シェールガス革命により安価な天然ガスが豊富に生産されている米国からのLNG輸出が開始したことや、豪州の大型LNGプロジェクトからの輸出拡大が見込まれ、世界のLNG需給は当面、緩和が見込まれる、一方、需要側では、日本、韓国、台湾での既存輸入国では、特に発電部門において原子力や石炭等の影響を受けることが見込まれ、また、新興輸入国では、中国やインドに続き、東南アジア、中東、南米等での輸出拡大が顕著になりつつある。石油等の他のエネルギーと比較すれば硬直的な長期契約によって取引が行われていたLNGも、こうした取引量及び事業者数の増加とともに、市場流動性も高まり構造的な変化を遂げてきた。
　本講座では、こうした国際LNG市場の動向及び見通しとその背景について、世界全体と主要輸出入国それぞれの動きから平易に解説した後に、市場の構造変化とその変化を促す因子、また、LNGビジネスの動向と今後の展開について、プライシング、取引形態、事業者の動向、市場の枠組変化 (自由化、ハブ構想) 等に焦点を当て考察する。

1. 国際LNG需給の長期見通し
   1. 当面、緩和が予想される国際LNG需給
      • 予想される供給過剰とその行方
   2. 緩和トレンド反転の可能性を探る
      • 需給は均衡する方向へ進むのか? 不透明因子
2. LNG需要動向と見通し
   1. 日本、韓国、台湾
      • 原子力、石炭とLNG
   2. 中国 インド
      • 停滞するLNG輸入、大きな潜在需要が顕在化するための要件
   3. 欧州
      • 不透明な欧州天然ガス市場、その背景
      • 供給過剰解消のために欧州市場が果たす役割
   4. その他 (東南アジア、中東、南米など)
      • 新興国/地域でLNG需要はどの程度増加するのか?
3. LNG供給動向と見通し
   1. 米国
      • 急速な拡大が予想される米国LNGをどう見るか?
   2. その他 主な新規液化プロジェクトの動向
4. 国際LNG市場構造の変化とLNGビジネスの新展開
   1. 国際LNG市場の構造的変化とその背景
      • 高まる市場流動性、増加するプレーヤー、多様化するLNGビジネス
   2. LNGのプライシング及び価格動向と見通し
      • 天然ガス/LNGのプライシングの多様化
      • 低水準のLNG価格はいつまで続くのか?
      • 今後の地域間価格差 (米、欧、アジア間) の見方
   3. LNGビジネスのトレンドと今後の展開
      • 多様化するLNG供給と消費
      • LNGトレーディングビジネスの拡大/LNGハブ構想
      • 日本の電力・ガス市場自由化とLNG取引
• 質疑応答