技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー

相分離生物学入門

相分離生物学入門

~タンパク質の課題に、新しい視点と解決へのヒント / 創薬事例:分子薬やアミロイドとLLPSの関係~
オンライン 開催

視聴期間は2025年7月9日〜23日を予定しております。
お申し込みは2025年7月9日まで承ります。

概要

本セミナーでは、タンパク質や低分子のLLPSの基本的な事項から解説し、細胞内に生じている多くの生命現象が関連している液-液相分離 (LLPS)、細胞内の現象の代表例として、酵素と代謝の関係、酵素の活性化や安定化技術への応用について解説いたします。

開催日

  • 2025年7月9日(水) 13時00分 2025年7月23日(水) 16時30分

修得知識

  • 相分離生物学の基礎
  • タンパク質の液-液相分離
  • 細胞内にある液-液相分離 (LLPS) の例
  • 代謝と酵素の関係
  • 技術としての酵素活性化
  • 液-液相分離と酵素活性化
  • 創薬へのアプローチ
  • アルツハイマーの抗体薬はなぜ開発できないのか
  • 低分子とタンパク質による溶液状態

プログラム

 相分離生物学と呼べる新しい見方が生命科学の分野に広がっています。この講義では、液-液相分離 (LLPS) の考え方について、この分野の誕生の経緯から、最近のトピック、原理、試験管内での応用例を広く紹介します。
 まず、タンパク質や低分子のLLPSの基本的な事項を紹介します。さらに、細胞内に生じている多くの生命現象がLLPSと関連していることを説明します。細胞内の現象の代表例として、酵素と代謝の関係を説明し、酵素の活性化や安定化の技術としてどう活用できるかを紹介します。
 創薬との例として、低分子薬やアミロイドとLLPSの関係について説明します。最後に、相分離生物学が誕生した経緯、および、現在タンパク質分野に変革をもたらしているAIによる構造解析の、2つの生命科学のパラダイムシフトについて情報共有します。

  1. 相分離生物学とは
    1. 細胞内にあるオルガネラと非膜オルガネラ
    2. 膜のないオルガネラから名前のないオルガネラへ
    3. 生体濃縮体 (相分離液滴) の多様な機能
  2. タンパク質の液-液相分離
    1. タンパク質の液-液相分離の再現実験
    2. 相分離液滴への低分子の効果
    3. 相分離液滴から凝集体への成熟
    4. 高分子の液-液相分離
    5. 天然変性タンパク質の相分離に関する総説
    6. 相図の見方
    7. 2つのタイプの液-液相分離
    8. 試験管内と細胞内の液-液相分離の特徴
    9. タンパク質の液滴・ゲル・凝集体
    10. 低分子とポリアミノ酸による液-液相分離
    11. 細胞内の相分離
  3. 細胞内にあるLLPSの例
    1. スーパーエンハンサー
    2. ヘテロクロマチン
    3. ヘキサンジオールの特徴
    4. ヒストンH1に関する議論
    5. 染色体は溶けているのか?
    6. cGASが関連する自然免疫の応答
    7. 翻訳阻害のモデル研究
    8. 抗がん剤の核内への溶け方
    9. リン酸化と脱リン酸化
    10. 翻訳後修飾による相分離制御モデル
    11. 生体膜表面での相分離モデル
    12. 新型コロナウイルスと相分離
    13. オルガネラと非膜オルガネラの協働
    14. RubisCOと炭酸固定
  4. 代謝と酵素の関係
    1. 代謝マップ
    2. なぜ反応が混線しないのか?
    3. 酵素の連続反応はどのように生じるのか?
    4. メタボロン仮説
    5. 再注目されるメタボロン
  5. 技術としての酵素活性化
    1. 酵素の実験系を再考する
    2. ホフマイスター系列
    3. コスモトロープによる酵素のkcatの増強
    4. 酵素の立体構造と活性化
    5. 低分子のアミン化合物による活性化
    6. 高分子電解質による活性化
    7. ポリアミノ酸による乳酸脱水素酵素の安定化
  6. 液-液相分離と酵素活性化
    1. 液-液相分離と酵素活性化の原理
    2. 酵素の連続反応の再現実験
    3. ポリリシンはATPやNADPと相分離する
    4. 乳酸酸化酵素とポリリシンの液滴による酵素活性化
    5. 液滴の硫安による形状の変化
    6. 乳酸酸化酵素はクラスターで2桁も活性が増加する
    7. 尿素によるアデニル酸キナーゼの活性化
    8. 液滴による脱リン酸化活性のあるペプチドの活性化
    9. 酵素の活性によって液滴の粘度が下がる
    10. 酵素のフォールドした領域と液-液相分離
    11. 酵素本来のあり方から考える
  7. 創薬へのアプローチ
    1. 相分離液滴の分子選択性
    2. 低分子の相分離液滴への溶解予測
    3. 乳がんのターゲットとしての液滴
    4. 液滴への抗生物質の取り込み
    5. 液-液相分離の歴史と核膜孔
    6. ヘキサンジオールの発見
    7. 液滴フィルター
  8. アルツハイマーの抗体薬はなぜ開発できないのか?
    1. タンパク質はアミロイドになる
    2. 仮説 / 生体内と試験管内でアミロイド形成
    3. 液滴からアミロイドへの伸長 / αシヌクレイン
    4. アミロイド仮説がなぜ正しく機能しないのか
    5. やわらかい凝集体に毒性がある
    6. アルツハイマー病患者のAβ線維のクライオ電顕像
    7. 酵母プリオンタンパク質
    8. 相分離と凝集のトレードオフ
  9. 低分子とタンパク質による溶液状態
    1. 卵白の加熱凝集
    2. タンパク質凝集抑制剤としてのアルギニン
    3. 液滴は低分子でも制御を受ける
    4. ATPはハイドロトロープ
    5. 「溶ける」とは
    6. 天然深共晶溶媒
    7. 尿素とTMAO
  10. 構造生物学から相分離生物学へ
    1. ミオグロビンの立体構造
    2. 構造機能相関
    3. 構造生物学の到達点
    4. アドレナリン受容体の結晶構造
    5. タンパク質データバンク
    6. 天然変性タンパク質
    7. ヒトタンパク質の約半数は天然変性
    8. タンパク質ルールの崩壊
    9. 一対一の相互作用による見方
    10. ローゼンらの発見
    11. マックナイトらの発見
    12. ハイマンらの発見
    13. RNAは相分離性もコードする
    14. 相分離生物学の位置付け
  11. 2024年のノーベル化学賞
    1. de novo designの時代へ
    2. 蛍光を発する人工タンパク質
    3. 20万種類を超えたタンパク質の実験構造
    4. AlphaFold2の登場
    5. AlphaFoldデータベース
    6. AlphaFold3と複合体の予測
    7. 逆フォールディング問題
    8. 40種類を超えるAIモデル
    9. RFdiffusion
    10. タンパク質を自在にデザインできる時代へ
    • 質疑応答

