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新しい癒着防止材の使用感と研究開発

新しい癒着防止材の使用感と研究開発

~新しいゲル・スプレー・シート材料の開発は~
東京都 開催 会場 開催

開催日

  • 2018年7月20日(金) 10時00分 17時15分

プログラム

第1部. スプレー型癒着防止材の使用経験 ~消化器外科領域

(2018年7月20日 10:00〜11:30)

 消化器外科領域では腹腔鏡下手術が増加し、術後の癒着が軽減されたとは言え、未だに癒着による腸閉塞は重要な術後合併症の一つである。国内初のスプレー型癒着防止材が、2016年テルモ社より製造販売承認され、2017年より国内で使用可能となった。スプレー型癒着防止材は、従来のシート型癒着防止材の使用方法と異なり、若干の噴霧のコツが必要である。
 本講座では、腹腔鏡下大腸手術の動画を用いて適切な使用方法を提示する。

  1. スプレー型癒着防止材の構成と特徴
  2. 癒着の発生と防止材の考え方
  3. スプレー型癒着防止材の使用方法 (腹腔鏡下大腸手術の動画を用いて)
    • 質疑応答

第2部. キマーゼ阻害薬の癒着予防材への応用

(2018年7月20日 12:15〜13:45)

 手術後の癒着形成は臨床上大きな問題であり、その予防にはセプラフィルムが広く使用されてきた。近年、腹腔鏡手術の普及に伴い、セプラフィルムに代わるスプレー型の癒着防止材などが開発されてきている。これらは臓器間を物理的に遮蔽することを機序とした癒着予防材であるが、我々は薬理学的なアプローチで癒着予防材の開発を試みてきた。キマーゼという酵素は炎症や線維化形成に関わる様々な因子を活性化し、その阻害薬は心不全および腎不全の予防薬として臨床開発されている。その一方で、外科手術後の癒着形成部位でキマーゼが著明に増加すること、婦人科、消化器外科、胸部外科、眼科との共同研究を通じて様々な手術後の癒着がキマーゼ阻害薬の患部への単回投与で予防されることを動物実験で示してきた。
 キマーゼ阻害薬の予防効果は、セプラフィルムと同等であることも確認しており、キマーゼ阻害薬およびセプラフィルムの癒着予防における作用機序、ハイドロゲル (京都大学、田畑泰彦教授との共同研究) を用いたキマーゼ阻害薬の徐放による増強効果などの紹介と今後の展望についても述べる。

  1. キマーゼ阻害薬の作用機序
  2. キマーゼ阻害薬の適用疾患と臨床開発状況 (癒着以外)
  3. 癒着形成におけるキマーゼの病態生理学的役割
  4. 様々な癒着に対するキマーゼ阻害薬の予防効果
  5. キマーゼ阻害薬とセプラフィルの癒着予防効果の比較
  6. キマーゼ阻害薬含有ハイドロゲル (徐放) による癒着予防増強効果
    • 質疑応答

第3部. 産婦人科領域での癒着発生リスクのある手術と癒着防止材の使用法

(2018年7月20日 14:00〜15:30)

 少子高齢化に伴い、不妊を主訴とする患者の妊孕性温存手術が重要視されている。 筋腫など不妊の原因となる疾患の手術後の癒着のために、かえって不妊となるようでは本末転倒となる。よって、癒着防止は必須であり、より簡便で安全確実な方法、癒着防止剤 (材) の必要性が高い。本講演では、現場医師の声として、具体例を提示したい。

  1. 我が国の少子化と不妊治療
  2. 産婦人科医への課題
  3. 開腹手術後の癒着
  4. 術後癒着に寄与する因子
  5. 求められる癒着防止剤 (材)

第4部. 癒着防止材の材料と効果評価のポイント

(2018年7月20日 15:45〜17:15)

 腹膜癒着を抑制する材料として、Seprafilm (米Genzyme社) 、Interseed (米Jhonson&Jhonson社) に加えて最近はアドスプレーが上市された。しかし依然として癒着防止性能や臨床医の使用感を完全に満たすような癒着防止材は存在していない。我々はinjectableゲル材料、スプレー材料、シート材料などの様々な検討を行うとともに、肝臓切除後の癒着に着目して研究を行っている。
 本講演では、基礎的な事項の解説から始まり、最新の研究も紹介しつつ、癒着防止材開発の評価ポイントを考えていく。

  1. 腹腔、腹膜、腹膜癒着
    1. 腹腔の解剖生理
      1. 腹膜の構造、断面形状
      2. 腹膜表面積の実測
      3. 腹腔臓器の位置と漿膜の関係
    2. 腹膜構成細胞の性質
      1. 腹腔構成細胞 – 中皮細胞・腹腔Mφ・繊維芽細胞
      2. 腹膜中皮細胞の性質
  2. 腹膜癒着
    1. 腹膜癒着の病理
      1. 正常治癒と腹膜癒着
      2. 癒着の過程と細胞数の変動
      3. フィブリンブリッジの形成
      4. 腹腔Mφの性質
      5. 腹腔液の循環と癒着
      6. 腹腔鏡と癒着
      7. 最近のトピックス1:MSCの応用
      8. 最近のトピックス2:MMT (中皮間葉転換) と癒着
    2. 動物モデルの選択
      1. 盲腸擦過/腹壁切除モデル
      2. 子宮角摘出モデル
      3. ボタン形成モデル
      4. 肝臓切除モデル
      5. その他のモデル
  3. 腹膜癒着防止材料
    1. 認可されている癒着防止材料
      • Seprafilm
      • Interceed
      • Intergel
      • Precrude
      • Repel-CV
      • アドスプレー
    2. In situ架橋ハイドロゲルを用いた新しい癒着防止材料
      1. コンセプト
      2. 材料の選択
      3. ハイドロゲルの物性
      4. 細胞毒性
      5. ウサギ癒着モデルによる癒着防止効果と材料設計の関係
    3. スプレー材料の新たな開発
    4. シート状マテリアルの新たな開発
    5. 材料設計に与える因子の議論
  4. ドラッグデリバリー機能の利用
    1. tPAの利用
    2. ステロイド剤の利用
    3. PLGA粒子とのハイブリッド化
    4. 最近のトピックス1:抗TGF – β阻害ペプチド
    5. 最近のトピックス2:HIF阻害
    • 質疑応答

講師

  • 大木 岳志
    東京女子医科大学 消化器・一般外科/先端生命医科学研究所
    講師
  • 髙井 真司 (高井 真司)
    大阪医科大学 大学院 医学研究科 創薬医学部門
    教授
  • 菊地 盤
    順天堂大学医学部附属浦安病院 産婦人科
    先任准教授
  • 伊藤 大知
    東京大学 医学部 疾患生命工学センター
    教授

会場

株式会社 技術情報協会
東京都 品川区 西五反田2-29-5 日幸五反田ビル8F
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主催

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