日本の高い技術力は、言うまでもなく飽くなき探求心に基づく研究開発の歴史によるものである。
　しかし、時代の変遷と共により高いレベルでの研究開発と同時に、スピードと効率性も強く求められるようになってきている。これらの要求に対応すると同時に研究開発の目標を達成するためには、目標設定、研究開発のための思考力、計画力、実行力や、これらを支える仮説思考と検証力を持って目的志向で考え、進めることが必要となる。そして、これらを駆使することで得た結果を成果とするためには、コミュニケーション力、情報発信力も必要不可欠となる。
　このように、今後の研究開発成功のためには、従来に増してより高いレベルでの、様々な思考力や能力が求められており、ただ漠然と研究開発を進めていては、他の技術者や同業他社、ひいてはグローバルな生存競争に勝ち残るのは困難といわざるを得ない。本講では、様々な研究開発の場面はもちろん、製造トラブルなどの問題解決においても必要となる、技術者としての考え方、進め方について詳細に解説する。

1. 企業における研究開発
   1. 結果を成果へ
   2. 魔の川・死の谷・ダーウィンの海
   3. 三位一体
   4. 巻き込み力
   5. 強み伝い
   6. こんなことはありませんか?
2. 目的と目標
   1. 目的の条件と効能
   2. 判断基準
   3. 目標の条件
   4. 「うれしさ」視点
   5. 目標設定のためのSMARTルール
3. 開発計画と実行
   1. 目的・目標の計画化
   2. 戦略策定の重要性
   3. ロードマップの役割と要件
   4. シナリオメイキング
   5. ポジショニング (ベンチマーク)
   6. 情報とリソース
   7. 計画化
   8. 優先順位の考え方
   9. イシュードリブン
   10. ボトルネックシーク
   11. リスク評価とヘッジ
   12. ディシジョンポイント
   13. Perfect Close
   14. 研究開発型PDCA
   15. 基本的な研究開発フロー
4. 研究開発のための思考
   1. 思考とは
   2. 目的志向
   3. アウトプット志向
   4. 俯瞰視点と仰望視点
   5. ロジック、要素と逆走思考
   6. メタフィールド思考
   7. イメージ思考
   8. 情報階層
   9. 2種類の感
   10. 認知バイアスの罠
   11. 目利き力
   12. ヒラメキの種
5. 思考の道具
   1. 本当のフレームワーク
   2. 概算力
   3. チャンク思考
   4. If then思考
   5. 思考の拡張
   6. 構造化
   7. 独立性と相関性
   8. 要素分解
   9. 目的達成の要素
   10. 本当のブレーンストーミング
   11. 抽象化と具体化
   12. アイデアの源泉
6. 仮説と検証
   1. 仮説が必要な理由
   2. 仮説の考え方
   3. 仮説の精度と確度
   4. 仮説の精度を決めるもの
   5. Fact
   6. 情報の意味と価値
   7. 実験の本当の意味
   8. 検証の条件
   9. 実験の神髄
   10. ロジックの条件
   11. サイエンスとは
7. 分析の使い方
   1. 実験と分析
   2. Howは最後
   3. 視ること
   4. データ解析の重要性
   5. 解析の落とし穴
8. コミュニケーションと情報発信
   1. コミュニケーションとは
   2. Passion
   3. 非言語コミュニケーション
   4. マインドリンク
   5. 信頼の条件
   6. 技術者の報連相
   7. 伝聞と報告
   8. Evidence & Story
9. プレゼンテーションのポイント
   1. 報告型と提案型
   2. 伝わってこそ成果
   3. テーマを共有する
   4. 背景を共有する
   5. 3態変化
10. 研究者の心得
    1. 探究心と追求心
    2. 研究者の成功要素
    3. サイエンスのゴール
    4. モチベーションの真理
    5. やってみなければ分からない?
    6. 情報の価値
    7. 知識と知恵
11. まとめ
12. 演習
• 質疑応答