技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー

スケールアップ・ダウン検討、失敗例/解決 (対処) 法と実験計画法による効率的なデータ収集

スケールアップ・ダウン検討、失敗例/解決 (対処) 法と実験計画法による効率的なデータ収集

~効率的な実験計画の立て方、必要なデータの集め方 / スケールアップ前提の実験計画の考え方、データの取得法、活用法~
オンライン 開催

このセミナーは2023年4月に開催したセミナーのオンラインセミナー:オンデマンド配信です。
お申し込み日より10営業日の間、動画をご視聴いただけます。
お申込は、2023年11月29日まで受け付けいたします。
(収録日:2023年4月24日 ※映像時間:約4時間59分)

概要

本セミナーでは実際に経験した事例 (失敗例) を参考に各開発段階で行う実験の注意点、実際のスケールアップ製造で遭遇した問題点をどのように対処、解決したかを説明し、更にそこから得られた知見をもとに効率的な実験計画の立て方、必要なデータの集め方を説明いたします。

開催日

  • 2023年11月29日(水) 10時30分 16時30分

修得知識

  • 医薬品、化学品のスケールアップ製造の進め方
  • スケールアップに向けた実験の進め方、チェックポイント
  • スケールダウン実験の考え方、データの取得法
  • スケールアップ製造での失敗事例
  • 精製 (晶析) 工程の考え方、注意点、チェックポイント

プログラム

 実験計画法は「実験の計画」と実験により得られたデータの「解析方法」の二つから構成される。実験の計画とは「目的に応じてどのような実験を行えばよいか?」あるいは「どうすればデータを効率的に集めることができるか?」と言える。原薬、中間体、化学品のスケールアップ製造は開発過程で絶対に避けられない部分であり、開発初期では合成プロセス、出発原料の変更のような大幅な変更も可能であるが、開発が進むにつれ変更は困難となり、逆に設定したパラメータの不足、不都合部分が明らかになってくる。特に製品の品質を決定する精製 (晶析) 工程は最も注意が必要な部分である。
 本セミナーでは実際に経験した事例 (失敗例) を参考に各開発段階で行う実験の注意点、実際のスケールアップ製造で遭遇した問題点をどのように対処、解決したかを説明し、更にそこから得られた知見をもとに効率的な実験計画の立て方、必要なデータの集め方を説明する。

