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リチウムイオン電池における合金・酸化物系負極の材料技術

リチウムイオン電池における合金・酸化物系負極の材料技術

~炭素を超える負極材料開発!シリコン・スズ系材料を中心に~
東京都 開催 会場 開催

概要

本セミナーでは、リチウムイオン電池のさらなる高容量化に向けた負極材料の研究開発・実用化事例を解説いたします。

開催日

  • 2012年12月19日(水) 10時20分 16時40分

プログラム

第1部 活物質の複合化によるSi系負極の高性能化

(2012年12月19日 10:20~11:40)

講師:
鳥取大学 大学院工学研究科 化学・生物応用工学専攻 応用化学講座 教授 坂口 裕樹 氏

 ケイ素の高容量を活かしつつ、その欠点である充放電サイクル安定性の乏しさを改善したコンポジット負極を創製した。Si粒子上にある種の遷移金属を無電解析出法で被覆した粒子、あるいは、メカニカルアロイング法によりシリサイド/Si混合相粒子を合成し、それらを原料としてガスデポジション法により厚膜電極化することにより優れた性能を示す負極を得た。
 本講座ではそれらの詳細について講述する。

  1. Si系負極の特徴
    1. ケイ素の性質と理論容量
    2. ケイ素の長所を活かすための複合化の概念
  2. 活物質の合成と電極化
    1. メカニカルアロイング (MA) 法
    2. 無電解析出 (ELD) 法
    3. ガスデポジション (GD) 法による電極作製
  3. Si系コンポジット電極の負極特性
    1. 遷移金属シリサイド/Siコンポジット
    2. 遷移金属被覆Siコンポジット
    3. 電極性能向上の理由~機械的性質,電子伝導性,Li貯蔵能,熱力学的安定性の観点から~
    4. Siの特長を引き出す電解質

  • 質疑応答

第2部 SiOを用いた負極の高容量化と電池特性

(2012年12月19日 12:20~13:40)

講師:
(独) 産業技術総合研究所 関西センター ユビキタスエネルギー研究部門 電池システム研究グループ 幸 琢寛 氏

 黒鉛系負極 (372mAh/g) を超える高容量のリチウムイオン電池用負極が求められている。Siは理論容量が4200mAh/gと高容量であり、これら合金系負極が注目されて久しい。しかしながら合金系負極は、充放電時のLi吸蔵放出に伴う体積変化によって合金が微粉化し、容量低下が起こるため実用化が困難であった。一方、一酸化珪素 (SiO) は、1500mAh/gの可逆容量を持ちながら体積変化はSiよりも低く抑えられる。
 講演者らはこれまでに、SiO負極に適した高結着力ポリイミドバインダと高強度薄型SUS箔集電体を開発し、高性能なSiO電極を開発した。また、合金系負極で重要となる電極の体積変化について、電池全体の厚みではなく電極単体の厚みをIn-situ測定する技術を確立し、充放電時における電極内の各要素の体積変化機構を解明した。さらに、4極セルを用いた電流休止法解析により電池の抵抗を正負極に分離し、これをもとに出力特性のシミュレーションを行った。
 SiO負極の初期不可逆容量は、各種のリチウムプリドープ技術を用いて補償した。SiO負極に組み合わせるための高性能LiFePO4正極を開発し、実用的な電極容量密度で設計したフルセルを試作したところ、4000サイクルの長寿命、100Cレートの高出力、-30℃から140℃の広い温度範囲での充放電作動など、従来電池に比べて飛躍的な高性能が得られた。また、1Ah級のSiO系電池を作製して釘刺し試験と過充電試験を行ったところ、この電池は発火することはなく高い安全性を有することが分った。
 本講ではSiOの特徴をご理解頂けるよう、現行材料との比較、SiO負極のメリット/デメリットと使いこなし方を解説するとともに、SiO電極・電池の高性能化技術、電池の解析技術などについて、最新の研究成果を使って解説する。

