技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー

ポリ乳酸の成形加工時に役立つ結晶化制御と添加剤の知識

ポリ乳酸の成形加工時に役立つ結晶化制御と添加剤の知識

~冷却・固化不良、寸法安定性不良、成形サイクルの遅延、室温放置下での形状や物性の経時変化、耐熱性や耐衝撃性などでお困りではありませんか?~
オンライン 開催
  • ライブ配信セミナーには、特典としてアーカイブ配信が付きます。
  • アーカイブ配信の視聴期間は、2025年11月17日〜21日を予定しております。
  • ライブ配信を欠席し、アーカイブ配信のみ受講をご希望の場合は、通信欄に「ライブ欠席、アーカイブのみ受講」とご記入ください。

概要

本セミナーでは、ポリ乳酸の成形加工について取り上げ、押出・発泡・ダイレクト・ブロー成形、薄肉射出・繊維/不織布など、成形加工法ごとの加工性や物性の支配因子の整理から、成形加工性や機能性の向上に直結する添加剤の選定や結晶化制御の勘所に至るまでを解説いたします。

開催日

  • 2025年11月14日(金) 10時00分17時00分

受講対象者

  • ポリ乳酸に関連する技術者
    • 自動車分野
    • 電気・電子分野
    • スポーツ分野 など
  • ポリ乳酸に関連する分野のマーケティング担当者、事業企画担当者、経営者

修得知識

  • プラスチックの成形加工性の物理的意味と各種成形加工法の特徴
  • 結晶性高分子の結晶化理論、結晶化挙動の解析と結晶化速度パラメータの算出法
  • ポリ乳酸の耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性等を向上させる添加剤の選択・配合設計指針
  • ポリ乳酸の成形加工分野別の最新製品・市場開発動向

プログラム

 結晶性高分子は成形加工工程で結晶化することにより、その素材固有の潜在的性能としての熱的・力学的特性を発現することができる。しかるに、ポリ乳酸 (PLA) に代表される結晶化速度の遅い結晶性高分子は成形加工工程で結晶化が十分に進まず、成形加工性や得られる成形品の耐熱性や寸法安定性などは低レベルに留まらざるを得ない。また、一般的に高分子はニートレジンのままでは最終製品の要求性能を満足させることは困難で、成形加工工程で各種添加剤が適宜選択・配合設計されるのが通例である。
 本セミナーでは、ポリ乳酸の耐熱性などの向上に必須の結晶化速度の解析手法やポリ乳酸固有の技術的課題解決のための各種添加剤の選択・配合設計指針を成形加工分野毎に分かり易く解説する。これまで産学両分野で約30年間、ポリ乳酸の基礎・応用研究から技術・事業開発までを世界に先駆け成し遂げた講師による渾身のセミナーである。

