がん診断技術開発のためのリキッドバイオプシーの先端技術と応用
~臨床診断技術としての開発に向けて克服すべき課題とは / 臨床現場のニーズと先端技術動向双方から、今後目指すべき製品像が見えてくる~
東京都 開催
会場 開催
開催日
-
2016年5月13日(金) 10時00分
~
18時00分
プログラム
第1部. 臨床医が考えるがん診断へのLBの応用と現場ニーズ
(2016年5月13日 10:00〜11:15)
がん診療において、がんの遺伝子プロファイルをみるなどして治療選択を行うことが行われるようになってきた。
しかし、がんの状態はその時々で変化するため、その変化を捉えることの重要性が臨床現場にて求められている。
血液中の物質を用いてがんの状態変化を見極め、治療に活かすための試みがなされている。
- 分子標的治療薬と、治療選択
- 肺がんにおける、ALK阻害剤、EGFR阻害剤、大腸癌における抗EGFR抗体など、がんの遺伝子ステータスにより治療効果がまったく異なるような薬剤による治療が行われるようになってきた。
- 網羅的遺伝子解析技術の進歩と臨床応用
- SCRUM-Japanや、TOP-GEAR試験など、一つの遺伝子をみるのではなく、一度に網羅的に遺伝子変異プロファイルを測定し、がんの治療選択に活かそうという試みが国立がん研究センターを中心に行われてきている。
- 組織を用いた遺伝子解析の問題点
- 網羅的遺伝子解析に用いる組織と、現時点の癌患者の遺伝子プロファイルの一致度が常に問題となる。繰り返し組織を患者から採取することも困難である場合が多い。
- リキッドバイオプシー技術の進歩
- 患者のがんに針を刺すことなく、がん組織から漏れ出て、血液中を循環している因子により、現在のがんの遺伝子プロファイルを予測する技術が登場している。循環腫瘍DNA (ctDNA) や、末梢血腫瘍細胞 (CTC) 、血液中マイクロRNAなどがその候補である。
- ctDNAの長所と短所
- ctDNAは通常のEDTA採血にて採取可能であり、分画に含まれる核酸を用いて、腫瘍に特異的な変化とすでにわかっているいくつかの遺伝子のステータスを測定できる。比較的容易に採取、解析でき、既知の少数の遺伝子解析の検出に優れるが、腫瘍以外由来の核酸の混入と、既知以外のものの遺伝子変異を見つけることは難しい
- CTCの長所と短所
- CTCは細胞そのものを採取するので、より特異的な核酸のみならず、タンパク質などを細胞質から採取できる可能性がある。一方で、採取方法が決定的なものがないこと、量が少ないため、解析が難しいということがある。
- マイクロRNAの長所と短所
- 血清中に循環しているエクソソーム中のマイクロRNAを測定する試みが行われている。比較的測定しやすく安定しているが、ゲノムの変化そのものよりも、変化を反映したものを見ている可能性がつよく、その結果をそのまま解釈できないというデメリットがある。
- バイオマーカーが臨床で用いられるまでには
- これらの検査は、いくら技術的にすごくても、臨床での有用性が示せなければ、意味はない。検査と有効性との関連を示すことが重要である。
第2部. 臨床セルフリーDNA検体からのデジタルPCRおよびNGSによる変異解析技術
(2016年5月13日 11:30〜12:45)
Circulating Biomarker、すなわち血中循環腫瘍DNA、血中循環腫瘍細胞 (CTCs) 、あるいは細胞外小胞を利用して、 非侵襲的にがんを診断する試みが注目されている。その中でも、血中循環腫瘍DNAはコンパニオン診断薬としての期待が大きい。しかし、血液中の核酸サンプルからバイオマーカーとなる遺伝子変異を定量するにあたっては、細胞や組織サンプルにはない技術的な障壁がある。
本講演では、マルチプレックス化、高感度化、少量サンプルからの測定という点に焦点を当て、血中循環腫瘍DNAからの遺伝子変異解析技術についてご紹介する。 また、CTCsについても触れさせていただく。
- リキッドバイオプシーに期待されていること
- 血中遊離DNAの概要
- 血中遊離DNAからのバイオマーカー測定に必要とされる技術とは?
- デジタルPCR装置とは?
