技術セミナー・研修・出版・書籍・通信教育・eラーニング・講師派遣の テックセミナー ジェーピー

高耐熱樹脂の設計と特性改善

高耐熱樹脂の設計と特性改善

~強靭化、透明化、熱安定性向上~
東京都 開催 会場 開催

開催日

  • 2018年11月21日(水) 10時00分 17時00分

プログラム

第1部 分子設計によるポリベンゾオキサジンの高耐熱性化・強靭化

(2018年11月21日 10:00~11:30)

 ポリベンゾオキサジン (ベンゾオキサジン樹脂) は、まだまだ材料としての歴史は浅いものの、従来の常識ではありえない多くの特性を有する興味深い熱硬化性樹脂である。フェノール類、アミン類およびホルムアルデヒドから容易に安定なベンゾオキサジンモノマーを合成することができ、このモノマーを加熱するだけで開環重合機構によりポリベンゾオキサジンが得られる。化学構造からフェノール樹脂に分類されるものの、耐熱性、難燃性などに優れているばかりか、極性官能基が多いにもかかわらず誘電率や吸水率が低く、さらに表面自由エネルギーも低いなど、化学構造からは想定できない特性を示す。また、モノマーの保存安定性が良いことに加え、熱のみで重合が進行するためホルムアルデヒドの飛散が無く、開環機構のため線熱膨張係数が小さいことから寸法安定性に優れるなど、プロセス上の利点も大きい。
 本講座ではポリベンゾオキサジンの分子設計による高性能化について概説する。

  1. ポリベンゾオキサジンの基礎
    1. ポリベンゾオキサジンとは
    2. ベンゾオキサジンの合成
    3. 熱開環重合
  2. ベンゾオキサジンの分子設計
    1. 高耐熱性化に向けた分子設計
    2. 強靭化に向けた分子設計
  3. 複合化によるポリベンゾオキサジンの高性能化
    1. 高性能高分子との複合化
    2. 有機 – 無機ハイブリッド
  4. 最近の研究動向
    • 質疑応答

第2部 マレイミド共重合体の合成と耐熱ポリマー材料設計への応用

(2018年11月21日 12:10〜13:40)

 本講演では、マレイミド共重合体を中心に、ポリマーがもつ高透明性、高耐熱性、耐候性に、さらに特異な機能を併せ持つ材料設計について、実例を示して紹介する。まず、精密ラジカル重合による共重合体の構造制御の基本的な方法を紹介し、特徴を説明する。さらに、ラジカル重合と重付加を組わせた材料設計による熱硬化樹脂の開発例についても述べる。マレイミド共重合体がもつ優れた透明性と耐熱性を活かした材料の応用に関する最新成果について解説する。

  1. はじめに
    1. 耐熱透明ポリマーの設計
  2. 制御ラジカル重合によるマレイミド共重合体の合成
    1. 共重合の精密配列制御
    2. 交互共重合系
    3. 前末端基効果によるAAB型ポリマー構造制御
    4. 精密モノマー配列制御
  3. マレイミド共重合体の材料設計
    1. 高耐熱透明マレイミド系ポリマーの構造と物性
    2. 有機無機ハイブリッド型高透明ポリマー材料
    3. マレイミド系熱硬化樹脂の新規開発
    4. マレイミド共重合体の光学材料への応用
    • 質疑応答

第3部 剛直高分子を用いた高耐熱性・高熱伝導性ナノファイバーおよび高耐熱性・高空隙率・高比表面積多孔体の作製と応用

(2018年11月21日 13:50〜15:20)

 高耐熱性剛直高分子からなるナノファイバーや多孔体は様々な用途での応用が期待されている。本講演では高耐熱性および高熱伝導性を有する剛直高分子ナノファイバーの作製法および構造と物性の特徴について紹介する。また得られたナノファイバーを用いて作製した積層シートおよび多孔体の構造と物性の特徴についても紹介する。さらに高耐熱性・高空隙率剛直高分子の三次元架橋体フィルムを作製する新規重合法を開発し、得られたフィルムの構造と物性の特徴および応用利用法について検討した結果も紹介する。

  1. 高耐熱性・高熱伝導性剛直高分子ナノファイバーの作製と応用
    1. 高耐熱性・高熱伝導性剛直高分子ナノファイバー
    2. 剛直高分子ナノファイバーを用いた高耐熱性・高熱伝導性・高比表面積積層シート
    3. 剛直高分子ナノファイバーを用いた高耐熱性・高空隙率多孔体
    4. ナノファイバー、積層シートおよび多孔体の応用例
  2. 高耐熱性・高空隙率剛直高分子三次元架橋体フィルムの作製と応用
    1. 高耐熱性・高空隙率剛直高分子三次元架橋体フィルムの新規作製方法
    2. 高耐熱性・高空隙率剛直高分子三次元架橋体フィルムの構造と物性
    3. 高耐熱性・高空隙率剛直高分子三次元架橋体フィルムの応用例
    • 質疑応答

第4部 耐熱性高分子ポリイミドを中心としたポリイミドの合成技術

(2018年11月21日 15:30〜17:00)

