技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー

自動車内装表皮材の開発トレンドと今後の展開

自動車内装表皮材の開発トレンドと今後の展開

東京都 開催 会場 開催

開催日

  • 2020年4月10日(金) 10時00分 17時00分

プログラム

 自動車内装材・住宅・医療・食品包装材・農ビ等には、従来塩化ビニル樹脂が用いられてきた。塩化ビニル樹脂は可塑剤を混ぜて軟質塩ビ (塩化ビニール) にして用いられることが多い。可塑剤にはアレルギー物質として懸念されているオルトフタル酸エステル (Ortho Phtalate) が主に用いられてきたが、最近ではオルトフタル酸エステル以外の可塑剤に代替えが進んでいる。軟質塩ビは熱により容易に分解して、低温では硬化するためポリオレフィン系熱可塑性エラストマーやウレタン合成皮革に代りつつある。最表層にはDMF等を含んだ溶剤系表面処理剤が塗工されてきたが、最近では水系が多く用いられ、乾燥方法も熱風から赤外線に代わっている。
 米国カリフォルニア州ではZEV (Zero Emission Vehicle) プログラム、EUではCO2排出量規制、中国でも深刻な大気汚染対策のため内燃機関からの脱却 (電動化) が急ぎ進められている。今後はPHEV、EV、FC (Fuel Cell – 燃料電池:水素発電) が増加する。自動車内装材も燃費に寄与するため軽量化が重要な観点となっている。ウレタンレザーは高強度のため薄肉化が可能で、軟質塩ビや本革の約半分の重量で自動車規格をクリアーする。
 高級車は本革が主流だったが、米国でのPETA (People for the Ethical Treatment of Animals) の動物保護活動によりEVのテスラーモータース車は本革からウレタンレザーに代えている。英国を中心にVEGANが広まっているためドイツの高級車も本革からウレタンレザーに変化している。
 運転操作がスマートフォンのようにタッチパネル化さるため、インストルメントパネルの構造が平坦になり、コックピットと言われた複雑な構造が不要になっている。またCASE (ケース:Connected・Autonomous・Shared&Service・Electric) やMaaS (マース:Mobility as a Service) の普及により自動車は個人が所有保管するものでは無くなってきている。今後は殺菌性や汚れ対策がより重要になってくる。
 本講座では最新情報をもとにトレンドを明確にして、今後自動車内装材がどのような変化をしていくのかを考察していく。

  1. はじめに
    1. チャイナプラス2019 (広州) 、上海・東京モーターショー2019、CES2020 (Consumer Electric Show in Las Vegas) 等の展示会情報をもとに自動車の未来を考える
    2. 人や環境への配慮
      • ReachやRoHS規制に呼応して欧州のOEKO-TEX等の業界団体が自主規制を設けている。塩素・臭素等のハロゲンフリー、VOC (ボラタルオーガニックコンパウンズ) ・SVOC (セミボラタルオーガニックコンパウンズ) の低減、臭いの低減、軽量化、アニマルフリー化 (VEGAN) が進んでいる状況を把握する
  2. 自動車内装材に用いられる主なプラスチック
    1. 塩化ビニル系
    2. オレフィン系
      • TPV
      • p-TPV
      • r-TPO
      • POE
      • PP
      • PE等
    3. ウレタン系
    4. スチレン系 (SEBS等)
    5. エステル系
    6. アクリル系
  3. 自動車内装材部位別動向
    1. 自動車 (OEM) ・部品メーカー (Tier1) の動向
    2. 内装表皮材メーカー (Tier2) の動向
    3. 質感と価格と成形工法
      • 射出成形
      • インモールドグレイニング (IMG)
      • その他工法
    4. インストルメントパネル・ドアトリム
      1. TPO
        1. 工程概要
          • 配合 (安定剤処方等)
          • フィルム成形
            • 押出機
            • カレンダー成形
          • 表面活性化処理
            • コロナ
            • プラズマ
          • 表面処理 (表面処理剤と処理機の選定/水性化)
          • 絞押 (本革調の緻密な外観)
        2. TPOへの電子線照射技術
        3. 電子線架橋ポリプロピレン発泡体製造技術
      2. ハンドラップ用レザー
      3. その他
        • PUスプレー
        • スラッシュ成形 (SPM)
        • PU-RIM
        • SEBS射出成形
    5. 座席表皮 (シートカバー)
      1. 本革
        • クロムなめし
        • 臭い
        • 重い
        • 動物保護団体
      2. 塩ビ
        • カレンダー法
        • キャスティング法
      3. ウレタン
        1. ウレタンレザー (合成皮革:スキン層付き,人工皮革:スエード) の動向
        2. 合成皮革 (スキン層有り)
          • 溶剤タイプコーティング法 : ハイソリッドタイプによる工程削減
          • 水性タイプコーティング法 : 発泡層の形成方法
          • ホットメルトコーティング法 : 発泡層の形成方法
        3. 人工皮革 (スキン層無し:スェード) : 環境に優しいマイクロファイバー
        4. 抗菌性・耐汚染性 (ステアリングホイール含む)
        5. 難燃化技術 : ハロゲン・アンチモンフリー
      4. ポリエステル,シリコーン系レザーの動向:耐エタノール性 (消毒薬) がウレタンより良い
    6. 座席クッション:洗濯可能な素材
    7. 加飾:動く・光る
  4. 【補足】自動車外装材
    1. 塗装レス:フィルムラッピング+機能
    2. チッピング傷防止フィルム:自己修復性
    3. バンパー,LEDヘッドランプ等 その他
  5. これから
    • CASE (Connected・Autonomous・Shared&Service・Electric) やMaaS (マース:Mobility as a Service) の普及と自動車内装表皮材
    • 質疑応答

