細胞などに導入し、その細胞を培養することで製造されている。糖鎖が付加するバイオ医薬品はその糖鎖構造が有効性や安全性に関与することがあり、製造現場において糖鎖構造の制御が求められる。しかし細胞培養法では糖鎖が不均一となるため、糖鎖構造を均一にする様々な技術が検討されている。
 本講演では糖鎖の均一化技術の現状と可能性を議論する。

  1. 細胞培養によるタンパク質発現と糖鎖付加
    • バイオ医薬品における糖鎖の機能と有効性・安全性への関与
    • 糖転移酵素による糖鎖修飾のメカニズムと不均一性
  2. 糖鎖の均一化へ向けた遺伝子改変細胞の利用
    • 動物細胞での糖転移酵素遺伝子の破壊と過剰発現
    • ヒト型糖鎖を生産する酵母の分子育種
  3. 糖鎖関連酵素によるin vitro修飾
    • 糖加水分解酵素による糖鎖の均一化
    • ヒト糖転移酵素遺伝子ライブラリーの構築と発現
    • 糖転移酵素による糖鎖修飾の実例
  4. トランスグリコシレーション反応による糖鎖修飾
    • トランスグリコシレーション反応と抗体糖鎖の均一化
    • 酵母由来エンド – β – N – アセチルグルコサミニダーゼEndo – Omの発見と糖鎖転移
  5. その他の糖鎖の均一化技術の課題と可能性
    • 質疑応答

第3部. 高純度糖鎖を用いた高い活性をもつバイオ医薬の開発

(2017年8月4日 14:00〜15:30)

 近年、糖鎖が付加した糖タンパク質、たとえば、ヒト型抗体、サイトカインが動物細胞で調製され製剤として広く利用されている。糖鎖は、ヒト体内でタンパク質が活性を発現するために必要不可欠であるが、その糖鎖の機能等、明確には理解されないまま糖タンパク質製剤として利用されている。また、それら糖鎖構造は一部の糖が常に不規則に欠如し、不均一な糖鎖構造の混合物となるため、どのような構造の糖鎖がタンパク質に必要なのか理解するのが困難である。
 本講演では、高純度の糖鎖をもつエリスロポエチン、インターフェロン、小型サイトカイを精密化学合成で調製し、それらを用いて、糖鎖が糖タンパク質の生合成経路でどのような役割を果たしているか、ヒト体液中でどのような役割を果たしているか調べた例を紹介する。

  1. 糖鎖の構造、種類
  2. 糖タンパク質の生合成経路
    • 小胞体での糖タンパク質フォールディング、ゴルジ装置でのシアル酸付加反応
  3. 糖タンパク質に必要な糖鎖の化学酵素的調製
  4. 糖タンパク質の精密化学合成
  5. 小胞体内での糖タンパク質のフォールディング
    • 糖タンパク質が正しくフォールディングする過程で、シャペロンやフォールディングセンサー酵素がどのようにミスフォールド糖タンパク質を見つけ、正しい3次元構造へと形成しているか、その機構について考察
  6. エリスロポエチンの化学合成と赤血球増殖活性

第4部. 微生物酵素を用いた糖鎖の付加反応の開発とバイオ医薬品への応用

(2017年8月4日 15:45〜17:15)

 動物細胞などによって生産される糖タンパク質の糖鎖の不均一性は同じ品質、同じ薬効が求められるバイオ医薬品の生産にとっては重要な問題である。
 我々はタンパク質に糖鎖を付加する技術として、微生物のエンドグリコシダーゼを用いる方法を開発し、糖タンパク質の不均一な構造の糖鎖を均一な糖鎖にリモデリングすることに成功するとともに、酵母によって遺伝子組換えされた糖タンパク質のバイオ医薬品を均一なヒト型糖鎖を持つ、ヒトに適合したバイオ医薬品への変換に応用した。

  1. 微生物のエンドグリコシダーゼについて
    • 特異な酵素作用
    • 酵素の起源
    • 酵素の機能
  2. エンドグリコシダーゼの特異性
    • 特異的な酵素の発見
    • 特異的な作用機作
    • 糖鎖転移活性
  3. エンドグリコシダーゼの糖転移活性を用いた糖鎖付加技術の開発
    • 糖転移活性の糖鎖付加技術への応用と開発
  4. エンドグリコシダーゼの糖転移活性を用いた生理活性物質の生産
    • 生理活性物質への糖鎖の付加による創薬とその生理活性
    • 生理活性糖ペプチドの化学 – 酵素合成
    • インフルエンザウィルス感染阻害剤の化学 – 酵素合成
  5. エンドグリコシダーゼの変異酵素による糖転移反応の効率化
    • 遺伝子組換えによる変異酵素の取得とそれを用いた糖鎖付加反応の効率化技術
  6. 糖タンパク質糖鎖のリモデリング
    • 糖タンパク質の糖鎖のすげ替え
    • 糖鎖の構造の均一化
  7. バイオ医薬品の生産への応用
    • 遺伝子組換え抗体のヒト型糖鎖へのリモデリング
    • 新しいバイオ医薬品の創出
    • 質疑応答

講師

  • 村瀬 健文
    株式会社 糖鎖工学研究所 事業部
    主任
  • 千葉 靖典
    国立研究開発法人 産業技術総合研究所 創薬基盤研究部門 糖鎖技術研究グループ
    上級主任研究員
  • 梶原 康宏
    大阪大学 大学院理学研究科 化学専攻 有機生物化学研究室
    教授
  • 山本 憲二
    石川県立大学 生物資源工学研究所
    特任教授

会場

株式会社 技術情報協会
東京都 品川区 西五反田2-29-5 日幸五反田ビル8F
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主催

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