技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー
技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー
(2017年11月22日 10:30~12:30)
近年の新薬開発の低迷を打開する創薬戦略として、既存薬 (既承認薬や過去に医薬品開発に失敗した化合物) の新しい効能を発見し、その既存薬を別の疾患治療薬として開発する、ドラッグリポジショニングが注目されている。既存薬はすでにヒトでの安全性や体内動態が確認されており、化合物製造法などの情報を利用できるという特長がある。そのため開発工程を大幅に削減でき、高速・低リスク・低コストでの新薬開発が可能となる。 本セミナーでは、医薬ビックデータと機械学習を駆使したインシリコ創薬手法とドラッグリポジショニングへの応用を紹介する。 我々のグループでは、薬物に関するケミカル情報・薬理作用情報・遺伝子発現情報、化合物・タンパク質間相互作用情報、疾患に関するパスウェイ情報・病原遺伝子情報・環境因子情報・診断マーカー情報などの網羅的オミックスデータを融合解析し、薬物の潜在的標的分子 (オフターゲットを含める) や新規効能 (適応可能疾患) を予測するためのインシリコ手法の開発を行った。システム生物学で用いられるネットワーク推定の概念を応用し、ドラッグリポジショニングの問題を薬物群・タンパク質群・疾患群の関連ネットワークの予測問題に帰着させ、その機械学習アルゴリズムを開発した。当日は、がんや神経変性疾患など様々な疾患に対する応用例をいくつか紹介する。(2017年11月22日 13:15~16:30)
ドラッグリポジショニング (DR) に関しては、各社で専門部門が立ち上げられ、研究テーマとしても取り組みが本格化しています。製薬企業の生き残りが叫ばれる中、DRの活用がその大きな柱となっています。各国、各企業もその戦略的な取り組みを強化しています。くわえて、近年、人工知能 (AI) の発達に伴いDRに対するアプローチの仕方も大きく変化してきました。オープンイノベーションによる社外リソースの活用も忘れてはなりません。DRの成功のためには、新たな分野の薬へアプローチする戦略的な思考はもちろん、調査方法も重要です。AIの活用によってヒトの頭脳では気づかない新たな疾患、新たなターゲット、新たな化合物が示されることとなります。まさに革命といってよいでしょう。
しかし、判断し決定するのはヒトです。そして、開発を成功に導くのもヒトです。特にDRの成功には知的財産保護がかかせません。アイデアを知財で保護しておかないと排他権が得られず、成功の障害になりかねません。その意味でDRに携わる方々は、知的財産部分をしっかり学んでおかないと大きな落とし穴にハマることになります。本セミナーにて、各社の事例をしっかり学び、自己の会社のプロジェクトに実践応用していただきたいものです。ビッグデータの活用、調査解析からアイデアを生み出し、新しい医薬品につながる戦略を実践し、そして知財の保護を含めて一貫した戦略ビジョンを持ってプロジェクトを進める力を養っていただければと思います。
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