技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー
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東京大学 大学院総合文化研究科 教授 博士 (医学) 福井 尚志 氏
変形性関節症 (osteoarthritis, OA) は我が国で最も患者数の多い関節疾患である。OAの罹患率は年齢とともに著しく増加する。このためOAは高齢者における生活機能の低下、自立喪失の大きな原因となっているが、現在行われている治療はすべて対症療法であって、疾患の進行を抑止する治療方法は確立されていない。この大きな理由はOAの病態が未だに解明されていないことにある。
OAは従来関節軟骨の疾患と捉えられてきた。しかし最近は関節を構成する軟骨以外の組織、滑膜や軟骨下骨に生じる変化も着目されるようになっており、痛みや腫れといったOAの主な症状の発現には軟骨以外の組織の変化がむしろ重要とも考えられている。
本講座ではOAの病態に関する現在までの知見をまとめて解説する。OAの病態に関して本質的と思われる知見を紹介するとともに最近の知見についても要点をお伝えし、またOAのバイオマーカー開発の現状と問題点についても概略を述べる。
京都大学 大学院医学研究科 人間健康科学系専攻 准教授 医学博士 青山 朋樹 氏
本邦において変形性膝関節症に罹患している患者数は700万人と推定され、50歳以上の人の二人に一人が対象となる。これは極めて魅力的なマーケットであり、新薬開発のモチベーションも高い。
しかしながら周囲を見渡すとそこまで多くの人が痛みを訴えているわけではない。そこに変形性関節症のトリックがあり、臨床試験を行う上で留意しないといけないポイントが隠されている。
本講演では、生物学的な視点から変形性膝関節症を捉え、病態を見直すことにより、臨床試験のデザインを行う際のポイントを考察する。