技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー

熱可塑性エラストマーの特性と選定技術

熱可塑性エラストマーの特性と選定技術

熱可塑性エラストマーの特性と選定技術の画像

概要

本書では、熱可塑性エラストマー (TPE) の基礎について網羅的に解説しております。
スチレン系・オレフィン系・ウレタン系など熱可塑性エラストマー (TPE) の特性や用途を解説しております。

ご案内

 熱可塑性エラストマー (TPE) は、加硫ゴムの特性と熱可塑性プラスチックの成形性を併せ持ち、多様な用途で利用が進んでいる素材である。ゴムと比べた場合には、加硫工程が不要であり、成形加工性・リサイクル性に優れ、軽量であることが評価されている。また、熱可塑性プラスチックと比べた場合には、柔軟で、大きな弾性変形範囲を有することが評価されている。
 本書では、まず、TPEを理解するための基礎を、代表的なTPEの一つであるスチレン・ブタジエンブロック共重合体 (SBS) を例として解説している。高分子に関する基礎事項を確認しつつ解説しており、普段は化学に接する機会の少ない方にも読み進めいただけると期待している。
 続いて、数多くあるTPEの中から、汎用性が高く実用上重要なタイプを取り上げ、特性・用途例を詳しく解説している。TPE利活用のイメージを持っていただけるものと考えている。
 次に、TPE選定の考え方を、TPEの特性比較および具体的な製品への適用事例を通して紹介している。また、TPEに期待されている用途でもあるゴムの置き換えについて、ゴムとの特性比較および具体的な事例を通して紹介している。
 また、実際にTPE製品を生産・使用する際に生じうる課題についても整理し、TPE製品開発の参考としていただけることをめざしている。
 最後に、TPEに関する特許出願および開発の動向をまとめ、最近の動きを把握いただけるよう考慮している。
 本書が、TPEに携わっておられる方、あるいは、これからTPEに取り組もうとされている方のお役にたてば幸いである。
 本書の企画から編集まで、株式会社R&D支援センターの方々にはたいへんお世話になった。ここに記して、御礼申し上げたい。

目次

第1章 熱可塑性エラストマー (TPE) の基礎知識

  • 1 はじめに
    • 1.1 熱可塑性エラストマー (TPE) とは
    • 1.2 TPEの成分と構造
    • 1.3 TPEの熱的性質
  • 2 TPEの歴史
  • 3 製造、特性、加工を理解するための基礎
    • 3.1 SBSを例としたTPEの基礎
      • 3.1.1 基礎事項
      • 3.1.2 SBSの製造 (アニオンリビング重合)
      • 3.1.3 SBSの特性
    • 3.2 高分子の基礎知識
      • 3.2.1 高分子とは
      • 3.2.2 高分子の製造法
      • 3.2.3 高分子の特性
      • 3.2.4 高分子の構造
      • 3.2.5 高分子の熱的性質
      • 3.2.6 高分子の流動性
    • 3.3 TPEのコンパウンド
    • 3.4 TPEの特性評価
  • 4 TPEの分類
    • 4.1 TPS
    • 4.2 TPO
    • 4.3 TPU
    • 4.4 TPC
    • 4.5 TPA
    • 4.6 TPV
    • 4.7 TPZ

第2章 熱可塑性エラストマーの種類と特性 (各論)