  1. ポリイミドの合成法と代表的なポリイミド
    1. Kaptonタイプポリイミド
    2. ポリイミドの合成法
      • 二段階合成法
      • 一段階合成法
      • 三段階合成法
    3. その他のポリイミド
      • Upilex S
      • Upilex R等
    4. ポリイミドが用いられている電子部品 (フレキシブル基盤等) とその作製・使用に要求される性質
  2. 芳香族ポリイミドの合成例
  3. 熱安定性
    1. 熱分解に対する安定性
    2. 熱変形に対する安定性
      1. 構造とTgの関係
      2. 分子鎖の凝集
    • 質疑応答

講師

  • 河内 岳大
    龍谷大学 先端理工学部 応用化学課程
    教授
  • 松本 章一
    大阪府立大学 大学院工学研究科 物質・化学系専攻 応用化学分野
    教授
  • 内田 哲也
    岡山大学 大学院 自然科学研究科 応用化学専攻
    研究教授
  • 森川 敦司
    茨城大学 工学部 生体分子機能工学科
    教授

会場

株式会社 技術情報協会
東京都 品川区 西五反田2-29-5 日幸五反田ビル8F
株式会社 技術情報協会の地図

主催

お支払い方法、キャンセルの可否は、必ずお申し込み前にご確認をお願いいたします。

お問い合わせ

本セミナーに関するお問い合わせは tech-seminar.jpのお問い合わせからお願いいたします。
(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 60,000円 (税別) / 64,800円 (税込)
複数名
: 55,000円 (税別) / 59,400円 (税込)

複数名同時受講割引について

  • 2名様以上でお申込みの場合、
    1名あたり 55,000円(税別) / 59,400円(税込) で受講いただけます。
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 60,000円(税別) / 64,800円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 110,000円(税別) / 118,800円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 165,000円(税別) / 178,200円(税込)
  • 同一法人内による複数名同時申込みのみ適用いたします。
  • 受講券、請求書は、代表者にご郵送いたします。
  • 他の割引は併用できません。
本セミナーは終了いたしました。

これから開催される関連セミナー

開始日時 会場 開催方法
2025/3/31 高屈折率ポリマーの合成法と応用、およびそれらの評価方法 オンライン
2025/4/2 プラスチックの疲労破壊と耐久性評価技術 オンライン
2025/4/4 プラスチックの難燃化技術 オンライン
2025/4/7 騒音対策 (吸音、遮音) の考え方と音響メタマテリアルの遮音特性 オンライン
2025/4/8 プラスチック製品の強度設計に必要な材料力学 オンライン
2025/4/9 動的粘弾性のチャート読み方とその活用ノウハウ オンライン
2025/4/9 レオロジーの基礎と測定法 オンライン
2025/4/9 高分子材料の難燃化技術と難燃剤の選定、配合設計およびその実際技術 オンライン
2025/4/9 レオロジーの基礎と測定法 オンライン
2025/4/10 高分子・ポリマー材料の重合、製造における研究実験から生産設備へのスケールアップ技術 オンライン
2025/4/10 ポリ乳酸の高性能化を実現する添加剤の選定と配合設計技術 オンライン
2025/4/10 ゲル化剤・増粘剤の基礎・特性・評価法 オンライン
2025/4/11 自動車用プラスチックにおけるリサイクル・アップサイクルの動きと対応 オンライン
2025/4/11 電気光学 (EO) ポリマーの基礎と評価技術および光制御デバイスへの応用 オンライン
2025/4/11 粘度の基礎と実用的粘度測定における留意点と結果の解釈 オンライン
2025/4/11 プラスチックの難燃化技術 オンライン
2025/4/14 エポキシ樹脂用硬化剤の種類、反応機構、選び方、使い方 オンライン
2025/4/14 プラスチック用添加剤の作用機構と使い方 オンライン
2025/4/14 副資材を利用した高分子材料の設計技術 オンライン
2025/4/15 押出機・混練機内の高分子材料の輸送・溶融と混練技術 オンライン

関連する出版物

発行年月
2024/8/30 次世代パワーデバイスに向けた高耐熱・高放熱材料の開発と熱対策
2024/7/29 サステナブルなプラスチックの技術と展望
2024/7/22 世界のレトルトフィルム・レトルトパウチの実態と将来展望 2024-2026 (書籍版 + CD版)
2024/7/22 世界のレトルトフィルム・レトルトパウチの実態と将来展望 2024-2026
2024/7/17 世界のリサイクルPET 最新業界レポート
2024/6/28 ハイドロゲルの特性と作製および医療材料への応用
2024/5/30 PETボトルの最新リサイクル技術動向
2024/2/29 プラスチックのリサイクルと再生材の改質技術
2023/10/31 エポキシ樹脂の配合設計と高機能化
2023/7/31 熱可塑性エラストマーの特性と選定技術
2023/7/14 リサイクル材・バイオマス複合プラスチックの技術と仕組
2023/3/31 バイオマス材料の開発と応用
2023/1/31 液晶ポリマー (LCP) の物性と成形技術および高性能化
2023/1/6 バイオプラスチックの高機能化
2022/10/5 世界のプラスチックリサイクル 最新業界レポート
2022/8/31 ポリイミドの高機能設計と応用技術
2022/5/31 樹脂/フィラー複合材料の界面制御と評価
2022/5/31 自動車マルチマテリアルに向けた樹脂複合材料の開発
2022/5/30 世界のバイオプラスチック・微生物ポリマー 最新業界レポート
2021/12/24 動的粘弾性測定とそのデータ解釈事例