講師

  • 西 一朗
    TPEテクノロジー 株式会社
    代表取締役

会場

株式会社 技術情報協会
東京都 品川区 西五反田2-29-5 日幸五反田ビル8F
株式会社 技術情報協会の地図

主催

お支払い方法、キャンセルの可否は、必ずお申し込み前にご確認をお願いいたします。

お問い合わせ

本セミナーに関するお問い合わせは tech-seminar.jpのお問い合わせからお願いいたします。
(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 50,000円 (税別) / 55,000円 (税込)
複数名
: 45,000円 (税別) / 49,500円 (税込)

複数名同時受講割引について

  • 2名様以上でお申込みの場合、
    1名あたり 45,000円(税別) / 49,500円(税込) で受講いただけます。
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 50,000円(税別) / 55,000円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 90,000円(税別) / 99,000円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 135,000円(税別) / 148,500円(税込)
  • 同一法人内による複数名同時申込みのみ適用いたします。
  • 受講券、請求書は、代表者にご郵送いたします。
  • 他の割引は併用できません。

アカデミック割引

  • 1名様あたり 30,000円(税別) / 33,000円(税込)

学校教育法にて規定された国、地方公共団体、および学校法人格を有する大学、大学院の教員、学生に限ります。

本セミナーは終了いたしました。

これから開催される関連セミナー

開始日時 会場 開催方法
2024/4/26 押出機内の樹脂挙動および溶融混練の基礎と最適化 東京都 会場
2024/4/26 ポリマーにおける相溶性・相分離メカニズムと目的の物性を得るための構造制御および測定・評価 オンライン
2024/4/26 ポリマーアロイの基本、構造・物性および新規ポリマーアロイの材料設計の必須 & 実践知識 オンライン
2024/4/26 高屈折率材料の基礎と技術応用超高屈折率材料への分子設計 オンライン
2024/4/26 塗装・コーティング現場のゴミ・異物対策実践セミナー 東京都 会場
2024/4/26 バイオマスプラスチックの設計と低環境負荷、機能性の両立 オンライン
2024/4/26 自動車の電動化に向けた半導体封止樹脂の設計と評価 オンライン
2024/4/26 共押出多層フィルムの成形技術、押出安定化とトラブル対策 オンライン
2024/4/30 ナノ触診原子間力顕微鏡 (AFM) による高分子材料の解析技術 オンライン
2024/5/1 エポキシ樹脂の基礎と硬化剤の選定、変性・配合改質および複合材料用途の動向 オンライン
2024/5/1 結晶性高分子における力学物性と高次構造の関係 オンライン
2024/5/1 静的・動的光散乱法を中心とした粒径計測の基礎と応用 オンライン
2024/5/2 樹脂材料のEV駆動モータ/パワーデバイスへの実装に向けた高電圧絶縁特性の基礎と評価法 オンライン
2024/5/8 高分子の接着性改善と表面処理、界面の構造評価技術 オンライン
2024/5/8 ソニー・ホンダモビリティ、Tesla、BYDのEV開発戦略 東京都 オンライン
2024/5/8 自動車の電動化に向けた半導体封止樹脂の設計と評価 オンライン
2024/5/9 高分子材料 (樹脂・ゴム材料) における変色劣化の機構とその防止技術 オンライン
2024/5/10 エポキシ樹脂用硬化剤の種類、反応機構、選び方、使い方 オンライン
2024/5/10 熱分析の基礎と測定・解析技術 オンライン
2024/5/10 熱分析による高分子材料 (プラスチック・ゴム・複合材料) の測定・解析の基礎とノウハウ オンライン

関連する出版物

発行年月
2022/5/31 自動車マルチマテリアルに向けた樹脂複合材料の開発
2022/5/31 樹脂/フィラー複合材料の界面制御と評価
2022/5/30 世界のバイオプラスチック・微生物ポリマー 最新業界レポート
2022/5/6 EV、PHEV、HEVと燃料電池車の環境・走行性能分析 (書籍版)
2022/5/6 EV、PHEV、HEVと燃料電池車の環境・走行性能分析 (書籍+PDF版)
2022/4/15 2022年版 スマートモビリティ市場の実態と将来展望
2022/2/4 世界のxEV、車載用LIB・LIB材料 最新業界レポート
2021/12/24 動的粘弾性測定とそのデータ解釈事例
2021/11/30 ヒトの感性に寄り添った製品開発とその計測、評価技術
2021/9/30 自動車室内の静粛性向上と、防音・防振技術、材料の開発
2021/7/30 水と機能性ポリマーに関する材料設計、最新応用
2021/7/28 プラスチックリサイクル
2021/6/30 VR/AR技術における感覚の提示、拡張技術と最新応用事例
2021/6/30 人工知能を用いた五感・認知機能の可視化とメカニズム解明
2021/6/29 UV硬化樹脂の開発動向と応用展開
2021/5/31 重合開始剤、硬化剤、架橋剤の選び方、使い方とその事例
2021/5/31 高分子材料の劣化・変色対策
2021/4/30 建築・住宅用高分子材料の要求特性とその開発、性能評価
2021/4/13 GAFA+Mの自動運転車開発最前線
2021/2/26 高級感を表現する要素技術と評価法