  • 1 スチレン系TPE
    • 1.1 TPS (スチレン系TPE) の種類
    • 1.2 TPSの特性
    • 1.3 TPSの用途例
      • 1.3.1 アスファルト改質 (主としてTPS-SBS)
      • 1.3.2 粘・接着剤 (主としてTPS-SIS)
      • 1.3.3 樹脂改質 (主としてTPS-SBS、TPS-SEBS:
        反応性を高めるための変性がなされることもある)
      • 1.3.4 履物の緩衝部材 (主としてTPS-SEBS )
      • 1.3.5 ゲルエラストマー
      • 1.3.6 その他のTPS
      • 1.3.7 用途例まとめ
    • 1.4 TPSのメーカー
      • 1.4.1 旭化成 株式会社
      • 1.4.2 株式会社 ENEOSマテリアル
      • 1.4.3 株式会社 クラレ
      • 1.4.4 クレイトンポリマージャパン 株式会社
  • 2 オレフィン系TPE
    • 2.1 TPO (オレフィン系TPE) の種類
    • 2.2 ブレンド系TPO
      • 2.2.1 特性概要と用途例
    • 2.3 ブレンド系TPOのメーカー
      • 2.3.1 株式会社 ENEOSマテリアル
      • 2.3.2 三菱ケミカル 株式会社
    • 2.4 TPV (Thermoplastic Vulcanizates) 系
      • 2.4.1 TPV (動的加硫系TPE) とは
      • 2.4.2 特性概要
      • 2.4.3 代表的な用途例
    • 2.5 TPV系TPOのメーカー
      • 2.5.1 三井化学 株式会社
      • 2.5.2 三菱ケミカル 株式会社
  • 3 TPU (ウレタン系TPE)
    • 3.1 TPUの種類
    • 3.2 TPUの特性
    • 3.3 TPUの用途例
    • 3.4 TPUのメーカー
      • 3.4.1 ディーアイシー コベストロ ポリマー 株式会社
      • 3.4.2 日本ミラクトラン 株式会社
      • 3.4.3 BASFジャパン 株式会社
      • 3.4.4 三菱ケミカル 株式会社
  • 4 TPC (エステル系TPE)
    • 4.1 TPCの種類
    • 4.2 TPCの特性
    • 4.3 TPCの用途例
    • 4.4 TPCのメーカー
      • 4.4.1 東洋紡績 株式会社
      • 4.4.2 東レ・セラニーズ 株式会社
      • 4.4.3 三菱ケミカル 株式会社
  • 5 TPA (アミド系TPE)
    • 5.1 概要
    • 5.2 TPAの特性
    • 5.3 TPAの用途例
    • 5.4 TPAのメーカー
      • 5.4.1 アルケマ 株式会社
      • 5.4.2 ポリプラ・エボニック 株式会社
  • 6 塩ビ系TPE
    • 6.1 概要
    • 6.2 塩ビ系TPEの特性
      • 6.2.1 TPZ-(NBR+PVC) の特徴
      • 6.2.2 TPZ-(PVC/Plasticizer+PVC) の特徴
    • 6.3 塩ビ系TPEの用途例
    • 6.4 塩ビ系TPEのメーカー
      • 6.4.1 プラス・テク 株式会社
      • 6.4.2 三菱ケミカル 株式会社
  • 7 TPZ-(Syn.1, 2-BR)
    • 7.1 TPZ-(Syn.1, 2-BR) の概要
    • 7.2 TPZ-(Syn.1, 2-BR) の特性
    • 7.3 TPZ-(Syn.1, 2-BR) の用途例
    • 7.4 TPZ-(Syn.1, 2-BR) のメーカー
      • 7.4.1 株式会社 ENEOSマテリアル
  • 8 TPZ-(Trans-IR)
    • 8.1 TPZ-(Trans-IR) の概要
    • 8.2 TPZ-(Trans-IR) の特性
    • 8.3 TPZ-(Trans-IR) の用途例
  • 9 TPZ-(PE-C)
    • 9.1 TPZ-(PE-C) の概要
    • 9.2 TPZ-PE-C) の特性
    • 9.3 TPZ-(PE-C) の用途例
    • 9.4 TPZ-(PE-C) のメーカー
      • 9.4.1 株式会社 レゾナック
  • 10 TPZ-(Fluoropolymer)
    • 10.1 TPZ-(Fluoropolymer) の概要
    • 10.2 TPZ-(Fluoropolymer) の特性
    • 10.3 TPZ-(Fluoropolymer) の代表的な用途例
    • 10.4 TPZ-(Fluoropolymer) のメーカー
      • 10.4.1 スリーエム ジャパン 株式会社
      • 10.4.2 ダイキン工業 株式会社
  • 11 TPZ-(Ionomer, ethylene-acrylic acid copolymer group)
    • 11.1 TPZ-(Ionomer, ethylene-acrylic acid copolymer group) の概要
    • 11.2 TPZ-(Ionomer, ethylene-acrylic acid copolymer group) の特性
    • 11.3 TPZ-(Ionomer, ethylene-acrylic acid copolymer group) の用途例
    • 11.4 TPZ-(Ionomer, ethylene-acrylic acid copolymer group) のメーカー
      • 11.4.1 三井・ダウ ポリケミカル 株式会社

第3章 熱可塑性エラストマーの選定

  • 1 はじめに
  • 2 TPE選定の考え方
    • 2.1 TPE選定の目的
    • 2.2 TPEの製品開発・製造
    • 2.3 コスト目標
    • 2.4 製品が使用される条件
    • 2.5 規制に関する考慮
    • 2.6 意匠と触感の決定
    • 2.7 材料の特性
  • 3 TPEのタイプ別特性比較
    • 3.1 比重
    • 3.2 硬さ
      • 3.2.1 試験方法
      • 3.2.2 TPEの硬さの例
    • 3.3 伸び
      • 3.3.1 伸びの試験方法
      • 3.3.2 TPEの伸びの例
    • 3.4 圧縮永久ひずみ
      • 3.4.1 試験方法
      • 3.4.2 TPEの圧縮永久ひずみの例
    • 3.5 耐摩耗性
      • 3.5.1 試験方法
      • 3.5.2 TPEの耐摩耗性の例
    • 3.6 引裂強度
      • 3.6.1 試験方法
      • 3.6.2 TPEの引裂強度の例
    • 3.7 弾性率
      • 3.7.1 試験方法
      • 3.7.2 TPEの弾性率の例
  • 4 TPE製品の材料設計
    • 4.1 材料設計の考え方
    • 4.2 TPE製品の材料設計例
      • 4.2.1 医療用チューブ
      • 4.2.2 プレフィルドシリンジのガスケット
      • 4.2.3 制振材料
      • 4.2.4 プロテクター
      • 4.2.5 飲料・食品用ボトルキャップ
  • 5 ゴムの置き換え
    • 5.1 TPEとゴムの特性比較
      • 5.1.1 ゴムの種類と特性
      • 5.1.2 加硫ゴムの配合
      • 5.1.3 硬さ
      • 5.1.4 引張強さ
      • 5.1.5 圧縮永久ひずみ
      • 5.1.6 耐熱性・耐油性
    • 5.2 TPEによるゴムの置き換え例
      • 5.2.1 ウェザーストリップ
      • 5.2.2 等速ジョイントブーツ
      • 5.2.3 インクチューブ
      • 5.2.4 パッキン
      • 5.2.5 ホース
      • 5.2.6 ガスケット
      • 5.2.7 ローラ
  • 6 ライフサイクルアセスメント (LCA:Life Cycle Assessment)

