第1部. 血液脳関門の薬剤通過メカニズムとその実験的評価法
(2015年11月13日 12:00〜13:30)
中枢神経系疾患に対する治療薬開発にとって、血液脳関門透過性の評価は不可欠である。本講では、血液脳関門透過性の薬剤透過メカニズムそして評価法について概説し、血液脳関門透過性の評価に関わる種々の問題点について、具体例を交えて解説する。
- 血流からの中枢神経系への物質透過における血液脳関門の位置づけ
- 血液脳関門の構成と物質透過メカニズム
- 血液脳関門を介した物質透過の評価
- In vivoでの実験的評価系
- 一般的なin vitro評価系
- ヒト不死化脳微小血管内皮細胞・iPS由来血管内皮細胞をモデルとしたin vitro評価系
- 低分子薬剤透過を想定した評価方法
- 高分子薬剤透過の評価
- アルツハイマー型認知症を例にとった治療薬開発における血液脳関門透過性の位置づけ
- アルツハイマー型認知症におけるAβ蓄積に際して血液脳関門が果たす役割
- Aβ蓄積に対するNeurovascular unitの反応
- アルツハイマー型認知症に対する抗体医薬開発とその評価
第2部. ミクログリア細胞を応用した血液脳関門へのDDS技術
(2015年11月13日 13:45〜15:15)
ミクログリアの特殊な性質として末梢血管に注入すると血液脳関門の破綻を来すことなく脳に特異的に集積するため、この性質を利用すると薬剤や遺伝子、タンパク質などを脳に非侵襲的に導入できる事を示した。また、遺伝子工学的手法によりミクログリアの脳移行性を模倣するペプチド分子を単離することができた。このペプチドを用いることにより様々な物質 (タンパク、薬剤、金属コロイド、リポソームetc) について血液脳関門を壊すことなく脳内に送り込むことが出来るようになった。
- 脳疾患の治療の現状と難しさ
- ミクログリア研究の新展開:血管内に注入したミクログリアは脳内に侵入することができる
- 脳のバイオターゲティング
- ミクログリア細胞株を用いた脳のバイオターゲッティング
- 薬物やタンパク質の脳特異的導入への応用
- 脳内に侵入したミクログリアの動態の非侵襲的観察
- 脳に侵入した外来性ミクログリアの脳実質細胞への影響
- 脳に侵入した外来性ミクログリアは神経保護的に働く
- 脳の特定部分をターゲティングするには
- ヒト疾患への治療戦略
- 脳のバイオターゲティングのヒト疾患への応用
- ヒト疾患治療における問題点
- 脳移行性ペプチドによる試み
- 骨髄の造血系前駆細胞中にミクログリアのように脳に侵入できる細胞が存在する