技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー
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本書は、カーボンフットプリントの動きに、対応すべき事項を網羅し、最新の国内・国外の動向、法制化動向、実際に取り組んでいる企業の事例を詳解した1冊です。
2010年になってから、急速に「カーボンフットプリント」に着目が集まりつつある。しかし、これほど重要であり、かつ立場の違いによって受け取り方が違う環境課題も珍しいと言えるだろう。世界各国の行政は気候変動他対策の切り札として期待し、法規制への導入も視野に入れて積極的に調査研究やパイロット事業を開始している。NGOや環境団体は概ね好意的に捉えるが、企業は警戒感がぬぐえない。一方で積極的に先導者となることで国際競争力を高めようという企業、あるいは企業群によるグローバルなイニシアチブがある。技術的な観点からは、カーボンフットプリントをエコラベルあるいは環境宣言の一種として捉える方もいる一方で、経営判断のための分析手法であると捉える方もいる。いずれにせよ、カーボンフットプリントは行政施策あるいは企業経営にとって大きな影響を与えるテーマである。一方で、この点を認識しているISOなどの国際標準化団体はカーボンフットプリント国際標準規格の策定、すなわち国際ルールを確立するための主導権争いを繰り広げている。
カーボンフットプリントへの姿勢と課題の認識については産業分野による違いも著しいことが特徴である。当初から盛んであったのは食品業界であるが、化学、建築材料、日用品、流通業、そして川下産業と言われる電気機械、自動車などにその対象範囲が徐々に広がってきている。現在の段階では、無関係な業種がないと言えるほどの状況になっている。
本来、カーボンフットプリントは1つの製品に着目して、そのライフサイクル全体における温室効果ガス(GHG)排出量の合計値を意味する。GHGはむろんCO2が大半を占めるが、メタン(CH4)やパーフルオロカーボン類(PFCs)などの6種類のガスについても、各々の温室効果係数を用いて等価のCO2に換算し、その排出量の合計値をカーボンフットプリントとして表す。
一方で個々の製品は、その製品固有のライフサイクルを持っている。まず原材料の製造、次に工場での生産、完成品の配送、ユーザーによる使用、さらに“End-of-life”(使用後の回収・リサイクル・廃棄)などがこのライフサイクルに含まれる代表的なライフサイクル段階である。この各々のライフサイクル段階から、まず直接的な排出があり、さらに、製造に使用する電気や水に関しても当然のように電力を消費して作られるので、それらを使うことは間接的にCO2を排出していることに他ならない。カーボンフットプリントを計算する際には、このような間接的な排出も算入することが原則である。そして、この間接排出を評価するためには、当該製品の当事者とは異なるサプライチェーン上の多数の企業から排出量情報を入手しなければならないという難しさがある。さらにこれが炭素税や排出権取引などの社会システムと関連する可能性も少なくはない。こうなると単なる環境課題というよりも、財務、調達および顧客要求という多面的課題として企業経営に巨大な影響を及ぼし得る。
このような背景において登場した本書は、まず、カーボンフットプリントを正しく理解する上で必要な基礎的な知識をやさしく解説する。つぎに国際標準規格の場で議論されている最新情報と将来の動向に関する分析、および日本企業としての留意点と対策を分かりやすくまとめた。さらに各国の取り組みに関する国際動向、そして先進的に取り組まれている各社の方々のケーススタディを盛り込んだ。本書一冊で、カーボンフットプリントに関して必要な事柄が網羅的に理解できるはずである。行政や教育者の方々はもとより、グローバル化の荒波にさらされている企業の方々にとって適切な経営判断の一助になるものと確信する。
(市川芳明 「はじめに」より)
(株)日立製作所
地球環境戦略室
主管技師長(IEC/TC111 Chair)
市川 芳明
開始日時 | 会場 | 開催方法 | |
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発行年月 | |
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