創薬ターゲットを目的とした相分離生物学 : 生命現象を理解する細胞内液 - 液相分離
~新しい創薬のターゲットとして、タンパク質の液 - 液相分離の現象を学ぶ~
東京都 開催
会場 開催
開催日
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2019年7月12日(金) 10時30分
~
16時30分
プログラム
ここ2年ほどのあいだ、生命科学の分野でトップジャーナルをにぎわしているテーマが液 – 液相分離の現象である。細胞内には液 – 液相分離して形成された液滴 (ドロプレット) があり、DNAの修復や、遺伝子の転写、タンパク質への翻訳、シグナル伝達の制御、翻訳後修飾、自然免疫の応答、機能の区画化、外部環境からのストレスへの応答、アミロイドへの成熟など、きわめて多岐にわたる分子レベルでの生命現象に関わるという発見が相次いでいる。20世紀半ば以降、生物学は分子と構造から考える物質の科学によって大発展をおさめたが、そのなかで理解しにくかった現象が、タンパク質の状態を見ることで理解できる時代がはじまろうとしている。今回のセミナーでは、細胞内の液 – 液相分離の成果を整理し、「相分離生物学」という新しい学問として紹介したい。
タンパク質の液 – 液相分離の現象を、新しい創薬のターゲットとして期待する研究者も多いと思う。今回のセミナーでは、さまざまな生命現象が、液 – 液相分離というひとつの現象でつながってくるように体系立てて紹介したい。その背後には、20世紀半ばには確立していた高分子による液 – 液相分離の溶液物性や、20世紀後半にほぼ確立したタンパク質の溶液物性、21世紀にはじまった天然変性タンパク質から相分離性タンパク質へのパラダイムの転換など、重要なポイントがある。このように「相分離メガネ」をかけることで、生命の現象を新たに理解することが可能になる。
- 相分離生物学
- 情報伝達と液 – 液相分離
- 染色体の凝縮構造と遺伝子発現
- エピジェネティックな修飾
- シグナル伝達のハブとなるタンパク質
- タンパク質パラダイムの転換
- タンパク質フォールディング
- 天然変性タンパク質の発見へ
- 天然変性タンパク質は液 – 液相分離する
- 細胞内オーガナイザーと場の構築
- 代謝の物理学
- RubisCOの相分離
- 酵素反応をオーガナイズする
- アミロイドと低分子コントロール
- アミロイド仮説
- タンパク質はアミロイドになる
- FUSと液 – 液相分離
- 液 – 液相分離シャペロン
- プリオンのふたつの顔
- 酵母プリオン
- プリオンはなぜ保存されてきたのか?
- 普遍的な5次構造
- タンパク質溶液の原理とテクノロジー
- アミノ酸の溶解度と疎水性
- 液 – 液相分離の安定化原理
- クラウディングと排除体積
主催
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