  1. 次世代バイオプラスチックとしてのポリ乳酸
    1. 地球環境・資源・廃棄物問題と生分解性プラスチック
      1. 石油を原料とする合成高分子化学工業が内包するパラドックス
      2. 自然界の真のリサイクルシステムとしての物質循環 (炭素循環) へのリンク
      3. 生分解性バイオマスプラへのパラダイムシフト
    2. ポリ乳酸の基本特性
      1. 熱可塑性脂肪族ポリエステル
        • 結晶性高分子 (Tm:130〜190°C、Tg:58°C)
      2. 安全性、食品衛生性、抗菌・防カビ性
      3. 環境低負荷特性
        • LCAによる客観的・定量的評価
      4. 生分解性バイオマスプラ
        1. 生分解機構
          • 非酵素分解 (加水分解) 型
          • 2段階2様式の特異的な生分解機構
          • 生分解性と耐久性の両立
          • 分解 (開始・速度) 制御機構内包
          • 短期使用から長期耐久性構造材料まで
        2. 自然環境 (土壌、海水・淡水) 下や生体内での完全生分解性
        3. 使用後の再資源化 (リサイクル)
          • バイオリサイクル
          • 堆肥化 (好気性下) 又は生ごみ発電 (嫌気性下)
          • ケミカルリサイクル
          • 熱分解による原料ラクチドへの還元
          • マテリアルリサイクル
  2. 熱可塑性プラスチック (特に結晶性高分子) の成形加工性
    1. 成形加工の物理的意味
      • 溶融体の室温下への冷却固化・賦形過程におけるガラス化又は結晶化
    2. 成形加工法と支配因子
      1. 溶融押出過程
        • 溶融粘度
        • 溶融張力⇔分子量
        • 架橋密度依存性
          1. 高粘度
            • 押出成形 (フィルム、シート)
            • 発泡成形
            • ダイレクト・ブロー成形
          2. 中粘度
            • 繊維、射出成形
          3. 低粘度
            • 不織布 (スパンボンド、メルトブローン)
            • 薄肉射出成形
      2. 冷却固化過程
        • Tg又は結晶化速度⇔冷却速度、変形速度依存性
        1. 室温
        2. 室温下への冷却だけでガラス化 ⇒ Tg
        3. Tg<室温の場合
          • 室温下への冷却過程で結晶化が必須 ⇒ 結晶化速度
    3. 添加剤
      1. 溶融押出過程
        • 溶融粘度
        • 溶融張力調整剤
          1. 増粘剤
            • エポキシ基含有反応性改質剤
            • 架橋剤 (有機過酸化物)
          2. 流動性改良剤、粘度低減剤
            • ポリグリセリン脂肪酸エステル (界面活性剤)
          3. 分散安定剤
      2. 冷却固化過程
        • 結晶化促進剤 (第3章で詳述)
        • 微細構造形成調整剤
        1. 不透明耐熱化
          • 分散型造核剤
          • 結晶化速度促進剤
        2. 透明耐熱化
          • 溶解型造核剤
          • 結晶化速度促進剤
        3. 寸法安定性 (低熱収縮率、経時変化防止)
          • 結晶化促進剤
        4. 耐衝撃性
          • 可塑剤
          • 耐衝撃性向上剤
  3. 成形加工工程における結晶化挙動と制御技術
    1. 成形加工工程における結晶化の分類
      1. Melt Crystallization (メルトから室温下への降温冷却過程における結晶化)
        • 押出成形
        • 射出成形
        • ダイレクト・ブロー成形
      2. Cold Crystallization (室温からの加熱昇温過程における結晶化)
        • 真空・圧空成形
        • 発泡成形
        • インジェクション・ブロー成形
    2. 等温結晶化挙動
      1. 結晶化速度式G=G0exp ( – ED/RT – KTm/RT (Tm – T) の物理的意味
        1. 第一項:セグメントの拡散過程
          • 温度と正の相関
        2. 第二項:核形成過程
          • 温度と負の相関
      2. 最も結晶化速度の速い結晶化温度Tc (Tg < Tc
      3. 結晶化速度パラメータ
        • ts, t1/2, te, kの算出法
    3. 非等温結晶化
      • 冷却速度が結晶化温度や結晶化度に及ぼす影響
    4. 結晶化速度を支配する因子
      • 一次構造・共重合比
      • 分子量
      • 結晶化促進剤
    5. 結晶化促進剤の分類
      1. 造核剤 (結晶核形成促進)
        1. 固体分散型
        2. 溶解型 (透明耐熱性)
        3. 架橋剤
      2. 結晶成長促進剤
      3. マルチ機能改質剤
        • 結晶核形成と結晶成長促進
    6. 結晶化速度が遅い場合に顕在化する問題点
      1. 冷却・固化未達
        • Tg<室温の場合、ゴム状態のまま
      2. 耐熱性不足:低い熱変形温度
        • 結晶不在
      3. 力学的特性不良
        • 低強度・弾性率
      4. 寸法安定性不良
        • 高い熱収縮率
      5. 成形サイクル
        • 遅延
      6. 二次結晶化
        • 室温放置下での経時変化 (形状、物性)
  4. ポリ乳酸の成形加工分野別の製品・市場開発動向
    1. 押出成形
      • 繊維・不織布
      • フィルム・シート
    2. 射出成形、薄肉射出成形
    3. サーモフォーミング
      • 熱盤成形
      • 真空・圧空成形
    4. 発泡成形
      • 押出発泡
      • ビーズ発泡
    5. ブロー成形
      • ダイレクト・ブロー
      • インジェクション・ブロー
    • 質疑応答

講師

主催

お支払い方法、キャンセルの可否は、必ずお申し込み前にご確認をお願いいたします。

お問い合わせ

本セミナーに関するお問い合わせは tech-seminar.jpのお問い合わせからお願いいたします。
(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 42,000円 (税別) / 46,200円 (税込)
複数名
: 27,500円 (税別) / 30,250円 (税込)

複数名受講割引

  • 2名様以上でお申込みの場合、1名あたり 27,500円(税別) / 30,250円(税込) で受講いただけます。
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 42,000円(税別) / 46,200円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 55,000円(税別) / 60,500円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 82,500円(税別) / 90,750円(税込)
  • 同一法人内 (グループ会社でも可) による複数名同時申込みのみ適用いたします。
  • 請求書は、代表者にご送付いたします。
  • 請求書および領収書は1名様ごとに発行可能です。
    申込みフォームの通信欄に「請求書1名ごと発行」とご記入ください。
  • 他の割引は併用できません。
  • サイエンス&テクノロジー社の「2名同時申込みで1名分無料」価格を適用しています。

アカデミー割引

教員、学生および医療従事者はアカデミー割引価格にて受講いただけます。

  • 1名様あたり 10,000円(税別) / 11,000円(税込)
  • 企業に属している方(出向または派遣の方も含む)は、対象外です。
  • お申込み者が大学所属名でも企業名義でお支払いの場合、対象外です。

