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生分解性プラスチックの基礎・最新動向と食品容器包装への応用

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生分解性プラスチックの基礎・最新動向と食品容器包装への応用

~食品廃棄物の再資源化処理を前提に~
オンライン 開催

概要

本セミナーでは生分解性プラスチックについて、基礎研究から技術・事業開発まで約30年間に及ぶ実績と知見を有する世界的第一人者が、生分解性プラスチックの基本特性、材料設計、成形加工、市場動向、最新の法規制動向を解説いたします。

開催日

  • 2020年8月28日(金) 10時00分 17時00分

受講対象者

  • 生分解性プラスチック・バイオプラスチック・ポリ乳酸に関連する技術者
    • 自動車分野
    • 電気・電子分野
    • スポーツ分野 など
  • 生分解性プラスチックの基礎から最先端技術の取得を目指す初級~中級技術者
  • 最新の法規制動向や用途・製品・市場開発動向を知りたい開発営業者

修得知識

  • 海洋プラスチック汚染の実態と地球環境保全
  • 資源循環型社会に向けての法規制動向
  • 生分解性プラスチックス基本特性と高性能・高機能化材料設計・成形加工技術
  • 生分解性プラスチックス食品容器・包装・濾材の製品設計と市場開発動向

プログラム

 石油由来の非生分解性プラスチックが本格的に使用され始めて60有余年、今やその廃棄物物処理能力は限界に達する一方、自然生態系を破壊する海洋プラスチック汚染等の深刻な事態を招来している。そうした中で、世界の環境先進地である欧米や我が国の北海道富良野市近隣5市町村 (10万人) では、生ゴミ等の有機性廃棄物は生分解性のコンポストバッグに入れて再資源化 (堆肥化) し、さらにフランス等の欧州では使い捨て食品容器・包装材も生ごみと共に堆肥化する法制化の動きが活発化しつつある。また、昨年の世界ラーメンサミットにおいても、使い捨て食品容器の象徴的存在でもあるインスタントラーメン容器を生分解性容器に切り替えるとの歴史的な「大阪宣言」が発せられた。
 本講では先ず地球環境・資源・廃棄物問題における正しい理解を出発点とし、その上で生分解性プラの最新技術と市場開発の現状を展望しながら、具体的な食品容器・包装関連製品の設計指針を提示する。産学両分野で30年間、基礎研究から技術・事業開発までの実績を有する世界的第一人者による覚醒のセミナーである。

