技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー

免疫性血栓性血小板減少性紫斑病の歴史、病態、治療の新たな展開と残された課題

免疫性血栓性血小板減少性紫斑病の歴史、病態、治療の新たな展開と残された課題

~先天性TTP/免疫性TTPの診断・治療の問題点と最新動向から見た今後の開発の方向性は~
オンライン 開催

視聴期間は2024年6月25日〜7月5日を予定しております。
お申し込みは2024年7月3日まで承ります。

開催日

  • 2024年7月3日(水) 13時00分 2024年7月5日(金) 16時00分

修得知識

  • TTPの病態
  • TTP治療の考え方
  • アフェレシス治療の意味
  • Caplacizumabによる治療の意味とPit fall TTP診療における保険適用の問題点

プログラム

 後天性血栓性血小板減少性紫斑病 (後天性TTP) は、微小血管血栓症 (TMA) の1病型であり、血管内皮から分泌されたvon Willebrand factor (VWF) の大きな重合体が、末梢の細動脈等で、ずり応力によって進展された際に、通常であればVWFのA2ドメインでVWFを切断するADAMTS13と呼ばれる酵素に対する中和抗体や時に結合抗体が生じて機能せず、VWFが非常に大きな重合体のまま進展し、その各A1ドメインに血小板が結合、さらに末梢に進んでVWF血小板血栓を生じ、消費性の血小板減少と虚血による組織障害を生じる疾患である。後天性TTPは、現在ではその機序により次第に免疫性TTPと呼ばれるようになっている。
 疾患の概容が明確になった1966年時点では致死率90%とされていたが、その後病因が明確になる以前に、新鮮凍結血漿 (FFP) を用いた血漿交換の有効性が前向き比較試験で確立し、さらに免疫的機序が明らかとなって、血漿交換と副腎皮質ホルモンを中心とした免疫抑制療法が初期治療として確立、死亡率も20 – 10%程度まで改善した。しかしながら、FFPを用いた血漿交換は、抗ADAMTS13抗体を除去する一方で不足するADAMTS13を補充する治療であるが、同時に抗体産生しているBリンパ球に対応抗原を負荷する治療であるため、約半数でinhibitor boostingと呼ばれる、いったん減少した抗体の再上昇による病状の悪化が生じ、免疫抑制の強化と頻回の血漿交換が必要となる。
 ADAMTS13活性、インヒビターの確認には時間がかかる一方で、死亡症例の大部分は、発症早期の微小血管血栓による心臓死であることも明らかとなり、早期対応の重要性が指摘されている。ラマは重鎖のみの抗体を持つが、VWFA1ドメインに対するラマの抗体の可変部位をヒト化したNanobodyであるCaplacizumabが、昨年血漿交換、適切な免疫抑制薬との併用で保険適応となった。Caplacizumabは、抗ADAMTS13抗体存在下でも、VWFと血小板の結合を阻害し、VWF血小板血栓形成を阻止するため、血栓形成も血小板減少も速やかに生じなくなる。海外国内の治験で有効性が確認され、2023年の我が国の診療ガイドでも1Aの評価となっている。ただし、Caplacizumab使用下では、抗体が存在しADAMTS13活性が著減していても症状は改善するので、臨床症状の改善が病因の解決に結び付かないことに留意が必要であり、臨床症状のみで病因が改善されたと誤認すると、その中止によってTTPが再燃しさらに病状を悪化させる可能性がある。CaplacizumabはTTP治療のパラダイムシフトをもたらす薬剤である一方、強力な免疫抑制療法と綿密なADAMTS13活性、抗体価の確認がその終了時期の決定には必要である。免疫性TTPは初期対応が重要な疾患であるが、疑うことができれば診断にたどり着くことは難しくない。その歴史、病態、治療について、最新の知見も交えて、理解を深めていただきたい。

  1. 免疫性血栓性血小板減少性紫斑病の歴史、病態、治療と新たな展開
  2. 血栓性微小血管症
  3. 血栓性血小板減少性紫斑病 (TTP) 診療の歴史
  4. TTPの病態
  5. 先天性TTPと免疫性TTP
  6. TTPの治療と問題点
  7. 免疫性TTP の臨床
  8. 免疫性TTP診療の新たな展開
  9. TTPの診断・治療における臨床ニーズ
    • 質疑応答

主催

お支払い方法、キャンセルの可否は、必ずお申し込み前にご確認をお願いいたします。

お問い合わせ

本セミナーに関するお問い合わせは tech-seminar.jpのお問い合わせからお願いいたします。
(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 45,000円 (税別) / 49,500円 (税込)
複数名
: 22,500円 (税別) / 24,750円 (税込) (案内をご希望の場合に限ります)

案内割引・複数名同時申込割引について

R&D支援センターからの案内登録をご希望の方は、割引特典を受けられます。
案内および割引をご希望される方は、お申込みの際、「案内の希望 (割引適用)」の欄から案内方法をご選択ください。

「案内の希望」をご選択いただいた場合、1名様 42,000円(税別) / 46,200円(税込) で受講いただけます。
複数名で同時に申込いただいた場合、1名様につき 22,500円(税別) / 24,750円(税込) で受講いただけます。