  1. 医薬品 (原薬) の開発とスケールアップ (基本的な考え方)
  2. スケールとスケールアップの相違点
    • 小スケールとスケールアップのパラメータの比較と考え方、設定法
  3. 合成法、合成ルートの設定、考え方、注意点
    • ICH M7
    • 化審法
    • その他
  4. スケールアップ実験するためのチェックポイント、考え方と原料、中間体の評価項目とその対応策
    • 安全性
    • 安定性
    • 結晶多形
    • 溶媒和 他
  5. スケールアップでの問題点 (実際の経験から) と対応策
    1. 開発初期 (実験室〜20Lスケール) の事例
      • 転位反応:
        1gから10gにスケールアップしたら転位反応が原因で目的物が得られなくなった。
        (反応機構の理解)
      • アスコルビン酸硫酸エステル誘導体の製造:
  6. gスケールでは目的物が合成できたが、10gスケールでは合成不可の結果となった。
    (中間体の安定性)
    • カラム分離工程の回避: 前臨床試験に進むことが決まり、カラム分離工程回避の必要性が出てきた。
      (結晶性誘導体)
    • ピリジン・無水硫酸錯体 (硫酸エステル化剤) の合成: 吸湿性が原因で目的物が得られないと判断したが、逆に吸湿性を利用することで大量生産可能な方法を見出した。
      (目的物の物性の理解)
    • ペントキシフィリン中間体の製法検討: 文献を参考に実験を進めたが目的物は得られず、実験結果に基づいて検討を進めたところ、簡単な製法にたどり着いた。
      (反応の理解)
    • 抗生物質の側鎖の製造: 新合成法を考案し、特許出願までしたが、中間体に安全性の問題あることがわかり、検討中止。
      (安定性は変えられない)
    • 五塩化リンによるクロル化プロセス: 溶媒を変更したら反応が進まなくなった。
      (結晶多形の影響?)
    • アルキルホルムイミデート類の合成: 青酸ガスを使用しなければならない。
      (反応の理解)
    • エステルの選択 (アミノチアゾール誘導体) : メチルエステル、エチルエステルの比較実験をして相違点 (物性) を確認、合理的な合成法に至った。
    • その他
    1. パイロット試作 (100〜500Lスケール) での事例
      • ジクロルアセトニトリルの製造: 設備の性能を安易に考えて刺激性のミストが噴出した。
        (反応の理解)
      • アミノチアジアゾール誘導体の製造: 設備の性能を安易に考えてオーバー反応してしまった。
        (反応後の安定性確認)
      • 塩酸ペンタゾシンの中間体の製造: スケールアップして中間体を大量合成したら分解してしまった。
        (中間体の物性は変えられない)
      • アミノチアゾール酢酸誘導体の製造: 再結晶プロセスをスケールアップしたら目的物が得られなくなった。
        (必ず原因がある)
      • 臭素化プロセスのスケールアップ: パイロットにスケールアップしたところ、反応開始を確認できず、大きなトラブルに陥りそうになった。 対処法を検討した結果、合理的かつ安全なプロセス開発に至った。
      • 撹拌速度の影響: アセトン/炭酸カリウム系でのアルキル化反応。
        (不均一反応の考え方)
      • 結晶多形の同等性:外部委託したら結晶形で同等性の問題が発生。
        (規格設定の重要性)
      • その他
    2. パイロットから商用生産 (2000Lスケール以上) での事例
      • 微量の添加剤の影響:
  7. 工程先の抽出・分液工程で問題 (エマルジョン) 発生。
    (微量の添加剤の影響、原料のロット管理)
    • Phase III試験後の製法変更: 爆発性の中間体を経由するためスケールアップ製造できずPhaseIII試験が終わってしまった。
      (反応の仕組みの理解)
    • 目標規格の原料が手に入らない: 商用生産に入ろうとしたら原料が入手できなくなった。
      (原料調査の重要性)
    • 設備変更して反応の本来の姿がわかった: パイロットまでGL、商用生産でSUSに切り替えたところ錆が発生。
      (原料中の強熱残分の影響)
    • アミノチアゾール酢酸製造のスケールアップ: パイロットまでは問題なかったが、商用生産で乾燥機の選択を誤った。
      (安定型と準安定型)
    • キャンペーン生産: スポット生産では問題なかったエステル交換反応を、キャンペーン生産に切り替えたところエステル交換反応が進まなくなった。
      (種晶の影響)
    • 溶媒回収できる条件でプロセスを設計: 溶媒回収しないと採算が合わなくなった。
      (発想の転換)
    • 残留溶媒の規格: 商用生産に移行しようとしたら残留溶媒の問題発生。
      (溶媒和物)
    • 出発原料の製法に伴う問題
      (製法に伴う異性体混入の可能性)
    1. 商用生産開始後の事例 (数千Lスケール)
      • 収量低下の逸脱: 原料の溶解時間の影響
        (原料と溶媒の相互作用)
      • 技術移転: 季節の影響まで考えていなかった。
        (湿度の影響)
      • 原料の純度をアップ: 高純度の原料に切り替えた途端に逸脱
        (不純物除去の仕組み)
      • 乾燥時間の管理: 順調に商用生産がスタートしたが、突然製品の乾燥時間が2倍 (10時間→20時間) になった。
        (水和物の考え方)
    2. 最終精製工程のスケールアップと注意点
      • 精製溶媒の選択の重要性
        • 溶解、晶析プロセスで異性化
        • 歩留まりへの影響 (マレイン酸塩化のプロセス)
        • 乾燥工程への影響 (水和物副生の影響)
        • 難溶性原薬、中間体の精製
        • 貧溶媒を加えて晶析
        • 精製工程で水を使用する場合
        • 原薬の乾燥プロセスで新たな残留溶媒が副生!
      • 空気 (酸素、水分) の影響
        • 溶解、脱色濾過、晶析中に過酸化物が副生
        • 固液分離〜乾燥過程で結晶形が変化
        • 微量に副生した溶媒和物の影響)
      • 環境の影響
        • 遠心分離機の脱水袋、
        • 異物混入の瞬間
        • フィルターの材質
      • 包材 (一次包材、二次包材) の影響
        • 包材中の微量の添加物の影響 (オキソン酸カリウム)
        • 包材の品質 (結束帯の例)
      • 粉砕機器の管理
        • 洗浄手順 (SOP) の書き方
      • その他
  8. まとめ
    • 実験計画法による効率的なデータ収集
      1. スケールアップを前提とした実験計画の考え方
      2. スケールアップ前提の実験計画の考え方、データの取得法、活用法 (事例を参考に)
        • 事例1:プロセスの短縮/ 7日近くかかるプロセス (反応→抽出→濃縮→晶析→乾燥) を2日に短縮
        • 事例2:過酸化水素水による酸化反応 (危険性回避)
        • 事例3:結晶多形のスクリーニング
  9. その他、質疑応答

