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脱"レアメタル"カップリング反応の最前線

鉄触媒・ヨウ素によるクロスカップリングを詳解する

脱"レアメタル"カップリング反応の最前線

東京都 開催 会場 開催

鉄やヨウ素等の非レアメタル触媒を使ったカップリング反応を徹底解説!

開催日

  • 2011年1月28日(金) 11時00分 17時05分

受講対象者

  • 有機材料、高分子材料の合成に関連する技術者

修得知識

  • 非レアメタル触媒を利用したカップリング反応の基礎
  • 鉄触媒・ヨウ素によるクロスカップリングの基礎

プログラム

第1部 (11:00~12:40)

鉄触媒によるクロスカップリング反応の研究動向と今後の展望

 有機化合物の精密合成において、ニッケル、銅、パラジウム、ロジウムなどの遷移金属はそれぞれ特異な反応性、触媒活性を示し、 大変な活躍ぶりを示す。
 これらの金属は、地殻中に数十ppmから数ppbの存在量しか無い「希少元素」であり、産業分野全体からの現在の需要に対しては数十年から数百年の耐用年数 (石油で言うところの可採年数) が見積もられている。

 我々の研究グループでは、10年ほど前から普遍性の高い金属を活用する精密有機合成反応の開発に取り組んでいる。始まりは、「希少金属の触媒機能を、鉄のような身近な遷移金属で代替することは可能か?」「普遍性の高い金属の触媒で希少金属触媒の機能を凌駕することは出来ないだろうか?」といった素朴な疑問・挑戦だった。
 卑金属鉱石から金を精錬しようとした古の錬金術師に自らの姿を重ね合わせながらのスタートではあったが、最近我々の開発してきた鉄および鉄族元素触媒によるクロスカップリング反応が、パラジウムやニッケルを触媒としたクロスカップリング反応とは異なる反応機構で進行していることが明らかとなってきた。

 本講演では、「元素科学」や「元素戦略」を念頭に置いた均一系触媒反応開発の一例として、鉄を触媒としたクロスカップリング反応の開発について、我々のこれまでの成果をまとめて紹介したいと思う

  1. はじめに
  2. 鉄触媒アルキル/アリールクロスカップリング反応
    1. 化学量論量の配位子および添加剤による反応制御
    2. 触媒量の配位子による反応制御
  3. 触媒によるアリール/アリールクロスカップリング
  4. おわりに

第2部 (13:20~15:00)

鉄-シリル錯体に秘められた驚異の触媒能

 鉄は地表部に最も多く存在する遷移金属であり、地球上に広く分布している。そのため、常に安価で安定的に供給できるという特徴を有している。しかし、良い触媒能を示す鉄の錯体はあまり知られていない。
 高い触媒能を示す金属の代表として白金があげられる。ところが白金は高価であり、さらに世界中で産出される92%が南アフリカとロシアに偏っているため、経済的・政治的理由で供給が途絶える危険性をはらんでいる。
 白金に限らず、他の安定的供給に問題のある金属を用いた触媒反応からなるべく早く脱却することが、産業の持続的発展には欠かせない。従って、これらの代替金属として鉄が利用できればそのインパクトは大きい。

 鉄を中心金属として、その配位子や反応条件等を種々工夫することにより、鉄錯体に高い触媒能を発現させ、さらに鉄錯体に特有の触媒反応を開発することが可能ではないかと考え、我々は鉄錯体を触媒とする反応を種々検討している。

 本講演では、シリル基を配位子とする鉄錯体に秘められた触媒能について、我々がが見出してきた反応を中心に解説する。

  1. 鉄の特徴について
  2. 鉄錯体について
  3. シリル基を有する鉄錯体による強い結合の切断反応
    1. 有機ニトリルのC-CN結合切断反応
    2. なぜ鉄シリル錯体でなければいけないのか
    3. 鉄錯体の触媒反応への展開
    4. シアナミドのN-CN結合切断反応
  4. 鉄錯体による脱水素カップリング反応
    1. ヒドロシランの脱水素カップリング反応
    2. ヒドロゲルマンの脱水素環化反応
    3. ヒドロゲルマン、ヒドロシランの脱水素ヘテロカップリング反応
  5. まとめ

第3部 (15:15~16:55)

ヨウ素反応剤を用いた 脱レアメタル-カップリング反応

 平成22年度のノーベル化学賞で話題となった、パラジウム触媒を用いたクロスカップリング反応は、有機金属を用いた反応の中でも最も重要なものの一つです。本反応は、機能性色素、医薬品、有機エレクトロニクス領域で重要な反応であるが、レアメタルを用いているので、特定産出国への依存度が高く、価格や供給面での問題が残っている。一方、我々が開発したヨウ素反応剤を用いるカップリング反応では、ヨウ素が日本が世界第2位の産出国であり、さらに、あらかじめ結びつける芳香環上に亜鉛やホウ素などの官能基化が不要なために、工程が簡略化され効率も高まり、製造コストの削減も期待される。
 本講演では、これらの反応の開発に至った背景から、最近の芳香環化合物やヘテロ芳香環化合物間のレアメタルを用いないカップリング反応について述べる。

  1. 環境調和型反応の開発
    1. 毒性の強い重金属酸化剤の代替
    2. 含フッ素アルコール溶媒の重要性
  2. ヨウ素反応剤による新反応の開発
    1. 基礎反応の開発
    2. 重要生物活性天然物合成
  3. 反応機構の考察
    1. 含フッ素アルコール中でのカチオンラジカル生成
    2. ヨードニウム中間体の生成
  4. 不斉合成への応用
  5. クロスカップリング反応
    1. フェノール誘導体におけるカップリング反応
    2. フェニルエーテル誘導体におけるカップリング反応
    3. 芳香環化合物間のカップリング反応
    4. ヘテロ環化合物におけるカップリング反応とその応用
  6. まとめ
    • 質疑応答

講師

  • 中村 正治
    京都大学 化学研究所 附属元素科学国際研究センター
    教授
  • 中沢 浩
    大阪市立大学 大学院 理学研究科
    教授
  • 北 泰行
    立命館大学 薬学部
    教授

会場

東京ビッグサイト

会議棟 6階 609会議室

東京都 江東区 有明3-11-1
東京ビッグサイトの地図

主催

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