  1. SiO材料について
    1. 次世代負極材料の特徴と課題
    2. SiOとは?材料の基礎と不均化反応
    3. SiOの充放電メカニズム
  2. SiO電極の作製
    1. 高結着力ポリイミドバインダの開発
    2. 高強度薄型集電体の開発
    3. SiO負極の電極設計
    4. SiO/Li半電池の性能評価
    5. 初期不可逆容量とリチウムプリド-プ技術の開発
    6. SiO負極の抵抗変化
    7. 充放電に伴うSiO負極単極の厚さ変化をIn-situ測定する技術の開発
    8. 高性能LiFePO4正極の開発
  3. SiO負極を使ったフルセルの作製と電池特性
    1. SiO負極を用いた電池の容量・電圧・プリドープ設計
    2. LiFePO4/SiO系電池:4000サイクルと100Cレートの実現
    3. 参照極を用いた解析:3極セル、4極セルと電流休止法による正負極の抵抗分離
    4. 耐熱電解液とポリイミドセパレータを用いた-30℃~140℃作動の超耐熱性電池
  4. 安全性評価
    1. 低温での耐デンドライト特性
    2. 1Ah級SiO系電池の釘刺し試験
    3. 1Ah級SiO系電池の過充電試験
  5. SiO負極の応用と最新の成果
    1. SiOを用いた完全メタルフリー電池
    • 質疑応答

第3部 Si-O-C複合負極材の作製、構造および電池特性について

(2012年12月19日 13:50~15:10)

講師:
東レ・ダウコーニング (株) LiB技術開発グループ 主任研究員 福井 弘 氏

 リチウムイオン電池を構成する材料の中でも、活物質は電池の性能を左右する重要な役割を担う。高容量化に向けて活物質の研究開発が盛んに行われており、特にケイ素は注目されている元素である。
 本講演ではリチウムイオン電池に関わるケイ素について、Si–O–C複合負極材料を中心に紹介する。

  1. ケイ素化学とダウコーニングコーポレーション
  2. ケイ素材料とリチウムイオン電池
    1. 電解液
    2. セパレーター
    3. 正極材料
    4. 負極材料
  3. Si–O–C複合負極材料
    1. Si–O–C複合負極材料とは
    2. 原料の選択
    3. 製造方法
    4. 構造
    5. リチウムイオンの吸蔵放出特性
  4. まとめ

  • 質疑応答

第4部 Sn合金負極の構造制御による電極特性の向上

(2012年12月19日 15:20~16:40)

講師:
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 教授 金村 聖志 氏

 Sn合金負極の問題点として、その膨張・収縮がある。Siなどの負極でも同じ問題がある。この欠点を克服して、これらの電極を実用化するには、何らかの工夫が必要である。その一つとして金属負極のマイクロ構造を制御する方法が挙げられる。
 本発表では、我々が行ってきな多孔構造の制御に関して詳細に述べる。

  1. 合金系負極
    1. Si負極
    2. Sn負極
    3. Al負極
  2. 多孔構造の作製方法
    1. テンプレート法について
    2. 三次元規則配列多孔について
    3. Sn-Ni合金の作製
    4. 三よ次元規則配列Sn-Ni電極の作製
  3. マイクロドメイン構造の付与
    1. マイクロドメイン構造の作製
    2. マイクロドメイン構造の形状
    3. マイクロドメイン構造と三次元規則配列多孔構造
  4. マイクロドメイン構造を有する三次元規則配列多孔Sn-Ni
    1. 電気化学的な特性
    2. 充放電時の構造変化
    3. 充放電特性
    4. フルセルの挙動
    • 質疑応答

講師

  • 坂口 裕樹
    鳥取大学 大学院工学研究科 化学・生物応用工学専攻
    教授
  • 幸 琢寛
    (独)産業技術総合研究所 関西センター ユビキタスエネルギー研究部門 電池システム研究グループ
  • 福井 弘
    東レ・ダウコーニング(株) LiB技術開発グループ
    主任研究員
  • 金村 聖志
    首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 環境調和・材料化学専攻
    教授

会場

大田区産業プラザ PiO

6F C会議室

東京都 大田区 南蒲田1-20-20
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主催

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お問い合わせ

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(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 42,667円 (税別) / 44,800円 (税込)
複数名
: 35,667円 (税別) / 37,450円 (税込)

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