明確な治療法がない中で、臨床ではどのように治療されているのか
DIC (播種性血管内凝固症候群) の診断・治療の実際と臨床試験の進め方
~造血器腫瘍/敗血症別で学ぶ~
東京都 開催
会場 開催
開催日
-
2016年6月13日(月) 10時30分
~
16時30分
プログラム
第1部. DIC治療薬開発のための臨床試験の進め方
(2016年6月13日 10:00〜11:30)
敗血症性DICという概念は、本邦からの研究は多かったものの、世界的な集中治療の分野ではminorな領域であった。ただ、最近再注目をされてきており、その治療薬の登場も期待されている。しかし、現時点では、DICの原因疾患の根本治療以外には、DIC治療に特化した明確に有効性が証明された治療法はないというのが正しい理解であると考えられる。
本邦では、様々な「DIC治療薬」が、実際の臨床現場で使用されている。しかし、これらの薬剤は、本当に患者さんのためになっているのか?その根本的なところから、臨床の疑問を再検討する必要がある。今後、有効な治療法の開発のために、最適な患者層とアウトカム設定に関して、今までのエビデンスを元に、考察する。
- 今までのDIC研究と先行研究を理解するための臨床疫学知識
- DICとは?特に、世界から再注目されはじめている点について
- 治療薬の可能性
- エビデンス
- 臨床疫学・解析方法の解説 (特に傾向スコアと操作変数法による解析)
- 先行研究から考えられる、今後研究を行う上で、最適な患者層とアウトカム設定
- 患者層は?
- アウトカムは?
- DICの臨床研究を行う上での現実的な障害と解決策案
- 研究を障害する可能性があるもの
- 解決策案
- まとめ
第2部. 新しい敗血症診断基準と敗血症性DICの概念
(2016年6月13日 12:10〜13:40)
敗血症診断基準の変遷を学び、重度敗血症における臓器障害の重要性について解説する。さらに、敗血症に関連した臓器障害の一つであると考えるべきDICについて、本邦と欧米の認識の違いについて学び、DIC治療薬のニーズを探る。
- 敗血症の診断基準とは?
- 感染に伴うSIRS
- 臓器不全と敗血症
- Sepsis – 3
- 敗血症性DICとは?
- DICの診断基準
- SIRSとDIC
- 欧米の認識
- 本邦の認識
- DIC治療薬のニーズ
第3部. 造血器腫瘍を基礎疾患とするDICの診断・治療と医療ニーズ
(2016年6月13日 13:55〜15:25)
- 悪性腫瘍による凝固活性化機序
- 組織因子
- サイトカイン
- 血管内皮細胞障害
- Cancer Procoagulant
- 急性前骨髄球性白血病とAnnexinII
- 線溶亢進型DIC
- DICの診断基準
- 1988年厚生省改訂版
- 2001年ISTH/SSC
- 2005年急性期DIC診断基準
- 2014年日本血栓止血学会暫定案
- 造血器腫瘍によるDICの治療
- ヘパリン類
- メシル酸ガベキサート
- メシル酸ナファモスタット
- トロンボモジュリン アルファ推奨度
- アンチトロンビン
- 抗線溶薬
第4部. 産科的DIC/羊水塞栓症の診断・治療の実際と医療ニーズ
(2016年6月13日 15:40〜17:10)
一般的なDICはなんらかの原因により血管内での凝固・線溶亢進が進行し、その結果として凝固因子の枯渇、出血傾向をきたすが、産科領域のDICは妊娠時特有の凝固線溶バランス・大量出血を基本病態とし、その結果として凝固・線溶バランスの崩壊、更なる出血をきたす点で、他領域のDICと異なる病態をもつ。
母体・胎児双方の救命、DIC治療と平行して分娩や帝王切開という出血リスクを伴う治療を行わなければならないことから、診断基準のみならず、治療介入のタイミングや治療法も他領域のDICとは異なるものとして理解が必要である。 産科領域の出血性DIC、羊水塞栓症に伴うDICの臨床像を提示し、産科的DICの臨床病態の共有と医療ニーズを模索する。
- 産科的DICの病態生理
- 妊娠中の凝固線溶系の変化
- DICを起こしうる産科領域の病態を知る
- 産科的DICとはなにか。
- 産科的出血性DICの症例提示
- 羊水塞栓症の病態とDIC
- 羊水塞栓症とはなにか
- DIC型羊水塞栓症の症例提示
- 産科手術での回収式自己血輸血使用にむけた研究から見えてくるもの
- 産科的DIC治療の方向性と医療ニーズ など
講師
田上 隆 氏
日本医科大学 多摩永山病院
病院講師
佐々木 淳一 氏
慶應義塾大学
医学部
救急医学
教授 / 診療部長
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