技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー
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視聴期間は2025年3月27日〜4月7日を予定しております。
お申し込みは2025年3月27日まで承ります。
人為的な地球温暖化はないと考え、石油・天然ガスをはじめとした化石燃料の開発を促進するトランプ政権の誕生により、座礁資産とされた石油・天然ガスの復権の動きが強まっている。バイデン政権が、温室効果ガスを排出し、米国国内の天然ガス価格を上昇させるという懸念から、新規LNG (液化天然ガス) 輸出プロジェクトの認可の審査を凍結したことを、トランプ政権は見直す。米国は新規LNGプロジェクトの増加が見込まれ、脱ロシア産天然ガスを目指す欧州、LNGの安定供給を求める日本を含めたアジア諸国にとって、好ましい追い風といえる。
もともと、脱炭素の流れにおいて、炭酸ガスの排出量が石炭の半分程度と優れた環境特性をもつ天然ガスは、トランジション・エネルギー (脱炭素への過渡期のエネルギー) としての需要が期待されている。石油メジャーのシェルによる予測では、世界のLNG需要は現在の年間4億トンから2040年に6億8,500万トンに増加すると見込まれており、強気の見通しでは2040年に年間8億トンに増加する。2024年に入ってから、LNG調達先の多様化を求めて、三菱商事、三井物産等は、インドネシア、UAE (アラブ首長国連邦) 、カナダ、マレーシアの新規LNG開発を表明している。
有力LNG輸出国カタールは、2024年2月26日に、従来の世界最大の天然ガス田ノース・フィールドの東部、南部に加えて、西部のLNGプロジェクトの開発構想を発表した。カタールは、LNG生産能力を現在の7,700万トンから2030年に1億4,200万トンに増強し、世界最大のLNG輸出国奪回を目指している。トランプ政権は、米国のシェール・ガスを原料としたLNGプロジェクトの輸出認可凍結解除に動き出し、それと同時に、天然ガスの液化プロセスを、従来のガスタービンから太陽光発電による電動化により炭酸ガスの排出を削減し、CCS (炭酸ガス回収・地下貯留技術) と組み合わせ、よりカーボンニュートラルなLNGの生産によって、炭酸ガス排出削減を求める新たな需要家を開拓しようとしている。米国は、シェール・ガスを原料としたLNGの輸出量が、2023年に8,540万トンと、豪州、カタールを抜いて世界最大となり、ロシア産天然ガス脱却を目指す欧州諸国の重要なLNG供給源となっている。米国から欧州へのLNG輸出は、2021年の1,820万トンから2022年には4,770万トンと2,950万トンも増加している。新型コロナウイルスの感染拡大により2020年4月に百万Btu (ブリティッシュ熱量単位) 当たり1.825ドルに暴落した極東アジアLNGスポット価格は、ウクライナ危機を受けて2022年3月には百万Btu当たり84.8ドルと史上最高値をつけ、2024年12月時点においても百万Btu当たり14ドル台と高値をつけている。欧州諸国の天然ガス指標価格オランダTTFも、2022年8月には百万Btu当たり94ドルを超えた。その後、欧米諸国の冬が温暖であり、暖房需要が減少したことから、2024年11月に入っても、百万Btu当たり13ドルに低下している。しかし、長期的なLNG需要の増加、LNGスポット価格の上昇を受けて、米国をはじめとして、新規のLNGプロジェクトが相次いで着工への動きを始め、中国、欧州諸国が、米国、カタール等とLNG購入の長期契約を締結している。
米国のLNGは、アジア諸国から高値で購入する欧州諸国に向かっている。カタールも意欲的なLNG生産能力増強計画を打ち出し、2027年には年産1億2,600万トンを目指し、日本の千代田化工連合は年間生産能力3,200万トンの液化プラントを130億ドル (約1兆7,550億円) で受注している。追加のノース・フィールド西部のプロジェクトの詳細も2025年に決定される。LNGは、脱炭素へのデスティネーション・エネルギー (最終目的のエネルギー) としての評価が始まっている。中国は、炭酸ガスの排出削減、大気汚染防止策から、2023年はLNG輸入を増加させて、世界最大のLNG輸入国に返り咲いた。2024年の冬は暖冬に助けられ、LNGスポット価格は沈静化したものの、2025年の冬に向けて、欧州諸国、米国の暖房需要の増加、アジア諸国の脱炭素への動き、電力需給逼迫等により、極東アジアLNGスポット価格は、再び上昇する可能性が考えられる。
LNGは、豪州、米国をはじめとした相次ぐ新規LNGプロジェクトの稼働開始により、数年前には2022年までは余剰であると見られていたものの、欧州諸国におけるロシア産天然ガス輸入量 (LNG換算年間1億1,400万トン) 相当のLNG特需の発生、中国をはじめとしたアジア諸国の経済成長にともなうLNG需要の増加により、2027年頃までLNG需給逼迫が続くという見方に大きく変貌している。ロシアのサハリン2プロジェクト、アークティク2LNGプロジェクト等から欧米の石油メジャー (国際石油資本) が撤退し、ロシアのLNGプロジェクトへのリスクが強まるなか、米国、カタール、UAE、モザンビーグ、インドネシアをはじめとした新規LNGプロジェクトの今後の動向はどうなるのか。乱高下するLNG価格の2025年における見通しと、脱炭素への新規LNGプロジェクトに関連する日本企業の事業戦略について、分かりやすく解説する。
教員、学生および医療従事者はアカデミー割引価格にて受講いただけます。
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発行年月 | |
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