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インバータ駆動モータの絶縁劣化メカニズムと絶縁設計、評価技術

インバータ駆動モータの絶縁劣化メカニズムと絶縁設計、評価技術

東京都 開催 会場 開催 個別相談付き

開催日

  • 2015年12月18日(金) 10時30分 16時00分

受講対象者

  • モータに関連する技術者
  • HEV・EV用モータに関する技術者、開発者

修得知識

  • 耐インバータサージ絶縁材料の設計、評価
  • 高電圧化に対応する絶縁技術

プログラム

1. HEV・EV用モータの絶縁技術と高電圧化への対応

(2015年12月18日 10:30〜12:00)

 本セミナーは、600V以下の電源で駆動されるモータの電気絶縁技術に関するもので、特に車載されるインバータ駆動モータは、小型化のため温度が上昇したり、冷却性能向上のため水分を含んだトランスミッション潤滑油を発熱部に直接あて冷却する方法が用いられ、絶縁物にとっては寿命的に過酷な環境下に曝されている。また高トルク・高出力化のため、駆動電圧の高電圧化傾向にあり、高いインバータサージ電圧が印加されると、部分放電に起因するエナメル被膜や絶縁部位を浸食しやがて絶縁破壊が生じることが懸念される。
 本セミナーは、講師40年のモータ設計経験を元に、絶縁の基礎並びに製造上の問題を避け造り易く信頼性の高いモータを提供するための絶縁技術を解説するものである。

  1. 絶縁構成
    1. 絶縁部位と絶縁構成
    2. スロット絶縁と相間絶縁
  2. 主要絶縁材料
    • 耐熱区分で分類した主要絶縁材料の例
  3. 耐熱区分と許容温度
  4. マグネットワイヤ (コイル)
    1. 種類と特徴
    2. 選定上の注意
    3. ワニスとの適合性
    4. クレージング
    5. ATFによるエナメル被覆の膨潤
    6. ATF冷却法の例
    7. 加水分解性と課電耐水性
    8. 耐熱劣化試験法
  5. フィルム材 (スロット、相間絶縁物)
    1. 分類
    2. 代表的フィルム材の特性
    3. フィルム複合・貼り合せによる欠点補完
    4. 選定上の注意
  6. ワニス
    1. ワニス絶縁樹脂の種類
    2. 含浸ワニスの種類
    3. 溶剤系と無溶剤系ワニスの違い
    4. 選定上の注意事項
  7. 絶縁設計
    1. 絶縁設計の3つのコンセプト
    2. 絶縁設計における注意事項
    3. ステータの初期絶縁特性
    4. 保証寿命相当劣化後の絶縁特性
  8. 絶縁物の劣化
    1. 劣化要因
    2. 複合劣化による絶縁特性劣化例
  9. 絶縁試験
    1. 絶縁試験項目例
    2. 巻線の試験法
  10. 絶縁に関するトラブルとそのメカニズム例
  11. モータ駆動電圧の高電圧化
    1. 高電圧化の目的
    2. インバータ駆動に伴う問題点:絶縁部分の部分放電開始電圧
    3. 部分放電劣化箇所
    4. 部分放電と絶縁破壊の違い
    5. 巻線間の内部電圧分布
    6. 部分放電開始電圧の測定
    • 質疑応答

2. インバータ駆動モータの絶縁劣化特性とその計測、評価技術

(2015年12月18日 12:45〜14:15)

 最新パワーエレクトロニクス技術による省エネと高効率化に優れたインバータ駆動モータが電気製品や産業機器用モータだけでなく、ハイブリッドカー (HEV) や電気自動車 (EV) など幅広い市場で開発・実用化され、急速に生産が拡大している。しかしながら、インバータから発生する立ち上がりが急峻な高サージ電圧によるモータの絶縁破壊のトラブルが発生し、その対策が大きな課題となっている。絶縁システムの劣化破壊は部分放電の発生に起因することは良く知られている。繰り返しインパルス電圧によって発生する部分放電は従来のAC電圧の場合と比べ特徴や検知方法が大きく異なる。インバータ駆動モータの絶縁評価には、様々な環境要因で変化する複雑な部分放電特性を理解し、発生の予測がポイントとなる。本講演の前半ではこのインパルス部分放電特性や優れた耐サージ特性をもつナノコンポジットモータ巻線について分かり易く解説する。
 2014年、インバータ駆動モータ絶縁に関する国際電気標準会議 (IEC) 規格が発行された。今後、IEC規格準拠した試験方法によって各インパルス電圧絶縁クラスのモータに対し部分放電フリーを保証する必要がある。しかし、実機モータへのIEC規格の適用の具体例は国内外で公表されていない。そのため、本講演者が委員長を務める電気学会調査委員会では、多くのメーカと大学が協力して国際規格関連の共通試験を実施し、その診断評価法の有用性や問題点を検討している。本講演の後半では、この実験内容の一部を紹介し、実機モータでの絶縁評価の具体的な診断方法およびインパルス電源と各部分放電計測センサについて解説する。