講師

主催

お支払い方法、キャンセルの可否は、必ずお申し込み前にご確認をお願いいたします。

お問い合わせ

本セミナーに関するお問い合わせは tech-seminar.jpのお問い合わせからお願いいたします。
(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 34,400円 (税別) / 37,840円 (税込)
複数名
: 22,500円 (税別) / 24,750円 (税込)

複数名受講割引

  • 2名様以上でお申込みの場合、1名あたり 22,500円(税別) / 24,750円(税込) で受講いただけます。
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 34,400円(税別) / 37,840円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 45,000円(税別) / 49,500円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 67,500円(税別) / 74,250円(税込)
  • 同一法人内 (グループ会社でも可) による複数名同時申込みのみ適用いたします。
  • 請求書は、代表者にご送付いたします。
  • 請求書および領収書は1名様ごとに発行可能です。
    申込みフォームの通信欄に「請求書1名ごと発行」とご記入ください。
  • 他の割引は併用できません。
  • サイエンス&テクノロジー社の「2名同時申込みで1名分無料」価格を適用しています。

アカデミー割引

教員、学生および医療従事者はアカデミー割引価格にて受講いただけます。

  • 1名様あたり 10,000円(税別) / 11,000円(税込)
  • 企業に属している方(出向または派遣の方も含む)は、対象外です。
  • お申込み者が大学所属名でも企業名義でお支払いの場合、対象外です。

アーカイブ配信セミナー

  • 「ビデオグ」を使ったアーカイブ配信セミナーとなります。
  • 当日のセミナーを、後日にお手元のPCなどからご視聴ができます。
  • お申し込み前に、 視聴環境 をご確認いただき、 視聴テスト にて動作確認をお願いいたします。
  • 別途、ID,パスワードをメールにてご連絡申し上げます。
  • 視聴期間は2025年7月9日〜23日を予定しております。
    ご視聴いただけなかった場合でも期間延長いたしませんのでご注意ください。
  • セミナー資料は印刷・送付いたします。
  • ご自宅への書類送付を希望の方は、通信欄にご住所・宛先などをご記入ください。
  • ご視聴は、お申込み者様ご自身での視聴のみに限らせていただきます。不特定多数でご覧いただくことはご遠慮下さい。
  • 講義の録音、録画などの行為や、権利者の許可なくテキスト資料、講演データの複製、転用、販売などの二次利用することを固く禁じます。