  1. 地球環境・資源・廃棄物問題と生分解性プラスチック
    1. 地球環境・資源・廃棄物問題の抜本的解決のために
      1. 海洋プラスチック汚染の実態と生分解性プラスチックの役割
        • 海洋プラ濃度の経年変化 (累積増加) 曲線
        • 海洋汚染問題に対する短期的視点と長期的 (グローバルな) 視点
        • 海洋に流入する流木・草本類、マイクロチップは太古の昔より存在した
        • マクドさんやスタバさん、紙製ストローもマイクロチップのかたまりです
        • 海洋自然生態系が許容し得る海水中の生分解速度とは
          • ポジティブ・コントロールはリグニン?
      2. 地球上に生命が誕生して38億年、地球はなぜ廃棄物で埋もれなかったのか?
      3. 自然界が有する真のリサイクルシステムである炭素循環へのリンク
        • 目先のPETボトルのリサイクルより地球的規模での物質循環に目を向けよ
    2. 生分解性プラスチックの識別表示と環境負荷低減効果
      1. グリーンプラ・マーク … 日本バイオプラスチック協会 (JBPA) 識別表示制度
      2. カーボン・フットプリント … LCAによる環境負荷の客観的・定量的評価
    3. 持続的な資源循環型社会の建設のために
      1. 欧米グリーンガイド指針
        • 欧米の環境先進諸国では、ポイ捨てを助長する生分解性表示は禁止
      2. 食品残渣や食品容器・包装材の再資源化 (バイオリサイクル)
        • 欧米や北海道富良野市近隣5市町村 (10万人都市) における公的堆肥化施設
      3. プラスチックのCompostable (堆肥化可能) 認証基準
        • EN13432 by OK Compost or Din Certco, ASTM D6400 by BPI
    4. 世界の法規制と業界動向
      1. 世界の法規制動向
        • 欧州ではごみ袋やレジ袋は生分解性が主流、仏は2020年に使い捨てプラ器具の 50%を生分解性に切り替える法規制を制定
      2. 業界動向 … 世界ラーメンサミット「大阪宣言」:ラーメン容器を生分解性に
  2. 生分解性プラスチックの分類、基本特性と生分解機構
    1. 代表的な生分解性プラスチックの分類と基本特性
      1. 硬質タイプ
        • ポリ乳酸 (PLA) :Tg/Tm=57℃/175℃
          • 生分解性が求められるバイオリサイクル材と長期耐久性構造材料の両面展開が可能な唯一のバイオプラスチック
      2. 軟質タイプ
      3. ポリブチレンアジペート・テレフタレート (PBAT) :Tg/Tm= – 35℃/115℃
      4. ポリブチレンサクシネート (PBS, PBSA) :Tg/Tm= – 47~ – 35℃/84~115℃
      5. その他
        • 微生物ポリエステル
          • PHBV
          • PHBH
        • PGA
        • デンプン系
    2. 生分解機構
      1. 酵素分解型
        • surface erosion (表面から溶かされていく)
      2. 非酵素分解型 (加水分解型)
        • Bulk degradation (全体的に壊されていく)
        • PLAが生分解性と耐久性の両面展開が可能な理由を生分解機構から理解する
    3. 様々な環境下における生分解挙動
      1. 自然環境下
        • 土壌中
        • 海水中
      2. 再資源化工程
        • 堆肥化 (好気性下) 又はバイオガス化 (嫌気性下)
        • 理想の分解速度は使用過程の自然環境下では遅く再資源化工程では速いこと
  3. 生分解性プラスチックの高性能・高機能化材料設計と成形加工技術
    1. 基幹素材としての第二世代ポリ乳酸 … 高L組成PLA (high L PLA) , %D<0.5
      1. 結晶化挙動
      2. Melt Crystallization
        • 押出成形
        • 射出成形
        • ダイレクトブロー成形
      3. Cold Crystallization
        • 真空成形
        • 発泡成形
        • インジェクションブロー成形
      4. D体共重合比 (%D) が結晶化速度に及ぼす影響
    2. 高性能・高機能化材料設計技術
      1. 耐衝撃性
        • 可塑剤、又は耐衝撃性改良剤
        • PLA + PBAT 又は PBSブレンド体
      2. 耐熱性
        • 分散型核剤
        • 結晶化促進剤
          • 食品分野におけるreheating (再加熱) とcooking (調理) の違いを明確に認識せよ
      3. 透明耐熱性
        • 溶解型核剤
        • 結晶化促進剤
          • 透明耐熱性 (130℃) PPに匹敵する透明耐熱性PLAとは?
      4. 耐久性 (耐湿熱性) … 加水分解抑制剤
        • PLAの長期使用耐久性処方は生分解性を損なうのか、否か?
      5. 成形加工性 … マルチ機能改質剤ほか
    3. 高性能・高機能性PLA一次加工製品・成形用樹脂
      • 繊維・不織布
      • フィルム
      • 射出成形
      • 発泡成形
      • 押出成形
      • ブロー成形
        • テラマック (Terramac) ®/ユニチカ
          • PLAの熱的・機械的特性は既に汎用プラスチックと同等以上のレベルを達成
    4. 食品容器・包装関連製品の成形加工
      1. 押出成形
      2. 繊維・不織布・モノフィラメント
        • ティバッグフィルター
        • コーヒーフィルター
        • 生ゴミ水切りネット
      3. フィルム
        • 生ごみ袋
        • 透明カバーフィルム
        • 包装フィルム
      4. 紙ラミネート
        • 飲用カップ
      5. 中空押し出し
