技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー

セラミックスの破壊メカニズムと強度評価法

セラミックスの破壊メカニズムと強度評価法

オンライン 開催

開催日

  • 2023年5月17日(水) 10時30分 16時15分

修得知識

  • セラミックスの破壊強度と破壊靭性の基礎
  • 標準的なセラミックスの破壊強度と破壊靭性の測定方法
  • セラミックス薄板基板用の破壊強度と破壊靭性の測定方法
  • 高信頼性IF法の測定方法
  • 各測定法の勘所
  • セラミックスの機械特性に関する国際規格の動向
  • 脆性材料であるファインセラミックスにおける亀裂の発生・進展をマクロな視点から理解できる
  • セラミックスに内在する欠陥の数学的な記述方法を理解でき、破壊強度と関連付けられる
  • 曲げ負荷などを受けるセラミックス部材の強度ばらつきの評価方法
  • バルク材としてのセラミックスの強度のばらつきを微視構造と連付けて予測するための一方法論
  • 電子顕微鏡によるその場観察手法
  • 粒界性格、粒界偏析
  • 粒界すべり、粒界破壊
  • 粒界と転位の相互作用、転位同志の相互作用
  • 材料の変形および破壊の本質的理解

プログラム

第1部 セラミックスの破壊強度及び破壊靭性とその測定法

(2023年5月17日 10:30〜12:00)

 セラミックスの破壊強度や破壊靭性の試験方法は、既にJISやISOに制定されて久しく、これらの規格に従えばそれなりの値を得ることはできるかもしれない。しかしながら、多くの規格ユーザーにとっては、幾つかある測定法のうちどれを使うべきなのか迷うところであるし、そもそも近年新たに発行された規格類を知らなかったりする。また、基礎的な理解がないと自分が一体何を測定しているのかが分らずに誤った判断を下す危険性がある。
 そこで、本講座では基礎から各種試験法の種類とその特徴を述べ、どの測定法を使うべきなのか、測定値が意味することは何なのかが理解できることを目指している。また、近年開発された高精度のIF法や、セラミックス薄板基板を対象にした破壊強度と靭性の試験方法を解説する。さらに、実際の測定において早く正しく測定するための一助となるべく、教科書にはあまり書かれていない経験上の勘所などを盛り込む予定である。

  1. セラミックスの破壊強度と破壊靭性
    1. 破壊強度とは
    2. 破壊靭性とは
    3. 他の機械的特性との関係
  2. セラミックスの破壊強度試験法
    1. 従来の破壊強度試験法の種類とその特徴
      • 引張試験
      • 圧縮試験
      • 曲げ試験
    2. 薄板基板用の曲げ強度試験法
    3. その他、特定用途向け試験法等の開発動向
    4. 測定の一口ポイント
  3. セラミックスの破壊靭性試験法
    1. 従来の標準的な破壊靭性試験法の種類とその特徴
      • SEPB (Single-Edge Precracked Beam)
      • SCF (Surface Crack in Flexure)
      • SEVNB (Single-Edge V-Notched Beam)
      • CNB (Chevron Notched Beam)
      • IF (Indentation Fracture)
    2. 改良された高信頼性IF法
    3. セラミックス薄板基板用破壊靭性試験法
    4. 測定の一口ポイント
  4. 破壊強度と破壊靭性の応用例 – パワーモジュール用銅張セラミックス基板の耐久性試験
  5. 終わりに – 国際規格発行への取り組み
    • 質疑応答

第2部 セラミックスの強度ばらつきの予測手法とその応用

(2023年5月17日 13:00〜14:30)

 セラミックスの強度評価においては、ワイブル分布に基づく統計的な手法が採用されてきた。しかしながら、ワイブル分布を得るためには多くの試験回数を必要とし、コストと時間がかかる。そのため、材料の欠陥分布や組織情報を反映した強度ばらつきの数値解析手法が望まれてきた。
 このような状況の下、講演者らは、微視構造情報 (相対密度、欠陥分布、粒径分布など) に基づきセラミックス強度のばらつきを予測しえる数値解析を提案している。提案手法の具体的な手順は、以下の通りである:

