多成分よりなる高分子材料は複雑な構造を有するため、一見、複雑なレオロジー挙動を示す。しかし、そのレオロジー・パターンはいくつかに分類される。得られたデータがどのパターンに分類されるかを読み解ければ、材料の特性が簡単に理解できる。本講演では、多くのデータを用いてレオロジー挙動を解説し、ミクロ・ナノ構造との関連を明らかにする。

1. 第1章 序論
   1. 複雑高分子材料のレオロジー「分類学」
   2. 粘弾性関数
      1. 弾性率・粘度・降伏応力
      2. 動的粘弾性
         • ひとくちメモ (1) 動的粘弾性の測定範囲について
      3. 応力緩和
      4. 定常流粘度
      5. 伸長粘度
   3. 時間-温度換算則と合成曲線
   4. 企業におけるレオロジストの役割
2. 第2章 ポリマーブレンドのレオロジー
   1. 相溶性とガラス転移領域の温度分散挙動
      • ひとくちメモ (2) 相溶性マップについて
   2. 相溶性・相分離温度とDSC挙動
      • ひとくちメモ (3) ブレンド試料の調整について
   3. ガラス転移領域における周波数分散挙動
   4. 反応系ブレンドの温度分散挙動
   5. 相溶系・非相溶系ブレンドの溶融粘弾性挙動
   6. 相溶系ブレンドの溶融レオロジー
      1. 移動因子の温度依存性
      2. ゼロせん断粘度のブレンド組成依存性
         • ひとくちメモ (4) 相溶系ブレンドについてのまとめ
      3. ゴム状平坦域弾性率のブレンド組成依存性
3. 第3章 ゴム粒子分散系材料の溶融レオロジー
   1. ABSの定常流粘度挙動
   2. ABSの2種類の動的粘弾性挙動
      • ひとくちメモ (5) 工業用材料の試料選択について
   3. ABSの構造パラメーターと粘弾性挙動
      1. グラフト分子鎖の組成の影響
         • ひとくちメモ (6) 図3 – 19の補足説明
      2. グラフト分子鎖の量 (グラフト率) の影響
         • ひとくちメモ (7) グラフト率依存性について
      3. ゴム粒子径の影響
         • ひとくちメモ (8) 充填剤効果について
   4. ABSの非線形レオロジー
      1. 大変形応力緩和
      2. 伸長粘度とシミュレーション
4. 第4章 熱可逆性ゲルのレオロジー
   1. 臨界ゲル点近傍の粘弾性挙動
   2. ポリ塩化ビニル (PVC) /可塑剤系の粘弾性挙動
      1. PVC樹脂とPVC/可塑剤系材料について
      2. PVC/可塑剤系ゲルの臨界ゲル点の決定法
      3. 臨界ゲル濃度とゲル強度の分子量依存性
      4. 臨界ゲル濃度とゲル強度の分子量分布依存性
      5. PVC/DOPゾルのゼロせん断粘度
      6. PVC/DOPゲルの平衡ずり弾性率
      7. 可塑剤種の影響
         • ひとくちメモ (9) 臨界指数の相互関係について
      8. 修正Eldridge – Ferry法による架橋点構造の解析
   3. PVCゲルの構造形成の時間発展
      1. ゾル状態から急冷後粘弾性挙動
      2. X線小角散乱によるPVCゲルの構造解析
   4. 熱可逆性ゲルの非線形レオロジー
      1. 大変形応力緩和
      2. 伸長粘度挙動とゲル弾性
         • ひとくちメモ (10) 熱可塑性ゲル研究のきっかけ
5. 第5章 固体粒子分散系のレオロジー
   1. カーボンブラック (CB) 粒子の構造について
   2. 定常流粘度挙動
   3. ひずみ振幅依存性 (非線形性)
   4. 3種類の動的粘弾性挙動
      1. 凝集系 (網目構造形成系)
      2. 臨界ゲル形成系
      3. 良分散系
         • ひとくちメモ (11) 粒子分散系の相対粘度の理論曲線
   5. CBストラクチャーのレオロジー的特性化
      1. 凝集系の有効体積分率と降伏応力
      2. 臨界ゲル形成系の臨界点と臨界指数
   6. ゾルーゲル転移挙動への分散媒の影響
   7. 粒子ゲルの形成と履歴の影響
   8. CBの分散構造と導電性
   9. 臨界ゲル形成系の非線形レオロジー
      • ひとくちメモ (12) CB分散系の特徴