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高分子複合材料の強度と耐衝撃性

高分子複合材料の強度と耐衝撃性

~降伏現象のメカニズムと強度・耐衝撃性の改善法~
オンライン 開催

概要

本セミナーでは、高分子複合材料の降伏条件と影響を及ぼす因子と強度・耐衝撃性改善の手法について、事例を交えて解説いたします。

開催日

  • 2025年10月27日(月) 13時00分17時00分

受講対象者

  • プラスチック素材の開発に携わる方
  • 複合材料やポリマーブレンドに関心のある方
  • プラスチックの成形加工に携わる方

修得知識

  • プラスチックの力学特性に関する基礎知識と適切な評価方法
  • 繊維強化プラスチックやポリマーブレンドの力学特性に関する基礎知識
  • 繊維強化プラスチックの高強度化技術
  • ポリマーブレンドの相容化メカニズム

プログラム

 高分子複合材料は、軽量性や加工性に優れ、多様な産業分野において広く活用されている。中でも、引張強さや衝撃強さに代表される力学特性は、構造材料としての設計や応用展開において極めて重要な物性であり、現在でも年間一万報を超える関連研究が報告されている。しかしながら、その多くは実験的手法や定性的解析に依存しており、材料構造や界面特性に基づく理論的な評価・予測手法の構築には未だ課題が残されている。
 本セミナーでは、こうした現状を踏まえ、講師がこれまでに構築してきた、高分子複合材料の力学特性を理論的に導出する手法を体系的に紹介する。まず、材料力学の基礎に立ち返り、応力・ひずみ・主応力・降伏条件といった基本概念を整理する。そのうえで、熱可塑性プラスチックに対する引張試験、曲げ試験、衝撃試験、硬さ試験などの評価法に基づき、得られる力学物性と構造因子との関係性について解説する。
 さらに、短繊維強化樹脂を中心とした高分子複合材料においては、界面剪断強さ、繊維配向、自由体積などがマクロスケールの力学応答に与える影響について論じる。また、ポリマーブレンドにおける複数の降伏挙動と、それに対応した有機系および無機系相容化剤による力学特性改善の設計指針を提示し、弾性率や衝撃強さの向上に資するアプローチを紹介する。
 後半では、繊維強化熱可塑性プラスチックにおいて支配的となる三種類の降伏モードについて理論的に整理し、それらと力学特性の相関を明確化する。さらに、有機系添加剤やナノフィラーを用いた設計による性能改善の実例を取り上げ、設計指向型の材料開発への応用可能性を示す。
 本講義は、力学特性の理論的予測と複合材料設計への実装に関心を有する研究者・技術者に対し、基礎から応用までの一貫した理解と実践的な視座を提供することを目的とする。

  1. 力学の基礎
    1. 力学とは?
    2. 力の分類
      • 負荷形態
      • 負荷速度
    3. 応力とは?
    4. 応力の分類
    5. ひずみとは?
    6. ひずみの分類
    7. 主応力と降伏条件
    8. 力学特性とは?
  2. 熱可塑性プラスチックの力学特性評価
    1. 3点曲げ試験
      1. 降伏開始応力
      2. 弾性率
      3. ポアソン比
    2. 引張試験
      1. 破断伸び
    3. ノッチ付き衝撃試験
      1. ノッチ付き衝撃強さ
      2. 4つの破壊形態
    4. ビッカース硬さ
      1. 降伏開始圧縮応力
  3. 高分子/繊維複合材料の界面力学特性評価
    1. ショートビーム剪断試験
      1. 繊維配向角
      2. 界面剪断強さ
    2. 引張試験
      1. 界面強さ
      2. 界面剪断強さと界面強さの関係
    3. ノッチ付き衝撃強さと界面剪断強さの関係
    4. 示差走査熱量測定
      1. 固化温度
      2. 自由体積
  4. ポリマーブレンドの力学特性
    1. 2つの降伏現象
    2. 降伏条件1 界面剥離
    3. 降伏条件2 剪断降伏
    4. 粒子分散系複合材料の弾性率
  5. ポリマーブレンドの力学特性改善手法
    1. Case1 有機系相容化剤
    2. Case2 無機系相容化剤
  6. 繊維強化熱可塑性プラスチックの力学特性
    1. 3つの降伏現象
    2. 降伏条件1 界面剥離
    3. 降伏条件2 繊維の引抜け
    4. 降伏条件3 繊維の破断
    5. 繊維強化熱可塑性プラスチックの弾性率
    6. 繊維強化熱可塑性プラスチックの衝撃強さ
  7. 繊維強化熱可塑性プラスチックの力学特性改善手法
    1. Case1 有機系添加剤
    2. Case2 ナノフィラー
    • 質疑応答

講師

  • 高山 哲生
    山形大学 大学院 有機材料システム研究科
    准教授

主催

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お問い合わせ

本セミナーに関するお問い合わせは tech-seminar.jpのお問い合わせからお願いいたします。
(主催者への直接のお問い合わせはご遠慮くださいませ。)

受講料

1名様
: 34,400円 (税別) / 37,840円 (税込)
複数名
: 22,500円 (税別) / 24,750円 (税込)

複数名受講割引

  • 2名様以上でお申込みの場合、1名あたり 22,500円(税別) / 24,750円(税込) で受講いただけます。
    • 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 34,400円(税別) / 37,840円(税込)
    • 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 45,000円(税別) / 49,500円(税込)
    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 67,500円(税別) / 74,250円(税込)
  • 同一法人内 (グループ会社でも可) による複数名同時申込みのみ適用いたします。
  • 請求書は、代表者にご送付いたします。
  • 請求書および領収書は1名様ごとに発行可能です。
    申込みフォームの通信欄に「請求書1名ごと発行」とご記入ください。
  • 他の割引は併用できません。
  • サイエンス&テクノロジー社の「2名同時申込みで1名分無料」価格を適用しています。

アカデミー割引

教員、学生および医療従事者はアカデミー割引価格にて受講いただけます。

  • 1名様あたり 10,000円(税別) / 11,000円(税込)
  • 企業に属している方(出向または派遣の方も含む)は、対象外です。
  • お申込み者が大学所属名でも企業名義でお支払いの場合、対象外です。

ライブ配信セミナーについて

  • 本セミナーは「Zoom」を使ったライブ配信セミナーとなります。
  • お申し込み前に、 Zoomのシステム要件テストミーティングへの参加手順 をご確認いただき、 テストミーティング にて動作確認をお願いいたします。
  • 開催日前に、接続先URL、ミーティングID​、パスワードを別途ご連絡いたします。
  • セミナー開催日時に、視聴サイトにログインしていただき、ご視聴ください。
  • セミナー資料は、PDFファイルをダウンロードいただきます。
  • ご自宅への書類送付を希望の方は、通信欄にご住所・宛先などをご記入ください。
  • タブレットやスマートフォンでも受講可能ですが、機能が制限される場合があります。
  • ご視聴は、お申込み者様ご自身での視聴のみに限らせていただきます。不特定多数でご覧いただくことはご遠慮下さい。
  • 講義の録音、録画などの行為や、権利者の許可なくテキスト資料、講演データの複製、転用、販売などの二次利用することを固く禁じます。
  • Zoomのグループにパスワードを設定しています。お申込者以外の参加を防ぐため、パスワードを外部に漏洩しないでください。
    万が一、部外者が侵入した場合は管理者側で部外者の退出あるいはセミナーを終了いたします。

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