ライブ配信セミナーについて

  • 本セミナーは「Zoom」を使ったライブ配信セミナーとなります。
  • お申し込み前に、 Zoomのシステム要件テストミーティングへの参加手順 をご確認いただき、 テストミーティング にて動作確認をお願いいたします。
  • 開催日前に、接続先URL、ミーティングID​、パスワードを別途ご連絡いたします。
  • セミナー開催日時に、視聴サイトにログインしていただき、ご視聴ください。
  • セミナー資料は郵送にて前日までにお送りいたします。
  • 開催まで4営業日を過ぎたお申込みの場合、セミナー資料の到着が、開講日に間に合わない可能性がありますこと、ご了承下さい。
    ライブ配信の画面上でスライド資料は表示されますので、セミナー視聴には差し支えございません。
    印刷物は後日お手元に届くことになります。
  • ご自宅への書類送付を希望の方は、通信欄にご住所・宛先などをご記入ください。
  • タブレットやスマートフォンでも受講可能ですが、機能が制限される場合があります。
  • ご視聴は、お申込み者様ご自身での視聴のみに限らせていただきます。不特定多数でご覧いただくことはご遠慮下さい。
  • 講義の録音、録画などの行為や、権利者の許可なくテキスト資料、講演データの複製、転用、販売などの二次利用することを固く禁じます。
  • Zoomのグループにパスワードを設定しています。お申込者以外の参加を防ぐため、パスワードを外部に漏洩しないでください。
    万が一、部外者が侵入した場合は管理者側で部外者の退出あるいはセミナーを終了いたします。

これから開催される関連セミナー

開始日時 会場 開催方法
2025/9/18 溶解度パラメータ (SP値、HSP値) の基礎、求め方、応用技術 オンライン
2025/9/18 半導体封止材用エポキシ樹脂・硬化剤・硬化促進剤の種類と特徴および新技術 オンライン
2025/9/18 人工皮革・合成皮革の基礎知識 オンライン
2025/9/18 高分子材料における添加剤の基礎知識と分析技術 オンライン
2025/9/19 溶解度パラメータ (SP値、HSP値) の基礎、求め方、応用技術 オンライン
2025/9/19 エポキシ樹脂の配合設計と硬化剤の選び方、使い方 オンライン
2025/9/22 開発・設計・生産技術者のための樹脂材料の基礎及び、樹脂成型技術と金型設計入門セミナー オンライン
2025/9/22 高分子材料における添加剤の基礎知識と分析技術 オンライン
2025/9/24 摩擦振動・異音の入門講座 オンライン
2025/9/25 アクリレートモノマー・オリゴマーの種類、特徴、重合と新しい分子設計の考え方 オンライン
2025/9/25 押出・延伸・冷却による構造制御と可視化・解析による機能発現の最適化 オンライン
2025/9/25 バリアフィルム作製の基礎とガス透過性メカニズム・評価技術および最新技術動向 オンライン
2025/9/25 押出成形のトラブル対策 Q&A講座 オンライン
2025/9/25 押出加工の基本技術とトラブル対策、品質向上策 オンライン
2025/9/26 プラスチック破壊メカニズムの基礎と材料強度設計 オンライン
2025/9/26 押出加工の基本技術とトラブル対策、品質向上策 オンライン
2025/9/26 感光性材料の基礎・種類・特性と設計における留意点 オンライン
2025/9/26 レオロジーを特許・権利化するための基礎科学、測定技術、知財戦略 オンライン
2025/9/26 ソフトマテリアルの摩擦・摩耗メカニズムおよび材料内部のひずみや接触挙動の可視化技術と摩擦・摩耗制御への応用 オンライン
2025/9/29 バリアフィルム作製の基礎とガス透過性メカニズム・評価技術および最新技術動向 オンライン

関連する出版物

発行年月
2024/7/31 ポリウレタンの材料設計、環境負荷低減と応用事例
2024/7/29 サステナブルなプラスチックの技術と展望
2024/7/22 世界のレトルトフィルム・レトルトパウチの実態と将来展望 2024-2026
2024/7/22 世界のレトルトフィルム・レトルトパウチの実態と将来展望 2024-2026 (書籍版 + CD版)
2024/7/17 世界のリサイクルPET 最新業界レポート
2024/6/28 ハイドロゲルの特性と作製および医療材料への応用
2024/5/30 PETボトルの最新リサイクル技術動向
2024/2/29 プラスチックのリサイクルと再生材の改質技術
2023/10/31 エポキシ樹脂の配合設計と高機能化
2023/7/31 熱可塑性エラストマーの特性と選定技術
2023/7/14 リサイクル材・バイオマス複合プラスチックの技術と仕組
2023/3/31 バイオマス材料の開発と応用
2023/1/31 液晶ポリマー (LCP) の物性と成形技術および高性能化
2023/1/6 バイオプラスチックの高機能化
2022/10/5 世界のプラスチックリサイクル 最新業界レポート
2022/8/31 ポリイミドの高機能設計と応用技術
2022/5/31 樹脂/フィラー複合材料の界面制御と評価
2022/5/31 自動車マルチマテリアルに向けた樹脂複合材料の開発
2022/5/30 世界のバイオプラスチック・微生物ポリマー 最新業界レポート
2021/12/24 動的粘弾性測定とそのデータ解釈事例