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原薬のスケールアップでの失敗例とその対応策

原薬のスケールアップでの失敗例とその対応策

~開発初期 / パイロット試作 / 商用生産 / 生産開始後など、スケールごとの失敗事例から対策を学べる~
東京都 開催 会場 開催

概要

本セミナーでは、原薬スケールアップの失敗事例から得られた知見をもとに、スケールダウン実験の考え方、実験方法についても解説いたします。

開催日

  • 2020年1月21日(火) 12時30分 16時30分

プログラム

 原薬のスケールアップ製造は医薬品の開発では絶対に避けられない部分である。前臨床試験、臨床試験、商用製造開始、商用製造開始後の各ステージでのスケールアップ製造のポイント (考え方) を実際に経験した例 (失敗例) を参考に説明し、更にどのように対処、解決したかも説明する。そこから得られた知見をもとにスケールダウン実験の考え方、実験方法についても説明する。

  1. 医薬品 (原薬) の開発とスケールアップ (基本的な考え方)
  2. 実験室スケールとスケールアップの相違点
    • 小スケールとスケールアップのパラメータの比較と考え方、設定法
  3. スケールアップ実験するためのチェックポイント、考え方
    • 原料、中間体の評価項目とその対応策
      • 安全性
      • 安定性
      • 結晶多形
      • 溶媒和 他
  4. スケールアップを想定した実験法 (スケールダウン実験)
    • 具体例をもとに
  5. スケールアップとコスト・時間の考え方
    1. 反応条件とプロセスの関係
      • (事例) 5日近くかかるプロセス (反応→抽出→濃縮→晶析→乾燥) を2日に短縮。
    2. 事例から考えられる操作簡略化、時間短縮の応用例
    3. プロセスを元に設備設計、設備を元にプロセス設計 (考え方)
  6. スケールアップでの失敗例 (実際の経験から) と対応策
    1. 開発初期 (実験室~10Lスケール) の失敗事例
      1. 転位反応:
        • 1gから10gにスケールアップしたら転位反応が原因で目的物が得られなくなった。
      2. 中間体の安定性 (ビタミンC硫酸エステル誘導体の製造) :
        • 1gスケールでは目的物が合成できたが、10gスケールでは合成不可の結果となった。
      3. 目的物の安定性 (ピリジン・無水硫酸錯体) :
        • 目的物が得られないのは吸湿性が原因と判断したが、逆に吸湿性を利用することで大量生産可能な方法に至った。
      4. ジェネリック原薬用中間体の製法検討:
        • 文献を参考に実験を進めたが目的物は得られず、実験結果に基づいて検討を進めたところ、簡単な製法にたどり着いた。
      5. 抗生物質の側鎖の製造:
        • 新合成法を考案し、特許出願。製造開始直前に中間体に安全性の問題
          (蓄熱性試験) あることがわかり、検討中止。
      6. アルキルホルムイミデート類の合成 (カルバペネム系抗生物質側鎖) :
        • 青酸ガスを使用しなければならなくなった
      7. カラム分離工程の回避:
        • 前臨床試験に進むことが決まり、カラム分離工程回避の必要性が出てきた。
      8. 爆発性中間体の回避 (抗生物質側鎖) :
        • メチルエステル、エチルエステルの比較実験をして、中間体の物性を比較。合理的な合成法に至った。
    2. パイロット試作 (200~500Lスケール) での失敗事例 (設備、時間)
      1. 目的物の安定性 (抗生物質側鎖:アミノチアジアゾール誘導体の製造) :
        • 設備の性能を安易に考えてオーバー反応してしまった。
      2. 中間体の安定性確認 (塩酸ペンタゾシンの中間体の製造) :
        • スケールアップして中間体を大量合成したら分解してしまった。
      3. 目的物が異性化 (抗生物質側鎖:アミノチアゾール酢酸誘導体の製造) :
        • 再結晶プロセスをスケールアップしたら目的物が得られなくなった。
      4. 臭素の取り扱い (臭素化プロセスのスケールアップ) :
        • パイロットにスケールアップしたところ、反応開始を確認できず、大きなトラブルに陥りそうになった。対処法を検討した結果、合理的かつ安全なプロセス開発に至った。
      5. 撹拌速度の影響 (アセトン/炭酸カリウム系でのアルキル化反応) :
        • 不均一反応の代表的な例、対応策、応用例。
    3. パイロットから商用生産 (2000Lスケール以上) での失敗事例 (設備、原料、生産)
      1. PhaseⅢ試験後の製法変更:
        • 爆発性の中間体を経由するためスケールアップ製造できず PhaseⅢ試験が終わってしまった。
      2. 目標規格の原料が手に入らない:
        • 商用生産に入ろうとしたら原料が入手できなくなった。
      3. 設備変更して反応の本来の姿がわかった:
        • パイロットまでGL、商用生産でSUSに切り替えたところ錆が発生。
      4. アミノチアゾール酢酸製造のスケールアップ:
        • パイロットまでは問題なかったが、商用生産で乾燥機の選択を誤った。
      5. キャンペーン生産:
        • スポット生産では問題なかったエステル交換反応を、キャンペーン生産に切り替えたところエステル交換反応が進まなくなった。
      6. 残留溶媒の規格:
        • 商用生産に移行しようとしたら残留溶媒の問題発生。
      7. 結晶多形の同等性:
        • 外部委託したら結晶形で同等性の問題が発生。
      8. 出発原料の製法に伴う問題 (製法に伴う異性体混入の可能性)
    4. 商用生産開始後の失敗事例 (2000年〜5000年L以上)
      1. 収量低下の逸脱:
        • 原料の溶解時間の影響
      2. 原料の純度アップ:
        • 高純度品の原料に切り替えた途端に逸脱発生
      3. 乾燥時間の管理:
        • 順調に商用生産がスタートしたが、製品の乾燥時間が突然2倍 (10時間→20時間) になった。
  7. その他、質疑応答

会場

江東区産業会館

第2会議室

東京都 江東区 東陽4丁目5-18
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主催

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