  • 画像観察等で得られた微視構造の情報を各種確率密度関数で表現する。
  • 乱数を用いることで同ロットを想定した複数の解析対象 (例えば、数十個〜数百個の部材) における微視構造の確率的な分布を再現する。
  • 上記の情報に基づき部材内の局所的な破壊応力や応力 – ひずみ関係を設定する。
  • 解析対象ごとに異なる破壊強度を評価することにより、数値解析結果からワイブル分布を直接作成する。

 本講座では、セラミックスの破壊強度のばらつきの考え方や破壊力学の基礎から説明を始め、上記の破壊強度ばらつきを予測するための数値解析手法を詳述する。また、実務での利用を鑑み、その応用例についても紹介する。

  1. セラミックスの強度ばらつきについて
    1. ばらつきの原因と最弱リンク説
    2. ワイブル分布による強度ばらつきの評価
  2. 欠陥まわりの破壊力学モデル
    1. 線形破壊力学
    2. 等価亀裂長さ
    3. いくつかの欠陥形状に対応した破壊力学モデル
  3. 欠陥の確率的分布の取り扱い
    1. 確率密度関数 (対数正規分布、べき乗分布、極値分布)
    2. 欠陥分布の取得方法
  4. 強度ばらつきの簡易予測法
    1. 内部欠陥の確率的分布に基づく曲げ強度のばらつきの予測例
    2. 曲げ強度のサイズ依存性の予測例
  5. 強度ばらつきの予測 – 応用編 –
    1. 詳細な破壊力学モデルの適用例
    2. 有限要素法の利用
    3. 許容表面欠陥寸法の予測への応用
    • 質疑応答

第3部 セラミックスの変形および破壊の原子レベルでの解明

(2023年5月17日 14:45〜16:15)

 セラミックスの変形および破壊挙動はその粒界の構造や組成と密接に関係している。たとえば高温では粒界すべりが主な変形機構として働く一方、転位が活動する場合は、粒界と転位の相互作用が重要となる。粒界すべりは粒界性格によって異なる挙動を示すことが知られているが、粒界性格-粒界構造-粒界すべりの相関性に関しては未だ不明な点も多く、そのメカニズムについても統一的な見解が得られていない。また、粒界と転位の相互作用も粒界性格に大きく依存すると考えられている。さらに粒界破壊もその粒界構造と組成によってメカニズムが異なると考えられている。
 本講演では、粒界性格およびその構造・組成を制御したモデル材料を系統的に作製し、各試料の高分解能走査透過電子顕微鏡 (STEM) による構造解析、TEMその場観察および第一原理計算を駆使して、粒界性格-粒界構造-粒界すべりー粒界破壊の相関性、種々の材料の転位芯構造、転位間相互作用、粒界と転位の相互作用などについて定量的に明らかにした結果について述べる。

  1. 変形及び破壊を理解するため電子顕微鏡その場観察法の意義
  2. 脆性破壊と延性破壊
  3. 電子顕微鏡その場観察法
  4. 粒界破壊の直接観察とその解析
  5. 対応粒界と転位の相互作用
  6. 転位と転位の相互作用
  7. 破壊の原子レベルでのその場観察手法
  8. 電子線照射法による粒界移動のその場観察
  9. 今後の展開
    • 質疑応答

講師

  • 宮崎 広行
    国立研究開発法人 産業技術総合研究所 マルチマテリアル研究部門
    主任研究員
  • 尾崎 伸吾
    横浜国立大学 大学院工学研究院 システムの創生部門
    教授
  • 幾原 雄一
    東京大学 大学院 工学系研究科
    教授

主催

お支払い方法、キャンセルの可否は、必ずお申し込み前にご確認をお願いいたします。

お問い合わせ

本セミナーに関するお問い合わせは tech-seminar.jpのお問い合わせからお願いいたします。
(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 55,000円 (税別) / 60,500円 (税込)
複数名
: 50,000円 (税別) / 55,000円 (税込)

複数名同時受講割引について

  • 2名様以上でお申込みの場合、1名あたり 50,000円(税別) / 55,000円(税込) で受講いただけます。
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 55,000円(税別) / 60,500円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 100,000円(税別) / 110,000円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 150,000円(税別) / 165,000円(税込)
  • 同一法人内による複数名同時申込みのみ適用いたします。
  • 受講券、請求書は、代表者にご郵送いたします。
  • 他の割引は併用できません。