第4章 熱可塑性エラストマー製品のトラブルと対策

  • 1 TPEの成形法と検討事項
    • 1.1 TPEの成形法
    • 1.2 押出成形および射出成形の詳細
      • 1.2.1 押出成形
      • 1.2.2 射出成形
  • 2 材料に起因するトラブルとその対策
    • 2.1 劣化
    • 2.2 白化
    • 2.3 べとつき

第5章 熱可塑性エラストマーの特許出願および開発動向

  • 1 熱可塑性エラストマーに関する特許出願の状況
    • 1.1 医療用チューブ
    • 1.2 プレフィルドシリンジのガスケット
    • 1.3 制振材料
    • 1.4 プロテクター
    • 1.5 飲料・食品用ボトルキャップ
    • 1.6 ウェザーストリップ
    • 1.7 等速ジョイントブーツ
    • 1.8 インクチューブ
    • 1.9 パッキン
    • 1.10 ホース
    • 1.11 ガスケット
    • 1.12 ローラ
  • 2 熱可塑性エラストマーに関する開発動向
    • 2.1 バイオ由来原料を用いた熱可塑性エラストマー
    • 2.2 難燃性熱可塑性エラストマー
    • 2.3 アクリル系熱可塑性エラストマー
    • 2.4 脂環式ウレタン系熱可塑性エラストマー

Appendix

  • 1 熱可塑性エラストマーの安全性について
  • 2 熱可塑性エラストマーと溶剤との相互作用について
  • 3 熱可塑性エラストマーのガス透過性について
  • 4 熱可塑性エラストマーの臭気について

執筆者

平野 康雄

神戸技術オフィス

代表

出版社

お支払い方法、返品の可否は、必ず注文前にご確認をお願いいたします。

お問い合わせ

本出版物に関するお問い合わせは tech-seminar.jpのお問い合わせからお願いいたします。
(出版社への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

体裁・ページ数

B5判 並製本 154ページ

ISBNコード

978-4-905507-68-0

発行年月

2023年7月

販売元

tech-seminar.jp

価格

50,000円 (税別) / 55,000円 (税込)

これから開催される関連セミナー

開始日時 会場 開催方法
2025/2/14 重合反応の基礎・応用 オンライン
2025/2/14 高分子フィルム・繊維の延伸プロセスにおける分子配向形成、結晶化とその制御 オンライン
2025/2/17 ゾル-ゲル法の基礎と材料合成、(新規) 材料開発で活用するための実用的な総合知識 オンライン
2025/2/17 高分子へのフィラーのコンパウンド技術の基礎と応用 オンライン
2025/2/17 結晶性高分子の材料設計・改良・加工性向上に必要な基礎知識 オンライン
2025/2/21 プラスチック製品の強度安全率を高めるための設計・成形技術、材料選定 オンライン
2025/2/21 シリコーンの基礎・特性と設計・使用法の考え方・活かし方 オンライン
2025/2/25 プラスチック・ゴム材料における劣化の調べ方・耐久性評価法・寿命予測法とその実際 東京都 会場・オンライン
2025/2/27 モータ巻線用絶縁材料の評価方法 オンライン
2025/2/27 メタクリル系ポリマー活用のための入門講座 オンライン
2025/2/27 自動車産業における高分子材料のこれからを考える オンライン
2025/2/28 ゴム材料の分析手法および劣化現象とその分析 オンライン
2025/3/5 ゴム・プラスチック材料の破損・破壊原因と対策事例及び寿命予測 東京都 会場・オンライン
2025/3/6 エポキシ樹脂の耐熱性向上と機能性両立への分子デザイン設計および用途展開における最新動向 オンライン
2025/3/10 シリコーンの基礎・特性と設計・使用法の考え方・活かし方 オンライン
2025/3/13 半導体封止材用エポキシ樹脂・硬化剤・硬化促進剤と分析・特性評価法および技術動向 オンライン
2025/3/19 分子動力学シミュレーションの基礎と高分子材料開発への応用 オンライン
2025/3/27 高分子の相溶性と相分離および結晶化の基礎 オンライン
2025/3/27 廃プラスチックのリサイクル最新動向 東京都 会場・オンライン
2025/3/28 固体高分子の破壊とタフニング オンライン

関連する出版物