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陸上養殖技術動向とその可能性

陸上養殖技術動向とその可能性

東京都 開催 会場 開催

安心・安全な水産物の安定的供給の切り札となり得るのか!?
新興国需要の急増による魚介類供給の不安定化、原発事故による安全への不信…
我が国において安心な水産物の安心供給は喫緊の課題だ。
その切り札となり得る陸上養殖技術の“今“を徹底解説!

概要

本セミナーでは、陸上養殖の基礎から解説し、地下水、工場排熱の利用、水処理技術、陸上養殖の事業採算性、陸上養殖システムの事例について解説いたします。

開催日

  • 2012年1月26日(木) 10時30分 16時40分

受講対象者

  • 陸上養殖に関連する担当者、技術者、管理者
    • 陸上養殖事業
    • 地下水、工場排熱利用
    • 水処理
    • 陸上養殖システム
  • 陸上養殖に関連する事業を検討している企画担当者、経営者

修得知識

  • 陸上養殖の要素技術
    • 地下水、工場排熱の利用
    • 水処理
  • 陸上養殖の事業採算性
  • 陸上養殖システムの事例

プログラム

第1部 陸上養殖の課題と事業採算性

(2012年1月26日 10:30~11:45)

 養殖技術の視点から多くの研究者は、陸上養殖技術の課題をベンチマークとして取り上げているが、この課題を事業の採算性の視点から養殖技術のベンチマークを提案する試みは少ない。
 今後の陸上養殖は安全・安心・高品質、競争力ある価格、通年供給を達成するためには、ハードルの高い障壁が多々あるが、その課題と目標設定を的確に判断して研究開発を行わなければ、時代の要求に柔軟に対応することが困難となる。
 小規模な養殖事業であれば、市場のニーズに合わせた魚種の選択や、環境の良い地域での事業を考えれば良いが、水産資源の涸渇化への懸念から大規模陸上養殖への養殖技術のプラットフォームの変革の時代には大規模なプラントによる陸上養殖技術の確立が急務となっている。
 養鶏業界は、50年前から養鶏の「工場化」を図り、安価で、供給の安定化、高品質の設備投資、飼料の開発を進めており、成功を収めている。今後の陸上養殖も、高品質、供給の安定化、競争力ある価格を消費者に提供し、安全・安心の商品を養鶏業界の発展が示すように、水産業にも適用して、その事業性が成立する要件を抽出して、その課題を整理してどの研究開発に重点を置くことが重要かを、立地地点の制約のない閉鎖型陸上循環養殖での標準モデルをベースに試算を行い、その結果から研究開発のベンチマークを提提案する。
 今後の産業創生の視点から、地球環境保全の配慮は不可欠となっており、地域の特性に合わせた陸上循環養殖の事業化が肝要であり、東日本大震災への復興事業としても期待されている。再生可能エネルギーとの組み合わせによるシステムの検討事例を紹介する。

  1. 閉鎖型陸上循環方式の基本系
  2. プラントしての課題
    1. 規模の想定
    2. 建設費の見積もり
    3. 必要な面積
    4. ユーテリティの想定
    5. 通年出荷の考え方
    6. 省エネルギー
    7. 再生可能エネルギーの導入促進
  3. 事業性評価
    1. 内部収益率 (IRR) の試算
    2. 現在価値 (NPV)
  4. ベンチマークと研究開発の方向性
  5. 東日本大震災への復興プランのビジョン
  6. まとめ
    • 質疑応答

第2部 都市近郊での事業展開を可能にする陸上養殖技術 ~地下水、工場排熱などの利用~

(2012年1月26日 12:30~13:45)

 現在、海面を利用した水産養殖業は区画漁業権を持たないと行うことができない。一方陸上では異業種であっても養殖を行うことが可能である。しかしながら、陸上では海面とは異なりランニングコストがかかってしまう。
 冬期の加温や、夏期の冷却には著しくコストがかかる。特に、夏期の冷却コストをかけることは現実的ではないために養殖できる魚種は限られてしまう。そこで、これらのコストをかけずに養殖可能な方法と海面とは異なるニーズを満たす養殖方法などを紹介する。

  1. 様々な養殖形態と問題点
    1. 水産養殖の方法と現状
    2. 海面養殖と陸上養殖の問題点
      • 特に温度など飼育環境の重要性
  2. 東海大学での試み.温度コストの低減方法と地下海水の活用法
    1. 廃熱を利用したMH冷凍システム
      • サケ科魚類
    2. 地下海水の利用
      • 掛け流しによる養殖 アワビなど
      • 半循環方式 マグロなど
    3. 小口のニーズに合わせた畜養
      • ブリ類の畜養中の身質調整
  3. 陸上養殖の今後の展望
    1. 陸上であることを活かした方法と考え方
      • 海面養殖との差別化と協調
    • 質疑応答

第3部 陸上養殖における水処理技術 ~原理とその適用例~

(2012年1月26日 13:55~15:10)