講師

  • 丸橋 和夫
    株式会社 三和ケミファ 医薬品事業部
    統括本部長

主催

お支払い方法、キャンセルの可否は、必ずお申し込み前にご確認をお願いいたします。

お問い合わせ

本セミナーに関するお問い合わせは tech-seminar.jpのお問い合わせからお願いいたします。
(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 34,700円 (税別) / 38,170円 (税込)
複数名
: 25,000円 (税別) / 27,500円 (税込)

複数名受講割引

  • 2名様以上でお申込みの場合、1名あたり 25,000円(税別) / 27,500円(税込) で受講いただけます。
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 34,700円(税別) / 38,170円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 50,000円(税別) / 55,000円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 75,000円(税別) / 82,500円(税込)
  • 同一法人内 (グループ会社でも可) による複数名同時申込みのみ適用いたします。
  • 受講券、請求書は、代表者にご郵送いたします。
  • 請求書および領収書は1名様ごとに発行可能です。
    申込みフォームの通信欄に「請求書1名ごと発行」とご記入ください。
  • 他の割引は併用できません。
  • サイエンス&テクノロジー社の「2名同時申込みで1名分無料」価格を適用しています。

アカデミー割引

教員、学生および医療従事者はアカデミー割引価格にて受講いただけます。

  • 1名様あたり 10,000円(税別) / 11,000円(税込)
  • 企業に属している方(出向または派遣の方も含む)は、対象外です。
  • お申込み者が大学所属名でも企業名義でお支払いの場合、対象外です。

オンデマンドセミナーの留意点

  • 申込み後、すぐに視聴可能なため、本セミナーのキャンセルは承りかねます。 予めご了承ください。
  • 録画セミナーの動画をお手元のPCやスマホ・タブレッドなどからご視聴・学習することができます。
  • お申し込み前に、 視聴環境 をご確認いただき、 視聴テスト にて動作確認をお願いいたします。
  • 3営業日後までに、メールをお送りいたします。
  • 視聴期間は申込日より10営業日の間です。
    ご視聴いただけなかった場合でも期間延長いたしませんのでご注意ください。
  • セミナー資料は、PDFファイルをダウンロードいただきます。
  • 動画視聴・インターネット環境をご確認ください
    • セキュリティの設定や、動作環境によってはご視聴いただけない場合がございます。
    • サンプル動画が閲覧できるかを事前にご確認いただいたうえで、お申し込みください。
  • 本セミナーの録音・撮影、複製は固くお断りいたします。
本セミナーは終了いたしました。