これから開催される関連セミナー

開始日時 会場 開催方法
2025/4/24 GMP管理ではない (non-GMP) 原材料供給業者の製造・品質管理の要求事項/監査 (書面・実地) のポイントと監査時のチェックリスト・着眼点 オンライン
2025/4/24 QA/QCが知っておくべき (開発段階を含めた) 分析法バリデーションの基礎 オンライン
2025/4/24 希少疾病用医薬品 (オーファンドラッグ) の薬価算定の実際と薬価戦略 オンライン
2025/4/24 バイオ医薬品開発を目的としたタンパク質溶液の安定化と添加剤の効果/選定 オンライン
2025/4/24 医薬品不純物管理のための許容量 (PDE) 設定の基礎と実践 オンライン
2025/4/24 臨床QMSを意識した治験のIssue分析とCAPAマネジメント実践的運用 オンライン
2025/4/25 データインテグリティ (DI) における各手順書への落とし込み・作成と記載レベル オンライン
2025/4/25 「洗浄バリデーション」「マルチパーパス設備洗浄評価基準」コース オンライン
2025/4/25 洗浄バリデーションにおける「残留許容値の設定」「ホールドタイム (DHT/CHT/SDT/SHT) の留意点」「ワーストケースロケーション (WCL) とスワブ数の例」「回収率テストの事例」 オンライン
2025/4/25 GMP/GQPにおけるQA教育訓練とGMP文書、記録類のレビューのポイント オンライン
2025/4/25 炎症性腸疾患における診療・開発動向と診療現場より期待される新薬像 オンライン
2025/4/25 試験部門 (QC) における監査証跡とそのレビュー方法 オンライン
2025/4/25 ICH E6 (R3) が要求するデータガバナンス対応 オンライン
2025/4/28 FDA DMF (Type II,IV) (Type III) の各ファイルの作成方法と事例及びFDA照会対応 (2日コース) オンライン
2025/4/28 開発から製造販売後までの一貫した安全性評価の取りまとめ方と効率的な資料作成方法 (基礎編 + 実践編) オンライン
2025/4/28 化学物質を扱う研究所における法規制に準拠した薬品管理の進め方 オンライン
2025/4/28 FDA DMF (Type II,IV) の各ファイルの作成方法と事例及びFDA照会対応 オンライン
2025/4/28 開発から製造販売後までの一貫した安全性評価の取りまとめ方と効率的な資料作成方法 (基礎編) オンライン
2025/4/28 開発から製造販売後までの一貫した安全性評価の取りまとめ方と効率的な資料作成方法 (実践編) オンライン
2025/4/28 医薬品事業開発における導出/導入・契約、交渉業務の基礎 オンライン

関連する出版物

発行年月
2025/2/20 医薬品製造を目的としたプロセス化学と薬事規制及び製薬企業の動向
2024/3/22 GxP領域でのクラウド利用におけるCSV実施/データインテグリティ対応 (製本版 + ebook版)
2024/3/22 GxP領域でのクラウド利用におけるCSV実施/データインテグリティ対応
2024/1/31 不純物の分析法と化学物質の取り扱い
2023/12/20 遺伝子治療用製品の開発・申請戦略
2023/12/20 遺伝子治療用製品の開発・申請戦略 (製本版 + ebook版)
2023/11/30 当局査察に対応した試験検査室管理実務ノウハウ
2023/11/29 開発段階に応じたバリデーション実施範囲・品質規格設定と変更管理 - プロセス/分析法バリデーション - (製本版 + ebook版)
2023/11/29 開発段階に応じたバリデーション実施範囲・品質規格設定と変更管理 - プロセス/分析法バリデーション -
2023/8/31 ゲノム編集の最新技術と医薬品・遺伝子治療・農業・水畜産物
2023/5/26 グローバル展開・3極規制要件の違いをふまえたRMP (日本/欧州) ・REMS (米国) 策定とリスク設定・対応 (製本版 + ebook版)
2023/5/26 グローバル展開・3極規制要件の違いをふまえたRMP (日本/欧州) ・REMS (米国) 策定とリスク設定・対応
2023/2/28 mRNAの制御機構の解明と治療薬・ワクチンへの活用
2023/2/26 核酸医薬・mRNA医薬の製造分析の基礎と基盤技術開発
2023/1/31 新規モダリティ医薬品のための新しいDDS技術と製剤化
2023/1/31 超入門 改正GMP省令セミナー
2022/12/9 データインテグリティに適合するための電子/紙データ・記録の運用管理とSOP作成手法 (製本版 + ebook版)
2022/12/9 データインテグリティに適合するための電子/紙データ・記録の運用管理とSOP作成手法
2022/11/30 抗体医薬品製造
2022/10/26 バイオ医薬品の製剤安定化/高品質化のための不純物の規格設定と評価・管理手法 (製本版 + ebook版)