  1. はじめに
    1. 電気学会インバータ駆動モータコイルの絶縁評価法の調査委員会の活動概要
    2. 産業機器用と車両用モータにおけるインバータサージによる電気絶縁故障の課題
  2. 繰り返しインパルスによる部分放電現象の特性
    1. 様々な環境要因で変化する部分放電特性
    2. 部分放電によるモータ巻線の絶縁損傷
    3. 繰り返し部分放電開始電圧の予測
  3. モータ巻線の絶縁寿命特性
    1. エナメル線ツイストペアの寿命特性
    2. 絶縁劣化の要因とメカニズム
    3. ナノコンポジットエナメル巻線の優れた耐サージ特性
  4. 繰り返しインパルスによる部分放電計測法
    1. インパルス電源と電圧波形
    2. 各種部分放電センサと検出波形
  5. インバータ駆動モータ絶縁に関する国際電気標準会議 (IEC) 規格
    1. インパルス試験電圧波形の規定と結線方法
    2. ストレスカテゴリーとインパルス電圧絶縁クラス
    3. 絶縁システムの認証試験方法
  6. 実機モータを用いたインパルス絶縁評価試験の実例紹介
    1. 試験環境条件およびインパルス電圧波形に対する部分放電開始電圧特性
    2. 各コイルの分担電圧と部分放電発生箇所の推定
    3. 部分放電フリーを検証するための問題点
  7. まとめと今後の課題
    • 質疑応答

3. ナノ秒極性反転パルス電圧の発生原理とインバータサージ絶縁評価への応用

(2015年12月18日 14:30〜16:00)

 近年、環境調和や省エネルギーに優れた自動車としてハイブリットドカー (HV) や電気自動車 (EV) の生産が、国内外で拡大している。これらに使われるモータは、パワーエレクトロニクス技術によるインバータ制御で駆動している。インバータ制御における直 – 交変換の過程で出力される矩形波パルス電圧の波頭や波尾には、インパルス状の急峻な電圧 (通称インバータサージ) が重畳され易い。このサージがインバータ駆動モータやパワーモジュールに繰り返し侵入すると、絶縁劣化が加速される。
 本講座は、電気絶縁工学やパルスパワー工学を専門とする研究者による耐インバータサージ絶縁材料の設計と評価に関するセミナーである。電気絶縁工学やパルスパワー工学に関する基礎知識と、耐インバータサージ性能の評価方法についての最新の知識を提供することを目的としている。前半では、インバータサージの発生機構とサージの繰り返し印加による絶縁劣化機構について概説する。後半では、繰り返しインパルスによる絶縁劣化に対する評価方法と最近の研究成果を紹介する。

  1. はじめに
  2. インバータサージの発生原理とその特徴
    1. 集中定数回路における解析モデル
    2. 分布定数線路における解析モデル
    3. 極性反転パルス電圧の観察
  3. サージの繰り返し印加による絶縁劣化の要因
    1. 絶縁劣化の定義と絶縁破壊のメカニズム
    2. 部分放電劣化 PDIVとPDEV
    3. 誘電損失
    4. 空間電荷蓄積
    5. 複合劣化における寿命推定
  4. 複合材料特有の電気絶縁性
    1. 熱伝導特性と電気絶縁性との関係
    2. フィラーと樹脂界面における電界の局所的歪み
    3. ボイド・ミクロクラックでの電界集中
  5. インバータサージによる絶縁劣化の評価
    1. 残留電荷による部分放電開始電圧の低下
    2. サージ侵入から放電までの遅れ時間の統計的評価
    3. 絶縁シートの破壊機構の推定
    4. 交流トリーと繰り返しパルストリーの形状の違い、進展特性の違い
    • 質疑応答

講師

  • 安原 隆
    YMTソリューション
    モータ技術コンサルタント
  • 永田 正義
    兵庫県立大学
    名誉教授
  • 門脇 一則
    愛媛大学 大学院理工学研究科 電子情報工学専攻
    教授

会場

株式会社 技術情報協会
東京都 品川区 西五反田2-29-5 日幸五反田ビル8F
株式会社 技術情報協会の地図

主催

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: 60,000円 (税別) / 64,800円 (税込)
複数名
: 55,000円 (税別) / 59,400円 (税込)

複数名同時受講割引について

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    • 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 165,000円(税別) / 178,200円(税込)
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