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全固体電池の展望と電極・固体電解質界面の設計

全固体電池の展望と電極・固体電解質界面の設計

東京都 開催 会場 開催

開催日

  • 2019年9月13日(金) 10時00分 17時30分

プログラム

第1部 液相からの硫化物系固体電解質の設計と全固体リチウムイオン二次電池への適用

(2019年9月13日 10:00~12:00)

 リチウムイオン二次電池の信頼性・安全性を向上し、コンパクト化を可能にするためには、全固体化が必須であり、優れた固体電解質の開発とその量産技術が望まれている。
 本セミナーでは、先ず、硫化物系固体電解質の導電率を高めるための取り組み、液相から硫化物系固体電解質ナノ粒子を合成する方法、得られた電解質を用いた全固体電池の特性を紹介する。次に、電気泳動堆積法によって硫化物系固体電解質厚膜および正極活物質厚膜を集電体上に形成する方法と正極複合体厚膜の微構造制御に関する研究成果を詳しく説明する。

  1. 液相加振 (LS) 法によるLi2S – P2S5系固体電解質 (LPS) の合成と特性評価
    1. LS法におけるLPS反応プロセス
    2. 調製したLPSの構造と特性
    3. LPSを用いた全固体電池の構築
  2. 液相加振 (LS) 法によるLi2S – P2S5 – LiI系固体電解質 (LPSI) の合成と特性評価
    1. LS法におけるLPSI反応プロセス
    2. 調製したLPSIの構造と特性
    3. LPSIを用いた全固体電池の構築
  3. 電気泳動堆積 (EPD) 法によるLiイオン電池正極複合体の作製と界面設計
    1. LPS前駆体のエステル系溶媒中における静電的分散とEPD厚膜成形
    2. 正極活物質の塩化メチレン中における静電的分散とEPD厚膜成形
  4. まとめ
    • 質疑応答

第2部 酸化物系固体電解質の低抵抗界面に向けた低温焼結技術

(2019年9月13日 13:00〜14:30)

 リチウムイオン電池に用いられる有機電解液を酸化物固体電解質に置き換えたバルク型全固体電池が実現できれば、安全性の飛躍的な向上が期待できる。しかし、電池として作動するためには、置き換えた酸化物固体電解質の粉体同士の固固界面や電極活物質との固固界面を焼結する必要があり、その際に大きな課題を抱えている。
 本講座では、材料選択・焼結プロセスそれぞれのアプローチから固固界面を形成した酸化物系バルク型全固体電池の実例を紹介する。

  1. 酸化物系バルク型全固体電池の開発動向
    1. 酸化物系バルク型全固体電池への期待と課題
    2. 粉体を用いて固固界面形成した固体電池の研究例
    3. 全固体電池作製に向けた粉体焼結による固固界面形成の方法
  2. 低温焼結可能な酸化物固体電解質を用いた固固界面形成
    1. 酸化物固体電解質の焼結とイオン伝導性
    2. Li2CO3 – Li3BO3系固体電解質を用いた固体電池
    3. LISICON型固体電解質を用いた固体電池
  3. 高イオン伝導性酸化物固体電解質の低温緻密化による固固界面形成
    1. 加圧焼成による酸化物の低温緻密化
    2. 低温緻密化によるNASICON型固体電解質を用いた固体電池
  4. まとめ、今後の展望
    • 質疑応答

第3部 全固体2次電池材料のケルビンプローブフォース顕微鏡 (KPFM) によるその場観察

(2019年9月13日 14:40〜15:50)

 近年、ケルビンプローブフォース顕微鏡 (KPFM) は表面電位を高空間分解能で測定できる手法として注目を集め、実デバイス評価への応用が盛んに行われている。
 本セミナーでは、KPFMによるオペランド電位計測技術について、全固体電池の評価事例を中心に紹介する。
 はじめに、KPFMについてその測定原理から初学者向けに詳しい解説を行う。また、実デバイス評価におけるオペランド電位計測技術の重要性を述べる。
 次に、全固体リチウムイオン電池評価への応用について詳しく解説する。まず、全固体リチウムイオン電池の特徴や課題について概要を述べる。その後、我々の開発したオペランド計測のための断面試料作製技術を紹介する。
 最後に、充放電に伴う電極中の電位分布変化の可視化およびその動的観察の事例を紹介し、全固体電池評価におけるオペランドKPFM計測の重要性を議論する。

  1. KPFMとは
    1. KPFMの原理
    2. オペランド電位計測の重要性
    3. KPFMによるその場電位計測技術の開発と実デバイス評価事例
  2. 全固体リチウムイオン電池のその場観察
    1. 全固体リチウムイオン電池について
    2. その場計測のための断面試料作製技術
    3. 全固体電池電極の電位変化の可視化
    4. 充放電過程における電位変化の動的観察
  3. まとめ
    • 質疑応答

第4部 錯体水素化物固体電解質と硫化物ガラス固体電解質の複合化

(2019年9月13日 16:00〜16:45)

  1. はじめに
  2. 錯体水素化物固体電解質
  3. 錯体水素化物固体体電解質と硫化物固体電解質との界面形成
    1. 錯体水素化物/硫化物の界面における安定性
    2. 錯体水素化物と硫化物による新たなる固体電解質の形成
  4. 今後の展望
    • 質疑応答

第5部 錯体水素化物固体電解質を用いた全固体電池

(2019年9月13日 16:45〜17:30)

 錯体水素化物が新しい固体電解質として注目され始めたきかっけは、高温での構造相転移とそれに誘起される超イオン伝導性に関する報告である。近年では、超イオン伝導性に加えて、リチウム負極に対する高い電気化学的安定性を用いた高エネルギー密度型全固体電の開発への可能性も注目されつつある。
 複数の錯イオンの共存化、ほかの陰イオンによる置換、錯イオン内の原子置換・原子欠損などの錯イオンの構造制御によっては、リチウムイオン伝導率や電気化学安定性をさらに高めることができ、全く新しい錯イオンによる新規な伝導特性の開拓も期待される。今後の展開次第では、錯体水素化物固体電解質に関わる学理探求やそれを用いた全固体電池の社会実装に向けた新たな潮流が生まれることが期待できる。
 本講演では、新しい固体電解質として注目されている錯体水素化物固体電解質の1) 構造相転移と超イオン伝導性、2) リチウム負極に対する高い電気化学的安定性、3) 高エネルギー密度型全固体電池の研究開発の動向、について紹介し、議論することを目的とする。

  1. 錯体水素化物の構造相転移と超イオン伝導
  2. 錯体水素化物の低電位電気化学安定性
  3. 錯体水素化物とリチウム負極の界面安定性
  4. 錯体水素化物固体電解質を用いた高エネルギー密度型全固体電池の研究開発
    • 質疑応答

講師

  • 松田 厚範
    豊橋技術科学大学 大学院 工学研究科 電気・電子情報工学系
    教授
  • 奥村 豊旗
    国立研究開発法人 産業技術総合研究所 エネルギー・環境領域 電池技術研究部門 蓄電デバイス研究グループ
    主任研究員
  • 石田 暢之
    物質・材料研究機構 先端材料解析研究拠点
    主任研究員
  • 野上 玄器
    三菱ガス化学 株式会社 新潟研究所
  • 金 相侖
    東北大学 金属材料研究所
    助教

会場

株式会社 技術情報協会
東京都 品川区 西五反田2-29-5 日幸五反田ビル8F
株式会社 技術情報協会の地図

主催

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: 60,000円 (税別) / 64,800円 (税込)
複数名
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    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 165,000円(税別) / 178,200円(税込)
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