アカデミック割引

  • 1名様あたり 30,000円(税別) / 33,000円(税込)

日本国内に所在しており、以下に該当する方は、アカデミック割引が適用いただけます。

  • 学校教育法にて規定された国、地方公共団体、および学校法人格を有する大学、大学院、短期大学、附属病院、高等専門学校および各種学校の教員、生徒
  • 病院などの医療機関・医療関連機関に勤務する医療従事者
  • 文部科学省、経済産業省が設置した独立行政法人に勤務する研究者。理化学研究所、産業技術総合研究所など
  • 公設試験研究機関。地方公共団体に置かれる試験所、研究センター、技術センターなどの機関で、試験研究および企業支援に関する業務に従事する方
  • 支払名義が企業の場合は対象外とさせていただきます。
  • 企業に属し、大学、公的機関に派遣または出向されている方は対象外とさせていただきます。

ライブ配信セミナーについて

  • 本セミナーは「Zoom」を使ったライブ配信セミナーとなります。
  • お申し込み前に、 視聴環境テストミーティングへの参加手順 をご確認いただき、 テストミーティング にて動作確認をお願いいたします。
  • 開催日前に、接続先URL、ミーティングID​、パスワードを別途ご連絡いたします。
  • セミナー開催日時に、視聴サイトにログインしていただき、ご視聴ください。
  • ご自宅への書類送付を希望の方は、通信欄にご住所・宛先などをご記入ください。
  • タブレットやスマートフォンでも受講可能ですが、機能が制限される場合があります。
  • ご視聴は、お申込み者様ご自身での視聴のみに限らせていただきます。不特定多数でご覧いただくことはご遠慮下さい。
  • 講義の録音、録画などの行為や、権利者の許可なくテキスト資料、講演データの複製、転用、販売などの二次利用することを固く禁じます。
  • Zoomのグループにパスワードを設定しています。お申込者以外の参加を防ぐため、パスワードを外部に漏洩しないでください。
    万が一、部外者が侵入した場合は管理者側で部外者の退出あるいはセミナーを終了いたします。
本セミナーは終了いたしました。

これから開催される関連セミナー

開始日時 会場 開催方法
2024/4/26 セラミック粉体プロセスの基礎と高機能セラミックスの創製 オンライン
2024/5/9 ファインセラミックス成形プロセスにおける高分子の役割とバインダー設計 オンライン
2024/5/10 ガラスの基礎と応用 オンライン
2024/5/16 金属・セラミックスの焼結技術 オンライン
2024/5/22 衝撃工学の基礎とJIS規格に対応した衝撃変形試験および衝撃設計への応用 東京都 会場・オンライン
2024/5/28 セラミックス材料の成形・焼結プロセスの基礎と機械・機能性向上のための微構造制御 オンライン
2024/5/28 絶縁破壊・劣化の基礎、測定・劣化診断と高分子絶縁材料の高機能化 オンライン
2024/5/29 光結晶成長を用いるセラミックスの室温製膜技術と自由形状素材への展開で可能になる新たな製品デザイン オンライン
2024/5/30 高分子材料の構造・物性とラマン・赤外分光法による評価 オンライン
2024/6/3 セラミックス材料の成形・焼結プロセスの基礎と機械・機能性向上のための微構造制御 オンライン
2024/6/5 ファインセラミックス高機能化に向けた成形プロセスの基礎と応用 大阪府 会場
2024/6/7 セラミックグリーンシート成形技術および積層部品化技術 オンライン
2024/6/11 各種プラスチック成形品の破損トラブルと原因解析 オンライン
2024/6/12 セラミックス焼結・一体焼結プロセスの高度制御のための計測・解析技術 オンライン
2024/6/18 セラミック玉軸受の優位性の実験的評価と懸念事項 オンライン
2024/6/21 セラミックグリーンシート成形技術および積層部品化技術 オンライン
2024/6/21 セラミックス焼結・一体焼結プロセスの高度制御のための計測・解析技術 オンライン
2024/6/24 セラミック玉軸受の優位性の実験的評価と懸念事項 オンライン
2024/6/25 界面・表面、応力影響、剥離・破壊の基本知識と密着性の改善技術と評価方法 東京都 会場・オンライン
2024/6/25 積層セラミックコンデンサ (MLCC) の設計、材料技術、開発動向と課題 オンライン