        • ストロー
      6. 真空成形
        • 青果物・食品容器
        • 弁当容器
        • 鶏卵パック
        • ブリスター
      7. 射出成形
        • リターナブル食器
        • ナイフ&フォーク
      8. 発泡成形 (押出発泡、ビーズ発泡)
        • インスタントラーメン容器
        • トレー
        • 魚箱
      9. ブロー成形
        • ボトル
  4. 食品容器・包装関連製品の要求性能
    1. 食品容器・包装材に求められる基本特性
      • 耐水性
      • 耐油性
      • 食品衛生性
      • 抗菌・防カビ性
      • 生分解性
    2. 食品衛生性基準
      1. 日本
        • 食品衛生法370号
          • 一般規格
          • ポリ乳酸個別規格
        • ポリ衛協PL (ポリオレフィン等衛生協議会 ポジティブリスト)
      2. 米国
        • Food Contact Nortification (FCN) No.178, Class B (100℃×30分) ~H
      3. 欧州
        • EEC Directive 96/11/EEC
    3. 製品設計と要求性能
      1. 長期間繰り返し使用可能なリターナブル食器
        • 回転すし皿
        • 射出成形
      2. 自動食器洗い機対応
        • 高温洗浄
        • アルカリ性洗剤
        • 高温乾燥滅菌
      3. 耐熱性
        • 加熱料理
        • 熱湯注入
        • 電子レンジ加熱
      4. 耐久性
        • 長期間 (5~10年) 使用耐久性
      5. 耐衝撃性
        • 落としても割れない
          • 製品事業化成功事例 … 幼児用食器“iiwan (いいわん) ®”/豊栄工業
      6. ワンウエイユース食品容器
        • 押出 (発泡) 成形 + 真空成形
      7. 耐熱性
        • 熱湯注入
        • 電子レンジ加熱
      8. 耐衝撃性
        • 打ち抜きができる
        • 角が当たってもひび割れない
          • 生分解性のインスタントラーメン容器を世界で 最初に製品化する企業は?
      9. ワンウエイユース透明耐熱性食品容器
      10. 透明性
        • 中が見える
      11. 透明耐熱性
        • 熱湯注入
        • 電子レンジ加熱
      12. 耐衝撃性
        • 打ち抜きができる
        • 角が当たってもひび割れない
          • 生分解性の透明耐熱性容器を世界で最初に製品化する企業は?
      13. 卵パック、透明ブリスターパック
      14. 透明性
        • 中が見える
      15. 耐衝撃性
        • 打ち抜きができる
        • 角が当たってもひび割れない
      16. 食品フィルター、生ゴミ水切りネット
        • 繊維
        • 不織布
      17. 耐熱性
        • 熱湯注入
      18. 加工技術
        • 製糸
        • 製織
        • 製袋
          • 製品事業化成功事例 … ティバッグフィルター“ソイロン (SOILON) ®”/山中産業
      19. 食品包装
        • フィルム
      20. ガスバリア性
        • 水分
        • 酸素
        • 芳香成分
      21. ヒートシール性
        • 生分解性ガスバリア素材は未開発、世界で最初に開発する企業は?
      22. 紙ラミネート製品
        • 押出ラミネート
      23. 耐熱性
        • 熱湯注入
        • 電子レンジ加熱
  5. 質疑応答 (名刺交換)

講師

主催

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お問い合わせ

本セミナーに関するお問い合わせは tech-seminar.jpのお問い合わせからお願いいたします。
(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 47,000円 (税別) / 51,700円 (税込)
複数名
: 21,000円 (税別) / 23,100円 (税込) (案内をご希望の場合に限ります)

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  • 本セミナーは、ビデオ会議ツール「Zoom」を使ったライブ配信セミナーとなります。
  • お申し込み前に、 視聴環境 をご確認いただき、 ミーティングテスト にて動作確認をお願いいたします。
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    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 63,000円(税別) / 69,300円(税込)
  • Eメール案内を希望しない方
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 47,000円(税別) / 51,700円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 94,000円(税別) / 103,400円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 141,000円(税別) / 155,100円(税込)

アカデミック割引

  • 1名様あたり 24,000円(税別) / 26,400円(税込)

学校教育法にて規定された国、地方公共団体、および学校法人格を有する大学、大学院の教員、学生に限ります。

本セミナーは終了いたしました。

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