- RainDropデジタルPCR装置の技術紹介と臨床データ例
- ThunderBoltsがんパネルの技術紹介と臨床データ例
- 血中遊離DNAの話題に加えまして、当日はCTCsの回収や検出、およびCTCsからの遺伝子変異プロファイル測定についてもお話させていただきます。
第3部. リキッドバイオプシーを正しく活用する為のサンプル調製
(2016年5月13日 13:30〜14:45)
近年、低侵襲的であるリキッドバイオプシーが診断分野で大きく期待されており、体液中の遊離核酸をバイオマーカーとして使用する試みが多数報告されている。 これらのリキッドバイオプシーでは、前処理やサンプル調製が再現性に大きく影響する。本セミナーでは、採血、血清/血漿調製、保存や核酸精製における注意点を説明する。
- セルフリーDNA のLBにおける前処理の注意点
- セルフリーDNA のLBに必要な核酸精製法
- Circulating miRNAとエキソソームmiRNA
- エキソソーム精製方法、エキソソーム特異的RNA精製方法について
- 体液中 miRNA / エキソソームmiRNAの前処理の注意点
- 体液中 miRNA / エキソソームmiRNAのRNA 精製における注意点
第4部. ナノバイオデバイスによるリキッドバイオプシー ~がん診断技術の超高性能化
(2016年5月13日 15:00〜16:30)
ナノバイオデバイスは、リキッドバイオプシーを超高性能化することにより、血液等の極微量体液試料から、超迅速、超高感度、高精度にがん診断を可能にできる最先端技術です。本講演では、ナノバイオデバイスの基礎から臨床応用の最先端と今後の課題まで分かりやすく解説します。
- 第5期科学技術基本計画・総合科学技術イノベーション総合戦略2016におけるがん診断の重要性
- ナノバイオデバイスでリキッドバイオプシーを超高性能化
- マイクロデバイスによる血中循環がん細胞 (CTC) の迅速・超高感度検出
- マイクロデバイス臨床研究による肺がん患者CTC検出
- ミドリムシによる単一がん細胞診断
- ナノポアデバイスによる極微量体液試料中の遺伝子変異解析による超高速がん診断
- ナノピラー・ポアデバイスによる1時間でヒトゲノム解析可能な次々世代DNAシークエンサー開発
- ナノワイヤデバイスによる体液中の細胞外小胞 (エクソソーム) の捕捉とマイクロRNA解析がん診断
- イムノピラーデバイスにより、わずか2分で1滴の百分の1の血液中のバイオマーカーの高感度検出
- イムノピラーデバイスによる脳腫瘍診断と肺がん分子標的薬のコンパニオン診断
- 呼気によるがん診断
- 量子ドットによる生体臓器中の単一細胞超高感度リアルタイムin vivoイメージング
- 文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム事業による最先端技術の全国共用
- 国家プロジェクトによる企業との共同研究による実用化
- 最先端技術の薬事承認ガイドライン早期作成
第5部. LBによる治療の効果予測と治療モニタリング
(2016年5月13日 16:45〜18:00)
LBによりKRASの変異を同定することで抗EGFR抗体の効果および耐性を予測することができる。また腫瘍マーカーとして化学療法中の治療効果のモニタリングに応用できる可能性がある。
- 臨床応用には高感度化、マルチプレックス化が必要である。
- Circulating tumor cell (CTC) とcirculating cell free DNA (ccfDNA) のメリットとデメリット。
- LBによる転移巣のMulti-biopsy
- Multi-biopsyによる癌の転移・再発メカニズムの解明
- 適切なccfDNA採取時期と採取方法
- ccfDNAの多彩な利用法 (ccfDNAは変異同定以外にも様々な使い方がある)
- 疾病によるccfDNA量の変化 (がん以外の疾病でもccfDNA量は変化する)
- ccfDNAを用いた体調管理 (ccfDNA量は体調により変化する)
- LBによる分子治療薬の早期効果予測 (原発巣のgenomic profileだけでは分子治療薬の効果は予測できない)
- LBによる分子治療薬に対する耐性獲得予測 (画像上の変化より前にccfDNAに変化が現れる)
- LBにより分子治療薬以外の化学療法効果予測
- LBの腫瘍マーカーとしての可能性
- LBが将来のがん治療に与えるインパクト
講師
加藤 健 氏
国立がんセンター中央病院
消化管内科
医長
服部 徹 氏
株式会社スクラム
マーケティング部
課長
北野 敦史 氏
株式会社キアゲン
マーケティング部
マーケットディベロップメント
シニアアプリケーション・サイエンティスト
馬場 嘉信 氏
名古屋大学
工学研究科
先端ナノバイオデバイス研究センター
教授 / センター長
山田 岳史 氏
日本医科大学付属病院
消化器外科
講師
主催
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