これから開催される関連セミナー

開始日時 会場 開催方法
2024/5/6 統計学の基礎から学ぶ実験計画法 (2日間) オンライン
2024/5/7 GMP査察の指摘事項をふまえたQA・バリデーションの考え方と対応/回答時の留意点 オンライン
2024/5/7 医薬品開発における事業性評価・ポートフォリオ分析と意思決定手法 オンライン
2024/5/7 安全性定期報告書等の作成にむけた安全性集積データの見方・評価と文章作成のコツ オンライン
2024/5/7 非GLP試験の書面調査と過剰に陥らない効率的な信頼性確保の基準 オンライン
2024/5/8 国内外査察指摘をふまえたGMP記録の残し方・管理と逸脱・OOS・OOT発生時の対応 (処理手順/フロー/線引き) オンライン
2024/5/8 実験計画法・ベイズ最適化を用いた効率的な実験デザイン オンライン
2024/5/8 リアルワールドデータ (RWD) を活用するための薬剤疫学基礎セミナー オンライン
2024/5/8 中東主要国の薬事規制比較と現地対応手法 オンライン
2024/5/8 フロー合成・連続生産・マイクロリアクター/スケールアップコース (2日間) オンライン
2024/5/8 核酸医薬品の特許戦略 オンライン
2024/5/9 薬価申請・原価計算方法と交渉で有効なデータ取得ならびに資料作成の重要ポイント オンライン
2024/5/9 無菌・滅菌製品、滅菌プロセス、滅菌バリデーション業務者教育コース (初級・入門 Aコース + 中・上級 Bコース) オンライン
2024/5/9 無菌・滅菌製品、滅菌プロセス、滅菌バリデーション業務者教育コース (初級・入門 Aコース + 中・上級 Bコース) オンライン
2024/5/9 滅菌バリデーションの深堀と見落としがちな滅菌バリデーションの留意点、最新米国FDA等EO環境問題と代替滅菌プログラム動向、無菌性保証とパラメトリックリリース (PIC/S ANNEX17) とその推奨 オンライン
2024/5/9 滅菌の基礎と滅菌バリデーション入門 オンライン
2024/5/10 データインテグリティに対応した紙ベースのGMP文書・記録の作成、保管、管理、廃棄のポイント オンライン
2024/5/10 具体的データ事例を用いた安定性試験の統計解析と規格設定 オンライン
2024/5/10 ICH M7ガイドラインに則ったニトロソアミン類不純物の評価・管理に関する最新動向と当局の考え方 オンライン
2024/5/14 入門者のための基本から学ぶGMP オンライン

関連する出版物

発行年月
2011/6/29 3極申請対応をふまえた不純物の規格設定と不純物プロファイル管理
2011/6/28 治験の臨床検査値における軽微変動が意味するもの / 有害事象判定
2011/5/26 厚生労働省ER/ES指針、21 CFR Part 11とコンピュータバリデーション (中級編)
2011/5/25 超入門 厚生労働省ER/ES指針、21 CFR Part 11とコンピュータバリデーション
2011/4/20 厚生労働省「コンピュータ化システム適正管理ガイドライン」対応実践講座
2011/1/28 3極GMP/局方における無菌性保証と査察対応
2011/1/25 供給者監査実施のノウハウと注意点
2010/12/6 日本での申請をふまえたアジアンスタディと各国の相違
2010/12/1 「コンピュータ化システム適正管理ガイドライン」対応準備の手引き
2010/11/29 FDA Part11査察再開と欧州ANNEX11要求対応
2010/11/25 EDC適合性調査と医療機関事前対応
2010/10/28 薬物動態(「ヘ」項)試験におけるデータ・試験の信頼性確保・保証とQC・QA手法/タイミング
2010/8/20 3極GMP査察対応シリーズ
2010/5/27 CMCレギュレーションとドラッグマスターファイル(DMF)作成入門
2010/4/20 高血圧対応製品の研究開発動向と市場分析
2009/6/5 非GLP/GLP試験・医薬品製造の国内・海外委託と適合性調査対応
2009/2/23 社内監査の手引き
2009/2/10 臨床試験におけるEDCに関する信頼性調査への対応実践講座
2007/3/16 臨床開発におけるER/ESの活用とコンピュータシステムバリデーション実践書