ライセンス業務は製薬業務全般に関わっているため、医薬ライセンス部門の担当者は研究・開発部門を中心に創薬に関わる全ての部門から集められています。しかし、多くの国内製薬企業ではライセンス部門の研修体制が整っていないように思います。頻繁に行われているライセンス関連講座も時々のトピックスを取り上げる傾向が強く、ライセンス業務全般について理解する機会は案外少ないように思います。
そこでこのセミナーでは、ライセンス業務全般についてライセンス部門に配属されてまだ日の浅い担当者にも分かりやすく説明したいと思います。また前回、関心の高かったライセンスフィーについては中堅のライセンス担当者の方々の実務においても役立ててもらえるように、具体的な事例をもとにライセンスフィー設定の考え方や設定方法、さらにライセンス交渉での運用の仕方などをお話したいと思います。
まず医薬ライセンスの特殊性と基礎的な用語についてお話しします。実務としては交渉プロセスと化合物評価や契約書の作成を取り上げます。
- はじめに
- 医薬ライセンスの特徴
- 医薬品の承認認可制度と研究開発
- 他の産業のライセンスとの違い
- 医薬ライセンスの基礎知識
- 対象~開発・製造・販売権、商標、ノウハウ~
- ライセンス形態~買取、共同開発、共同販売など~
- ライセンスフィー
- ライセンス契約とその関連契約
- ライセンス交渉の流れ
- 社内検討と承認
- 相手企業へのアプローチ
- 導出導入希望の表明
- 秘密資料の入手
- 主要契約条件の協議
- デューデリジェンス
- 契約書の作成~契約書全条項に関する協議~
- 契約締結
- ライセンス化合物の評価
- ポートフォリオ分析
- Target Product Profile
- 候補化合物の探索
- 公開資料の入手方法
- 候補化合物の選定と優先順位付け
- 秘密資料による評価
- 収益性分析
- デューデリジェンス
- デューデリジェンスの実施時期
- 実施方法
- 最終評価~ラインセンス可否の判断~
- ライセンスストラクチャー
- ストレートライセンス
- 交換化合物がある場合
- 条件付きライセンス契約
- 包括的ライセンスや企業買収
- オープンイノベーション
- 契約書の作成
- タームシート~主要条件に関する協議~
- 契約書の内容
- 対象と種類
- 目的
- 主要な契約条項
- 経済条件に関わる条項
- 注意点
- 独占禁止法による制限行為
- 契約満了あるいは解約時の注意点
- おわりに
前回、質問の多かったライセンスフィーの設定について、事例に基づいてランセンス交渉の場でも使いやすい簡易収益性分析法を紹介し、その基本的な考え方や運用方法についてお話します。最後に、最近の医薬ライセンスの傾向について概説します。
- はじめに
- ライセンスフィー ~事例検討~
- 標準となるマイルストンの設定
- 第1回マイルストンの意味と設定方法
- 各開発段階のマイルストンの意味と設定方法
- コマーシャルマイルストン
- マイルストンの総額と割り振り方~リスクの軽減~
- 標準となるロイヤルティの設定
- 対象~特許、ノウハウ、商標~
- ロイヤルティの考え方
- ロイヤルティの支払い期間
- ロイヤルティの設定方法
- 留意点~正味売上高と査察方法~
- 簡易分析法における開発リスクの織り込み方
- 楽観モデルと悲観モデル
- 主な変動要因
- 楽観・悲観モデルの設定~開発戦略と販売戦略~
- 楽観モデル設定の留意点
- 悲観モデル設定の留意点
- 大型医薬品のライセンスフィーの考え方
- 収益性評価の指標に現れる特徴
- 売上高のマイルストンへの反映方法
- 売上高のロイヤルティへの反映方法
- コマーシャルマイルストンの活用
- サブライセンスにおけるライセンスフィーの考え方
- 特許ホルダーの位置づけ~買取と共同研究、共同開発~
- サブライセンスの収益性評価
- マイルストン設定の考え方
- ロイヤルティ設定の考え方
- Win – Win条件の考え方
- 収益性分析における50/50の意味
- リスクシェアに基づくWin – Winの考え方
- ライセンス交渉での落としどころ
- サブライセンスでの留意点
- 収益性分析のライセンス交渉での実践的な使い方
- 打ち出し案作成の考え方~楽観モデルとの違い~
- フォールバックポジションの考え方~悲観モデルとの違い~
- 相手先の収益性分析結果の推定~提案や要望からの推定方法~
- 見逃しがちな経済条件
- 数字に表せない経済条件関連条項の活用
- 医薬ライセンスの最近の傾向
- ライセンスフィー
- ライセンスストラクチャー
- オープンイノベーション
- おわりに