  • R&D支援センターからの案内を希望する方
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 42,000円(税別) / 46,200円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 45,000円(税別) / 49,500円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 67,500円(税別) / 74,250円(税込)
  • R&D支援センターからの案内を希望しない方
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 45,000円(税別) / 49,500円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 90,000円(税別) / 99,000円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 135,000円(税別) / 148,500円(税込)

アーカイブ配信セミナー

  • 当日のセミナーを、後日にお手元のPCやスマホ・タブレッドなどからご視聴・学習することができます。
  • 配信開始となりましたら、改めてメールでご案内いたします。
  • 視聴サイトにログインしていただき、ご視聴いただきます。
  • 視聴期間は2024年6月25日〜7月5日を予定しております。
    ご視聴いただけなかった場合でも期間延長いたしませんのでご注意ください。
  • セミナー資料は別途、送付いたします。
本セミナーは終了いたしました。

これから開催される関連セミナー

開始日時 会場 開催方法
2025/2/20 費用対効果 (日本版HTA) 評価の基礎講座 オンライン
2025/2/20 PMDA審査官から高評価が得られる非臨床領域のメディカルライティング オンライン
2025/2/20 脂質ナノ粒子 (LNP) の処方設計と製造プロセス開発 オンライン
2025/2/20 滅菌バリデーションの具体的な計画書・記録書・報告書の作成セミナー (医薬品) オンライン
2025/2/20 マイクロバイオームの実用化にむけた課題と現状 オンライン
2025/2/21 ヒューマンエラー防止に必要なSOPの書き方の工夫と文書管理 東京都 会場・オンライン
2025/2/21 製造/ラボにおける監査証跡の具体的な運用方法・管理と効率的なレビュー手順・頻度 (どこまですべきか) ・記録の残し方 オンライン
2025/2/21 非臨床試験 (基礎研究、信頼性基準試験) における電子データ完全性確保・電子ノート使用とクラウド利用でのデータ管理 オンライン
2025/2/21 コンピュータ化システムバリデーション (CSV) の基礎とデータ・インテグリティ確保 オンライン
2025/2/21 デジタルを基盤としたニューモダリティー医薬品/ヘルスケアの探索・初期評価と事業性検討 オンライン
2025/2/21 GMPにおける (製造・試験) 外部委託業者管理・監査の留意点とチェック項目 オンライン
2025/2/21 Computer Software Assuranceセミナー オンライン
2025/2/24 アジア主要国のオーファンドラッグ薬事規制・承認申請の相違点と実務対応 オンライン
2025/2/24 医薬品ライセンスにおける契約交渉のポイント オンライン
2025/2/25 実際に起こった不具合や解決方法、注意点で学ぶスケールアップ・ダウン検討および実験計画の進め方・データのとり方、操作の簡略化 オンライン
2025/2/25 PMDAから高評価が得られるメディカルライティング中級講座 オンライン
2025/2/25 核酸医薬品における非臨床安全性評価とCMC/品質評価・不純物管理 オンライン
2025/2/25 不確実性を考慮した事業性評価の実践 東京都 会場
2025/2/26 簡便化、抜け防止の観点をふまえたGMP SOP/製造指図記録書の形式・作成 (改訂) ・記入方法 オンライン
2025/2/26 試験検査室管理におけるGMP対応の重点チェックポイント オンライン

関連する出版物

発行年月
2024/3/22 GxP領域でのクラウド利用におけるCSV実施/データインテグリティ対応 (製本版 + ebook版)
2024/3/22 GxP領域でのクラウド利用におけるCSV実施/データインテグリティ対応
2024/1/31 不純物の分析法と化学物質の取り扱い
2023/12/20 遺伝子治療用製品の開発・申請戦略 (製本版 + ebook版)
2023/12/20 遺伝子治療用製品の開発・申請戦略
2023/11/30 当局査察に対応した試験検査室管理実務ノウハウ
2023/11/29 開発段階に応じたバリデーション実施範囲・品質規格設定と変更管理 - プロセス/分析法バリデーション - (製本版 + ebook版)
2023/11/29 開発段階に応じたバリデーション実施範囲・品質規格設定と変更管理 - プロセス/分析法バリデーション -
2023/8/31 ゲノム編集の最新技術と医薬品・遺伝子治療・農業・水畜産物
2023/5/26 グローバル展開・3極規制要件の違いをふまえたRMP (日本/欧州) ・REMS (米国) 策定とリスク設定・対応
2023/5/26 グローバル展開・3極規制要件の違いをふまえたRMP (日本/欧州) ・REMS (米国) 策定とリスク設定・対応 (製本版 + ebook版)
2023/2/28 mRNAの制御機構の解明と治療薬・ワクチンへの活用
2023/1/31 新規モダリティ医薬品のための新しいDDS技術と製剤化
2023/1/31 超入門 改正GMP省令セミナー
2022/12/9 データインテグリティに適合するための電子/紙データ・記録の運用管理とSOP作成手法 (製本版 + ebook版)
2022/12/9 データインテグリティに適合するための電子/紙データ・記録の運用管理とSOP作成手法
2022/11/30 抗体医薬品製造
2022/7/29 ペプチド医薬品の開発・事業化戦略および合成・分析・製造ノウハウ
2022/6/24 Trial Master File (TMF) の保管・電磁化移行とeTMFシステム実装時のSOP作成/指摘事例・対策
2022/6/24 Trial Master File (TMF) の保管・電磁化移行とeTMFシステム実装時のSOP作成/指摘事例・対策 (製本版 + ebook版)