 国内外で年々増加する水産物消費量をまかなうために「養殖」は必要不可欠な技術である。近年、「海面養殖」と比較して、環境負荷がより小さく、天災の影響を受けにくい「陸上養殖」が注目されている。陸上養殖で魚介類を飼育する場合、餌と代謝産物に由来する硝酸および有機物の蓄積は避けられないが、この問題を解決するためには今のところ「換水」が主流である。
 しかしながら、高濃度の硝酸や有機物を含んだ陸上養殖排水は環境負荷が高い上、無換水の陸上養殖が可能となれば内陸部でも水産物の生産が可能となるため、「完全閉鎖型陸上養殖」が新しい養殖の様式として期待されている。
 陸上養殖において問題となる「硝酸の蓄積」を回避する手段として「脱窒」技術がよく知られている。窒素、リンなどの栄養塩を豊富に含む生活排水処理 (下水処理) では古くから利用されている技術であるが、飼育海水への応用は難しく実用的な普及はあまり例を見ない。
 本講座では、微生物の代謝による脱窒の原理を解説した上で、我々が開発した陸上養殖用脱窒技術を紹介する。さらに、本技術を水族館やトラフグ、アワビの養殖試験に適用した事例を紹介する。また、硝酸と同時に蓄積する有機物は、硝化活性の阻害や生産物への着色・着臭といった問題を引き起こす。さまざまな有機物除去方法が現存するが、その中でも最も低コストで維持管理が容易な「海水電気分解次亜塩素酸処理」の原理および適用例を紹介する。総合的な「陸上養殖水産水処理」として「高速硝化」、「自動制御脱窒」、「電気分解有機物処理」および「海水のイオンバランス分析」の重要性を事例を交えながら紹介する。

  1. 陸上養殖の必要性
    1. 水産物の需要と供給
    2. 海面養殖の問題点
  2. 水環境の物質循環
    1. 自然界における炭素循環
    2. 自然界における窒素循環
    3. 閉鎖性水環境における炭素・窒素循環
  3. 陸上養殖における総合水産水処理 ~総合水産水処理の流れ~
    1. 高速完全硝化技術
      1. 完全硝化の原理
      2. 完全硝化担体の導入事例 ~移動水族館~
    2. 全自動脱窒技術
      1. 全自動脱窒技術の原理
      2. 全自動脱窒装置概要
      3. 全自動脱窒装置の導入事例 ~しながわ水族館~
    3. 有機物処理技術
      1. さまざまな有機物処理技術の比較
      2. 海水電気分解次亜塩素酸処理の原理
      3. 海水電気分解有機物処理の導入事例 ~赤貝飼育試験としながわ水族館~
    4. 総合海水分析
      1. 海水のイオンバランスの概念
      2. 総合海水分析の導入事例 ~飲食業界生け簀~
  4. まとめ
    1. 閉鎖性陸上養殖における問題点とその解決策
    2. 閉鎖性陸上養殖のメリットと壁 ~海面養殖と陸上養殖の比較~
    3. 世界初の??無換水陸上養殖試験レポート ~トラフグとアワビ~
    4. 総合水産水処理の実績と展望
    • 質疑応答

第4部 日本における陸上養殖システムの普及と今後の展望 ~屋内型エビ生産システムを中心に~

(2012年1月26日 15:25~16:40)

 これからの食糧需給や、世界的な異常気象などを勘案すると、人工的な食糧生産技術は今後不可欠なものです。魚介類に関しては、陸上養殖技術がそれに当てはまります。
 本講座では、まず世界的には陸上養殖が成長産業であることを示し、次に弊社のシステムを含む、日本国内での陸上養殖技術の開発動向を説明したいと思います。特に、弊社が開発した屋内型エビ生産システムと、弊社が国内展開の権利を有しているオーストラリアの陸上養殖技術については、採算性のデータを含めて詳しく説明したいと思います。
 その上で、今年発生した震災や、大規模な台風などの異常気象により、これまで陸上養殖への関心が薄かった、水産業界や、消費者などが、陸上養殖技術による、安全な魚介類の安定供給に注目し始めている現状を報告し、来年が陸上養殖にとって発展が期待される年になるであろうことを論じたいと思います。但し、陸上養殖を普及、定着させるためには各種課題も残っています。その課題を解決すべく、弊社及び関係者が行っている取組について、最後に説明し、ビジネスチャンスとしての陸上養殖のポテンシャルと課題を整理したいと思います。

  1. 世界の養殖業の伸びと、日本における停滞
  2. 一般的な養殖技術と陸上養殖技術の違い
  3. 安定的でかつ安全な魚介類は陸上養殖でしか提供できない
  4. これまでの日本での陸上養殖技術開発経緯
  5. 弊社の陸上養殖技術
    1. 屋内型エビ生産システム
    2. オーストラリア、フィッシュプロテック社の魚の陸上養殖技術
  6. これまでの日本での陸上養殖の普及状況と、水産庁や水産業界における位置づけ
  7. 震災及び台風後の、位置づけの変化
  8. 今後の陸上養殖のビジネスチャンスと、解決すべき課題
  • 質疑応答

講師

  • 毛利 邦彦
    (株)eL-Power Technology
    取締役技術部長
  • 秋山 信彦
    東海大学 海洋学部 水産学科
    教授
  • 小泉 嘉一
    玉川大学 学術研究所 生物機能開発研究センター
    特別研究員
  • 辻 洋一
    (株)大洋水研
    代表取締役
  • 三上 恒生
    (株)アイ・エム・ティー
    代表取締役社長

会場

品川区立総合区民会館 きゅりあん

4階 第1特別講習室

東京都 品川区 東大井5丁目18-1
品川区立総合区民会館 きゅりあんの地図

主催

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お問い合わせ

本セミナーに関するお問い合わせは tech-seminar.jpのお問い合わせからお願いいたします。
(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 45,000円 (税別) / 47,250円 (税込)
複数名
: 38,000円 (税別) / 39,900円 (税込)

複数名同時受講の割引特典について

  • 2名で参加の場合、1名につき 7,350円割引
  • 3名で参加の場合、1名につき 10,500円割引 (同一法人に限ります)
本セミナーは終了いたしました。

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